ブルアカ転生掲示板   作:タマヤ与太郎

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そんなわけで34話です。前回カスミをとっ捕まえたその後の話。


34:収監するやつら

【温泉】青く透き通るGTA世界に祝福を・35【無事収監】

 

 

 

418:写輪眼

 

よう、これこないだ鬼怒川達をぶち込んだ件を報告した時のゲヘナでの写真な

 

[画像]

(白目を剥いて大口を開けているマコトと瞑目して頭を抱えているヒナ)

 

 

419:名無しの転生者

 

まあ、そうなるな

 

 

420:名無しの転生者

 

まあそりゃこんな顔になるよね、かつて自分達を撃退した相手が健在でなおかつ自分らのとこの問題児がそいつの家吹っ飛ばしたって聞いたらね

 

 

421:写輪眼

 

一応『ゲヘナで引き取る』とも言われたが*1……今回の件と今までのよそでやらかした件での被害額見せたらさっきの顔になったわ

 

 

422:実力派センセイ

 

……いくらなのか聞いて良い?

 

 

423:写輪眼

 

アビドスの借金よりはマシ程度かね?

 

 

424:オール・フォー・オール

 

ああ、ならはした金ですね。*2ゲヘナってそのぐらいの金も払えないんです?

 

 

425:写輪眼

 

犯罪者の借金肩代わりしてやる謂れもねえだろ? ちなみに被害額ってだけで損害賠償諸々含めるとまあ、アビドスの借金は越えるわな

 

 

426:オール・フォー・オール

 

それもそうですね。そう言えば今日の拘禁房*3当番って写輪眼さんですよね? 資料送っておくのでカスミさんに交渉してあげてください

エンジニア部の連中よりはまだ利用価値もありますし

 

 

427:写輪眼

 

あいよ。まあ今影分身して分身の方を詰めさせてんだけどな。いやー影分身便利だわ。そう数は出せねえが……事務仕事の手数が増えんのはありがてえな

 

 

428:名無しの転生者

 

耐久力はないけど自分と同じスペックの分身出せるって事だもんなぁ。チャクラがゴッソリ減るからナルト*4でもないとそうポンポン出せんけどな

そういや写輪眼ネキはなんぼぐらいだせんの?

 

 

429:写輪眼

 

普段なら出せんのは10人ぐらいかね? ちっと気合い入れて神秘全開にすれば20人ぐらいは行けると思うが

まあこれは俺の保有してる神秘が姉ちゃんとほぼ同等ぐらいだからこそできる無茶だけどな。クッソ疲れるからあんまやりたかねえし

フィジカルだと姉ちゃんが僅かに上、神秘なら俺が僅かに上ぐらいかね、多分

 

 

430:名無しの転生者

 

それでも十分多いわw

そういやミカの双子の妹なんだからスペック的にはほぼ同等なのは納得だなあ

 

 

431:囚人キング

 

フィジカルと神秘のバランスで言うなら写輪眼ちゃんが一番バランスよく強いんだよね

ボクはフィジカル高めだけど神秘で言うならちょっと落ちるし

神秘量そのものなら最高はライダーちゃんかな? まあそこに特典も関わって来るから強さで言うと分かんないけど

 

 

432:墓守の狩人

 

ライダーさんはシンプルに戦い慣れてるから神秘関係なくても強いのよね

時計塔のマリア*5を相手にしてる気分だったわ。神秘ビームだけじゃなくて斬撃に神秘乗せて飛ばしたり、なんだったら個性も持ってるからやりにくいったら

 

 

433:G級ライダー

 

狩人さんも中々お強いですよ? やはり狩り道具の変形やアイテムや地形を交えたテクニカルな戦いで言うと狩人さんは随一かと。私もうかうかしてはいられませんね

 

 

434:聖剣の保安室長

 

狩人のはこう、本当に『狩人』って感じの容赦なさっつーか、一瞬も油断ならねえ緊張感があるんだよな。あたしも長い事ドンパチやってきたが、なかなか見ない手合いだったぜ

しかしまあ、強さで言うなら姐さんは本当に強いんだよな……シッテムの箱ガードもあるが、神秘無いのにあたしらの中じゃ上位だろあれ

 

 

435:実力派センセイ

 

あはは、これでもみんなよりだいぶ修羅場潜ってるからね。年季が違うよ、年季が

 

 

436:写輪眼

 

