ブルアカ転生掲示板   作:タマヤ与太郎

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そんなわけで29話です。今回大分悩みましたが、初心に帰ってやりたい放題する事にしました。


29:試される大地で新たな仲間と出会うやつら

【次の犠牲者さん】青く透き通るGTA世界に祝福を・26【ご冥福をお祈りします】

 

 

 

982:実力派センセイ

 

……これ私が悪いのかなぁ

 

[動画]

(膝から崩れ落ちて突っ伏すハスミの動画。『あれ、ハスミちゃん?』という先生の声が入っている)

 

 

983:名無しの転生者

 

なぁにこれぇ

 

 

984:名無しの転生者

 

周囲を見るにスイーツ店っぽい? ハスミの絆エピか?

 

 

985:名無しの転生者

 

とりあえず経緯説明してくれる?

 

 

986:実力派センセイ

 

いやまあ、ハスミちゃんとパトロールからのお茶してたんだけど、ハスミちゃんに体重が増えてるからダイエットしたいんだけど……みたいに相談されてね

私自身はそんな体重で悩んだことないからよくわかんないんだけど、分かんないなりに『ハスミちゃん身長もあるし羽根も大きいし、何より出るところ出てるから体重が増えるのは仕方ないと思うよ?』って答えたんだ

そしたら突っ伏しちゃって……

 

 

987:名無しの転生者

 

ごめん、笑っちゃいけないのは分かるんだけどこれは笑っちゃうわ

 

 

988:名無しの転生者

 

まあ、ハスミは翼もデカけりゃチチもけつもタッパもあればフトモモもぶっといからなぁ……腹肉なくてもそりゃ重量あるよね

 

 

989:写輪眼

 

先生、誰もが思ってても言わんかったことをズバッと言いやがるなぁ……

まあ、俺もその辺で悩んだことはねえから分からんけどよ

 

 

990:墓守の狩人

 

ハスミ先輩、常軌を逸した量のスイーツドカ食いしてるくせにあのスタイル維持できてる事自体が神秘よね

というか去年から今年にかけてで胸もバカみたいに大きくなったそうだし、そりゃ体重も増えるわよ。ガッツり動くから、ムキムキではないにしろ筋肉もついてるはずよ?

 

 

991:名無しの転生者

 

そういえば、夏イベで去年買ったハスミの水着がツルギにピッタリだったって話があったな……

晄輪大祭のリレーじゃユウカと一緒にドベ争ってたけど、正実の幹部なんだから運動が苦手なわけがねえんだよな。シンプルにでけえ重石ついてるからああいう短距離走が苦手なだけだろうし

 

 

992:囚人キング

 

ハスミちゃんのその辺まな板筆頭としては何も言えなくてちょっとイラっとするよね! こちとら男でも通るぐらいの貧乳さ!*1

ハスミちゃんとかのそう言う話聞くたびに脳内でどんな目に合わせてるか! ねえにゃんこちゃん!

 

 

993:にゃんこ大線路

 

何でそこで話私に振るんですか!?*2

……いやまあ、確かにちょっと思うところはありますけど……見せる相手もいませんし……

 

 

994:G級ライダー

 

ユメやノノミとかも本当にとても大きいですからね。よくホシノと共に殺意の籠った目で見たものです*3

 

 

995:オール・フォー・オール

 

あんなもんぶら下げてるだけでバランス崩れるし良いことあんまりないですけどね。使う相手がいるわけでもなし*4

囚人さんや写輪眼さんだって自前の物を使う機会なんてそうそうないでしょう? 第一相手はそれでもいいと言ってくれてるんじゃないです?

 

 

996:名無しの転生者

 

転生者チーム最大のブツを持ってるやつが言うと説得力あるね……

というか先生って体重で悩んだことないんだ? まあ基本的に野生児だったようだから*5あんまり肥えるイメージないけど

 

 

997:実力派センセイ

 

まあ今はちょっとリカバリーキツくはなってるし昔ほど無茶できないから健康には気を遣ってるけどね

私が皆ぐらいの頃は野山を駆け回ってたからなあ……体脂肪率低かったから冬が辛かったかな? 寒くて……

 

 

998:囚人キング

 

あ、わかるわかる。脂肪が薄いから寒さが身に染みるよねえ

 

 

999:G級ライダー

 

分かります。お腹が空いている時に寒さに晒されると体脂肪率も相まって体の芯まで冷える心地でしたねえ

 

 

1000:名無しの転生者

 

ねえ1人だけ方向性違くない?

