アビドス編も終盤にさしかかりつつあります。
【まだまだ】青く透き通るGTA世界に祝福を・15【アビドス】
659:G級ハンター
一応ご報告しておきますね
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(スケバンらしき生徒やヘルメット団らしき生徒に混じってアビドス市街の砂掻きをしているアコとイオリ。イオリは「ちょっと疲れたな」程度だがアコは青息吐息)
660:名無しの転生者
あ、本気で砂掻きさせてたんだ。周りの奴らは……?
661:オール・フォー・オール
カイザーに雇われて襲ってきたヘルメット団とかスケバン達ですね。逃げないように誰か一人でも逃げると全員に高圧電流が流れるようにしてます
なぁに死にはしませんよ、生かさず殺さずが刑罰の鉄則ですからね。きちんと4時間砂掻き、1時間休憩、4時間砂掻き、週1で休み、となってます
662:名無しの転生者
仮にもゲヘナの風紀委員をヘルメット団と同列に置くのは如何なものだろうか……
663:G級ハンター
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(ホムラの頭より大きなコンクリ塊をスナックのように握り潰すホムラ)
664:名無しの転生者
ごめんなさい
665:G級ハンター
よろしい
しでかした事の大きさからして罰さねばしめしがつきません。奉仕作業で許しているだけかなりの恩情ですよ*1
666:にゃんこ大線路
ともあれあれから少し経ちましたけど、ヒナさんってちゃんと休めてるんでしょうか?
ゲヘナに行くとだいたい風紀委員本部にいる気がするんですけど
667:写輪眼
あー、まあ職業病みたいなもんだからな……ま、1日1回は顔出してるだけでちゃんと休んではいるぞ
最近は学食に顔出すことも多くなったからな。弁当組ではあるが、学食に顔出す暇もねえってこともあったようだし
結構フウカとも仲いいんだよな
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(学食でウリエと並んで弁当を食べているヒナ。背景には縛り上げられて頭に同じサイズのたんこぶをこさえた4人の少女がよだれを垂らしている)
668:名無しの転生者
小さなお口でお弁当食べてるヒナちゃんかわいいね……でも真横でどんぶり飯をカッ込んでる写輪眼ネキで笑うんよ
ビジュアルがミカ同様のお姫様系美少女なのに所作が完全にお姫様じゃなくて親分の風格*2
669:写輪眼
はっ倒すぞテメエ
670:囚人キング
所で後ろの女の子たちにはツッコんだ方が良いやつかなこれ?
白髪のスレンダー美少女、金髪巨乳、赤髪の悪魔っ子にむちむち悪魔っ子……美食研究会か、ちょっと青タンとかできてるし顔腫れてるけど
671:名無しの転生者
……写輪眼ネキ、やったな?
672:写輪眼
そりゃな。懲りずにフウカ攫いにきたから叩きのめして縛り上げた。黒舘と鰐淵はこの後シャーレの特別拘禁房に叩きこんだぞ
673:名無しの転生者
なにそれ!?
674:名無しの転生者
そんな施設あるの初めて聞いたけど!?
675:オール・フォー・オール
それについては私が説明しましょう。シャーレ特別拘禁房、それはシャーレに設置された牢屋の事ですね
立地的にはシャーレオフィスのある区画に設置されています。ま、私か写輪眼さんの能力*3でもないと入れませんけどね?
部屋の構造上私の「転送」か写輪眼さんの神威テレポートでもないと入れないので。ドアがありませんから
なお周囲はショベリウスのものと同じ素材で厚さ500ミリの特殊装甲板で覆ってありますのでそれこそ学園最強クラスの襲撃でもないと破壊は不可能です*4
まあ通気口ぐらいは空いてますけど……通るためにはミミズかスライムにならないと構造上不可能ですね
676:名無しの転生者
うわぁ
677:実力派センセイ
ここまでするのはどうかなぁ、と思ったんだけど……まあ正直、ハルナちゃんとかアカリちゃんの言動は腹に据えかねたからね
自分が美味しいものを食べられれば良い、その為ならばあらゆる行為が正当化される、そんなわけはないんだ
それを調理させるためだけにフウカちゃんを無理やり誘拐していくなんて言語道断だし、そもそも店の態度が悪いから爆破して良いなんて法はない
フウカちゃん自身ちゃんと言ってくれれば時間があればついていくぐらいはしたそうだし、他人の迷惑考えてない時点でアウトだよね
それに給食部の車とかを窃盗することも日常茶飯事なんだって?
