ブルアカ転生掲示板   作:タマヤ与太郎

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そんなわけで25話、アビドス編エピローグです。
何とか今年中にはお届け出来ました……


25:その後のやつら・アビドス編

【クソ緑】青く透き通るGTA世界に祝福を・20【打ち上げ完了】

 

 

168:墓守の狩人

 

[動画]

(砂を蹴立てて全力疾走するホムラと全力で逃げるソニドリ、あっという間にカメラで追えない速度で地平の彼方に消える)

 

[動画]

(マウントポジションでホムラに殴打されるソニドリ、傍らではホシノがショットガンを構え時折発砲している。その傍らではウリエが先生に正座させられてお説教されている)

 

[動画]

(ホムラとホシノにクロスボンバーされているソニドリ)

 

[画像]

(アビドス高校と思しき場所の屋上から逆さ釣りにされているボコボコのソニドリ)

 

 

169:名無しの転生者

 

怖ぇよ! 無言で投稿してくるんじゃないよ!? 気持ちはわかるけど!

 

 

170:名無しの転生者

 

えーと……状況を整理しよう。まずはビナー討伐おめでとう。カイザーも滅んで万々歳……なんだけど、最後のあれだよな*1、AFAネキがボコボコにされてる理由

 

 

171:G級ライダー

 

ええ、ソニドリがよりにもよってユメの生存を隠しておりましたのでね……このあとカイザーが残した設備から発掘した自走臼砲にソニドリを詰めて打ち上げました

 

 

172:オール・フォー・オール

 

いやあ死ぬかと思いましたよね。というか私じゃなきゃ10回ぐらい死んでましたよアレ*2

 

 

173:名無しの転生者

 

というか写輪眼ネキが先生に正座させられてんのは何? デススティンガーの件?

 

 

174:実力派センセイ

 

そうだね……まあ軽いお説教だけで済ませたけど、よりにもよってデススティンガーとか作っちゃだめなやつでしょ!?

何のために作ったのあれ、AFAちゃんもあんなもの作るならまず一報!

 

 

175:写輪眼

 

いやまあクソ緑には話すと絶対止められるからって口止めされてたんだけどよ……一応最終編とか総力戦案件やデカグラマトン対策ではあんだよな

 

 

176:名無しの転生者

 

あー、総力戦案件かぁ……まあ、ペロロジラとかいるもんなぁ。他のデカグラマトン系も総じてでかいし

 

 

177:名無しの転生者

 

最終編もなぁ……いや報告ぐらいしろよってのはそうだが、なら仕方ねえのか……?

 

 

178:にゃんこ大線路

 

あの、デカグラマトンってあのビナーって奴だけじゃないんです? あと総力戦って……あのクラスの敵が出てくる案件が他にも?

 

 

179:名無しの転生者

 

実はそうなんだよね。まあ総力戦ってのはブルアカのコンテンツの1つなんだけど、ブルアカの1PTがストライカー4人にスペシャル2人って話は前にしたじゃん?

そのPT複数総がかりでぶん殴る大規模ボスって感じのコンテンツなのよ。ああいうビナーみたいなのがまだまだたくさんいる

そもそもビナーってのはカバラ思想の世界創世の象徴、セフィロトの1つでね、10あるセフィラの三番目がビナーなんだ

だから、それをモチーフにしたこの『ビナー』を除いても、少なくともそいつらが後9体居ると目されてるんだ

というか厳密にはビナーは『デカグラマトン』ではなく、それに感化されたAI『預言者』の1体なんだ

 

 

180:実力派センセイ

 

あー、なんか前に聞いたような。全員出揃ってるわけじゃないんだよね確か?

