百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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八発目

 アビ高に転校入学するが早いかミレニアムへと一晩で移動し、翌朝にはミレニアムの入学と身分証となる学生証(ネームカード)の発行手続きを行わなくてはならない、とんだブラック日程になってしまったのだが、なんと僅か半日しか在校していないようなふざけた生徒にすらも壮行/新歓会を開いてくれる事になっていたらしい、アビドスの温かみを感じる。

 

 とはいえ流石に当日いきなりは準備が追いつかないという事で今週の土曜日にアビドスに取って返して一日泊まり、日曜にミレニアムに戻る事になった。

 

「来週の土日でありますか」

「そう、まぁ土日って言ってもここはもう授業も途絶えて長いらしいし、曜日とかは正直どうだっていいんだけど、アンタは違うでしょ?」

 

 紅玉の瞳と黒髪ネコミミをぴこぴこ揺らしながらツンデレのテンプレの如き口調で話すセリカ、正直土日でも平日でも忙しいことは変わらないのだが、向こうでの金策開始以後はより忙しくなるため、それが間に合わないであろう『今週の土日』という日程はこちらとしてもありがたいものだ。

 

「連邦の方でもミレニアムはカリキュラムがしっかりしていると評判でありましたから、流石に平日朝帰りはできないでしょうな……その辺りまで考えての日程だったでありますか」

 

「もちろんよ、何にも考えずに日時指定なんてしないんだから!」

(もう!バイトの都合の合う日がたまたま土日だっただったなんて言えないじゃない!?バカぁ!)

 

「では、俺はミレニアムに向かうであります、しっかり稼ぐでありますよ」

「うへへ〜頑張ってね〜」

「たまには帰って来てくださいね〜♡」

「ん、オウカももう、アビドス所属の生徒、ちゃんと帰ってくるべき」

「いってらっしゃい!」

「どうかご無事で」

 

 校門前にならぶアビドス生5人に略式礼を送り、門に背を向けて歩き出す、帰ってくる時にどうなっているかはわからないが、まぁ5人ならなんとかやっているだろうという奇妙な安心を感じるオウカであった。

 

[次は〜ミレニアム本校舎前〜]

 

 廃線を辿り走ってまだ生きているゲヘナ線に乗り、そこから銃撃にあったり爆発物騒ぎがあったりを逐一(ちくいつ)ミレニアムに連絡しながら電車に揺られ、一度ゲヘナ沿岸線に乗り換えてから西笠井駅でオリンポス線の下り線へ乗り継ぎ、それからジャンクションへ行って連邦線に乗り換えミレニアムへ、長い長い旅路の果てにすっかり夕方になってしまった赤く薄暗い空を見上げる。

 

「……もう夕食時でありますな……」

 

 アオイ財務室長からはミレニアムの校区の門は完全電子制御でハッキングか内部の手引きがないと門限の完全閉鎖後は開けられないと聞いているオウカは、最悪野宿で一晩明かす必要があるかもしれんと未来を憂いながら歩き通して坂を進んでいくと、件の門は未だ開いていた

違和感を感じて駆け寄ってみると、そこには人影が一つ。

 

「あ!やっと来たわね!貴女がアビドスからの留学生の人?」

「いや俺は……アビドスの留学生であります」

 

 一瞬、連邦生徒会から始まるいつもの名乗りをあげそうになって止まるオウカの返答を聞くと、青の髪と黒いジャケットにキヴォトスでも希少な立体円環型(ソリッドサークル)ヘイロー、そして立派なふとももを二つもつけたその脚は、もとい人物はすぐに自らの身分を明かした。

 

「私はミレニアムサイエンススクールの生徒会『セミナー』所属、会計の早瀬ユウカ、貴女の名前は?」

「俺はれ……アビドス高等学校2年、無所属、憂晴オウカであります」

 

 黒ハーフグローブが引き締まった手指をより際立たせる彼女の手先を見ながら答えると、すぐに彼女は門を通してくれる。

 

「うん、データに違いはないわ

それでは憂晴さん、ようこそミレニアムへ」

 

 廃校寸前の学校からの留学生などという危険物に、わざわざ生徒会役員を校区外に立たせてまで迎えるほどの事があるとは思えない、なにか裏がある、そう直感していたオウカだったが、門を抜けて直ぐに告げられたのは歓迎の言葉だった。