678:名無しの転生者
まあ、この先生ならそう言うだろうなあ
原作先生は滅多な事じゃ生徒の行いを否定しないから、やべー奴らは基本野放しで止めようともせんし
正月アカリのEXで召喚される車だってあれ給食部の備品=美食が盗んだ車だしな
ちなみにそれについて何らかの形で補填をした描写はないはずだ
679:名無しの転生者
しかし大丈夫か? 写輪眼ネキ美食にはかなり頭に来てるから、絶食とかさせかねねえぞ?
680:写輪眼
俺を何だと思ってんだおめーらは。ちゃんと飯は出してるぞ。クソ緑がその辺はちゃんとやってる
1食につきコンビニ握り飯2個、たくあん4切、足りない栄養素もタブレットでしっかり補給できる。肉体の健康上の問題はないとクソ緑*5の太鼓判付きだ
希望があればメニューは固定だがおかわりもあるからな
681:名無しの転生者
わあ、普通に捕虜虐待では? でもおかわりはあるんだな、おにぎり?
682:写輪眼
おう、握り飯(クソ緑作)だぞ。希望すれば幾らでも作ってもらえる。大食いの鰐淵も安心だな
683:名無しの転生者
……ねえ、AFAネキって料理しちゃいけないんじゃなかったっけ?
ジュリちゃんから抜いた神秘持ってるよね確か
684:オール・フォー・オール
ええ、パンちゃん(おにぎりのすがた)になりますね。原料も製法もただの塩むすびなんですが
[動画]
(タコのような足が数本突き出たゲーミング発光するおにぎり)
[動画]
(拒否するハルナの口をこじ開けて口の中に侵入していくパンちゃん(おにぎりのすがた))
685:名無しの転生者
バイオハザード起きてんじゃねーか!?
686:名無しの転生者
ちなみに食べるとどうなるんです?
687:オール・フォー・オール
こうなります
[動画]
(ゲーミング発光しながらエレ〇トリカル〇レードの曲が流れるハルナとアカリ)
ハルナ「何ですの!? 何ですのこの曲!?」
アカリ「口からなんか妙な音楽が流れて来てますねぇ」
688:名無しの転生者
草
689:名無しの転生者
お腹は壊さないのね、面白いからいいけど
690:オール・フォー・オール
壊しますが? なおこれ以来お代わりの要求はなくなりましたね、残念。もう少し臨床実験ができると思ってたんですが
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(腹を抑えて青い顔になるハルナとアカリ)*6
691:名無しの転生者
うーん流れるような捕虜虐待。欠片も同情心が湧いてこないのが笑えるな
ところで、美食がこれって事は……温泉もこうなる、と?
692:実力派センセイ
捕縛した時の反応によっては……何人ぶち込むことになるのかなあ
693:名無しの転生者
100人以上いるもんな温泉……
694:写輪眼
ま、ヒナが出ればちいかわになるあたり物分かりは良いからな鬼怒川は*7
ライダーあたりにボコされれば大人しくなるんじゃねえか?
695:オール・フォー・オール
あの謎ドリル*8もちょっと気になりますし捕まえたら呼んでくださいね
没収した後はまあカイザーへの嫌がらせにでも使いますかね、呵責なく使い潰せるっていいですよね
696:名無しの転生者
こわ……
697:実力派センセイ
あ、そうだ。なんかヒナちゃんとお出かけすることになったんだけどどういうとこに行ったらいいかな?