 

 

1001:名無しの転生者

 

砂漠で遭難でもしたんかお前w

 

 

1002:G級ライダー

 

しかけた事は何度か……コンパス壊れると方向が分からなくなるので、オトモン達が間に合わなければ危なかったですね

 

 

1003:名無しの転生者

 

あっこれガチな奴だ

 

 

1004:名無しの転生者

 

そう言えばアビドスで拾われた時行き倒れてたって言ってたもんなあ

 

 

1005:名無しの転生者

 

そういえば遭難者ってキヴォトスでいるんだろうか、アビドス以外で

 

 

1006:名無しの転生者

 

トリニティのカタコンベとかに迷い込んだ生徒が……とかはありそうだが

 

 

1007:囚人キング

 

百鬼夜行の雪山で遭難した子はいたなあ、死ぬ前に見つけ出せはしたけど

 

 

1008:名無しの転生者

 

いるんだ……

 

 

1009:墓守の狩人

 

カタコンベだけど、私は見た事ないわね。少なくとも私の代で遭難者が出たことはないはずよ

ごくごくたまに旧ユスティナ聖徒会のものと思しき制服の切れ端が見つかる事はあるぐらいだけど、多分トリニティがトリニティとして成立するより前のだろうし

 

 

1010:名無しの転生者

 

『はず』ってのが怖いよな……後いそうなのと言えば赤冬あたり? あっちはシャーレメンバー(≒転生者)もいないから現状が分からんのだよな

 

 

1011:実力派センセイ

 

あ、そうだレッドウィンターと言えば、ちょっと後にお祭りの準備があるって招待されたんだけど、これイベントかな?

 

 

1012:にゃんこ大線路

 

そう言えば来てましたね? なんか前に教わったのでレッドウィンターのイベントがあったような……

 

 

1013:名無しの転生者

 

革命のイワン・クパーラやね。……先生、先生はこれから色々度し難かったり理解しがたいものを死ぬほど見る事になると思うけど、ありのままに受け止めてね

それが赤冬の日常、日常的に政権交代が起こる狂気の巷。正直者がバカを見るならぬ、正気の者はバカになる魔境、レッドウィンター連邦学院なんだ*6

 

 

1014:実力派センセイ

 

本当に何でそんなところが学園として存在し続けてられるの!?*7

 

 

1015:写輪眼

 

……にゃんこ、今回ばかりは行くのやめといた方がいいと思うぞ、ガチ目にあそこはお前にゃ向かん

お前も常々先生についていきたいと思ってんのはほんとによーくわかるが、赤冬にだけは行くのやめとけ。狂うぞ

 

 

1016:にゃんこ大線路

 

……写輪眼さんがそう言うんなら本当にヤバいんでしょうね……先生、そんなわけなので、私は留守番してますね……

 

 

1017:実力派センセイ

 

うん、どうやら本当にヤバそうだからやめとこうね……しかし赤冬かぁ、誰かついて来る?

 

 

1018:写輪眼

 

俺が行くわ。にゃんこに行くなっつったの俺だし……一応赤冬は前にマコトに付き添いで言ったことあるしな、事務局の連中とも一応は知り合いだしよ

あ、そういや先生、なんか乗り物持ってっか?一応俺はガンスナイパーで行くが

 

 

1019:実力派センセイ

 

あ、私専用機、EMならデビルペンチ*8があるよ。こないだAFAちゃんに貰ったんだ

 

 

1020:名無しの転生者

 

お、アレか。良い機体だよね、クセは強いけど先生なら使いこなせそう

 

 

1021:オール・フォー・オール

 

ちなみに原作通り軽量化のためにFRPですけどキヴォトスの素材で作った防弾仕様の特殊装甲ですし、エンジン回りも強化してます

フレームにもショベリウスの特殊合金には劣りますが軽量で頑丈な合金使ってますし、そもそも設計ベースがガラってだけの新造なんでガワだけ同じほぼ別物ですけどね*9

ヘルメット団の小銃程度ならものともしない特別製ですよ! 『デビルペンチ改』とでも名付けましょうか!