 

 

181:名無しの転生者

 

せやね。仔細は省くけど、「ビナー」を除いて俺の知る限り第一「ケテル」、第二「コクマー」、第四「ケセド」、第五「ゲブラ」、第八「ホド」が登場してる

第六「ティファレト」、第七「ネツァク」第九「イェソド」は言及すらされてないので不明、イベントストーリーで第10「マルクト」の存在が示唆されてるぐらいかな

あとはデカグラマトン関係ない総力戦ボスでデケーのが何体かいるから、そう言う奴用ってことなんじゃねえかな……

最終編でも超バリアで囲まれた敵要塞とかあるんだよね

 

 

182:G級ライダー

 

……なるほど、とりあえずその件については良しとしましょう、今の本題はユメの事です。ソニドリ、申し開きはありますか

 

 

183:オール・フォー・オール

 

一応。ホムラ会長という異物がいるとは言え、あのホシノ先輩になってもらわないと下手すると今の対策委員会が揃わず、未来が変わっていた可能性がある事です

前にも話しましたけど、このブルアカの世界って結構微妙なバランスで成り立ってるんですよね。それを不用意に崩したくなかったんですよ

ホシノ先輩には多少悪い事したなあと思わんでもはないですが、私は正直ホシノ先輩はどうでもいいので。あとはですね……ホシノ先輩とホムラ会長への意趣返しですかね

 

 

184:G級ライダー

 

意趣返し、とは?

 

 

185:オール・フォー・オール

 

私がミレニアムに進学したのはユメ先輩の勧めです。実際水は合ってたしおかげで今につながるんで必要な事ではあったんですが

……それはそれとして、私はユメ先輩が大好きです。出来ればアビドスに進学してユメ先輩につきっきりで守ってあげたかったぐらいです

ホムラ先輩も、ホシノ先輩も、ずっとユメ先輩の側にいられたじゃないですか。一緒に馬鹿やって楽しんでいられたじゃないですか

ずるいですよ、私がミレニアムで必死に今につながる下地を作ってる時に、2人だけでユメ先輩を独占して! 私だってユメ先輩に甘えたかったですよ!

ユメ先輩にもっと沢山褒めてほしかった、一緒に馬鹿やって、ひんひん言ってる先輩を慰めたりからかったりしたかった!

私が砂漠で昏倒している先輩を助けた時、本当にギリギリでした。ずっとそばにいた癖に何やってたんですかあなた達は! あと数分遅れていたら私でも助けられなかったんですよ!?

あなた達はずっとそばにいた癖にユメ先輩を守れなかったんですから、ちょっとぐらい私にユメ先輩を独占させてくださいよ!

私の世界に色をつけてくれて、私を『人間』にして救ってくれた大好きな先輩を、今度は私が救いたかったんですよ!

本当ならフミさんに声をかければすぐに目覚めていた可能性もありました。でも、私は自分の力だけで先輩を助けたかったんですよ!

それの何が悪いって言うんですか! それが悪いって言うなら……私に頼らなきゃアビドスを救えもしなかったあんたたちは何なんですか!

 

 

186:名無しの転生者

 

お、おう

 

 

187:名無しの転生者

 

そうか、普段から狂ってるような言動で分かんなかったけど、こいつもホシノ以上にカリッカリにユメ先輩に脳味噌焼かれてたんだな……*3

 

 

188:名無しの転生者

 

湿度高ぇ……

いやでも、何でもできて世界に退屈してたところにユメパイの光を浴びたらそりゃ脳味噌焼かれるわな

前にも「わけわからな過ぎて面白くなってきた」とか言ってたし。何でもできて、何でもわかるAFAネキが理解できない存在、クソガキだった自分を受け入れてくれた存在って事だもんな

 

 

189:G級ライダー

 

……返す言葉もありませんね。確かにあなたが助けねばユメは本当に死んでいたのでしょう

実際借金とてソニドリが肩代わりしてくれなければ元本を減らすこともできなかった訳ですからね

頭を下げたとて許される事ではないのでしょうが、申し訳ありません、ソニドリ。徹頭徹尾あなたの言う通りです

 

 

190:オール・フォー・オール

 

分かればいいんですよ! あースッキリした! じゃあアビドスの近況いきましょうか!

 

 

191:名無しの転生者

 

うわぁ! 急に落ち着くな! 温度差で風邪ひくわ!

 

 

192:墓守の狩人

 

いやまあ、いいけれど。あの後結局カイザーは壊滅したのよね?

 

 

193:囚人キング

 

そうだね。ヴァルキューレによってプレジデントを始めとする幹部連中は全員捕縛、諸々の余罪とついでにAFAちゃんがおっかぶせた罪で無事収監

インフラとかマヒしかけたけどハチドリグループがカイザーの代わりに台頭して余はなべて事も無し、って感じかな

犯罪に関わってない真っ当な奴らはハチドリで引き取って乗っ取って名前変えたカイザーの会社で働いてもらってんだったかな?