休みが増えたのは良いけど休み方が分かんないみたいで……私も最近の女の子の遊び方とか知らないし
高校生だったのなんて20年以上前の話だし*9
698:にゃんこ大線路
お出かけ……ですか? うーん……私もその辺はよくわかんないですね……
私は機械いじりとか見るのが好きだからどっちかっていうと男の子的な趣味ですし……
699:名無しの転生者
先生は子供の頃何してたのさ?
少なくともワートリ世界だった前世は42歳までは生きてたわけだろ?
700:実力派センセイ
野山を走り回ったりしてたなあ、そもそも中卒だし……家が山の中だったからね。たまに山降りて参考書買って勉強したりはしてたけど
前前世の事ならまーいじめからの引きこもりでそのままストーンと死んだ感じだったからね、あんまりいい思い出ないや
701:名無しの転生者
おおう……ごめんよ……
しかし前世でも緑川とか黒江ちゃんみたいな感じだったのね
それで旧ボーダーでトリガー開発とかやれるぐらいの頭があるって事は、かなり勉強したって事だよな、自力で
702:名無しの転生者
人に歴史ありだなあ
そんでデート(仮)のコースか、写輪眼ネキなんか参考になりそうな情報ない? 学年同じだしそれなりの交友もあんだろ
それでなくとも唯一彼女持ちだし、両手に華で
703:写輪眼
何で俺に聞くんだよ? まあ、ヒナの事だし協力はするがよ……
ゲーセンとか良いんじゃねえか、あいつやる暇なくて積んでるだけでゲームとかよくやるらしいしな
あとはまあ街中ぶらぶらしたり……フウカとかジュリの場合は料理研究付き合ったり菜園手伝ったりしてたが、これは参考にならねえな
あとはあれだ、柴関に顔出しても良いんじゃねえ? 前にアビドス行ったときに柴大将がヒナの事気にしてたぞ、アコとかイオリが砂掻きしてるし
704:にゃんこ大線路
基本的には街中をぶらぶらするぐらいで良いんじゃないですかね、私が先生とよくやってるような感じで
ヒナさんそういう経験あんまりないでしょうし、ヒナさんと先生がいれば何かあってもよっぽどのことがない限り問題ないでしょう
705:実力派センセイ
そっかぁ。まあそんな感じで色々やってみるね
キヴォトスのゲーセンとか色々進んだゲームとかありそうで楽しみだなあ*10
706:囚人キング
先生も最近忙しかったし、たまにはこういうのも必要だと思うよ?
ま、何かあったらボクらに任せてよ、そう言う時のための僕らだろ? *11
707:墓守の狩人
そうね。この後ビナー討伐戦とかあるわけだし、その前に一息入れるのは良いんじゃないかしら?
708:実力派センセイ
うん、それじゃあお願いするね、ありがとう
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758:実力派センセイ
いえーい
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(先生とヒナのツーショット写真、双方モモフレンズのものらしき波打った猫と髑髏面の小悪魔のようなぬいぐるみを手に持っている)
「――――――おや、先生とヒナさんはデートですか。まあゲーセンあたりなら
脳内掲示板に表示された一枚の写真を個性「電波」で飛ばし物理的なストレージに保存しながら、*12ソニドリは人気のない廊下を歩く。
アビドス学区内、ハチドリグループ第八研究所。アビドス砂漠にソニドリが所有する土地に存在する、ハチドリグループの研究所である。
なお、ソニドリの有する知識や技術力、ソニドリの持つ転生特典「オール・フォー・ワン」の内包する無数の個性を持ってほぼ完全な自動化がなされており、*13
人員は外部・地上部分の警備に駐在する旧アリウス生徒会のメンバー(現アビドス生)ぐらいであり、実質ソニドリ1人の所有物である。
そして、廊下を行くソニドリの足が『応接室』と書かれた扉の前で止まる。基本他人を入れない研究所でも、極稀に来客がある。今日はその極稀な来客が着ているのだ。
扉を警護する、オートマタに偽装した『用務員タイプ』*14の脳無に片手をあげて扉を開けさせ、入室する。
「お待たせしました、で、ご用向きは?」
欠片も謝意などないであろうぞんざいな口調で言うソニドリ。その顔もまたいつもの狂気を孕んだ笑顔ですらなく、
心底どうでもいいようなものを見る、視界にとらえ存在を認知している程度の興味が欠片も見えない、あからさまに嫌そうな顔であった。
「クックック……相変わらずですね、王釣ソニドリ。生徒にして、生徒にあらず。我々に近くも遠い、異邦人にして邦人よ」
「あ、そういうのいいんで。わざわざ出向いたって事は、教える気になったんです?