……まあ、これで戦闘するより先生がトリガー使って暴れた方が多分強いですけどね。PMC理事のゴリアテ改相手にタイマンで勝てますし? 基本的には移動に使うのが良いかと

 

 

1022:名無しの転生者

 

まあ、それこそ写輪眼ネキやライダーネキならワンパンできそうだしな……

カッコよさげで多機能な自家用車と考えるとまあまあいい感じのブツか?

 

 

1023:名無しの転生者

 

ま、クルセイダーちゃんや虎丸みたいなもんでしょ

 

 

1024:実力派センセイ

 

音声入力にも対応してるし、良い機体だよね! 何よりクロウラーだから雪道も安心そうだ

一応重機の運転免許は持ってるからね! いけるいける

 

 

1025:名無しの転生者

 

あ、持ってるんだ。流石先生

 

 

1026:実力派センセイ

 

ブルドーザー運転できないと山道の除雪とかがね……辛くてね……

 

 

1027:名無しの転生者

 

あっ

 

 

1028:名無しの転生者

 

そっか、先生って山育ち……

 

 

1029:名無しの転生者

 

それでなくとも雪って積もると除雪も一苦労だもんな、わかる

 

 

 

 

 

 

 

 

掲示板でのやり取りから少しして。レッドウィンターを訪れた先生はその『平常運転に』驚き、呆れ、閉口しつつも生徒会長、連河チェリノの休憩タイムまでレッドウィンターを見て回り……

色々と度し難い思考回路でクーデターを行った保安室長、池倉マリナの追撃から逃れ、機を伺うために旧校舎へとたどり着いていた。

雪の積もる森林地帯を行くデビルペンチとガンスナイパー。その行く手に建物の影が見え、先生と共にデビルペンチに同乗し膝の上に載せられている白髪の少女、チェリノが快哉を上げる。

 

「建物が見えたぞ! トモエ、あれが旧校舎か?」

 

『そのようです。今はもうほとんど使われていませんが、かつてはレッドウィンター連邦学院の生徒達が勉学の励みながら青春を過ごした、名高い場所です』

 

『俺にゃあ廃墟にしか見えねえが……壁に大穴開いてるし、手入れもされてねえだろあれ?』

 

ガンスナイパーに同乗しているチェリノの腹心、秘書室長の佐城トモエが答える。が、ウリエの言うようにそこに立つ旧校舎は壁に大穴が開いて板で乱雑に補修され、その壁面には蔦が這うなど、おおよそ人の潜めるような場所ではないようだった。

しかし、このレッドウィンターで寒風をしのぎ、かつクーデター派の追手から身を隠せるような所と言えばここぐらいしかないのも事実。一行は機体から降り、旧校舎へと足を踏み入れるのであった。

 

「とりあえず、何処か風が入らないような部屋をさがそっか。……って、あれ? トモエちゃん、旧校舎で活動してる部活っているの? 誰かいるみたいだけど……2人、かな?」

 

「え? よくお分かりになりますね?」

 

「あー、まあ、その、人の気配があるっていうか。おーい! ちょっと出てきてくれないかなぁ!」

 

サイドエフェクト(生命感知)で感知したことをうっかり口走ってしまい、ごかましながらも声をかける先生。

クーデター派の手の者、という可能性もあったが、さっきの今、しかも恐らくは突発的なクーデターとなればそこまで方々を掌握するのは不可能。よってその可能性は低い、と判断した末の呼びかけだ。

その声に反応したのか、生命感知で感じ取った2人分の反応がこちらへと足早に近づいてくる。

そして顔を出したのは大きな背嚢と望遠鏡を担いだ小柄な生徒と、イタチのような尾と耳を持った生徒の2人組。

彼女たちは天見ノドカと間宵シグレ。この旧校舎を教室兼寮とする『227号特別クラス』にぶち込まれた問題児2人組でもあった。

ここ、227号特別クラスはレッドウィンターにおける矯正施設にあたり、ノドカは覗きとストーキング、シグレは配給のカンポットにウォッカを混ぜた罪で投獄(・・)されている。