先生はマジでつえーからな……トリガーも最近素のアステロイド*6に変えたろ? 設定弄れるからどんな弾飛んでくるのか予想がつかねえんだよな

こないだなんか超低速で威力全振りの弾出してこんなん当たるかと思ってたらレイガストのスラスタータックルで無理やり押し込まれたしよ

 

 

437:聖剣の保安室長

 

あ、写輪眼のもやられたのかあれ。あれ食らうといやでも意識させられるから囮に使われたりもすんだよな……

ちなみにあたしは渾身の唐竹割りを弧月でいなされたところに掌底からのゼロ距離で喰らったりもしたわ

あたしも相当戦ってきた自負はあったけど、姐さんからはまだまだ一本取れそうにねえや

 

 

438:にゃんこ大線路

 

皆さんほんとお強いですからねえ……私もショベリウス使えばそこそこやれる自信はありますけど、基本後ろからネコ出してるだけですし

 

 

439:名無しの転生者

 

まあにゃんこちゃんはしゃーないよ、鬼のドラテクとにゃんこ城に全振りで当人のフィジカルは外の世界の一般人並みだし

 

 

440:G級ライダー

 

ですがにゃんこさんは激レア系のネコ達をやろうと思えば量産できるので個よりは群の強さを単騎で出せるというのは素晴らしいものですよ

何せ実働部隊の一般隊員ぐらいの強さの戦力を際限なく量産できますからね、ショベリウスである程度個の強さも補えると考えると、中々手強い相手ですよ

 

 

441:名無しの転生者

 

実際転生者の中じゃ下の方ってだけでロボ込みだったらイオリよりは下ぐらいの精鋭だもんな

いやあの鬼のドラテクに事務能力も高いし、これでそこそこの戦闘力があるんだから総合的には大分ハイスペックよにゃんこちゃん

トップ層が化け物なだけで

 

 

442:にゃんこ大線路

 

そうでしょうか……*7

 

 

443:名無しの転生者

 

にゃんこちゃん、そこに頭脳も戦闘力もあらゆるスペックが多分転生者随一だけど人間性だけがカスな緑色がおるじゃろ?

 

 

444:にゃんこ大線路

 

……そうですね!*8

 

 

445:オール・フォー・オール

 

にゃんこさんも結構言いますよね

 

 

446:名無しの転生者

 

お前はユメパイが居なかったらパブリックエネミーになってんのは事実だろうが

 

 

447:オール・フォー・オール

 

だってユメ先輩がいない世界に価値なんてあります? 私の世界に色を付けてくれたユメ先輩を排除するような世界なんてあってもなくても大差ないですよ

だったらワンチャン次の周回に備えて世界そのものを終わらせてリセットするのも手ですよね。ユメ先輩生きてるのでやりませんが

それに今の転生者総力をもってすれば多分私ぐらいは殺せるんじゃないですかね、私も全力で抵抗するので結果的にキヴォトスは滅びますが

 

 

448:名無しの転生者

 

こいつ冗談とかでもなく素でこれ言ってんだよな……ほんとユメパイはこの可能性を潰してくれただけでも偉業だと思うわ

 

 

449:G級ライダー

 

ソニドリ、その時が仮にあったなら刺し違えてでも殺しますからね

 

 

450:オール・フォー・オール

 

どうぞどうぞ。会長にはそれをする理由も必然性もありますしね。私の思想が人倫に反するものであるのは私が一番よく分かってますし

まあだからと言ってやるときはやりますけどね

 

 

451:名無しの転生者

 

く、空気が重い……! 話題を変えよう!

写輪眼ネキ、AFAネキから送られた資料って何? カスミとの交渉が云々って言ってたけど

 

 

452:写輪眼

 

まあ、重っ苦しい話してもしゃあねえわな。資料ってのは鬼怒川のやつをアビドス送りにするための資料だよ

温泉開発部はあれで温泉掘るだけじゃなく土木工事にかけちゃ赤冬の工務部と張る連中だからな

拘禁房から鬼怒川と下倉を出す代わりにアビドスで働かせようって話をこないだクソ緑とライダーとやっててな

 

 

453:名無しの転生者

 

え? 大丈夫? あいつら温泉ないとこでも温泉掘ろうとするし、温泉とか水脈とか枯れても構わんような掘り方するよ?

 

 

454:写輪眼

 

ライダーがそう言う馬鹿を許すと思うか?