応接室に置かれていたのはテーブルを挟んでソファが一対。ソニドリが座った対面のソファに座っていたのは、異様な人物だった。
生徒ではない。とはいえキヴォトスの一般人の大半を占める獣人タイプや、ロボットタイプでもない、スーツを着た闇、とでもいうようなヒトガタ。
その顔の右目にあたる部分には白く発光する部位、そして全身に広がる亀裂。黒服。そうホシノに呼ばれていた男が、今ソニドリの対面に座っていた。
「ええ、一応そのつもりですよ。ですが、ただで教えるわけには行きません。私にメリットがありませんのでね。なので、いくつかの条件を飲んでいただければ、あなたの要求通りお教えしましょう」
「あなたのゴミみたいな実験に付き合えってんじゃなければ、聞ける限りの事は聞きますよ。あなただってまた天井にめり込みたくはないでしょう?」
「……彼女はなぜ話を聞く気もなく暴力を振るったのでしょうね?」*15
黒服の言う『彼女』。名前こそ出さなかったが、ホムラの事だろう。少し前にホムラが「アビドスへの手出しをやめさせるために話した(拳で)」と掲示板で言っていた。
それが黒服には不思議でならないのだろう。明らかに論理的ではない、ソニドリも現場に居合わせたわけではないが、対話に応じる姿勢すら見せずに初手からアッパーカット一閃だったことは想像に難くない。
「聞く価値もないゴミ相手だったからじゃないですか、そういう人ですよ、会長。大体あなた前置きが長いんですよ、私も貴方の朗読会に付き合いに来たわけじゃないんで、蜂の巣にならないうちに条件とやらをどうぞ」
「あなたも大概だと思いますが……」
そう言いながら黒服が差し出してきた紙には細々とした文言が書かれていたが、要約すれば、条件は3つ。
・先生とコンタクトが取りたいので繋ぎを取って欲しい。
・ソニドリとゲマトリアの協力関係の締結。
・カイザーグループへの攻撃の停止。
「…………」
ソニドリは内容に軽く目を通すと、紙をつまみ上げ、ふう、と息を吹きかける。するとその
「交渉は決裂、ということでしょうか?」
「あなた相手に契約するような馬鹿じゃないってだけですよ。だから口約束だけです。
先生への紹介状ぐらいは書きましょう。そこから先のアポイントメントとかは自分でやってください。
あなた達との協力関係は……まあいいでしょう。マエストロさんでしたか? そちらの
ですが最後の1つ……カイザーへの攻撃の停止、それだけはできませんね。あれらの存在を許容するわけにはいきません」
「それは、何故?」
「あれはアビドスにとって百害あって一利もないからですよ。だから殲滅します。まさか妨害はしませんよね?」
黒服の全身を締め付けられるような殺気が襲い、その殺気に呼応するように周囲の
そんな一手間違えれば黒服と言えど死が見える環境でも、黒服に怯えの色は見えなかった。
「……論理的ではありませんね。ですが、だからこそ興味も沸きます。知恵持つトート、その神秘を宿すあなたがそこまで感情的になる相手。
死せるオシリス・梔子ユメ。彼女が失われたことは、大いなる損失だったでしょうか」
「私にとっては、本当に連邦生徒会長よりも得難い人でしたよ。だからこそ、私はあの人の愛したアビドスを守ります。アビドスを害するものを滅ぼします。
……話し過ぎましたね、で、三番目、どうします? 別に、貴方にとってカイザーグループなんてどうでもいいでしょう?」
ばさり。羽音と共にソニドリの背から翠色の羽が伸び、舞った羽根を一枚手に取ると、ぴたりと黒服の喉元に突き付ける。