そして元に戻るためにはチェリノの許可が必要であったのだが……当のチェリノがそのことをすっかり忘却しており、それに憤慨したノドカが低レベルな罵り合いを始め――――――

 

「おい、話を進めろ馬鹿野郎共。こちとらてめえらの漫才に付き合ってる暇はねえんだよ!」

 

寒さとどっちもどっちな罵り合いを続ける2人にキレたウリエにより拳骨を落とされ、物理的に大人しくなったのだという。

 

 

 

「あー痛かった……コブになったらどうしてくれるんですか!」

 

「そうだそうだ! カムラッドの護衛とは言えおいらに手を上げてタダで済むと思っているのか!?」

 

「次は本気でやるぜ? それでもいいなら騒ぎな。何度でも黙らせてやる」

 

「ごめんなさい勘弁してください」「おいらが悪かった、チェリョンカ*10で手を打たないか」

 

それから少しして。ノドカたちが使っている部屋に気絶した2人を運び込み、先生とトモエは状況を説明。暫くの間逗留したい旨と、政権の奪還にも協力を要請。代わりに復帰の際は本校舎へ戻れるよう取り計らうという事で決着。

途中復活したノドカとチェリノがぶうぶう文句を垂れ始めたが、ウリエが握りこぶしを見せると全面降伏の姿勢を見せて静かになる。よほどさっきの拳骨が堪えたらしい。*11

 

「……んで、どうするよ? 俺や先生が行って全員凹ましても良いが……それじゃあ書記長サマの面目が立たねえだろ?」

 

「……そうだな。これはレッドウィンターの問題。先生や他校の生徒の力を借りるだけならまだしも、頼りきりになるのはおいらの沽券に関わる。

 先生達には後詰めをやってもらうとして……問題は戦力だな。トモエ、何か知恵はあるか?」

 

話を振られたトモエはしばし考え込み……何かに思い至ったかのようにハッとするが、同時にそれを言っていいものか、でも言うようにかぶりを振った。

 

「――――――ひとつ、心当たりがあります。出来れば頼りたくない方ですが」

 

「頼りたくない? 私達みたいな特別クラスの生徒って事?」

 

何やらアルコールの匂いがするスキットルを呷りつつ言うシグレの言葉に、トモエは首を横に振る。

 

「かつてレッドウィンター事務局の生徒であった方……今は御年20歳なられるはずです。今回クーデターを起こしたマリナさんの前の保安室長にあたる方です……ウリエさん、貴女もゲヘナの方なら、『雷帝』をご存じでしょう?」

 

「……知らねえわけがねえ。2年前のゲヘナで雷帝の名を知らねえ奴がいるなら、よほどのバカかモグリだぜ」

 

忌々し気に顔を歪めて吐き捨てるウリエ。『雷帝』。それは2年前にゲヘナの生徒会長を務めていた生徒の渾名である。

鉄拳政治でゲヘナを治めた暴君にして独裁者、策略家にして発明家であったとされる。二年前にキヴォトスを混沌の渦に落とし、方々に傷跡を残しつつも部下のせいで失脚。現在はキヴォトスを離れているらしい。

 

「そのくせ足跡を消すのも得意でな、今のゲヘナじゃあいつを覚えてるやつも多くはねえ……んで、雷帝がどうしたよ?」

 

「かつて、レッドウィンターにも雷帝の魔の手が伸びたことがありました。しかし、その魔の手はレッドウィンターを覆う事はなかった。

 それは何故か? それは、たった一人で果敢にも雷帝の魔の手を打ち払った英雄がいらっしゃったからです。……それが、先代の保安室長でした」

 

「……へえ」

 

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1205:写輪眼

 

先生、こいつぁ……もしかするぜ?

