時を止める実力者になりたくて   作:Mr.不器用

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これが同族嫌悪ってやつか

 翌日の朝

 

 俺とシドはこの町にある温泉にやってきた。

 

「やっぱ温泉っていいよね。どうでもいい好きなものの一つだよね」

 

「そこは素直に好きって言えよ。温泉がいいのは同意だ。でも個人的にはこんな街中じゃなくて山の方にある秘湯とかの方が好きだな」

 

「秘湯ねー今度堀に行ってみる?」

 

「確かにそれはありだな。見つけたらそこは俺らだけの温泉ということで」

 

「いいね。夏休み中に一回はやってみよ」

 

 そんな会話をしながら俺とシドは服を脱いで温泉に入る用意をする。

 

「なぁシド」

 

「なにトキ?」

 

「その体つきでモブは無理なんじゃないか」

 

「・・・・そこは触れないでよ。もうどうしようもないんだ」

 

 扉を開けて中に入ると先客がいた。

 

「あ、アレクシアじゃん。邪魔するよ」

 

 そう一言声をかけてから湯船に入る。

 

 沈黙が続いたがアレクシアがシドに話しかける。

 

「久しぶりねポチ」

 

「その名前はやめてよ。君との関係も終わったことだし。それで君は何でリンドブルムに?」

 

「女神の試練の来賓よ。トキはもう知ってると思うけど、それであなたは?」

 

「友達に面白いイベントがあるからって誘われてきたんだ」

 

 そこからはシドが女神の試練を知らないとのことでアレクシア先生の講義が始まった。

 

「なめまわすように見られるのかと思ったけど予想が外れたわね」

 

「温泉では人を見ないようにしているんだ。お互いに気持ちよく入るためにね」

 

「右に同じく」

 

 正直、アルファたちのを見て慣れているからか下半身を制御できている。かつての俺なら間違いなくさやから抜かれているだろう。

 

「だから君も僕たちのエクスカリバーをチラチラ見るのはやめてくれないか?」

 

「それがエクスカリバーですってミミズの間違いじゃないの?」

 

「物事を見かけだけで判断してはいけない」

 

 そう言いながらシドは立ち上がった。

 

「君がミミズというものはまだ鞘に入っているだけかもしれないのだから」

 

「どういう意味よ」

 

「それともう一つ、トキのは鞘に入っていてもエクスカリバー級だ」

 

「フッ、なぜエクスカリバーが宝剣なのかそれは鞘に入っているときでも存在感がすごいからだ」

 

 俺もそう言いながら立ち上がる。かっこよく言っているが意味はただの下ネタである。

 

「!?」

 

 シドは扉の前で手拭いを持ち勢いよく叉の下から通す。パァン!と周りに音が響く。

 

「やっぱ温泉来たらこれやらないとね」

 

「いや、いつの時代だよ。いまだにシド以外の人がやってるの見たことないんだが。それよりコーヒー牛乳売ってるかな?温泉の締めを欠かすわけにはいかないからな」

 

「売店行ってみようか。僕も欲しかったし」

 

 その後無事にコーヒー牛乳を購入でき二人で腰に手を当てて一気飲みした。

 

♢♢♢♢

 

 そして午後、ついに女神の試練が開催される。会場には実に多くの人が来ている。それほどまでにこの女神の試練とは人気らしい。

 

 俺はアレクシアの彼氏としてアレクシアと共に来賓としての席にいる。ゆっくりと落ち着いて観戦でもしようと思ったのだがそうもいかないみたいだ。

 

 どうゆうことかというと、席の順番はアレクシア、俺、ナツメ先生(ベータ)となっている。昨日からわかっていたがどうやら二人は相いれないみたいだ。まぁ同族嫌悪ってやつだ。人には好き嫌いがあるため別にどうのこうのいうつもりはないが俺を挟んでバチバチするのはやめて欲しい。なんか圧迫されてる気分になる。

 

 ベータが観客に所謂ファンサービス的なことをしていると、突然俺の腕に抱き着いてきた。その瞬間観客席から大きな悲鳴じみた声が聞こえてくる。彼氏いたのか―、俺のナツメ先生が―っといった具合に。思ってたより反応が大きいがこれに関しては想定通りだった。

 

ーーーーーーーー

 

 これは1時間前にさかのぼる。

 

 会場に入りアレクシアが知り合いの来賓の人たちに挨拶するとのことで行ったので時間ができ会場内を探検しているとベータに遭遇した。

 

「ベ―、いやナツメ先生もいらしたんですね」

 

 危うくベータと言いかけたがどこでほかの人が聞いてるかもわからないのでしっかりと有名作家とファンの学生が偶然会ったという設定で話す。

 

「はい。来賓として呼ばれたんです。トキ君もですか?」

 

「いや、俺はアレクシア王女の付き添いとして」

 

 その瞬間なぜかベータから殺気を感じた。名前聞いただけで殺気出すなんてどんだけ嫌いなのよ。

 

「そういえばトキ君、少しお話があるのですがどこか人目のつかないところに」

 

 そう言われたが会場には関係者やら観客がすでに多くいる中で人目につかないとなると少し厳しいかもしれない。ベータもすぐにそれに気づいたようでばつが悪そうにしている。

 

「仕方ない」

 

 俺はそう言いながら指パッチンをして時を止める。

 

「ベータこれでほかの人に聞かれることはない。話していいぞ。ここは今、俺とお前だけの世界だ」

 

 それを伝えるとクロノス様っといい感動している。

 

 わかる。わかるぞベータ。時の止まった世界に入れて感動してるんだな。何気に意図して時の門に入門させたのはベータが初めてだったりする。

 

 ベータの感動も落ち着き本題に入る。

 

「実はクロノス様にお願いがあるんです」

 