 

 

455:名無しの転生者

 

許しませんね……

 

 

456:名無しの転生者

 

ライダーネキ、カスミが一番苦手とするタイプの人間だろうしなあ*9

 

 

457:G級ライダー

 

アビドスで無法をするなら相応の報いを受けてもらうだけですよ?

 

 

458:オール・フォー・オール

 

ま、実際に働かせる時はGPSとかスタンガン仕込んだ首輪とかつける予定なので問題ありませんよ

アビドス、カイザーの基地跡とかまだ残ってるのでそこの解体とか修繕して再活用したりとかしたいんですよね

温泉開発部の開発力は正直侮れませんし、あの人たちを手駒に出来るなら私は文句ないです

 

 

459:名無しの転生者

 

なんだったらホシノもキレるしな

 

 

460:写輪眼

 

ま、そんな感じで『やらかしたら全員道連れだぞ』とか言っとくから大丈夫だろ

 

 

461:G級ライダー

 

温泉開発部さんはたくさんいるそうですからね

砂漠を緑化する肥料はいくらあってもいいですから

 

 

462:オール・フォー・オール

 

流石に自分達の命を天秤にかけてまで馬鹿をやりはしないでしょうしね

 

 

463:実力派センセイ

 

やめようね!?

 

 

464:墓守の狩人

 

そうよ3人共。殺したらそれ以上苦しめられないのよ?

 

 

465:G級ライダー

 

それもそうですね、私としたことが

 

 

466:名無しの転生者

 

なんとなく分かってたけど、こいつら本当に必要となれば殺人に躊躇せんね?

 

 

467:名無しの転生者

 

まあ、流石に本当にやらんとは思うが……うん……

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――あの、ウリエさん? よろしいかしら」

 

「よろしくねえよ。一生黙ってろ誘拐窃盗器物損壊の常習犯」

 

傍らから聞こえてきた声に、ウリエ(の影分身)はにべもなき吐き捨てて手元に視線を戻す。

シャーレビル内部、特別拘禁房。『ヴァルキューレでは手に負えない』『そもそも反省の色が見えない』といった連中をぶち込むためにソニドリによって建造された場所である。

500ミリの特殊合金の外殻で覆われ、窓無し、扉無し、外部と繋がっているのは指1本分ほどの太さの物を数本束ねた空調パイプという徹底ぶりで、出入りすらソニドリの個性【転送】か、ウリエの【神威】でしかできない。

ビルの1フロアの半分ほどを使ったそこは、全体の9割ほどが牢屋、残り1割ほどがシャーレ職員(主にソニドリとウリエ)の事務スペースとなっている。

ウリエは持ち込んだ書類を捌きながらコーヒーを啜っていると、なおも声が聞こえてくる。そちらに視線を向ければ、鉄格子にしがみついてウリエを呼ぶ銀髪の少女の姿。

銀髪赤眼、片方だけのコウモリ羽に尻尾というゲヘナ系の容姿をしたこの少女は黒館ハルナ。キヴォトスでも悪名高きテロリスト集団『美食研究会』の部長にして、ウリエは絶対に認めないがゲヘナに転校してよりの腐れ縁でもあった。

 

「失敬ですわね! 私はただ美食の探求をしていただけですのに……確かにその過程で悪質な店を吹き飛ばしたりもしましたけれど、ただそれだけなのに血も涙もない……!」

 

「別にいいんだよそれは。迷惑っちゃ迷惑だが確かに悪質な店が大半な分俺個人としてはそこ()きちんとケジメ付けりゃあとやかくは言わねえ。だがな……」

 

そこで言葉を切り、ウリエは立ち上がるとツカツカとハルナの牢の前まで歩き、檻にかぶりついていたハルナの胸ぐらをつかみ上げると触れんばかりに顔を近づける。

見開かれた普段金色に輝いているその瞳は赤く染まり、黒目を取り囲むように巴紋のような文様が浮かび、ハルナを睨みつけていた。やばい。ハルナの直感が危機を告げる。

この瞳が転生特典『写輪眼』だという事は無論ハルナは知らないが、ウリエの瞳がこうなっている時は、ウリエ自身が己の感情を制御できていないという事―――つまるところ、激怒しているという事であるということを、今まで数限りなくウリエに叩きのめされていたハルナは知っていた。

 

