異世界転移みこち   作:香芝 緑

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4. 召喚魔法

あの後、ひと悶着あったが、何とか無実を証明したミコチは町の広場に来ていた。

 

町の近くなこともあり、害のある魔物はほとんどおらず、いるのはスライムくらいだ。

 

この世界のスライムは、自分の意識で移動できず風によって転がった先の草を消化して生きている。

 

自身の体より大きな生き物を捕食できないため、人間は捕食対象外でもあり町の近くにいても放置されているのだ。

 

ギルドでもスライムを倒しても子供のお小遣い程度しか稼げないため誰も倒そうとしない魔物である。

 

だが、初めて魔法を使うミコチにとってはリスクの無い丁度よい相手である。

 

「ほら、ミコチ。ここで、召喚魔法使ってみなよ。」

 

「えっ。でも、召喚獣みたいなのってどうやって出すの?ミコ召喚獣と契約なんてしてないよ。」

 

「えっ。お前、召喚魔法使いなのに、召喚できないってことないよな。」

 

スバルが、少し嬉しそうに聞いてくる。

 

そんな感じに言われると意地を張りたくなるミコチ、だってエリートミコだもん。

 

「できりゅもん。やり方、分がんないけど・・・。」

 

やはり、意地を張って答えたが、やり方を知らないミコチは素直に分からないと答える。

 

尻つぼみに声が小さくなっていくミコチを見て、フブキは当たりだと自分の直感が当たっていることを確信する。

 

サクラミコ、この子は面白い子だ。

 

絶対に、わがギルドにお迎えしよう。

 

そんな、サクラミコを仲間に迎えるためにも優しく声を掛ける。

 

「うんうん。大丈夫だよ~。ミコちゃん。召喚魔法使いはね。自分と縁のある召喚獣を精霊の世界から呼び出しているんだよ。そこに、主従関係とかないし、特に契約を交わす必要もないから、魔法を込めてバッとしたらできるよ~。」

 

なるほど、フブちゃんが、そういっているってことはそうなんだろう。

 

水晶に魔力を流した感覚で魔法を扱う感覚は分かった。

 

だから、ここで召喚獣を召喚できるはず。

 

ガバッと腕を突き出して叫ぶ。

 

「召喚!!」

 

手に魔力を流して叫ぶと、手を突き出した先に魔法陣が現れる。

 

「おぉ~。」

 

ミコ。すごいかも。

 

魔法陣が輝きを放つと徐々に光が収まっていき、やがて魔法陣も消えていった。

 

「すごい。本当にできた。ねぇ。ねぇ。ミコすごい?」

 

「すげぇ~。ミコチお前すげぇな。」

 

「うんうん。すごいよ。ミコちゃん。ところで、召喚獣はどんな子なんだい?」

 

「はっ!」

 

それもそうだ。

 

エリートでプリティーなミコちゃんが召喚した召喚獣なんだから、きっと神々しくて強い獣にきまってりゅね。

 

召喚した召喚獣をよくよく見てみるとどこかで見たことあるフォルムだった。

 

二頭身の体。

 

白い毛。

 

猫っぽい耳。

 

額には水色の水玉のような模様があり、首には赤と白の縄が巻かれている。

 

間違いない。

 

前世で苦楽を共に過ごしてきたミコの相棒のような存在。

 

「フブキ、この召喚獣知ってる?」

 

「いや、私も初めて見たよ。こんなちんちくりんな召喚獣が出てくるなんて・・・。」

 

「いや、でも、3体いるから結構強いんじゃない。」

 

「35Pだ!これ、35Pだよ。」

 

「へぇ。35Pっていうんだ。でも、悪いけどあんまり強くなさそうだな。ちょっと、スライムと戦わせてみない?」

 

「35Pは強いもん。絶対に強いね。スバちゃんは分かってないね。」

 

分かる。

 

ミコには分かる。

 

数々のゲームで35Pにボコボコにされてきたミコには分かる。

 

35Pは強い。

 

たまたま近くにいたスライムに指さして叫ぶ。

 

「35P。スライムをやっつけろ!」

 

ビシっと、スライムを指さすが、一匹の35Pだけが動き出し、他の35Pは地べたに寝そべりだした。

 

二頭身の35Pはヨタヨタと走っていく。

 

あれ?

 

なんで一匹だけ?

 

それになんか、足遅くない?

 

いや、もしかしたら一人で十分だからほかの2人は休憩しているんだろうか?

 

いや、そうだ。

 

絶対そうだ。

 

3人で走っていく35Pを見守っていると、35Pと同じサイズのスライムへ果敢にも攻撃し始めた。

 

ペチ、ペチ、ペチ。

 

コテン。

 

数発スライムにぺちぺちした後、体勢を崩して尻もちをついた。

 

「えっ。よわ。めっちゃ弱いんですけど。ちょっと、どうしたの?ぇえ!?こんな弱い35P見たことないんですけど。」

 

ミコの知ってる35Pじゃない。

 

「ミコチ。大丈夫。ここになんの取柄もないスバルがいる。一緒にがんばろ。」

 

「アハハハハハハ。ちょ。ごめん。おかしすぎる。アハハハハ。こんな弱い召喚獣見たことない。」

 

フブちゃんはツボに入ったのか笑い転げている。

 

35Pは、自分がスライムに勝てないことを悟ったのか、立ち上がるとミコチの方に体を向けた。

 

涙を目いっぱいに貯めた35Pと目が合うと頭の中に声が聞こえてきた。

 

“ミコちゃん、ごめんね。ぼく、最近35Pになったばっかりだからまだ弱いんだ。頑張って金時先輩みたいに強くなるから捨てないで。”

 

「うん。捨てないよ。ミコと一緒に強くなろうね。」

 

“ムリだよ。”

 

“あぁ。俺達じゃ無理だね。諦めな。”

 

寝そべっていた35Pたちからも声が聞こえる。

 

「ちょっ、お前たち戦わないで、そんなこと言うなんてひどいぞ。」

 

“怪我したらどうすんの?”

 

“危ない。死にPが出る。どう責任取るの?”

 

「えっ?えっ?責任?」

 

“召喚獣も生きてるんだよ。無責任に戦えって言われても嫌だね。”

 

“給料は?雇用形態は何ですか?”

 

「う゛う゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―゛い゛ぃ゛―・・・」

 

やっぱり、こいつらミコの知ってる35Pだ。

 

 

 

 

 

 

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