【まだまだ】青く透き通るGTA世界に祝福を・12【アビドス】
524:名無しの転生者
大丈夫? イオリ生きてる? さっき金カムの平太師匠が杉本の骨折ったときみたいな音したけど……
525:G級ライダー
殺してはいませんよ、流石に殺人は不味いですからね。それでもすぐに動き出さないように胸骨を踏み折ってはおきましたが
キヴォトス人はこの程度で死ぬようなやわな構造はしてませんよ、本気で殺すならあばらを踏み折って肺に刺します
526:名無しの転生者
……実際にやったように言うね?
527:オール・フォー・オール
それよりどうすんですこれから? 現状アコさん吊し上げ大会開催中みたいですが
528:墓守の狩人
どうしようかしら? というか私が顔出したらアコさん真っ青になってたの笑えるわよね*1
まあ迫撃砲ぶち込んだ時私柴関店内にいたから見えなかったろうし
[画像]
(ホロ映像のアコに対して無表情でピースしてるアオ)
529:名無しの転生者
まあ……行為と結果はどうあれエデン条約の相手の学校の生徒がいる場所砲撃した上にやり合ってたなんてエデン条約ぶち壊しになってもおかしくないよね……
しかもよりにもよって相手がシスターフッドとか……*2
530:実力派センセイ
ほんとなんでこんなことしたのかなぁこの子……行政官って事はリンちゃんと同じような立ち位置だよね?
531:写輪眼
マジですまねえ……いや普通に有能なんだよ、普段は
ちょくちょく忠誠心が行き過ぎる事があるけどこいついなきゃ風紀委員潰れてるぐらいには有能な事務方なんだよな
ヒナが基本仕事で忙殺されてるから事務方は大体こいつが取り仕切ってるとこあるし
俺の横槍で大分軽減はされてるが、ヒナも平均睡眠時間4時間以下とかざらだしな*3
532:名無しの転生者
まあ基本的に有能だけど瞬間湯沸かし器みたいなとこあるよねアコちゃん
ゲヘナの子って頭いい子でも唐突にアホになる時あるからなあ、マコトとかアコちゃんとか
533:にゃんこ大線路
っていうか、何でそんなヒナ委員長多忙なんです? ゲヘナがまあ治安終ってるホットスポットなのはわかりますが
ハイランダーのゲヘナ方面路線担当の子達とか大分荒れてますし
534:名無しの転生者
まあ治安がクソなのと……万魔殿の無茶振りと嫌がらせかなぁ
ちょくちょく聞いてると思うけど、マコト議長ってヒナちゃん目の敵にしてるから
535:オール・フォー・オール
理由はまあ自分より有名だとか色々囁かれてますけど*4、普段から風紀委員会の予算横領したり仕事押し付けたり色々やってますからねぇ
写輪眼さんのおかげで原作よりは軽減されてますけどね
536:実力派センセイ
?????? そんな子が生徒会長とかゲヘナ大丈夫??????*5
537:名無しの転生者
あ、先生が宇宙猫してる、そらそうか
仕方ねえんだよゲヘナで役職持ちになろうなんてのはよかれあしかれ狂人しかいねえんだから*6
538:オール・フォー・オール
ちなみに一応きちんと選挙で選出された議長ですよマコト議長
なおその選挙の投票率3.8%だそうですけどね*7
539:にゃんこ大線路
それはすでに投票の体を為してないのではないでしょうか
540:写輪眼
ゲヘナではそうなんだよ……一応……まあそのぐらいの頭のいいアホでもねえとゲヘナの議長なんてやりたくならねえだろうけどな
俺の場合エデン条約に一枚噛むために万魔殿入ったようなとこあるが
541:G級ライダー
ところでこのアコさんと言う方はゲヘナにいらっしゃるのでしょうか?
542:名無しの転生者
そうだけど攻め込むのは無しだよ!? 一応ね!?