「てめぇが今までフウカとジュリにどれだけ迷惑かけて来たと思ってる? 給食部の備品を壊し、車を盗み、フウカを誘拐して、ジュリがまともな料理を作れるようになればジュリにも手を出そうとした。

 フウカはてめえら専用の飯炊き女か? てめえらが飯を食いたい、ただそれだけでフウカの予定も都合も何もかもを考えずに奪い、壊し、攫って許されるってか?」

 

「そ、そんな、ことは……」

 

ギリギリと締め上げられ、うめくハルナ。必死にウリエの手を離そうとするが、戦車すら素手で破壊するウリエの手は、ハルナの手ではこゆるぎもしない。

 

「あるだろうが? 第一、てめーらは一度だってフウカの都合を考えた事があんのかよ? てめーとはガキの時分からの付き合いだ、フウカの次ぐらいにはテメェの事は理解してるつもりだぜ?

 てめぇは昔っからそうだ。他人の都合を考えねえで1から10まで自分の都合だけで物を考えやがる。俺とフウカのデートの時だって先に来て待ってたフウカを攫ったこともあったろ。

 それに、フウカだって都合が良ければてめぇらに付き合う事もやぶさかじゃねえ、って譲歩だって最初からしてた。だがてめぇらは一切聞かなかったよな?

 美食の探求? 笑わせるぜ。結局てめぇは、自分の一時の幸福のために平気で他人を踏みつけにして、他人の厚意を平然と踏みにじれるクズだって事だ。反吐が出るね」

 

吐き捨てて、ウリエは乱暴にハルナを放り捨てる。咳き込むハルナを一瞥すると、ウリエは隣の牢へと視線を移す。

そこには床に倒れ込む金髪に黒い角の少女。ハルナと同じ美食研究会の鰐淵アカリだ。美食研究会は彼女ら2人と今は釈放されている赤司ジュンコと獅子堂イズミの4名で構成されており、かつて逮捕された際、ハルナとアカリのみ悪質性が高く反省も見込めないとの判断により拘禁房送りになった。

アカリは倒れ込みながらも恨めし気にウリエを睨んでいるが、その動きは鈍い。彼女は非常に大食いであるが、拘禁房に収容されて後は1日に一般的な3食分しか与えられていない。その為研究会でも屈指の戦闘力を持つが、十全にそれを発揮できない状況なのであった。

 

「鰐淵、てめぇも同罪だぜ? 給食部の車パチった時は大体てめぇが運転してるしな。てめーらさえぶち込んどきゃ美食研究会は開店休業よ。

 赤司や獅子堂はほっときゃそこらのスケバンやメット団程度の被害しか出さねえし、何よりカス見て―なことやってんのはお前らに付き合ってるだけだ。

 お前らがぶち込まれたのは俺の私怨もあるが……人様に迷惑かけて反省もしねえカスだからよ。なんか申し開きはあるかよ?」

 

「ここから出れたら覚えててくださいね、ウリエさん……」

 

アカリの特徴的な×の字の瞳が〇の字になるほどの敵意を宿した目で見られても、ウリエは怯えの色すら見せない。

アカリの戦闘力やタフネスは特筆すべきものであるが、空腹で大きく気力をそいでいる今、たとえウリエが丸腰だったとしても拘束するのは容易だろう。

 

「いいぜ、出れるもんなら出て見ろよ。素手で厚さ500ミリの特殊合金を抜けるんならな。第一……俺がお前らを逃がすと思うか?

 お前らにはこれからここで今までフウカやジュリが味わってきた苦しみの万分の1、億分の1でも噛み締めてもらわねえといけねえ。精々苦しめ」

 

「それ私怨ですわよね!?」

 

「ったりめーだろ黒館。俺の女に手ェ出してタダで済むと思うなよ? てめーらがここから出れるのは完全に心折れるか、美食の探求とやらを完全に止めると誓った時だけだ。

 私怨で結構。クソ緑の野郎はてめえらの生死に全く興味がねえ以上、お前らがここから出る目はそれしかねえぞ? それまで何年でも付き合ってやる、精々苦しめ」

 

ウリエはそう言うと踵を返し、自席へと戻ってゆく。そして席に付いてPCの画面を見ると、メールの着信を告げるアイコン。開いてみればそれはウリエ本体からで、拘禁房に収監した温泉開発部との交渉を依頼するメールであった。

 