 

1206:実力派センセイ

 

あ、やっぱそうなんだ? 原作知ってるウリエちゃんが知らないんなら……一応、皆にも周知しておこうか

 

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「ただ、大変気難しい方で……元々先代書記長の前から保安室長を務めていらした方で、卒業された先代の書記長の頼みで留年してまで留任されていたそうです。

 それも先代書記長の人柄に惚れ込んだ故の事。先代書記長が卒業され、雷帝の脅威ものぞかれた今は、学園に籍だけおいて隠棲されております。

 そして、自分達だけではどうにもならなかった時には、力を貸していただけると、そう、私の前の秘書室長から引き継いだ情報にありました」

 

「なるほどなぁ……そいつぁ、簡単に頼るわけにもいかねえやな。自分は政権一つ取り返せねえ無能ですと言ってるようなもんだ。

 それに今のレッドウィンターは昔とは大違い……つまり、下手したらその先代さんがブチキレかねねえって訳だな?」

 

呆れ気味に肩をすくめるウリエに、困り顔で頷くトモエ。現在のレッドウィンターは常に政権が転覆し続ける狂気の巷だが、昔からそうだったわけではない。

連邦生徒会に在籍するレッドウィンター生などは現在のレッドウィンターを知らない辺り、この狂った環境になったのはそう昔の事ではないようだ。

そして現在20歳、現状転生者最年長であるホムラより年上の『先代保安室長』がレッドウィンターの現状を知れば、激怒して協力を取り付けるどころではない可能性もある。

それを理解しているトモエとウリエ、そして先生は、その瞬間、何処にいるかもわからない神に祈ったのだという。

 

「なるほど、ならばおいらの権威を見せつけ、協力を取り付ければよいわけだな! トモエ、その先代保安室長殿は何処にいる? すぐにここを発つぞ!」

 

「……なんだい騒がしい。ノドカにシグレ、お客さんとは珍しいじゃないか」「誰だ!?」

 

気勢を上げてすぐさま出立しようとしたチェリノの前に現れたのは、1人のレッドウィンター生徒。

赤い髪にピンと立った犬科動物を思わせる耳と、ふさふさとした尻尾。身長はウリエよりやや高い程度、ノドカのものに匹敵するほどの大きな背嚢を背負い、背嚢と背の間に挟むようにして皮ベルトで吊った長包みを差し、腰には巨大な拳銃を吊っている。

その生徒は胡乱げな目で一同を見回すと、トモエを見て表情を歪め、大げさにため息を吐いた。

 

「はぁ~~~……トモちゃんよ、池倉の大馬鹿野郎がいなくてそこにお前さんとそこのヒゲチビがいるってこたぁ……アレかい? またカマされたんかい?」

 

「その、恥ずかしながら……」

 

「おいお前! 誰がチビだと!? 今は許してやるが……おいらに無礼な口を利くのならば本来なら粛清モノだぞ!」

 

チビ、という言葉を聞き咎め、チェリノがずかずかとその生徒の前に行って指を突き付けるが、その生徒は臆した様子もなく、ただゆっくりと長包みを抜くと……

 

ごん。

 

それを思い切りチェリノの脳天に振り下ろした。付け髭が落ちるのにも構わず頭を抑え、悶絶するチェリノ。

 

「ハッ、チビにチビっつって何が悪い。お飾りの祭神輿(マスコット)があたしに偉そうな口きくんじゃないよ。先代の頼みが無きゃあ、誰がこんなバカの集まりに付き合うかい」

 

「チェリノちゃん!? ホロ先輩、何も殴らなくたって……」

 

「バカは叩いて直すもんだろが。ま、池倉のバカは死んでも治るめぇが……まあいい、話ぐらいは聞いてやる。そっちのゲヘナに知らねえ大人も、大方この馬鹿共に付き合ってきたんだろ?」

 

そう言うと『先輩』と呼ばれた生徒は部屋の中央に置かれた薪ストーブに背嚢から取り出した薪を放り込み、その真ん前に椅子を置き、どっかりと座り込んだ。

 

 

 

「――――――なるほど、大体わかった。要するに池倉のバカを凹ましゃあいいんだろ? しっかし、あのバカ、真面目なのだけが取り柄なのに、何でクーデターなんぞしたかね。

 付き合う方も付き合う方だが……ま、それで今はうまく……うまく?回ってんだ、隠居の身がとやかく言う義理はないか」

 

深々とため息を吐く『先輩』。あれからまた少し、『先輩』はトモエからの事情説明を聞き、先程よりも深々と、苛立ちを込めた溜息をついてストーブの火でスルメを炙っている。

彼女の名は『虎杖(いたどり)ホロ』。かつてはチェリノの先代の書記長に請われ、留年してまで保安室長として活動していた人物であり、トモエが語った、かつて迫った『雷帝』の魔の手をただ一人で撃退した英雄であった。