543:囚人キング
はーいライダーちゃんおいたはだめだからねー
ちっちゃくてふわふわですっごい良い匂いもするけどどこにあんなパワーが入ってげふう
544:実力派センセイ
あ、囚人ちゃんがライダーちゃん抱き上げたらじたばたした足が鳩尾に……痛そ……
ともあれライダーちゃん、落ち着いてね。私の顔に免じてここは矛を収めてね
545:G級ライダー
……はぁ。仕方ないですね。で、本当にどうするつもりなんでしょうね。私はなあなあで済ませる気は欠片もありませんが
[配信中]
ホムラ『で、なんのつもりですか? きょかなくわがあびどすがっくないにしんにゅうし、そのうえみんかんじんやせんせいをまきこんでのせんとうこうい。
このあびどすこうこうせいとかいちょう、のぎだいらほむらのまえでうそいつわりがつうじるとはおもわないことです。あなたもこれいじょうぶかがきずつくのはおいやでしょう?』
アコ『それは……その……そ、そもそもここはアビドス高校所有の土地ではないはずですが……』
……ソニドリ、介入なさい
546:オール・フォー・オール
しっかたないですねえ……まあこれ以上はガチで死人出ますしね。一応今そっち向かってるので皆さんもう少し会長押さえててくださいね
ホムラ『なるほど、ではそにどり、せつめいなさい』
ソニドリ『はいはい。あ、どうもアコ行政官、立体映像で失礼します。私ミレニアム二年の王釣ソニドリです。いやー大変でしたね、まあこれからも大変なことになりますが』
アコ『……は? 何故ミレニアムの生徒がこの件に介入を?』
ソニドリ『だって私この辺の土地の地主ですからね。まあカイザーからの介入を防ぐために私の土地にしているだけという話なので、実質的な管理はアビドス高校にお任せしているんですが』
547:にゃんこ大線路
あー、そういえばアビドス本校近辺以外の土地は半分ほどカイザー、もう半分ほどがAFAさんの所の土地なんでしたっけ
548:名無しの転生者
つまりAFAネキのお膝元でドンパチやらかしたって事なのか。うわぁ、成仏しろよアコちゃん……
549:オール・フォー・オール
失敬な。私は別に理由もなく嫌がらせはしませんよ? 理由があればやりますが。そもそも風紀委員を絞り上げた所で泣き言ぐらいでしょう、出てくるのは
[配信中]
アコ『え……は……はぁ!?』
ソニドリ『で、どういう話でしたっけ? 私の土地で風紀委員が無許可で侵入して営業中の飲食店に無警告で迫撃砲叩き込んで民間人を巻き込んだ上で先生を殺しかけたって話でしたっけ?』
チナツ『嫌に具体的ですね……監視してましたか?』
ソニドリ『そりゃもう。いつカイザーが嫌がらせしに来るか分かったもんじゃないですからね。ねえアルさん?』
アル『え、えええ、そそそそそそそうね! 常に警戒を怠らないのは良い事だと思うわ!』
ムツキ『くふふ、アルちゃんすっごい目泳いでるぅ』
550:名無しの転生者
まあ知らなかったとはいえAFAネキの土地にある店を吹き飛ばそうとしたって事だもんな……*8
551:囚人キング
あー流石に鳩尾は鍛えられないから当たると息が詰まるね。しかしアコちゃんの顔が赤くなったり白くなったり青くなったり白目剥いたり、見てて退屈しないねえ
ニヤに詰め寄ったときみたいな顔してるね、まああの時はそのまま顔面陥没させたけど
[配信中]
ソニドリ『で、まあお話というか状況はもう伺ってますけど、私ゲヘナ風紀委員会がここで部隊を展開し戦闘をしますって話、ちっとも聞いてませんが?
しかも警告なし、民間人+先生を巻き込んで。何か急を要する御用でもあったんです?』
アコ『……! え、ええ。そちらにいる便利屋68の面々を捕まえるために……イオリがたまたまそちらの土地に踏み込んでしまったのは、謝罪いたします』
カヨコ『嘘をつかないで、天雨アコ。偶然なんかじゃないでしょ? 最初からあんたが狙ってたのは、この状況だった』
アコ『あら?』
552:G級ライダー
……ほう
553:実力派センセイ
はい落ち着いてねライダーちゃん。BE COOL。BE COOLだよ
[配信中]
カヨコ『最初は何でこんな所に風紀委員が来たのか理解できなかった。確かに便利屋68はゲヘナのお尋ね者だけど、たかが4人を捕まえるために他学区に殴り込んで来るなんて風紀委員長のやり方じゃない。
それにそもそものこの非効率的な運用……アコ、この一件あんたの独断でしょ? それも、狙いは
……んん????