 

 

194:実力派センセイ

 

その辺り本当にAFAちゃん用意周到だよね……まあ、カイザー周りはそんな感じかな。ライダーちゃん、アビドスはどう?

 

 

195:G級ライダー

 

ええ、あの後カイザー管理地域の地権をもぎとったソニドリから土地の管理を委託されまして、アビドスの土地は無事アビドス高校管理下になりました

ソニドリにより砂漠化の対策や復興事業なども急ピッチで進んでおりますので、本当にソニドリには足を向けて寝られませんね

 

 

196:名無しの転生者

 

おお、そいつは良かった。前々から人も少しは戻って来てるって言ってたもんな、復興すると良いねえ

 

 

197:G級ライダー

 

あと、めでたい話が一つ。ソニドリが前々から探していた水脈により、枯れたはずのオアシスに水が復活したんですよ

どうも元々あった水脈よりもっともっと深い所に水脈が残っていたそうで、以前の調査ではそこまでたどり着かなかったようです

まだハチドリにより保護されて徐々にオアシスを蘇らせている段階ですが、数年内にはアビドス砂祭りを復活させられるかもしれない、とのことです

 

 

198:名無しの転生者

 

マジで!? 水出たんだ! 良かったなあほんと!

 

 

199:オール・フォー・オール

 

私がオーガのグランブル*4作ったの、何より水脈探査の為ですからね。いやー良かった水出て!

あんまりにも見つからないので水源でっちあげて偽オアシス作ろうかと思ってたぐらいですよ!

 

 

200:写輪眼

 

ほんと、良かったよなあ。まあ俺はあの後先生に説教されてフウカに説教されたが

そういや、ハイランダーがネフティスと提携して路線修復するって話、聞いてるか?

 

 

201:にゃんこ大線路

 

あ、それ聞いたかもしれないです。ノゾミちゃんとヒカリちゃん*5がこの間モモトークで言ってましたね

 

 

202:G級ライダー

 

ええ、その話はノノミから聞いております。まあその辺りはソニドリに任せておりますので、良いようにしてもらえるでしょう

 

 

203:名無しの転生者

 

一応三章みたいなイベントは起こるのな。まあAFAネキの仕切りなら連中に好き放題はさせんだろ

 

 

204:名無しの転生者

 

せやね。あ、そうだ。ユメパイって今どうしてる? 2年昏睡してたんだから浦島太郎状態だよな

 

 

205:オール・フォー・オール

 

こんな感じですが

 

[画像]

(「庶務」という名札を付けて涙目になっているユメ)

 

[動画]

(右の乳をホムラに叩かれ、左の乳をホシノに叩かれ、正面からソニドリに胸を鷲掴みにされ悲鳴を上げるユメ)

 

[動画]

(ホムラによって首が真後ろを向かされるソニドリを見て悲鳴を上げるユメ)

 

[動画]

(ホムラとフミに「ようこそ留年生」というのぼりで出迎えられて「ひぃん」と鳴くユメ)*6

 

 

206:名無しの転生者

 

どういう状況だよこれ!?

 

 

207:名無しの転生者

 

何となくは分かるが……2つ目3つ目の動画は「心配させやがって!」的にぺちぺちやられてたらAFAネキがガチで揉んでお仕置きされた図だろうが

庶務ってのは……ああそうか、今のアビドス生徒会長はライダーネキだもんな、一応生徒会としての役職を与えたのか

留年生ってのはまあ、二年寝てたらそうもなるわなw ライダーネキとタメらしいし

 

 

208:G級ライダー

 

そうなりますね。生徒会長権限で廃校対策委員会のメンバーにも生徒会としての役職を与えました

それぞれスライドしてセリカさんとアヤネさんは会計と書記、一般委員だったノノミはセリカさんの補佐として会計を、シロコさんには生徒会の行動班長を新設してスライドしてもらいました

ユメは今まで寝てたぶんこき使うために庶務です。一応立ち位置としてはアヤネさんの下に着いて手伝ったり、校舎の清掃や保守点検をメインとして活動してもらう事になります*7

罰当番のようなものですね。二年寝ていたとはいえ体はソニドリが完璧にケアしていたようなので、遠慮なくこき使えるのは良い事です

 

 

209:名無しの転生者

 

あ、本格的に生徒会としても入れたのね

原作でもホシノ退学未遂からの生徒会メンバー居なくなったからカイザー攻めてきたりもしたし、いい手かもしれんね

次期生徒会長とかは決めてんの?