 

「それで……ホロちゃんだったかな。手を貸してくれるって事でいいのかな?」

 

「それが先代との約束だ。それには従うさ。……だが、それもこれっきりだ。もうレッドウィンターはあたしの知ってる(・・・・・・・・)レッドウィンターじゃねえ。

 この一件が終わり次第、あたしはレッドウィンターを卒業……いや、退学させてもらうよ。いい加減義理も果たしたろうし……これ以上赤冬(ここ)のバカ共に付き合ってたら頭がおかしくなる」

 

吐き捨てるように言うホロ。その言葉に沈痛な面持ちで頭を抱える先生とウリエ。母校に愛想を尽かした、とでもいうような発言だが、2人はその気持ちが痛いほどに分かってしまったからだ。

 

「ど、どうしてだ!? おいらの何が悪かったんだ!?」

 

「全部だよヒゲチビ! 嗜好品(プリン)の量を増やせと言って材料は据え置き、苦肉の策で水増ししたのにキレる、自分がチビなのを棚に上げて写真に入りきらなかったことにキレる、

 先代はお前以上に厳しい人だった、だが量を増やせと命令したならきちんと材料だって供給した。 お前よりはマシ程度に身長も低かったが、台を用意する、周囲に抱き上げられる、必ずきちんと映るように頭を捻った!

 だがてめーはなんだ、連河チェリノ。てめーが先代を知ってるかどうかは知ったこっちゃねえが……あたしにはてめーが書記長の器だとはどうしても思えねえ。それ程に見劣りしてるって事だ」

 

そしてホロは視線をトモエに移し、その眼前まで歩み寄り、胸ぐらをつかみ上げる。

 

「先代の頼みだ、今回ばっかりは手を貸してやる。だがそこまでだ。あたしの強さはお前が一番よく知ってるはず。今後の行動如何では、あたしの刃がテメーらに向くぞ? その辺、よーく考えとけよ」

 

ホロはそう言って掴んでいた手を離すと、大きくため息をついてストーブの前に戻り、火に当たり直すのであった。

 

 

 

「ふふふ……なるほど。権力とは本当に甘く、素晴らしいものだな。好きなだけ昼寝も出来るし、好きなだけおやつも食べられる!

 会長だけが座れるこの椅子も、まあちょっと小さい感じはするが、フカフカで気に入った!」

 

レッドウィンター連邦学園、事務局。その普段チェリノがいる部屋では、(しょうもない理由で)クーデターを起こし、書記長の座に収まった保安室長、池倉マリナが権力の味に酔っていた。

あれから先生たちの手によって脱出した後、マリナもまたその行方を追っていたが、何分広すぎるレッドウィンターの土地柄、見つけ出すことは困難を極めていた。

だがどうせいずれ見つかるだろう、と思っていたマリナの下に、一本の電話が届く。幹部のみが使える書記長直通のホットラインからだ。

チェリノ発見の報か? と意気揚々と電話に出たマリナだったが、直後耳に突き刺さったのは、怒りを押し込めたかのような、ドスの聞いた声であった。

 

「私だ。チェリノ会長の行方が分かったか?」

 

『……よう、池倉ァ』

 

「な……っ!?」

 

頭が真っ白になる。その声には、大いに聞き覚えがあった。自分がレッドウィンターの中等部にいた頃、次代の保安室長として見出してくれた大先輩、虎杖ホロの声だ。

 

「い、虎杖先輩!? お、お久しぶりです……」

 

『書記長就任おめでとうさん。まあ、詳しい話はヒゲチビとトモエ、先生ともう1人から聞いた。やらかしてくれたじゃないかい。このイワン・クパーラを控えた大事な時期になぁ?』

 

「あ、いえ、その、それは……」

 

中等部から高等部に上がるまで、時代の保安室メンバーはホロによる筆舌に尽くしがたい地獄の扱きによって鍛え上げられた。

その中で最も扱きについてこれたと保安室長を任されたが……当時の事は、正直思い出したくもない。同僚の中には時折悪夢にうなされている者もいる。

そんな尊敬すべき先輩であり、英雄であり、思い出したくもない悪夢が、今電話越しにマリナの鼓膜を揺さぶっていた。

怒っている。この地の底から響くような声は先輩がキレる直前の兆候だ。かつてマリナたちは数度彼女を激怒させ、脱落すら許されずに徹底的に扱き上げられた。その時の恐怖が脳裏をよぎる。