「俺に可能なことなら協力するぞ」

 

「ありがとうございます。実はーー」

 

 ベータの話をまとめると、作家として次第に人気になっていったのはいいのだが顔が世間に広まっていくにつれ言い寄ってい来る男が複数いるとか。そのせいで任務をきたす可能性もあるかもしれないとのこと。そうならないようにナツメカフカには彼氏がいるそういう設定にしてほしいとのこと。

 

 正直これには悩む。アレクシアの彼氏という立場がある以上難しいのではないかと思ったが、ここは異世界。一夫多妻制は珍しくはあるがなくはない。とのことで引き受けることにした。

 

ーーーーーーー

 

 そして現在に至る。ナツメカフカが俺の腕に抱き着いた瞬間右隣のアレクシアからものすごい殺気を向けられる。そして思い出す。あ、アレクシアに言うの忘れてたと。つまり、アレクシアからすると恋人役の男がほかの女と仲良くしてる。そしたら関係が偽物であるとバレるかもしれないだろふざけるな。っといった具合か。それにしても殺気がすごい。今日だけだ。許してくれ。

 

 そんなこんなしているうちに女神の試練が始まった。

 

 あれからしばらく見ているがそもそも古代の戦士が出てこないことの方が多いのでただただ出場者が入退場を繰り返すだけのつまらないものとなっている。

 

 退屈だ―と思い聞いていると驚く名前が司会から出てくる。

 

「次、魔剣士学園所属シド・カゲノ―」

 

 シド・ガゲノーね。どこぞの馬鹿と同じ名前とは。え・・・え!?どういうことだ!あいつが出るなんて。というか観客席にいるのは見てるし、というか現在も座ってみてる。とりあえず真意を確かめよう

 

「ザ・ワールド」

 

 そして時は停止する。

 

「おーい、シドどういうことだよ」

 

「あ、トキが時間止めてくれたんだ。ありがとう。いやー僕も何が何だか分からないよ。申し込んだ記憶なんてないし」

 

「じゃあこの前みたいに誰かほかの人が申し込んだのか」

 

「でもここにあいつらいないしする人が思いつかないよ」

 

 あいつらというのはもちろんヒョロとジャガだ。

 

「それにしてもどうするんだよ」

 

「そこなんだよね。どうしよ」

 

「普通に戦ったら、お前の実力がばれるし逃げたらクレアからお仕置きが待ってるだろ」

 

「じゃあ第三の選択肢を作る」

 

「ほう。それは?」

 

「うやむやにする」

 

 そう言ってシドはシャドウに変身して会場のど真ん中に移動した。俺は頃合いを見て時を動かす。

 

 会場は突然現れたシャドウに驚いている。そして次にはシャドウは古代の英雄を呼び出した。ん?彼女は。シドが呼び出した人には見覚えがある。かつてシドの言ったでたらめが本当かどうか調べるのに実は昔ここに来ていた。当時の俺は10歳くらいだったので女神の試練なんてまともに参加できないしそもそも開催期間外だった。だからこっそり忍び込んでやった結果、彼女が出てきたのだ。そういえば名前聞いてなかったけどなんて言うんだろ。

 

 ベータと司教の話だと彼女はアウロラと言うらしい。へーそうだったんだ。ん?アウロラ、どっかで聞いたことあると思ったら魔神ディアボロスじゃん。彼女がそうだったんだー。

 

 などと考えているうちに決着がついた。シドの勝利で。そうすると異変が起きる。昔の経験からすると確か扉が現れるんだよな。

 

 そして扉が現れると同時にアルファたちも到着したらしい。ま、これだけの人数がいるんだ。俺が行く必要はないな。などと考えているうちにナツメ先生が人質に取られてしまっているじゃないか。

 

 これに関して俺はどうしたらいいんだろ。ナツメ先生を返せって言って戦えばいいのだろうか。何もしないのがいいのか。うーん悩ましいところだ。まぁアレクシアたちが動かない限りは俺も待機してよ。

 

 それより聖域がもうすぐ閉じそうだ。俺は目でイプシロンに早くいくように促す。それにイプシロンは頷いた。

 

「私たちも聖域に入る。ついてこいハゲ」

 

「そんなに行きたいなら貴様だけで行くがいい。あの世にな」

 

 司教の言葉に合わせてイプシロンの背後に現れた。半日座って退屈な時間を過ごしたんだ少しぐらいは発散させてくれ。

 

「Time Alter」

 

 時を止め俺はそいつを切り刻む。切り刻んだ後は何事もなかったかのように元の位置に戻る。

 

「な!?ベノムが一瞬で!貴様何をした」

 

 イプシロンにはウインクして俺が始末したことを伝えておいた。そしてイプシロンとほか数名+ベータを連れシャドウガーデンのメンバーは全て聖域の中に入った。あとは彼女たちに任せるだけだ。

 

「さ、アレクシアかえr・・・・え」

 

 アレクシアの方を見るとローズ会長と共に飛び込む準備をしてるじゃないかしかも次の瞬間には飛び込んだ。そして俺だけが残される。

 

「まじかよ」

 

 ま、あいつらがいればアレクシアたちが死ぬことはないだろ。ん?そういえばあそこって魔力制限されてたよな。今の俺は分からないが扉に入った時、大体3,4年くらい前になるがその時の俺でもあの空間の中で魔力を練るのは苦労したものだ。

 

 そいうえば、アウロラ(名前はさっき知ったが)元気にしてるかな。閉じ込められてるみたいだったから助けてあげたかったけど当時の俺では無理だった。今の俺なら可能かと思うも扉はもう閉まってしまった。

 

「ま、どうしようもないし帰るか」

 

 そうして一人会場を後にした。




高評価してくださった方ありがとうございます!

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