異世界転移みこち   作:香芝 緑

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3. ステータス

「じゃぁ、ですね。まずは、この水晶に手をかざしてもらいましょうか。」

 

そう言って、ギルドマスターのフブキがガラス玉の水晶を机の上に置く。

 

机の上に置かれた水晶は、前世でも見たことがない不思議な力を感じるような、いやでもやっぱりよく見ると普通の水晶がそこに置かれる。

 

「これで、何が分かるの?」

 

これで、過去の犯罪履歴が分かると言っていたが、異世界転生ものならもっと色々分かるはずだ。35P達のほうがこういったことは詳しそうだが、今は残念なことに今はもう聞けない。

 

「んん!?水晶を初めて目にすると?大体どこの町にも1つはあると思うんですけどね。まぁいいか。知らない人のためにご説明しましょう。手をかざして魔力を流せば、あら不思議。その人の名前や身体能力、適正職、犯罪歴等さまざまなことが分かるのですよ。」

 

「へぇ~。やったことないですけど、凄いんですね。」

 

「そうそうそうそう。大丈夫ですよ。簡単ですから。」

 

 

 

ミコが手を水晶にかざしてから数十秒経過。

 

 

 

「あれぇ。フブキ、まだ結果でないの?」

 

スバルがギルドマスターのフブキに声を掛ける。

 

「うーん。普通はもう結果は出てくるはずなんですけどね。」

 

「えっ。そうなの。ミコ大丈夫なの?」

 

「大丈夫、大丈夫。誰でも簡単に結果は出ますから。」

 

 

 

さらに10秒経過。

 

 

 

「ちょ、フブキ。これってもしかして、こいつとんでもなく凄い奴なんじゃないの?」

 

ミコの隣で立っていたスバちゃんの額に大きな玉の汗が流れる。

 

「えっ。どういうこと?ミコ凄いってこと?」

 

そういえば、異世界転生ものは大体主人公がすっごく強くて、オラァァってする話なんだよね。

 

もしかして、ミコすんごく強いってこと?

 

「えぇ。計測に時間が掛かれば掛かるほど、計測者のステータスは強いって言われているんですけど――。」

 

「すごい。やっぱりミコは異世界にきてもエリートってわけね。」

 

「いや、あの。ミコさん。喜んでいるところ申し訳ないんですけど。」

 

「ん?どったの?」

 

「水晶に魔力流してもらってもいいですか?」

 

「ふぁっきゅ!」

 

 

 

 

 

ミコが水晶に魔力を流し込むと、水晶から一枚のカードが出てきた。

 

「おぉ。凄い。スルンって出てきた。これどうなるの?」

 

「お前、本当に知らないんだな。この水晶に魔力を流したら、流した者の情報が書かれたカードが出てくるんだよ。」

 

「えーと。ん?名前が2つある?さくらみこと―――。」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛読んじゃダメ!!!」

 

名前が2つある瞬間に、前世の本名であることに気付いたミコは、誰かに聞かれてはまずいと思って悲鳴を上げた。

 

「お前、急に叫ぶなよ。改名したの?」

 

「あっ、そっか。改名したら旧名も記載されるんだっけ?」

 

「確かそのはずだよ。」

 

「うっうん。そう。旧名だよ!」

 

名前が2つあることに疑問を抱えていたフブキだったが、スバルの改名というワードに乗っかる。

 

「え~っと。ステータスは、知能が少し低くて幸運値が少し高いくらいですね。属性はマグマで、おっ。召喚術に適性があるようですね。」

 

フブキがミコのステータスを読み上げていく。

 

それを、ドキドキしながら聞くミコ。

 

「ねぇねぇ、ミコ凄いの?」

 

異世界転生ものに良くありがちだけど、スッゴいステータスだったら、ミコ世界を救っちゃうかもしれない。

 

そんな、妄想を膨らましていると胸も踊るものだ。

 

「えぇ。ステータスは普通ですが、属性も適正職も珍しいですね。鍛えれば、ギルドでも上位に食い込めるかと思います。」

 

「くそぉぉ。どうして、どうしてスバルには特別な力が無いんだよぉ。こんなにも町を思って働いているのに、なんで、こんな奴に・・・。」

 

やっぱり、ミコはこの世界の主人公なんだ。

 

ステータスの知力が少し低いってのが引っかかるけど、属性も職業も珍しいみたいだしミコはこの世界を救うんだ。

 

ミコの適性を聞いてなぜかダメージを受けているスバルをよそに、ミコはこれから始まる冒険に胸を躍らせていた。

 

「まぁ、まぁ。スバちゃん良いことあるよ。」

 

「おまぇぇ。自分がレア職だからってスバルをバカにするなよ。」

 

「スバちゃんは、職業なんなの?」

 

「冒険者だよ。ほとんど一般人だよ。」

 

ニヤリ。

 

「おい。冒険者を馬鹿にしたな。冒険者はな一番人口が多い職業なんだぞ。お前、大勢の人を敵に回すことになるからな。発言には気をつけろよ。あと、スバルがここまで面倒を見てやった恩を忘れるなよ。」

 

「わっ、忘れてないねぇ。」

 

「くそぉぉ。あっ、そうだ。犯罪歴とかないの?」

 

「えぇっと、それがですねぇ。罪状は一杯あるんだけど、無罪になってるんだよね。」

 

「えっ?そんなことないでしょ。罪状が出てたら有罪でしょ。」

 

「ミコ、何も悪いことしてないもん。罪状があるなんて何かの間違いだよきっと。」

 

思い返しても、前世でVTuberとして活動していたが、日本のおまわりさんにお世話になるようなことはしていない。

 

「いや、それが、ほら、この通り。」

 

フブキが、スバルにミコの身分証カードを手渡す。

 

「どれどれ、えっ。お前マジかよ。大犯罪じゃん。」

 

「ちょっミコを罪人扱いしないでよね。」

 

ミコが急いでカードを覗き込むと、そこにはこう書かれていた。

 

詐欺罪・カツアゲ罪・指定暴力団ホロライブ(株)設立罪。

 

「ファーーーー!」

 

見覚えのある罪状にミコは悲鳴を上げる。

 

 

 

 

 

 

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