 

『今、227号と知識解放戦線、工務部の協力を取り付けた。もうちょいしたらぶっ殺しに行くから首洗って待ってな。逃げたいなら逃げてもいいぞ? あたしから逃げてどうなったかを忘れたんならな』

 

言うだけ言って、唐突に電話が切れる。マリナは呆然としたまま立ち尽くし……意識が戻ったのは、部下がマリナの指示を仰ぎに来てからだったのだという。

 

 

 

「……本当に良いの?」

 

「ああ、構わないさ。あんたらはそこの連中を率いて事務局を包囲。1人も逃げないようにしてくれてりゃあいい。中心になってる保安室の連中はあたしの弟子みたいな連中だしね……全員殴り倒して血尿出るまで扱き倒してやるさ」

 

「……ほどほどにね?」

 

電話という名の処刑宣言から少しして。ノドカとシグレ、そして図書委員にあたる知識解放戦線、土木工事や建築を一手に担う公務部を引き込んだ*12ホロと先生たちは、その人員でもって事務局を包囲していた。

据わった目で言うホロに若干引き気味に言う先生に手を振って応え、ホロは片手に掴んだ長包みを一振り。すると包んでいた布が解け、その中身が姿を現した。

 

「……なんだありゃ、見た感じ剣っぽいが……いやまて、あの微妙なニチアサ感、なんか覚えが……」

 

それは、青い鍔に七色の宝石があしらわれた両手剣。しかしその外見は何処かおもちゃのようにも見え、その違和感が、彼女が転生者であるという疑惑をさらに濃くしていた。

 

「そんじゃあ、行くかねえ――――――核熱怒業(ドラグラース)

 

その声と共に、剣が姿を変える。炎を纏う、片刃の特大剣へと。常人なら両手で持ってようやくと言ったそれを軽々と担ぎ、ホロは大きく息を吸い、怒号を飛ばす。

 

「池倉ァ! 逃げても無駄だ、降伏もさせねえ、精々抵抗して見せろ! その腐れた根性、徹底的に叩きのめしてやらぁ!」

 

ビリビリと周囲を震わす大音声。それが開戦、あるいは虐殺(・・)の狼煙となった。

 

 

 

 

 

*1
※涙目

*2
慎ましやかなので

*3
アビドス高校合法ロリコンビ

*4

*5
先生は学生時代山奥の一軒家から通っていた

*6
※個人の感想です

*7
それはそう

*8
ユンボルに登場する量産機・ガラのカスタム機。徹底的に軽量化を施したスピード重視の機体

*9
原作においてはガラベースのハンドメイドの改造機

*10
レッドウィンターで流通しているチョコバーの類らしい

*11
本気でやると頭蓋骨陥没しかねないので大分手加減はしている

*12
※ほぼ恫喝




そんなわけで29話でした。次回に続く。

■解説

・虎杖ホロ
元レッドウィンター保安室長。先代、先々代の頃からのレッドウィンター事務局保安室所属。趣味は鍛冶仕事。
当時中等部だったマリナを見出し後の保安室メンバーと共に地獄を見せながら鍛え上げた。
その為原作より保安室の連中はちょっとだけ強い。(1.25倍ぐらい)ただし人格は据え置き。
地獄の扱きで凡人をまあ使える程度には仕込める才覚の持ち主だが、基本的に血尿出るまで扱き上げて鍛えるスタイルの為、いろんな意味で恐れられている。
決して乱暴者ではないが、『バカは叩いて直す』が信条であり、レッドウィンターの連中は大体アレなので二言目には拳が飛ぶ。
きちんと会話が成立する相手には普通に言葉で対応する程度には常識がある。
最後に使ってた剣? サアナンダロウネ。その辺は次回。

・ヒゲ
ご存じチェリノ会長。自分の威光が通じない奴がいるので都合2回ぐらい殴られた。
作者的にはキヴォトスの為政者の中で一番マトモなんじゃねえかなこの子……

・マリナ
今回一番の被害者。まあクーデターの理由からしてしょうもないので自業自得ともいえる。
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