え、じゃあ誰狙ってきたの? こんなリスクを冒してまで? そもそも便利屋ちゃん達もやってることは一般ゲヘナ生と大差ないと思うんだけど
起業ってゲヘナ的にそんなに重罪だったりする?
554:名無しの転生者
いや違反ではあるんだけど、正直ここまで目くじら立てて追っかける程の事でもないのよね
普段であれば昔に何か関係があったらしいアコちゃんがカヨコのいる便利屋を目の敵にしてるという話なんだけど、今回は……その……うん
555:写輪眼
まあ、どうせすぐにわかる事だ、そのまま鬼方先輩の話聞いてればいいぜ
……ほんとになんでこんなことやったんだかなぁ
[配信中]
カヨコ『少し考えれば分かる話だった。直前に色々あったから頭が回らなかったけど……明らかに私達を相手取るには多すぎるこの戦力。
もっと言えば、シャーレの先生。あの人を狙って、ここまで来たんだ。……まあ、大分戦力の見積もりが甘かったみたいだけどね』*9
556:実力派センセイ
????????????
557:にゃんこ大線路
????????????
558:G級ライダー
????????????
559:墓守の狩人
あら、原作知らない組が綺麗にバグってるわね、背景に宇宙猫が見えるようだわ
[配信中]
アコ『……流石はカヨコさんですね。ならば……』
ホシノ『あ、先輩! 迫撃砲制圧したよ! あとついでになんか周囲をさらに包囲してた連中がいたからとりあえず叩きのめしといたけど、ゲヘナの連中だから大丈夫だよね? 自業自得って事で』
カヨコ『ちなみに今この近辺にいるアビドス・シャーレの連合部隊だけで多分風紀委員長数人分ぐらいの戦力なんじゃないかな……』*10
アル『まかり間違えばその空崎ヒナ数人分の戦力に袋叩きにされてたのよね私達……』*11
560:名無しの転生者
あ、カヨコとアルちゃんがたそがれてる。まあそうもなるわな、少なくともライダーネキ怒らせるとこうなるよって実例(イオリ)が目の前に転がってるわけで……
561:実力派センセイ
……はっ! ちょっとあんまりにもあんまりで脳が情報の理解を拒んでた! えーとつまり? 便利屋ちゃん達をとっ捕まえようとしたのは物のついでで?
実際の所私の身柄を抑えるのが目的だったって事なのかな?
562:墓守の狩人
そうみたいね。そういえばライダーさんが復帰したのつい最近だったし、アビドスにもりっと生徒が増えたのもこの間だし……
もしかしてアコさんの情報網に引っかかってなかったのかしら?
563:名無しの転生者
ついでに言うなら本来ならとっくに卒業してるはずの人間だからもういないと思ってたのかもしれんね
564:実力派センセイ
うーんちょっとこれは擁護できないなぁ……というかそもそも、わざわざ他所の学区に殴りこんできてまでする事でもないよね、私の身柄なんてさ?
565:名無しの転生者
ん? どゆこと? 先生って連邦生徒会の人間だし、割と超重要人物だろ?
566:実力派センセイ
いやだって、捕まえたいんならわざわざ大勢動かして他所に喧嘩売るような真似しなくてもさ、もっともらしい用事でゲヘナに呼びつけて捕まえればいいでしょ
まあそれをやったところでただで捕まる気は毛頭ないし、そもそも連邦生徒会の人間拉致なんてしたらすぐにバレるしエデン条約どころの騒ぎじゃなくなるよね
現状だってもう他学区の上地権者のAFAちゃんに無断で戦闘行為して、現地の生徒会長であるライダーちゃん怒らせて、その上で今ここには囚人ちゃんと狩人ちゃんという百鬼夜行とトリニティの生徒もいる
まあどっちに転んでもエデン条約どころの話じゃなくなるよねって言う話なんだけど
567:名無しの転生者
……あ、それもそうか。ゲヘナに呼びつければ写輪眼ネキもいるから護衛は少なかった可能性も高いし、
少なくとも成功率で言えば今回の件よりはよほど高かったのか?*12
568:オール・フォー・オール
まあ0%が0.00001%に上がる程度の話ではありますけどね。原作でだってわざわざ他校との軋轢増やしてまでやる事じゃないんですよ、今回の襲撃
多分きっと恐らくメイビーヒナさんの負担を減らそうとしたんだろうな、って気はほんのりしないでもないかもしれませんが
はっはっは、条約が丸ごと吹っ飛んだら今以上に負担が増えるかもしれませんね!
