時は過ぎついに大会当日となった。会場には多くの学生が試合を観戦しに来ていていわば一種のお祭りみたいなものだ。だから、出店とかも多くある。また、1対1の大会なので正直いいのかはわからないが賭けの要素もあったりする。学生のうちからかけなんてやっていたらろくな大人にならない気はするのだが。まぁ別に俺が気にしたことではないが。
俺が見に来たのはもちろんシドの試合だ。せっかく特訓?に付き合ったんだ。あいつのモブとしての実力がどのくらいのものか今一度見てみたくなったんだよな。そしてそんなシドの相手は生徒会長のローズ会長。シド流に言うならネームドキャラだ。あいつにとってはこれでもない相手だろう。
そしてついにシドの試合が始まろうとしていた。周りはローズ会長の勝利を確信していて誰もシドが勝利するなんて微塵も思っていない。まぁ今回はあいつ普通にモブとして負けるからその結果は間違っていない。
ついに試合が始まった。そして次の瞬間にはシドが血を吐きながらきりもみしながら吹っ飛んでいった。はたから見たらモブAがあまりに弱すぎて一瞬にしてやられたそう思うだろう。でも、俺視点だと攻撃を食らう前に赤い何かを口に入れて自分できりもみしながら飛んでいった。恐ろしく早い行動俺でなきゃ見逃しちゃうね。
そして誰もがこの一撃で終わったかと思った。だが、予想外にもシドが立ち上がってローズ会長に立ち向かった。そしてまた吹き飛ばされた1回目とは違う感じで。
そしてこれを10回以上続けた。この会場の誰もがシド・カゲノ―という生徒にひいていた。まだ立ち上がるのか、もう立つな。そんな声もちらほら聞こえてきた。
相手のローズ会長、その心情はわからないがおそらく恐怖しているだろう。何度でも立ち上がる姿、もうゾンビ映画みたいに何度でも立ち上がってくる相手そんなの恐怖以外でない。
これは俺が提案してしまった。つまり俺が始めた物語、俺が終わらせなくっちゃいけないんだ。俺は金貨を飛ばしシドの頭にヒットさせる。そして一瞬だがシドの意識を奪うことに成功する。
その隙を見計らいタンカーが来てシドを運んでいった。運ばれるとすぐに意識を取り戻しタンカーの上で「まだ、僕のモブ式奥義は33も残ってるんだー」などと言って退場していった。
♢♢♢♢
シドの試合が終わったので俺の目的も終わった。だからシドのいる医務室に向かった。が、ちょうど医務室に向かった中で会った。
「お、まさか包帯ぐるぐる巻きとは」
まったく、まるで重症人だ。こいつの場合怪我なんてしてないのに。それに怪我してても既に自分で治してるだろ。
「あ、トキじゃん。ねぇ試合中僕に金貨飛ばした?」
「おう、飛ばしたぞ」
「なんでさ。僕のモブ式奥義まだ倍以上あったのに」
「バカ野郎。会場の雰囲気わからなかったのかよ。もう会場の全員お前がゾンビみたいに立ち上がるもんだからひいていたぞ」
「あ、あのお怪我は大丈夫ですか?」
ん?お怪我ってことはシドのことだよな。そう思いながら声の主の方を向く。あーね、まーたこいつ恋愛フラグたてやがった。しかもピンク髪の可愛い子ときた。
(お前、こんな美少女といつ知り合ったんだよ)
(うーん。それが心当たりないんだよね。誰だろう)
こ、こいつーマジで終わってやがる。鈍感系主人公とかじゃない。もうそれを超えた何かだ。人の顔すら覚えないそんな恋愛主人公がいてたまるか。
その後一応カフェで話すことになった。
「私、普段剣術の試合は見ないんですが何度も立ち上がって凄いと思いました」
うん。変わった感性の持ち主だな。あれはもはや恐怖映像だ。あれに感動するなんてすごい。
「それで、クッキー焼いたんです。お返しに」
(ねぇトキ何のお返しか全くわからないんだけどどうしよ)
(知るかボケ)
「もし、よければお友達からよろしくお願いします」
マジで、どうしたらこうなるのか全く分からん。なにした?無意識のうちにシドが誰かを助けたとか?にしては友達からなんておかしい。マジでわからん。これ本人に聞くか。いや、でもシドのいる前で聞くのはな。
「いいよ」
こいつ、何も考えずに了承しやがった。
「お父様、お友達になれました」
そう言うと窓越しに座っていた。人物がこちらにやってくる。名前はルスラン・バーネット学術学園副学園長。かつてはブシン祭に優勝した経験もある文武両道の人だ。
これは俺の直感でしかないが、このおっさん絶対になんかある。何か異様に優しそうな雰囲気だしてるから余計に胡散臭く感じる。まぁそんなこと思ってても言えないが。
「そういえば君は・・・・」
「あ、自己紹介がまだでしたね。シドの友人のトキ・サダメです」
「君がトキ・サダメ君か」
「俺のこと知ってるんですか?」
「ああ、君は主席だからね。その話はこっちにまで来ているよ。君さえよければ君も娘と仲良くしてあげて欲しい」
「ええ、よろこんで。シェリー・バーネットさんだよね。よろしく」
「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
「この子は研究ばかりだったからね。ろくに友達がいなかったんだ。だからこうして友達と呼べる相手をずっと作ってほしかったんだ」
そこから世間話に花を咲かせ夕方になったら解散した。
♢♢♢♢
大会が終わってからは普通に学校が始まった。今日はなんか選挙の話があるとか。まぁ俺には関係のない話だ。誰が生徒会長になるかなんてことはどうでもいいことだ。
ん⁉なんだ。魔力に違和感が。
(おい、シド)
(分かってる)
((これは来る!))
