あの事件から数日、学校は半壊して夏休みが前倒しになった。仮に学校が半壊していなくても生徒の精神面から授業が行われることはなかっただろう。
あの事件はシャドウガーデンが主犯とされ堂々と指名手配までされている。これではこの前ニューにあまり目立つことはするなと言ったばかりなのに無意味になってしまった。ぶっちゃけ気づいた時には情報は既に様々なところに知れ渡っていたからもう手遅れだった。
そういえば、シェリーについてだが彼女に関しては同じ研究仲間としてイータと気が合いそうだったのでイータにとりあえず任せてきた。
さて、夏休みだから何をしようかと考えているとアルファから手紙が届いた。内容をとりあえず要約しておくと聖地リンドブルムに行って秘密を解き明かさないかとのことだ。その秘密に関しては昔行ったので知っているだろうが暇なので行くことにした。
準備をしてそしていざリンドブルムに行こうとしたところアレクシアから呼び出された。
♢♢♢♢
アレクシアには自分の部屋に来るように言われたので、部屋に向かいノックする。そうすると中から入っていいと返事があったので部屋に入る。アレクシアとは定期的に会っていろいろと指導している。テロ事件の時は怪我もあって学園にはいなかったようで無事で安心した。
「いらっしゃいトキ」
「お邪魔する。それで何の用だ?」
「私、これから聖地リンドブルムに行くの」
「そうか。気を付けて行ってらっしゃい」
と返答したのだが、どうやら返答のチョイスをミスったらしくなぜか睨まれている。解せぬ。
「ねぇトキ、その私たちって恋人同士でしょ」
「まぁ(仮)が付くけどな」
と返答したところまた睨まれた。アレクシアに俺が本気でアレクシアのことを好きだって誤解されないように言ったのに。たまにあるだろ?演技から始まって気が付いたら本気になってたやつ。そうなるとアレクシアも迷惑するだろうし一応言っておいた。
「恋人同士なんだからその彼女が当然遠出するならついてくるわよね。ね?」
なんだろう。凄く圧力を感じる。断ってはいけない圧力を。まぁ確かにこの関係はアレクシアが縁談にうんざりしてるからとのことだった。確かに遠出する際に恋人がいなくて不仲とか言われまたアレクシアの方に言い寄ってくる連中がいるかもしれないな。
「確かにそうだな。丁度俺もそこに観光しに行く用事があったからいいぞ。それよりアレクシアは何しに行くんだ?」
「女神の試練の来賓と聖教には黒いうわさがあるからその調査といったところね」
「なるほどな。俺はアレクシアが仕事してるときは観光してていいのか?」
「本音を言うとついてきて欲しいのだけど。あなたもともと観光しに行くつもりだったんでしょ?さすがに無理強いはできないわ」
「まぁなんか困ったことがあったら言ってくれ。その時は協力するから」
「ありがとう」
♢♢♢♢
3日かけて電車に乗り無事に聖地リンドブルムに着いた。
「ここがリンドブルムか―思ってたより栄えてるな。ん?アレクシア、あれってなんだ?」
俺が指さす方向には左腕に剣が刺さっているキーホルダーが売っていた。
「ああ、あれね。かつて英雄が魔人の左腕をここで落としたそうよ」
正直、左腕のグッズってどうかと思うのだが。買うやつは気持ち悪いと感じないのだろうか。
それから街を歩いていくと書店が見えてきた。
どうやらイベントをやっているようだ。看板を見てみると、ナツメ先生のサイン会そう書かれていた。ナツメ、正直この世界でこの名前はとても珍しい。日本ならともかく異世界でナツメと聞くと違和感がすごい。俺とシドという存在がいる以上他の人が転生していてもおかしくはない。ナツメという名前が付き、かつ、小説家となるとやはり小学生以上ならだれでも知っているだろうあの夏目漱石しか思いつかない。もし彼が転生しているなら是非ともかの大文豪に一目会ってみたい!
「サイン会やってるみたいだけど少し寄ってみてもいいか?」
「別にいいわよ。時間もまだあるし」
サイン会に行く前にやはりどのような作品を書いているのかが気になる。生前の作品を書いているのかもしくは完全に新しい作品を書いているのか正直楽しみだ。俺は昔、転生する前だが趣味は読書であったためいろいろな作品を見てきた。だからこそ余計に楽しみだ。
作品を見ていくと明らかに違和感があった。それは夏目漱石の死後に出た作品、所謂アニメ系の作品も出しているのだ。夏目漱石が生前これらの作品を知るのは不可能なのでつまりは名前を借りた別人ということだ。これには正直ガッカリだ。帰ろうかと思ったが、せっかく来たんだし参加していこうと思う
そして列に並び、ついに俺の番になった。
「本をこちらに」
「・・・・」
ベータじゃん。そういえば昔文学が好きだといったベータに俺が生前読んでいた本の話を聞かせてあげた。それで俺から聞いた話を少し異世界風にアレンジして出した。そういうわけか。
おそらくシャドウガーデンとして情報を得るためにやってるんだろ。だとすると作家としての立ち位置はすごくいい何気なく出版社に忍び込めたり、ジャーナリストから前もって情報が聞けたりする。
シャドウガーデンのトップとして情報が入ってくるのも非常にありがたいことだがそれ以上に職業についてくれているのがうれしい。戦いが終わってしまえば彼女たちは普通の少女に戻る。だからこそ今のうちに職についていてくれるとその後も安心できるというものだ。
「お名前はなんていうんですか?」
「トキです」
ベータはなぜか俺の手を握りながら質問してくる。それにほかの人たちと比べて距離が近いというかなんというか。そのせいかアレクシアがベータを威嚇してるし、ベータもベータでなぜかアレクシアに勝ち誇った笑みをしている。この二人知り合いだったのか?
「作戦の詳細はこちらに」
「そうか」
帰りに耳元で「あとで作品、見させてもらう。これからも頑張れよ」と今までの頑張りをねぎらって帰った。
♢♢♢♢
夜。高いところから街を見下ろす陰が二つ。
もちろん、俺とシドだ。アレクシアとは夕方に分かれ一人で歩いていたらシドと合流して今に至る。
「混沌の到来を告げる鐘がなる」
「かっこつけてるとこ悪いがアイス口についてるぞ」
「あ、ほんとだ。じゃあもう一度」
シドは口を吹きなおしてから今と同じセリフを繰り返した。
ん?なんか黒ずくめの怪しい人が屋根を走っている。
「シャドウ。ハエが一匹うろついているぞ」
「その選択を我は許そう。だが、結末は変わらんぞ」
シドと共にその黒ずくめを追う。その間じゃんけんでシドが勝ったのでそいつの相手はシドがすることになった。
だが、シドが一撃防いだら上から斬撃が降ってきて男を三枚おろしにした。
「流石だな。イプシロン」
「光栄です」
「アルファの手紙、あー例の計画はどうなった」
シドよ、分からないなら俺に任せて黙っておけ。
「ターゲットは処刑人に始末されました。計画を第二段階に移行します」
「そうか。俺らは別で動く。他のメンバーにも伝えておけぬかるなよ」
そう言い残し、俺らは夜の街に溶け込んだ。
七陰列伝や番外編みたいな話を入れるか?
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もちろん、入れる
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いらん