黒服はそれが何であるのかを知っている。ソニドリが有する能力、その1つ。彼女が好んで使う『翼を生やし、その羽根を自在に操る能力』。*16
銃弾にも匹敵する速度で、鉄をも切り裂く羽根を操る能力、その羽根が突き付けられている。彼女はともすれば今ここで自分を殺すことを厭わないだろう。
彼女を始めとする、先生を除くシャーレの中核メンバー、彼女たちはキヴォトスに産まれながらも、完全にはキヴォトスの法則には縛られていない。
特にこの王釣ソニドリという生徒は、他者の殺傷が何よりの禁忌とされるこのキヴォトスにおいて、必要であればそれを躊躇わないであろう凄みを感じる。
黒服は、カイザーグループ、正確に言えばアビドスに駐留するカイザーPMCの協力者である。だが、それは黒服自身の目的ありきのもの。
その目的とは、小鳥遊ホシノの身柄。厳密に言えば、強大な神秘を宿す生徒の身柄を確保し、検体として使う事だ。
だが、それも事実上不可能に近い。ホシノでなくとも、死の神アヌビス、砂狼シロコ、あるいは生徒会長、乃木平ホムラ。彼女たちでもよかった。
しかし少し前に乃木平ホムラ本人に殴り込みを受け、ホシノやアビドスそのものへの手出しをやめるように約束させられた。
元より借金でアビドスを縛っておけなくなった以上、これ以上カイザーに肩入れするのも無駄であろう。そう判断すると、黒服はいつもの調子の含み笑いで答えた。
「――――――分かりました。先生への紹介状を書いていただき、一時的にせよ協力して頂ける。これで上首尾としておきましょう」
「最初からそう言ってればいいんですよ。あなたからすると私達は利用するだけの存在かも知れませんが……私からすれば、辛うじて存在価値がある程度の下水道のネズミですからね」
「クックック……それではあなたは、下水道のネズミに協力を請うていることになりますが?」
「
「なるほど、道理ですね」
三度ククク、と嗤う黒服。ソニドリが首に突き付けた羽根を外せば、同様に周囲のレーザーポインターも黒服から外れる。
「用件も済みましたし、そろそろお暇致しましょうか。……ああ、そう言えば、いつ頃
「今は忙しいんでこの一件が終わったらですかね。一応先生には話通しておくんで、後は先生と日程調整してください」
「了解しました。マエストロにも声をかけておきます、では、これにて」
脳無に先導され、応接室を後にする黒服。保有する個性の1つ「サーチ」で黒服が敷地外に出たことを確認すると、ソニドリは「転送」を発動し、いずこかへと姿を消した。
数瞬後、ソニドリは別の場所へと転移していた。場所は同じく第八研究所。しかし、その最深部、地下深くに設けられた部外秘の研究施設、その一室。
広々とした部屋の中央にはベッド、そしてそれを囲む様々な医療機器と思しき機械。そして、ベッドに寝かされ、機械に繋がれた、緑のロングヘアをした、一人の少女。
酸素マスクや心電図などのコードが繋がれていることを除けば、ただ眠っているようにしか見えない。
ソニドリはその傍らに来ると、顔を覗き込む。呼吸はしている。心臓の鼓動もある。しかし、意識だけが目覚めない。植物状態と呼ばれる状態であった。
ソニドリの表情が歪む。平時の笑顔でもなく、ホシノに「怒っている」とされる真顔でもなく、ごく普通の少女が悲しんでいるような、そんな顔をしていた。
「あれから二年。脳死ではなく植物状態である以上覚醒する可能性はある、はずなんですけどねえ。何で起きてくれないんです、ユメ先輩?」