 

 

210:G級ライダー

 

そうですね、アヤネさんなど責任感もあり良いのではないでしょうか? まあ未来の話ですし、まだわかりませんがね

ともあれ借金もなくなり、ユメも戻り、会長を降りるつもりはまだありませんがようやく肩肘張らずに色々出来そうですね。学校の実質的な運営はホシノ達に任せておりますし

以前トリニティに行った折に新たに友人も出来ましたし、その方々とお菓子を食べに行くのも良いでしょうか

 

 

211:名無しの転生者

 

あ、友達他にもいるんだ? そう言えば大分前に狩人ネキとトリニティのお菓子屋さん見に行ったよな。お菓子って事はスイーツ部とか?

 

 

212:墓守の狩人

 

ええ、放課後スイーツ部だったかしら? あそこのカズサとはあの子がお転婆してた頃からの知り合いなのよ

ライダーさんも基本的には物腰柔らかで穏やかな人だから結構馴染んでたわよ。アイリともモモトーク交換してたわよね?

 

 

213:G級ライダー

 

そうですね、アイリさんとはあの後もちょくちょくお話させてもらっております

若い方とおしゃべりするのは楽しいですね、元気を貰えるようで。この間彼女たちのおすすめで買ったお菓子はホシノ達にも好評でしたし、いずれお礼をせねばならないでしょうね

 

 

214:名無しの転生者

 

ライダーネキはほんと色々頑張ってたみたいだもんな。暫くはアビドス関連のごたごたもないだろうしゆっくり羽延ばしてな

 

 

215:名無しの転生者

 

所でさ、中学時代のカズサを知ってるって事は……その……キャスパリーグとおやり合いになられた?

 

 

216:墓守の狩人

 

あの子も筋は良かったしシスターフッドに来ない? とか誘ってみたのだけどね。まあ今の方が性に合ってたという事かしら

……初見で突っかかって来た時仕込み杖二刀流で銃弾切り払って鳩尾に蹴り入れたのは流石にやり過ぎだったかしら

 

 

217:名無しの転生者

 

人の心とかないんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃん……」

 

「ひんひんないたところでしょるいはへりませんよゆめ。これでもたいはんあやねさんがかたづけてくれたのです。きりきりやりなさい」

 

「ホムラちゃんも手伝ってよぉ……」

 

「わたしはわたしのしごとはすでにおえております。このあとぱとろーるがありますのでせきをはなれますが、さぼってはいけませんよ」

 

「ひぃん……」

 

ある日のアビドス高校生徒会室。生徒会長のデスクに座りながらお茶をすするホムラと、まあまあ常識的に「多め」な量の書類と格闘しひんひん鳴いているユメ。

あの後、ソニドリをボコボコに叩きのめして臼砲で打ち上げてから、ユメはホムラとホシノからの質問攻めにあっていた。

今までどこにいたのか、何をしていたのか、元気でやっていたならなぜ戻ってこなかったのか。ひんひん泣きながら説明するユメと復活して補足してくるソニドリにより、シャーレ&ホムラとホシノもユメの実情を知る事となった。

二年前、コンパスを忘れ遭難し、ユメは気を失った。そしてソニドリに保護され、二年の間治療を受け、それでも目覚めなかったはずだったのだが……

 

「そういえばゆめ、あなたはにねんねておりましたが、なぜとつぜんめをさましたのです? あのときはたたかいのじごしょりもあったのできくひまもありませんでしたが」

 

「あれから二年経ってるんだよね……ホシノちゃんは髪伸びてたけど、ホムラちゃんもソニドリちゃんも見た目全然変わってないから実感わかないなぁ……

 ……で、何で目が醒めたのかだっけ。なんだったかなぁ……夢に、可愛い狐の女の子が出てきたんだよね。その子に『早く起きるべきだ、手遅れになる前に』って、え? どういう事? って聞き返そうと思ったら、ソニドリちゃんの研究所の地下で目が覚めたの。