569:名無しの転生者
笑い事じゃねえよ!?
570:写輪眼
一応な、アビドスには手ぇだすなよって忠告したんだけどさ……まあ、天雨だからな
多分万魔殿の言う事だからって聞き入れなかったんだろうな……
571:名無しの転生者
ほんと写輪眼ネキは苦労してるよ……今日のあれこれが片付いたらフウカちゃんに甘えとき
572:にゃんこ大線路
……はっ!
と、とりあえずFOXとRABBITは撤退させますね! 大丈夫そうなので!
573:名無しの転生者
いやもうほんとどうすんだよこれ……
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『…………』
アビドス、柴関ラーメン前、ひと時の戦場ともなったそこで、ゲヘナ風紀委員会所属、行政官・天雨アコ(の立体映像)は突っ伏していた。
それを囲むのはシャーレの面々と対策委員会、関係者らしい便利屋のカヨコと、部下であるチナツであった。
「あ、えーと……ごめんね? でも実際そうだし……」
申し訳なさそうに頭を掻く先生。
先程掲示板で言っていた「こんな方法ではなくゲヘナに呼び出して捕縛した方が良いんじゃない? まあそれでも100%問題起きて襲撃されるだろうけど」とアコに言ったところ、こうなったのだ。
「ねているばあいではありませんよあこさん。あなたがなにもいわないのであればほかのかたにきいてもよいのです。
こうしてことばをかさねているだけさいだいげんにじょうほしているということをおわすれなく」
ズン、とガンランスを地面に突き立て、あらぬ方を見つめながらも言い放つホムラ。
その視線の先には倒れたまま動かないイオリ。胸が上下している辺り、骨折の激痛で気絶したようだ。
「あの、流石にそれ以上は……今後の風紀委員会の業務にも差し支えますし」
「わたしにはかんけいのないはなしです。ふうきいいんがどうなろうと、えでんじょうやくがどうなろうと、それがあびどすになんのかんけいが?」
イオリとホムラの間に入るように移動したチナツの言葉を、にべもなく切って捨てるホムラ。
その視線は普段のゆるゆるとしたそれとはまるで違う、別人のような冷たさを宿した視線だった。
『まあまあホムラ先輩。その辺でその辺で。一応アビドスはゲヘトリ双方の近所ですし、影響がないわけでもないでしょう?
どうせこれ以上絞ったって泣き言しか出てこないんだから痛めつけるだけ無駄ですよ。どうせイオリさん何も知りませんし、チナツさんも』
「ええまあ……便利屋の捕縛としか聞いていませんので」
「…………まあいいでしょう。ちなつさん、あなたはせんせいともしりあいときいています。せんせいのかおにめんじてこれいじょうはよしましょう。いまは」
『うわー先輩塵屑ほども納得してない顔ですよこれ。アコさんも突っ伏してますしこれ以上は弄っても楽しくなさそうですね。
そんじゃヒナさんウリエさん、行きましょうか。あ、大分臭いですけど臭いだけで無害なので暴れないでくださいね。先輩もそのまま大人しくしててください、責任者連れてくんで』
『……ええ。……うわ、ほんとに臭い』『まーほんとに害はねぇから安心しろよ、俺も何度かこれで移動してっから安全性は担保されてる……はずだ』
ソニドリの立体映像の後ろから別人たちの声がすると同時、空中に臭気を伴う液体が突然発生する。*13その液体は即座に大きくなると弾け、空気に溶けて消える事にはその場には3人の人間がいた。
1人。にこにこと楽しそうに笑う緑髪の少女、王釣ソニドリ。
1人。軍帽を被った桃色の髪に黒い翼を生やした少女、蓮常寺ウリエ。
最後の1人、大きな蝙蝠の翼、ねじれた3対の角をを生やし、立体的な刺々しいヘイローを浮かべた、白髪の小柄な少女。
その姿を見て、チナツとその場にいた風紀委員の顔色が変わる。少女は周囲を見回し、地面にめり込んで気絶しているイオリを見るとため息を一つ。
そして顔を突っ伏したままのアコへと向けると僅かに眉を顰め、口を開いた。
「……アコ」
『ひ、ひひひ、ヒナ委員長っ!?』
ばね仕掛けのおもちゃのように飛び上がったアコが居住まいを正し、少女の方を向く。