「ったく、本体もめんどくせえ事を……ま、テメェらの命がかかってれば否やとは言わんだろ。おい鬼怒川! 生きてるか!?」

 

「そこは『起きているか』じゃないのかウリエ!?」

 

「ツッコミ返せる元気があるなら上等だな。これ、読めよ」

 

檻の前―――美食研究会の側ではなく、その対面側の牢に入れられている者達にウリエはプリントアウトした数枚の紙を差し入れる。

檻の中にはゲヘナ系の外見の2人、赤いシャツにダークブラウンの髪の小柄な少女、そしてその傍らには赤い髪の少女が静かに寝息を立てている。先日捕縛し拘禁房に収監された温泉開発部部長の鬼怒川カスミ、及び副部長の下倉メグだ。

カスミは渡された資料を読むとふむ、と小さく息を吐く。

 

「アビドス学区内の再開発……? 主に解体のようだが。これを依頼するという事は、ここから出してくれるという事かな?」

 

「懲罰代わりの奉仕作業ってやつよ。ああ、逃げられると思うなよ? てめぇらの人間性は知りたくない程に知ってる。当然監視もつけるし、GPS内蔵の首輪をつけるとも言ってた。

 それに事情通のお前の事だ、以前アビドスに風紀委員が攻め込んだ一件、知ってんだろ?」

 

ウリエの言葉にカスミが眉根を寄せる。公表されてはいないにせよ、独自の情報網と悪魔的な頭脳を持つカスミ。断片的な情報からでもおおよその事情を察していた。

そして、アビドスの生徒会長を怒らせると本気で殺されかねない、という事も、カスミの頭脳は導き出していた。否、出してしまっていた。

 

「乃木平ホムラ会長の事だな。当然知っているとも。『宵のベヌウ』の噂ぐらいは、な」

 

「アビドスで馬鹿やるとホムラ会長やクソ緑は躊躇なく殺しに来るから気を付けろよ? 特に下倉や部員のアホ共の手綱はしっかり握っておけよ。

 ま、お前らがアビドス緑化のための肥料*10になりてえ、って言うなら別だがね。ガチでキレたら俺でも止められるかは怪しいぜ、気張れよ?」

 

「……その、拒否権などは……?」

 

「あるっちゃあるが……一生ここに缶詰か、多少の制限付きでもシャバで暮らすか、好きにしな。ま、2・3日時間をやる。ゆっくり考えろよ」

 

そう言って牢を離れようとしたウリエであったが、その背を呼び止めるものがある。嫌そうな顔をしながら振り返れば、そこにはハルナの顔。

檻にしがみついてウリエに何事かを訴えていた。

 

「ウリエさん! カスミさんを外に出すなら、私達も出してくださいませんか! これでも経営などについては多少心得があります、カスミさん達同様に奉仕作業として――――――」

 

「さっき絞め殺されかけたのによく回る口だな? 誰が出すかよ。さっきも言ったろ、てめぇらがここから出られるのは美食探求とやらを完全に止めた時、もしくは完全に心が折れて再起不能になってからだ。

 こればっかりは一歩譲るつもりもねえ。てめぇらが散々フウカやジュリの善意に唾吐いてきた報い、そこでしっかり噛み締めろよ」

 

なおも追いすがるハルナの声を無視し、ウリエは踵を返し自席へと戻る。その後、アビドスにおいてアビドス高校、及びハチドリグループが主体となった再開発事業が始まった。

そのために集められた人足の中には、『首輪付き』となって保釈されたカスミとメグ、そして部長と副部長の帰還を喜ぶ温泉開発部の姿があったのだという。

 

 

 

その日の夜。ゲヘナ学園の食堂で給食部部長、愛清フウカが翌日の仕込みをしていると、訪れるものが一人。万魔殿の制服を羽織った、桃色の長髪に漆黒の羽翼を持った少女。

フウカの幼馴染であり、恋人でもある万魔殿議員、蓮常寺ウリエだ。ウリエは軽く挨拶だけすると、食堂の椅子に座ってテーブルに倒れ込む。大分お疲れのようだ。

 

「お疲れ、ウリエ。もう少しで仕込み終わるから待ってて。何か作ろっか?」

 

「……甘い卵焼き、分厚い奴」

 

「はいはい、いつものね」

 