 それで研究所の中をうろうろしてたらロボット見つけて、わーかっこいいー! これ動かせたら外出れるかな? ってガチャガチャやってたらソニドリちゃんが危ない! って表示が出たからあわてて出てきちゃったんだ」

 

「なるほど。しかし……きつねのおんなのこ、ですか?」

 

「うん。白い服を着た金髪で小柄な、お人形さんみたいに可愛い子だったな。名前も聞いたはずなんだけど、よく思い出せないや……」

 

「……そうですか。まあ、ぶじでいてくれてなによりですよ、わたしのいのちのおんじんがいなくなるのはつらいですからね」

 

そう言って、ホムラはひんひん泣きながら書類を片付けるユメを肴にお茶をすするのであった。

 

 

 

「ねえソニドリちゃん、そろそろ動いて良いかなぁ……」

 

「駄目ですよユメ先輩! 私は今回ものすっごく働きましたからね! アビドスの借金を返し、土地も取返し、カイザーを滅ぼし、影に日向にアビドスの皆を支援したりもしていました! だから私は今ぐらいユメ先輩を独占する権利があるんです! ユメ先輩を堪能するんです! 思うさま!」

 

書類を片付けたユメが対策委員会の部室へとやって来ると、そこにはソニドリがいた。にこやかに微笑みかけた直後ソニドリに手を引かれ、あれよあれよという間にソファに座らされ、膝枕をさせられ、ソニドリを甘やかす仕事につかされているのだった。

悪い気分ではないがそろそろ動こうとするとソニドリが駄々をこねるので中々動けず、部室にたまたま1人残っていたホシノに助け舟を求めるが……ホシノは沈痛な面持ちで首を横に振る。

 

「ホシノちゃ~ん、助けてほしいなぁ……」

 

「……そうしたいはやまやまだし羨まし……ゴホン、憎た……ゲフン。歯がゆいんですが、本当にソニドリちゃんは今回どころかここ数年ずっとアビドスをカイザーから取り返してアビドスを守るために尽力してきてるんで……止めがたいんですよねぇ。

 ソニドリちゃんは何も言ってないですけど、砂漠で昏倒してたユメ先輩を助け出して今まで保護してたのは本当にソニドリちゃんのファインプレーなんで。

 暫くソニドリちゃん係としてお世話してください、副会長命令です。……ユメ先輩がソニドリちゃん引き受けてるとアヤネちゃんやセリカちゃんに被害が行かないんですよね……」

 

「ひぃん……でもよかった、借金、なくなったんだね。……よく考えたら10億ぐらいあったと思うんだけど」

 

「そこは本当に……ホムラ先輩とソニドリちゃんが頑張ってくれたというか。ソニドリちゃん曰く『二桁億円ぐらいはした金』だそうですが」

 

「アビドス生徒会が何十年経っても返せない額のお金なんだけどなぁ!?」

 

思わずソニドリを見るも、満面の笑みのサムズアップを返され言葉に詰まるユメ。ユメが覚えている頃のソニドリは、もっと不愛想で、自分以外には懐かない子猫のような少女だったはずだ。

それが今やにこにこと笑みを絶やさず、(目がちょっと怖いが)朗らかな印象を受ける元気な娘へと変貌していた。

アビドスが抱えていた借金すら『はした金』と言ってのけ、ホムラやホシノから聞いたところによると、キヴォトスでも有数の大企業の総帥すらやっているのだという。

 

「そこはそれ、ハチドリグループの資金力をもってすれば兆や京行ってなきゃ何とでもなります!

 ユメ先輩がミレニアムへの進学を勧めてくれたおかげでもありますから、つまりアビドスを救ったのはユメ先輩の功績とも言えますね!