その様子を見て動こうとしたホムラを制し、先生は少女の前へと歩み出る。
「初めまして。私は天保印羊子。シャーレの先生と言えば分かってもらえるかな」
「ええ、話はチナツやウリエから聞いてるわ。私はゲヘナ風紀委員会委員長、空崎ヒナ。
今回は私の部下が大変な失礼を働いたとか。大まかな経緯と状況はウリエとソニドリから聞いてる。ごめんなさい」
『委員長!?』
ヒナは先生とホムラへ向けて頭を下げた。それにアコが驚愕の声を上げれば、ヒナは視線だけをアコに向け、冷徹に言い放つ。
「アコ、貴女は別命あるまで謹慎。今回の件は後であなたの口からも一部始終を語ってもらうわ」
『はいぃ……』
有無を言わせぬ調子でヒナが言えば、がっくりとうなだれ、通信が切れる。
それを見届け、ヒナは大きくため息を吐いた後、改めて先生とホムラに向き直る。
「事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校の生徒との衝突。
更に言えば民間人を巻き込むところだったのと、最悪の場合先生が死亡する事態だった。
謝って許される話でもないけれど……今は頭を下げる位しかできない。改めて、ごめんなさい」
「大丈夫、結果的に言えばこっちの被害はゼロだったし、頭を上げてもらえないかな、ヒナちゃん」
「そうですよひなさん。あなたがあたまをさげるどうりは……まあ、ありますが。
わたしもこれいじょうはたたかうきもありませんし、こまかいはなしはのちほどいたしましょう」
「あなたは変わらないのね、乃木平ホムラ会長。小鳥遊ホシノは随分変わったようだけど」
「あれ、おじさんの事知ってるんだ? 先輩とも知り合いみたいだし、いやぁ有名になったもんだねえ」
そう言ってヒナはちらりと視線をホシノへと向ける。ホシノは鷹揚に笑うが、その目が笑っていないのを見て、ヒナはまたもため息を吐く。
「ひなさんとはののみがくるまえ、わたしとほしののふたりだけだったときのころからつきあいがありましてね」
「あはは、恥ずかしいねえ、おじさんが一番トンがってた時期じゃん。あ、先輩、とりあえず怪我人は集めといたよ」
そう言ってホシノは背後を親指で示す。そこには多数の風紀委員生徒たちが集められており、
人によっては青い顔で腹や肩を押さえるもの、手足があらぬ方を向いているものなど、けして軽い怪我ではないのが見て取れる。
「きょうのところはひいてくれますね? せなかからうつようなまねはいたしませんよ、ひいていただけるのであれば」
「……そうね。私の監督不行き届き以外の何物でもないし。 でも、まともに動けそうにない子が結構いるんだけど」
「それでこれをつかいます。さっさとでていってほしいですからね」
言うなり、ホムラは何処からともなく取り出した瓶をヒナに見せる。何やら、粉末状の何かが入った大ぶりな瓶だ。
直後それを怪我人が固まっている方へと投げると、足元に転がっている小石を蹴り飛ばして瓶に当て、破壊する。
自然、その内容物である謎の粉末は怪我人たちの頭から降り注ぎ――――――
「え……痛みが……?」
「だめだって……これ絶対内臓破裂して……あれ?」
「うわぁなんか足が気持ち悪い戻り方して治ってるー!?」
困惑、そして騒然。集められた風紀委員たちの怪我が、たちどころにして完治したのだ。
打ち身の生徒はアザが消え、腹部を抑えている生徒は唐突痛みが消えた事に首を傾げ、骨折していた生徒の手足が元の位置に戻り、過不足なく動かせるようになる。
それは、まるで奇跡の光景であった。
「……あー、会長さんよ、それ、生命の粉塵か?」
「せいかくにいえばだいふんじんのほうです。なおりきらなかったらめんどうですし……まあ、なくなればいくらでもつくれますしね。
じせいしているものもなくはないですし、このけんがおちついたらとりにゆきましょうか」
生命の大粉塵。「モンスターハンター」シリーズに登場する回復薬で、自分と周囲の仲間をまとめて大幅に回復する効果を持つ。
ホムラは転生特典としてモンスターの他、各種装備やアイテムを所有している。その中にあったものを使ったのだ。