そこから暫くして、仕込みが終わったフウカがウリエの方をちらりと見ると、丁度こっちを見ていたのかウリエと視線が合う。

大分疲れたのかやや淀んだその顔に軽く微笑みかけ、ウリエご指定の卵焼きの準備に掛かった。そしてその時、不意にウリエの方から言葉が飛んでくる。

 

「……なあ、フウカ。今日はシャーレの当番でよ、黒館のヤツの横で仕事してたんだがな。あいつ、相も変わらずだったわ」

 

「全然懲りてないのね、ハルナのやつ。まあ、ウリエがとっ捕まえてくれたおかげで大分静かになったわよね。おかげで仕事がやりやすいったら」

 

苦笑しながらも卵焼きの準備を進め、調理を始める。卵の焼けるいい匂いがし始めた所で、ウリエは再び口を開く。

 

「あいつなりの矜持があるのも、まあ分かる。でもな……俺、やっぱあいつの事、嫌いだわ」

 

「……それ、私を攫ったり、給食部の活動を邪魔したりするから?」

 

「それもある。俺さ、お前が料理してる所見るのが好きだ。お前自身の事も好きだし……だから、俺から見てお前を蔑ろにし続ける黒館の事は、ぶっ殺しても足りねえぐらいに嫌いだ。

 あいつなりにフウカに敬意を表してるのも分かる。でもさ、あいつお前の都合何も考えてねえじゃん。そう言うスジの通らねえような事してる奴とか、頑張ってるやつを踏みつけにするような奴が、俺は嫌いだ」

 

ぽつりぽつりと語るウリエの言葉を、フウカは黙って聞いている。ウリエとの付き合いも、もう12年程になる。恋人となったのはここ1年ほどの話だが、それでも、フウカはウリエがどういう人間なのか、誰よりもよく知っていると自負している。

ゲヘナらしい混沌を是とする粗暴な気質ながらも、ウリエは身内に対してとても愛情深く、また臆病な人間だ。

元々トリニティの名家で、現ティーパーティー、桐藤ナギサとは幼馴染であり、聖園ミカとは双子の姉妹なのだという。しかし、堕天使として産まれたその出自から姉からは愛されてこそいたが親からの愛情には恵まれず、祖父の伝手でゲヘナの蓮常寺家へと養子に出されたのだそうだ。

だからなのか、ウリエは身内との繋がりを非常に重要視している。そしてそれが失われる、傷付けられるという事も、非常に恐れている。それがハルナへの嫌悪や敵意の根幹なのだろう。

 

「……でもなあ、これでいいのか、って、たまに思う。黒館も、鰐淵も、このままずっとぶち込んでた方がいいカスなのはシャーレ幹部全員の総意だ。

 俺自身あいつらの事は大嫌いだし、このままぶち込み続けてりゃ、フウカやジュリがひでえ目に合う事はねえ。だから多分、これが一番世の中にとっていい事なのは事実なんだろうな。

 でもさ、あいつらにも、繋がりってのはあるはずなんだよ。少なくとも、今シャバに出てる赤司や獅子堂とは、結構楽しくやってるみてえだしよ。

 黒館がフウカやジュリに迷惑さえかけなけりゃ、別に俺もここまでする気はなかったんだ。多分に私怨が混じってるってのが、まあ、気になるんだよな。たまに」

 

「まあ、たまにかわいそうになるって事は否定しないけどね……」

 

基本的に、蓮常寺ウリエという人間は善人なのだろう。無法に怒り、拳を振り上げる事の出来る人間だ。キヴォトスの人間がやたら頑丈なのもあり、結果が大分派手になる事も多いが。

それでも、キヴォトス人基準であまり力の強くない自分が助けられてきたことは数限りないし、かつては実質1人で給食部を回していた時も、ジュリのパンちゃんの件も、ウリエは本当に親身になって解決に動いてくれた。

今こうして余裕を持って、誘拐の危機に怯えずに色々と邁進できているのも、間違いなくウリエのおかげだ。ハルナへの所業に思うところはあるが、それでもウリエには返しても返し切れない恩がある。

そんなことを考えながら卵焼きを作り終え、ウリエの前に皿と箸を置いて、その横に座る。のろのろと体を起こし、『いただきます』の後に食べ始めるウリエを、フウカはにっこりと微笑みながら見守る。

 

「それでもね、ウリエ。私も、もちろんジュリもだけど。ウリエにずっと助けられてるのは嬉しいのよ? それにハルナには悪いけど……ウリエがちゃんと怒ってくれて、助けてくれる。それだけでも、私達は大分救われてる。