ユメ先輩。そう、ここで眠っている少女は、ソニドリがこのキヴォトスで唯一心の底から敬愛する存在。先代アビドス高校生徒会長、梔子ユメであった。
ソニドリの知るユメの死についての情報は「二年前、コンパスを忘れて砂漠に出た結果戻れなくなり、脱水症状からの衰弱で死亡した、とホシノが推測した」事。
そして「失踪してから33日後にホシノがその遺体を発見し、生徒手帳を除く全てを回収した」とされている。
だからこそ、ソニドリは二年前、あらゆる手を尽くしてその動向を追っていた。そして、個性「サーチ」でマーキングしていたユメの反応を追い、救出することに成功した。
そして最寄りの研究所の最奥に設けたこの部屋で治療を施したが、救出した時点で衰弱し意識もなく、以来二年間、この部屋で眠り続けている。
この事を知るのはソニドリただ一人。一年間ソニドリの下で出稼ぎをしていたホムラすらこの事は知らず、当然、ホシノもまた知らない。
失踪した、しかし生きてはいないかもしれない。ホムラから来た話では、ホシノとしてはそう言う認識のようだ。
「……これがバレたら殺されますよねえ、真面目に。キレたホムラ会長とホシノ先輩相手は……まあ、ちょっとキツいですかね」
ホシノがこの事を知れば、きっと激怒するだろう。何故ユメが生きていたことを教えなかったのかと、そう言うだろう。ホムラもまた、親友の生存を知らせなかったことを怒るだろう。
「でもねえ、ユメ先輩。あの人たちはずっと先輩の側に居られたじゃないですか。あなたと一緒に、アビドスのためにあれこれやっていたじゃないですか。
……私だって、先輩と一緒に馬鹿やって居たかったんですよ? 先輩に勧められて、自分でも利があると思ったからミレニアムに進学しましたが……本当は、あのままアビドスに進学したかった。先輩はもう卒業していたかもしれませんが……」
ソニドリが、ユメの生存を告げずにいた理由。それはホシノへの不信がまず先に立っているが、その根幹はホシノとホムラへの嫉妬、そしてユメへの独占欲。自他ともに認める狂人であるソニドリの、珍しく真っ当な感情の発露であった。
そして、そこで言葉を切ると、ソニドリはベッドの傍らの椅子に座り、目を閉じる。
「……この一件が片付いたら、話すことにします。大人しく殴られてやる気はさらさらないですけどね」
少しして、穏やかな寝息が聞こえてくる。アビドスにおいてのシャーレの活動の総決算とも言える、ビナー討伐戦。そこに至る数日間は、比較的穏やかに過ぎていったのだという。
そんなわけで18話でした。先生とヒナちゃんのデート風景と見せかけて世にも珍しいクソ緑が普通に感情を発露する話。
そろそろ何かしらの理由つけてブラックマーケットいかないとファウストさんと遭遇出来ねえという事実に震えております。便利屋ビルに遊びに行かなきゃ……
■解説
・先生
実は幼少期~学生時代は野生児だった奴。そのくせトリガー研究者やれるぐらいに頭が良いというバグ。
ヒナちゃんとデートというか年の離れた友達みたいな感じでめいっぱい楽しんだそうです
・クソ緑
ユメ先輩の厄介ファン。所以先輩関連になると人並みに感情を表す。誰もいないとこで。
先輩の生存を伏せてたのは嫉妬や独占欲もあるけど、実際の所『ユメ先輩は私が治すんだ』という医者のプライドとかも全体の半分ぐらいはある。
・黒服
いろいろ企んでる。でもホムラの事はちょっと怖い。(会話にならないんので)
ソニドリからも別に信用されてないしなんなら用済みになったら始末しますかねえ、とか思われている。