梶尾「どうしてXIGのメカはコンテナ型なんだ?」 作:Mak
前回のあとがきでもご報告いたしましたが、最後の部分に変更があります。
是非、前回をもう一度お読み頂いてから今話をお読み下さい。
変更の理由はクオリティアップのためです。
セイレーンのファンには申し訳ございませんが、恐れく次々回で触れられると思いますのでもうしばらくお待ちください。
「ここまでの説明で聞いていただいた通り、リパルサーリフトが強力な兵器に転用可能という事が判明しました。それは…破滅招来体に対する希望の光だったことは間違いないのですが、G.U.A.R.D.上層部はもしものことも考える必要があったんです」
「…破滅招来体が来なかった場合のことか?」
「僕たちアルケミースターズは高い確率で根源的破滅招来体が襲来すると予測し、それを受けてG.U.A.R.D.も設立されました。しかし、その予想が絶対に当たるという保証は出来なかったんです」
アルケミースターズ側の人間である我夢の立場としてはそう言うしかなかったが、正しくはそうではない。
恐らく、100%襲来する証拠を突き詰めても結果は変わらなかったのではないだろうか?
人間というのはどうしても楽観的な予測に思考が囚われてしまう生物である。
組織の設立までは保険を掛けるという認識に近く、可能ならそのような予想は外れてほしいと願ってしまうのは致し方がないのだ。*1
結果、G.U.A.R.D.の設立から間もなく破滅招来体が現れたのだが、短い期間でもいつ来るかもしれない敵を待つ時間は人間を思わぬ方向へと導くには充分であった。
「万が一にも破滅招来体が襲来しなかった場合、用意した過剰すぎる兵器の運用や配置に問題が起きるのではないかと考えられました。残念ですが、この星の平和を守るために作られた武器が人類同士の争いに使われてしまう危険性を考慮する必要があったんです」*2
「贔屓無しに見ても、ノーマルファイターでは太刀打ち出来ないからな」
「それと機密保持の観点から、各国に点在する防衛軍の基地への配備も懸念事項の一つに挙げられました。これ程までに特徴的で強力な武器を、いつ来るかもしれない謎の脅威に備えていると情報公開することは人々の不安を煽りかねないと判断されたんです」
実際、人類が初めて破滅招来体の襲撃にあった翌日の会見までXIGやG.U.A.R.D.の存在は秘匿されていた。*3日本国総理大臣の記者会見が開かれ、無用な混乱を避けるために機密にされていたと説明がなされたが多くの報道陣やそれらを観ていた国民の反応はなぜそのようなことが知らされていなかったのかと政府に怒りの感情が向けられ、世界中で騒動になったことは梶尾の記憶にも新しい出来事であった。
「ですが、そのような懸念を生み出した原因がリパルサーリフトであれば、解決したのもリパルサーリフトだったんです。その成果がこの…エリアル・ベースなんです!」
「…それで?」
梶尾から少し離れ、手を大きく広げながら我夢はどこか誇らしげに仁王立ちしながらそう言った。
少し前の梶尾であればまだまだ子供だなと悪態をつくところであったが口には出さず、静かに続きを促す程度に留めた。
「えっと…それで、そう! リパルサーリフト実証機がもたらした実験結果により、リパルサーリフトは供給できる電力量と装置のサイズが大きくなるほど、理論上は無限に近い出力を出せることが分かったんです。それによって多くの懸念点を解消できるのではと検討された結果、このエリアル・ベースが建造されたんです」
早口気味にエリアル・ベースの経緯を話す我夢。
それにより少し調子と落ち着きを取り戻し始めたのか、またゆっくりとしたエリアル・ベース建造の経緯について説明を続ける。
「計画の初期段階ではとある国が建造途中だったメガフロート*4を接収し、そこへ対破滅招来体兵器を集約することが検討されていました。しかし、それではメガフロートのある場所から地球の裏側に破滅招来体がやってきた場合の展開力が懸念点として挙げられていました」
「当然だな。どこに基地を置こうが、地球の裏側に破滅招来体が現れでもしたら、現場に駆け付けるには時間が掛り過ぎるからな」
「そのことを踏まえて次点の計画では空母に対破滅招来体用兵器を登載し、世界数か国に配備する案も考えられましたが、こちらは機密性の問題や複数の独立した組織をあらゆる障害も無く運営していくことが困難な可能性があると考えられました」
我夢はどのような障害が想定されていたのかは明言しなかった。
だが軍人の端くれである梶尾にはどのような障害が発生しうるのかは想像がついていた。
人目やマスメディアの追求などは可愛いものだが、空母であれば寄港地を有する国からの圧力やスパイ、最悪の場合はテロの標的などになる可能性も容易に考えられたのだ。
「そのような問題を一挙に解決する方策として挙がったのが建設途中だったメガフロートの一区画にリパルサーリフトを登載し空へと浮かび上がらせる…。外部からの接触を最小限しつつ大規模な戦力を保有することが可能なメガフロートの特性と、地球上のどこへでも航行が可能な空母の特性を併せ持つ移動基地…これがエリアル・ベース誕生の経緯になります」
「自分たちの拠点の話とはいえまるでSFみたいな話だな。それと最近忘れていたが、この船は移動するんだったな」
「ええ、まぁ…」
我夢は苦笑いしながら梶尾の言葉に同意し、彼の疑問にも答えることにしたのだ。
「現在エリアル・ベースは日本からほど近い空域に停留している状態ですが、本来は赤道に沿って航行し続けることが計画されていました。本来であれば破滅招来体が襲来した国々の近くまでエリアル・ベースを移動し、事態が解決するとまた移動することによりXIGはどこの国にも属さない中立な組織であることを主張することが目的だったんですが…」
「敵は何故か日本にばかりやって来るからな…」
梶尾が我夢の言葉を引き継ぎ、ため息交じりにそう答えた。
実際、このお話から見れば未来の出来事も含めると海外での根源的破滅招来体による襲来はヴァーサイトやモキアンなどの地球規模の危機以外ではアパテーやサタンビゾーの2件のみと極端に偏っている。(ゾンエルやギール、シャザックは地球怪獣のため対象外)
「なぜ破滅招来体が日本にばかり襲ってくるのかは未だ不明です。しかし、次も高い確率で日本が標的になる可能性が高いと予想したG.U.A.R.D.は特例としてXIGおよびエリアル・ベースを日本に近いこの空域に留まることを決定し、その他の国々では一先ず各国のG.U.A.R.D.支部が対応することに方針転換することになったんです」
改めてその事実を再認識した梶尾は不愉快であった。
国家を問わず地球という巨大な規模で防衛任務に従事する身ではあるが、やはり自身の出身地ばかり襲われるというのは納得のいく話ではない。
必ず奴らから守り抜いてやると決意を新たにし、彼は我夢に話の続きをするよう促した。
「話を戻しますが、エリアル・ベースの建造によりは多くの懸念点が解決することが出来ましたが新しい問題も発生しました。地上から遠く離れることは防衛や警備の面では申し分ないのですが、逆に言えばこちらから地球を守るための装備を効率よく輸送する方法を模索する必要があったんです。そこで開発されたのがピースキャリーであり、XIGのメカがコンテナ型に変形する主な理由になります」
もしも、日本以外が襲われた回数に間違いがあればコメントで教えていただけると幸いです。
また、本作は某ゆっくり茶番劇のイメージで書いております。
動画ではありませんが、是非チャンネル登録の代わりにお気に入り登録と評価点を付けていただけると幸いです
それではまた次回もお楽しみに