 まあ直接的には私がMVPなのでもっと甘やかしてください! なう!」

 

「すっかり立派になって……本当に浦島太郎だよね。まだ会ってないけど、生徒も50人ぐらい増えたんだよね?」

 

「そうですね! 彼女たちへの援助も私がしてましたけど、旧アリウス分校生徒会および直属部隊『プルガトリオ』メンバー全員が現在アビドス高校の生徒として在籍しています。

 普段は分校の校舎で過ごしてもらってますけど……いずれまとめ役のナダレさんとも会ってもらわないといけませんねぇ。

 ま、そう言う後の事はどうでもいいんで! さ、クッキーを『あーん♡』してください! 体は起こしますのでジュースも飲ませてくださいね!」

 

ユメの胸を額で押しのけながらも起き上がってユメ手ずから食べさせてもらう事を要求し始めたソニドリであったが、スマホが鳴るとあからさまに渋そうな顔で電話に出る。

 

「……はい私ですが? ああ、例の件ですか。良い所だったんですけどねえ……まあ、面倒ごとは先に片づけましょう。では、第八研究所で。すぐ行きますので」

 

「ソニドリちゃん、お仕事の電話?」

 

「ええまあ……そんなものですね。ユメ先輩、名残惜しいですが今日はこの辺で。ではでは!」

 

「ソニドリちゃんここ2階だよーっ!?」

 

言うが早いかソニドリは部室の窓から飛び出すと、宙に生み出した黒い液体に飛び込み、そのままどこかへと消えていく。

後に残されるのは呆気にとられたユメとホシノ。顔を見合わせ、互いに苦笑いをし……とりあえずそのまま今までの、そしてこれからのアビドスの話を始めた。二年という空白を、少しでも埋めるように。

 

 

 

「で、ここですか。例のドブネズミの住処は」

 

「ええ。ここが、かつて我々から追放され、そのまま埋もれた、封印されし元同胞……あなたの言う所のドブネズミ、『地下生活者』を閉じ込めた場所です」

 

あれから少しして。研究所で黒服と合流したソニドリは、そのまま黒服の案内において何処ともしれない地下牢へとやって来ていた。

薄汚れ、さび付いた扉を開ければ、がらんとした室内の中には人影が1つ。こちらに気付いた様子もなくぶつぶつと譫言を繰り返すその人物に、黒服は声をかけた。

 

「お久しぶりですね、『地下生活者』。私としてはあなたに興味はないのですが……こちらの方が、あなたにどうしても会いたいと」

 

その言葉に人影が振り返る。異様な風体の人物であった。ほさほさの髪を伸びるままにし、薄汚れたローブを纏い、その姿はまるで浮浪者。

また人型の闇、とでもいうべき黒服の『元同胞』であることを如実に表すのが、その黒く塗ったような顔面全体にある、瞳が時計の文字盤のようになったいくつもの目。

その目がソニドリと黒服を捉えると、何処に口があるのか、しわがれた声が発せられる。

 

「おや……珍しい来客だ……しかし、どうでもよいのです……小生には、構わないでください……

 理由が何であれ……興味はありません……ヒヒッ、ヒ……」

 

卑屈そうな声音で言う『地下生活者』。黒服はソニドリをちらりと見たが、瞬間、ぞわりと背筋を怖気が走った。

ソニドリの顔から表情というものが抜け落ち、代わりに嵐のように吹き荒れる殺気が放たれていたからだ。

 

「ヒィッ!? おやめください……どなたか知りませんが……ガァッ!?」

 

ソニドリが向けた片腕が、白衣の袖を引きちぎりながらも変異し、無数の骨の杭となって『地下生活者』を貫き壁に磔にする。

激痛に絶叫する彼を無視し、ソニドリは傍らの黒服に視線だけを向け、呟く。

 

「黒服、そう言えばあなた、ホシノ先輩を実験台にしようとしてましたよね。確か……ミメシスで観測した神秘の裏側がどうとか?」

 

「……ええ、それが、何か?」

 

「一応今はあなた達と提携してますからね。面白いものを見せましょう。ミメシス技術の提供の駄賃ぐらいにはなると思いますよ」

 

そう言うと、ソニドリは顔に手を当てる。同時に顔の書かれた緑色の本のようなソニドリのヘイローにノイズが走り……直後、そのヘイローが漆黒に染まり、刺々しく形状を変えた。

そのままソニドリが顔を撫でるように下に降ろせば、緑色の長髪や服装はそのままに、顔だけが漆黒に……否、星空のような『光点を有した闇』というべき質感へと変わる。

 

「おお、これは……!」

 

「多分、あなたがやろうとしていた実験の結果に近いものですよ。私という『生徒』(ソニドリ)のテクスチャの隙間から漏れ出る『内なる神性』(トート)被った(・・・)姿……