ともあれ、それはモンハンシリーズを知る転生者ならばこそ。それを知らないキヴォトス民からは、まるで奇跡のように見えた事だろう。
チナツもまた医療に携わるものとしてその光景を唖然として見ていたが、自分の背後にいるイオリにはその恩恵がない事に気付く。
「あの、差し出がましいお願いですが……先程の粉末、イオリには効果がないようなのですが……」
「はんいがいですからね。そのようにけいさんしてなげました」
「イオリにも使っていただけたりなどは……」
「いやです。なぜしゅうげきのじっこうはんをちりょうしなければいけないのですか。あんせいにしていればししょうなくなおるようにおりました。
それはせめてものじひで、さいだいげんのじょうほです。ひとりようのかいふくやくもありますが、いおりさんにつかうひつようせいをかんじません。
ちなつさん、あなたはいりょうぎじゅつがありますね。なおしたとはいえなにかへんなつながりかたをしているともかぎりません。
あちらのかたがたのしんさつはあなたがやりなさい。それがいおりさんをほうちしたあなたへのばつです」
それきり、チナツから離れ柴関の方へ行くホムラ。そこに入れ替わりでやってきたのはウリエだ。
チナツの肩に手を置くと、疲れたような顔で苦笑する。
「……悪ぃ火宮、会長さんはこれでも大分譲歩してくれてるはずだ」
「ウリエ先輩……その、あれでですか?」
「マジで歩み寄る気が無かったら攻め込んできた風紀委員をお前含めて全員銀鏡みたいにした上でゲヘナに攻め込んで、天雨を半殺しにした上で止めようとしたヒナと全力でドンパチすんじゃねえかな。
そうなりゃ
「……今回の件が彼女の逆鱗をやすりで削るレベルの蛮行だったのは理解しました」
「マジで銀鏡が治る程度の怪我で済んだのが奇跡だよ……」
チナツには、遠い目であらぬ方を見つめるウリエが全体的な色が薄くなっているように見えた。
普段から万魔殿と風紀委員会の調整役の様な事をしているウリエだったが、シャーレでもやってることはあんまり変わらないんだろうなあ、とチナツはなんとなくシャーレでのウリエの立ち位置を察したのだという。
「……本当に、大分手心を加えてくれていたみたいね、ホムラ会長は」*14
「正直私も今回の件に関しては怒ってるけど……ホムラちゃんがあそこまで激怒したのは初めて見たよ。まあ、まだそこまで付き合いが深いわけでもないけど……」
「本当にごめんなさい。こういう事をいうとどっちの味方だ、と思われるかもしれないけど……悪い子達じゃないの。
アコはちょっと先走る所があるし、イオリはあんまり深くものを考えない所があるから……私も、あんまりあの子達を見ててあげられていないし。
アコなんかはだからこそ暴走するのかも……わ、せ、先生?」
ヒナの言葉に、思わずその小さな頭を撫でる先生。ヒナの事はウリエなどから聞き及んでいる。
成績優秀でその実力もゲヘナはおろか、キヴォトスでも上位を争えるレベルの強さ、その上でゲヘナ学園では非常に珍しい高い責任感と職務意識を持つ。
しかし、その突出した名声・実力・責任感がゲヘナでは仇となる。自由と混沌をその校風とするゲヘナにおいてはまともな生徒も相当数いるが、
それを打ち消して余りあるほどの不良生徒、もっと言えばテロリストまがいの活動をする者達も多い。*15
また、ヒナ単騎で数百人いるヒナを除いた風紀委員全軍に匹敵するその隔絶した戦闘能力のあまり、『ヒナがいなければ好き放題出来る、ヒナ抜き風紀委員など物の数ではない』という風潮がゲヘナに蔓延しており、
キヴォトスでも最大級のマンモス校という母数の多さからくる事件発生数の多さから、物理的な意味で寝る間も惜しんで働かなければ風紀委員が回らない程の激務であるという。
その為後進を育てている暇などなく、その為に自分が穴埋めをせねばならず……という悪循環により、現状のヒナが酷使される環境が出来上がってしまったのだろう。
エデン条約のために
「大丈夫、その為の私、その為のシャーレだよ。ヒナちゃんが責任感が強いのは常々聞いてるけど……何でも自分だけでやらなきゃいけない、何て思っちゃだめだよ?