 

「歓迎ありがとうございます、感謝いたします」

 

「いいのよ、これが私の仕事だもの

それより、憂晴さんの事なんだけど……オウカって呼んでいい?」

「?別に構いませんが」

 

 別に呼び方など気にはしないオウカはあっさりと名前呼びを許した、同学年ということもある、気軽か会話できるほうが良いだろうという判断だ。

 

「じゃあオウカ、これからあなたの学生証を発行する必要があるんだけど……時間が遅くなってしまっているから、それは明日にして先に夕食にしない?」

 

「食堂がまだ空いているのですか?既に18時を過ぎていますが」

「敬語はいいわ、ミレニアムの学生は研究に没頭して寝食を忘れてしまうこともあるから、食堂は24時間開放されているし、食品自販機のラインナップが充実してるの、コーヒーからうどんから餡掛け炒飯まで自販機で売ってるんだから!」

 

「あんかけちゃーはん……」

 

 どうあっても『自動販売機』という販売形態には全く沿うことのない食品だと思われるが、セミナー会計様が自信満々に紹介するからには実際にあって、売っているのだろう。

 

「あら、チャーハン好きなの?」

「いいえ、別段好きなわけではなく、自動販売機に餡掛け炒飯という組み合わせが非現実的に聞こえただけです」

 

「そこはミレニアムの技術力、よ」

 

 ふふっ、と優しく笑いながら小首を傾げて指を軽く振るユウカ、かわいい。

 

「自販機もエレベーターも教室も寮室も学生証の権限で開閉するの、自分の権限以上の部屋にはそもそも入れないようになってるわ、あなたの学生証はまだ未発行だから、今回は私の学生証を使うわ」

「しかし、それでは夕食代を奢らせてしまうのでは?」

「いいのよ、これでもセミナーの会計なんだから、自分の口座はしっかり管理しているし、多少支出が増えても許容範囲内よ」

 

 エレベーターで階を上がり、食堂のネオンに見える明かりを目指して歩く。

 

「では、ご馳走になるであります」

「うん、それで……何にする?本当に色々あるわよ?」

 

「うーん……うどん、カレー、チャーハン、本当にあるでありますな、サンドイッチ、スムージー、プリン……ツナサンドが良いか」

 

 個人的に魚肉が好物なオウカは適当にツナサンドと緑茶をチョイスしてユウカに伝える、ユウカの方はクリームシチューとバゲットにリーフサラダにしたようだ。

 

「つくづく自販機と合わない代物でありますな、本当にパンも柔らかいしツナもしっかり鮮度も良く詰まっているであります」

「気に入ったかしら、ちゃんと栄養バランスは考えて食べるのよ、栄養サプリもあるけれど、メインはあくまで食事で摂るべきなんだから」

 

「反省です」

 

 しかし綺麗なリーフサラダが自販機から出てくるビジュアルは脳がバグる、この問題にもいずれ慣れるのだろうか?

 

「あとで校内の案内をしてあげるわ、寮室も開放しないといけないし、お風呂も入らなきゃでしょ?それに明日も色々忙しいわよ、今のうちから覚悟しておいてね」

 

 脅しじみたセリフに背を押されて食事を済ませ、なんと皿もカトラリーもまとめて洗って乾燥させてから自販機に戻してくれるという配達機能まで完備した『全』自動食洗機へと置いて食堂を出る

ユウカ曰く、足元を駆け巡っているAI制御らしき円盤も自動掃除機なのだという、随分機械化が進んでいることだ。

 

「あくまで留学だから制服はアビドスので良いけれど、ミレニアムの制服も学生証と一緒に支給するから、それを着てもいいわ、明日の朝起きたらモモトークで連絡してね、オートロックで扉が開かないから」

「あっ、そうでありましたな、混乱しないように気をつけなくては」

 

 恐るべきはミレニアムの科学技術、学園都市キヴォトス全土が既に外の世界から2世代ほど進んでいるのに対し、そこからさらに2世代以上先にあるそれを目の当たりにすればただただ圧倒されるのだが、オートロック周りの融通の効かなさはホテルでインキーしてフロントに泣き付く時代から変わっていないのは何故なのだろうか。




初投稿です

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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