「全員動くな、我々はシャドウガーデンこの学園を占拠する」
まじかよ、テロリスト襲撃、男ならだれもが考えたことのあるシチュエーション。異世界で遭遇するとはな。
「ここがどこかわかってるんですか?魔剣士学園ですよ」
そう言ってローズ会長が立ち向かうがこの学園全体に魔力阻害のような結界が張られた。俺は問題ないが(ドヤァ)だが、普通の人はそうはいかない。シドでさえもほんの少しだろうが魔力を練るのに苦戦するだろう。そんな環境だ。しかもテロリストは魔力を使えるらしい。こっちは魔力を使えず相手は使える。俺やシドじゃない限り勝敗は見えてる。こっちに勝ち目はない。
予想通り、ローズ会長の剣は折られた。そして次に剣の向かう先はローズ会長。さすがにまずいと思い行こうとしたが、ここで動く人間が俺以外にもいた。
「や、やめろー!」
そう言ってローズ会長を庇ってシドが斬られた。
こいつのことだ、ヒーローみたいに無意識に体が動いたとかじゃないだろ。おそらく最初に切られるのはモブだ!とか思ってそう。
「これは流石にまずいな。スタープラチナ・ザ・ワールド」
そして時は止まる。
俺とシドは確かに強さ的にはこの世界の平均からは大幅にずれていると思う。だが、体の構造は他の人とは変わらない。心臓が止まれば死ぬし、血液が少なくなっても死ぬ。普通に急所を切られればそれだけで死ぬ。
だから俺はシドが斬られた瞬間時を止めた。そして治療した。ただ、いきなり切られた人間の傷が消えるのは違和感があるから傷は残したまま血液の時間を戻しシドの体内に戻し、傷口をふさいだ。これで死ぬことはない。流れているだろう血はシドが大会の時使ったやつで誤魔化した。
この後の展開はどうせクラス中どこかに移動させられるか監視されたままここにいるだろう。今のうちに教室を出ておこう。
「よし、いいな。時は動き出す」
時が動き出してからは講堂に集められたようだ。俺は死んだふりを続けているシドを迎えに行くために教室に向かう。
「おい、シド起きろ」
俺はシドの体を蹴り上げる。
「ひどい起こし方だね」
「おい、シド」
「ん?何」
俺は殴りつけた。
「痛ー何するのさ」
「今回、俺が時を止めて治療してなきゃお前死んでたかもしれないんだぞ」
「まぁ、僕も死ぬつもりはなかったから。それに心臓少しは止めていられるから」
「そういう問題じゃない!俺らは普通に人間だ。心臓が止まれば死ぬ。少しの間は平気だとしても一歩間違えれば死につながる。わかってんのか」
「わかってるよ」
「わかってない!わかってたらそんなことはできない。少しは自分がどう思われてるかを自覚しろ。お前が死んだら悲しむ人間がいることを覚えておけ。もっと自分を大事にしろ」
「・・・・ごめん。今回は僕が間違っていたよ。僕もトキがいなくなったら悲しいし。それにまだ陰の実力者としてやりたいことまだまだあるし、もう少し自分を大切にしてみるよ」
「そうか」
そう言いながら俺はシドをもう一回殴りつけた。
「ここ、殴るところじゃなくない?」
「仲直りのしるしと思ってくれればいい」
「わかったよ。これで仲直りだね。それじゃあ、相棒この状況楽しまないわけないよね」
「当たり前だ。こんなシチュエーション逃す手はない。じゃあまずはどうするか相談するか」
「いいね。僕は既にやりたいこと20個はあるよ」
「俺は24個だ。じゃやるか。切リ離シタ宇宙」
俺はシドを動けるようにして時を止めた。範囲をこの学校に限定したので20分は話せる。さ、こっから面白くなるぞ。
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七陰列伝や番外編みたいな話を入れるか?
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もちろん、入れる
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いらん