 私はこれを『擬似テラー化』と呼んでいます。最も、私以外に出来るとも思えませんがね。おっと、忘れてました。とっとと消しますか」

 

骨の槍の先端が漆黒の光、とでもいうべき光を放ち……それが収まった後、そこには壁に突き刺さった骨の槍、そして『地下生活者』のものと思しきローブの切れ端が残るのみであった。

ソニドリは先程とは逆に顎から額へ顔を被り直す(・・・・・・)ように撫でる。すると、ノイズと共にヘイローは元の形状に戻り、ソニドリに顔もまたいつもの白い肌に赤いぐるぐる目の顔へと戻る。

 

「……どうでしょう? お気に召してもらえたと思いますが」

 

「素晴らしい……! とても良いものを見せていただきました。よきに計らってくれるよう、マエストロにも伝えておきましょう」

 

「ああ、他の子で再現できると思わない方がいいですよ。多分これ、私にしかできないです。反転しかけた(・・・・・・)子なら割といるとは思いますが……

 私と同様の狂った精神性じゃないと制御できませんからね。ホシノ先輩で実験したとして……多分暴走してあなた達が殺されてからキヴォトスが滅びるだけですよ」

 

「なるほど、彼方よりの来訪者(・・・・・・・・)である貴女だからこそ、という事なのですね。ですが、良いものを見せていただきました。それでは、帰りましょうか」

 

そう言うと黒服は踵を返し、ソニドリもため息を一つつくとその後に続く。

こうして、アビドスを巡る一連の事件は終わり、また、いずれアビドスで起こるはずだった(・・・)事件もまた、誰も知らぬまま、未然に防がれるのであった。

 

*1
前回最後のサプライズユメセンパイ

*2
それを見越しての処刑である

*3
元々ユメ先輩からアビドスを頼むと言われたのがアビドスに関わる理由である

*4
漫画『ユンボル -JUMBOR-』に登場する自動重機をソニドリが再現したもの。グランブルは巨大な四足獣型で水脈探知用のセンサーと掘削用のドリルを持つ

*5
いわゆるシュポガキ。レイは双子が所属しているハイランダーの生徒会「CCC」から連邦生徒会に引き抜かれたので面識がある

*6
フミも一応留年生

*7
実質雑用係




そんなわけで25話です。これにてアビドス編完! 次回以降どこやるのかは考えてませんが、ちょこちょこイベント編を挟んでいきたいところです。
ともあれ、なんのかんのと連載開始から半年ちょっと? 割と見切り発車で始めましたが、どうにかアビドス編を今年中に終える事が出来ました。
とりあえず時系列シャッフルしつつ最終編あたりまでは突っ走るつもりなので、まだまだよろしくお願いできれば。
それでは、来年もよろしくお付き合い願えれば! 良いお年を!

■解説

・クソ緑
作者的にも認めるのは癪なんだけどアビドス編真のMVP。色々やらかしてはいるけどほんとこいつが居なかったら原作同様の延命治療にしかなってなかったと思う。
あと地下生活者を始末するのは作者的にもクソ緑的にも想定した流れです。
この後はちょくちょくアビドスに遊びに来てユメパイとセリカ・アヤネコンビにちょっかいかけたりする。

・学名アビドスユメパイセン
なんだかんだと生きてたパイセン。二年寝て起きてすぐ動けてたのはクソ緑が筋肉が衰えないように処置をしていたため。そのおかげで言われるまで今が二年後だって気づいてなかった。
パイセンの夢に出たセクシーフォックスはいったい誰なんでしょうね。

・擬似テラー化
個人的な解釈として、「テラー化には色彩は完全に無関係とは言わないけど、テラー化自体は色彩とは関係ない所でも起こりうる」というのがあります。
根拠としてはクロコは色彩関係だけどホシノテラーは色彩無関係だし。
今回ソニドリのやった『擬似』テラー化そのものはホシノテラー寄りの可逆性のある技術。
例えで言うなら、ヴェルトール・イドとシステムイド、ホシノテラーが完全虚化した暴走一護だとするとソニドリは虚化しただけ、ぐらいの差。
問題は可逆性ありとは言え負担はあるし、ソニドリぐらいの異常な精神性の持ち主だからこそ平然としてるだけで常人がやると発狂する。顔面の皮引っぺがすようなもんなので。
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