シャーレだって始動した時は部員数10人もいなかったけど……みんなが助けてくれてるから、なんとかやっていけてるんだ。
私達からも人員を派遣できるようにしてみるから、ヒナちゃんも何かあった時、私達を助けてほしいな。まあ、今回の件が落ち着いてからになるだろうけど」
「……ありがとう」
ヒナの呟きに、先生はその頭をわしゃわしゃと撫でまわすことで応える。
そしてすぐ近くにいたアオを呼び寄せると、気絶したままのイオリを指差し、口を開く。
「アオちゃん、イオリちゃん、だっけ? 治してあげてほしいんだけど……確か他人を治癒出来る奴あったよね」
「『聖歌の鐘』ね。まあいいけど……貸し一つよ? 私だってわざわざ治してあげる義理はないんだから」
「後でラーメンでもスイーツでも奢るから、ね?」
「まあ、そう言う事なら。他人の金で食べるご飯っておいしいのよね」
どこからともなく手に平に乗る程度の小さな鐘を取り出すと、アオはイオリの方へと向かう。
その背中を見送りながら、先生は改めてヒナに視線を戻すと、腰を屈めて視線を合わせ、片手を差し出す。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために。ってね。多分これからたくさん頼りにすることがあると思うから……
ヒナちゃんも、私をたくさん頼りにしてね。睡眠時間三時間とか、言語道断だよ?」
「……ええ。よろしく、先生」
ヒナはその手を握り返す。その背景で、アオにより治療を施されたイオリが意識を取り戻し、起き上がるのであった。
そんなわけで16話です。戦闘終了後のあれこれ。VS風紀委員会は次回で締めの予定。
一度ほかのイベントに手を出すかこのまま対策委員会編進めるか……
ファウストも出したいんですよね、借金はもう完済したけど一応考えてはいる。
■解説
・ホムラ
一応慈悲はあった生徒会長。実は結構気が短い、というか話が通じないな、と思ってから暴力に移行するまでがほぼノータイム。
元々風紀委員たちは治療するつもりだったけどイオリだけは治療するつもりはなかったのでギリギリ範囲外になる様にして粉塵を使った。
その後に関しては「自分は直さないけど他が治すのは自由」としている。
・アオ
一応治療する気はあったけど水銀弾使うしめんどくさいのよね、と思ってたらホムラが治したので先生の頼みでイオリを治した。
ホムラのように激怒しているわけでもないしソニドリのように興味の剥いている事柄意外には徹底して無関心なわけでもないけど、それはそれとして暴に対しては暴で返す主義。
・ウリエ
本当にいろんな意味で苦労している奴。レイに並び転生者連中の中で屈指の常識人。
頑張れば医療忍術も使えるかもしれないけどまだ未収得。
仮に習得するとサクラちゃんや綱手様みたいなことができるようになるのでパンチの威力が大分えげつなくなる。
・ソニドリ
珍しく個性を使った狂人。
実は今回使ったのは「転送」をベースに改良して黒霧の「ワープゲート」に近い性質にしたもの。臭い液体をゲートにして空間を繋ぐ、という改造個性。
AFO自身でも「オーバーホール」を「崩壊」に改造(改悪)しているようなので、AFOの個性とドクターの頭脳を併せ持つソニドリなら可能とした。
もとからあった個性因子じゃないので改造には相応の手間はかかる。