 だからさ、疲れた時は戻って来てほしい。私にはウリエが好きな物作って、そばにいてあげる位しかできないけど……私も、ウリエの力になりたいんだからね」

 

「……悪ぃ」

 

フウカは少し椅子を寄せ、ウリエにもたれかかる。すぐにウリエの翼がフウカを包み込むのを感じながら、フウカはウリエを横目でちらりと見た。

 

「そう言えば、ウリエ?」

 

「ん? どうしたよ」

 

「ジュリにもこういう事、してあげてね? あの子、私みたいに積極的にくっついたりできない子だし……おんなじ人を好きになった女の子として、私もあの子を応援してあげたいから」

 

「……だな。次の経過観察*11の時にでも、少し連れ回してやるとするかね」

 

そう言って苦笑するウリエ。そうして、和やかにゲヘナの夜は過ぎていった。

 

 

*1
その場合多分ちょっとしたら脱獄ないし釈放されて普段の流れになる

*2
個人の感想です

*3
シャーレ特別拘禁房。本作独自の設定。厚さ数百ミリの特殊合金で覆われた物理的に脱出不能な牢獄。転移能力のあるウリエとソニドリしか出入りできない

*4
ウリエの特典元『NARUTO』主人公。生来保有しているチャクラ量が尋常でない量あり、そのためチャクラを等分割する影分身で100をゆうに超える量の分身を出せる

*5
アオの特典元『Bloodborne』のDLCボス。やたら強い

*6
アステロイドに代表される弾トリガーは銃トリガーで撃つと射程が伸びるが、弾トリガー単体の場合威力や弾速などを細かく設定でき自由度が高いというメリットがある

*7
しょんぼり

*8
真理を見た顔

*9
=こうと決めたら即殺しに来るタイプ

*10
≒砂漠に生き埋め

*11
ソニドリによりジュリの神秘を抜いたのでその経過観察




そんなわけで34話でした。カスミのアビドス送りの話……と見せかけたウリフウです。
ウリエとフウカとハルナの話をいつか書きたくて……

□解説

・ウリエ
美食研究会、というかハルナの事を蛇蝎の如く嫌っているが、それはそれとしてあいつにも人のつながりってもんはあるんじゃねえのかな……と悩んだりもする。多分ハルナそこまで深い事考えてないけど。
また、実は『身内に手を出される』という事が結構な地雷。自分自身良い事ばかりではなかったけど人の縁に恵まれてきたと思っているので、身内を傷付けるような奴に対しては容赦はしない。美食研究会に対しての対処はあれでも加減はしてる方。
フウカの作る甘い卵焼きが大好きなので、何かにつけて作ってもらっている。
なんのかんのとフウカにもジュリにもベタ惚れ。

・フウカ
ウリエの正妻。今回の話書くにあたり調べてたら三年ではなく二年生だと発覚してちょっと驚いた。
ウリエ5歳、フウカ4歳の頃からの付き合いなので、ウリエの事情も好みも何もかもを知り尽くしている。
なのでウリエの姉がミカだという事も知っているし、ウリエがゲヘナに染まる前の「親に捨てられてゲヘナに放逐された聖園ウリエ」も知っている。その上で心底からウリエを支えようと思っている。実はジュリを抱え込んだのはフウカからの提案。
ハルナに関しては多分に自己解釈入ってますが、だいたいめんどくさい知人ぐらいの認識。積極的に関わりたくはないけど、かといって躍起になって排除するようなもんでもない。
ただ、ウリエが本気で怒ってくれているのも分かるし自分も決して好きではないので是非で言うと非。
今まで散々煮え湯を飲まされてきたことには違いないので。

・ハルナ
彼女自身個人的に嫌いではないんだけど、それはそれとして散々やらかしておいてフウカに友達面してんのはどうなの? というのが本作においてのウリエ・フウカ・ハルナの関係の発端。
というかこの作品自体原作で割となあなあで流されてる所を意識的に描いてる所があるので。
多分ハルナ的には本当にフウカの事を友達だと思ってるし、ウリエやフウカに対しても悪いとは思っている。
それはそれとして自分の美食の探求のためには誘拐も窃盗も爆破もする、それだけ。
ソニドリにおける「ユメ先輩」が「美食の探求」になってるタイプの狂人。

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