会場に一人取り残されやることもないので宿に帰ろうともどってる途中、会場に現れたものと同じだと思われる扉が目の前に現れた。
「わざわざ俺の目の前に現れるということは入れってことだよな」
別にやることもないのでせっかくお招きいただいたんだから入ろうか。
扉をくぐると真っ白な空間が広がっていた。
「久しぶりだね。アウロラさん」
「久しぶりね。トキ君。まさかこんな早く再開できるなんて」
「すぐって言っても4,5年は立ってると思うけど」
「私にとって4,5年はすぐなのよ」
「そう言えばそうだったね」
「そういえばそろそろもう一人来るはずだけど」
「僕を呼んだのは君?」
「ん?シドじゃん」
「あれ?トキも呼ばれたんだ」
「まぁそんなところだ」
「それよりトキ早いとこ出口探そうよ」
「そうだな。でもその前に」
剣を抜いてアウロラの拘束を切る。
「ありがとうトキ君」
「この4,5年で俺も強くなってね今日こそは君を解放できそうだ」
実のところこの場所にはアウロラを開放するため来ようと思っていたのだ。ただ、今回は女神の試練とかで人が多かったのでそれが終わり人が減ってから行こうと思っていたんだよな。
「そうだシド、さっき闘ったから顔は覚えてるだろうが彼女の名前はアウロラだ」
「あ、そうなんだ。それでトキとアウロラさんは知り合いなの?」
「昔、あったことがあるんだ」
「へーそうなんだ。それでここからどうやって出るの?」
知っていたが興味は0でここから出ることしか考えてないみたいだ。
「この聖域は古の戦いで作られたもの。記憶の牢獄よ中心にある魔力の核を壊せば私は出られるわ」
「私は?」
「安心しろ、出口は俺が知ってる。でも核を壊せば聖域自体が消滅するからひとまず核を壊しに行くぞ」
「りょうかーい」
「あとトキ君は知ってると思うけどここ魔力は使えないの。聖域の中心に近いから魔力が吸い取られるの」
それを聞くとシドは魔力を練ろうとするがすぐに消えてしまう。
「なるほどね。トキもできないの?」
「今ならできなくはないがそれ相応に大きくするには少しだけ時間がかかるな」
「さすが僕の相棒」
「昔も頼もしかったけどさらに頼もしくなってるわね。さ、行きましょ。トキ君は既にみた光景でしょうけど」
♢♢♢♢
景色はさっきと変わり木が生い茂り周りには施設が見える。さしずめ中庭といったところか。
「ここは?」
「彼女の記憶の中だ」
「そうね。とはいってもぼんやり覚えている程度だけど」
目の前に女の子が座り込んで泣いている。
「泣かないで。この手を見てて。何もないでしょ」
そして次の瞬間には花を出した。簡単な手品だ。女の子を慰めるのには笑ってもらうのが一番だ。
「はい、これ君に上げる」
「前も言ったと思うけど、ここは記憶。何をしても変わらないわよ」
「それでも女の子が泣いていたら慰めるでしょ」
「相変わらず優しいのね。でも先に進むにはこの記憶を終わらせなくてはいけない」
アウロラはそう言って泣いていた女の子もといかつての自分を叩いた。
「流石にひどくない」
「いいのよ自分だから」
俺は知っていたから驚かないがシドもさすがに驚いたみたいだ。そして次の瞬間また景色は変わった。
「次はやっぱここか」
「これは絶望的な戦場。それに人知れず介入する陰の実力者ありだね」
「お前ほんとぶれないよな」
そこから少し歩くとまたかつてのアウロラが泣いていた。
「剣を貸してもらえる?」
アウロラはシドから剣を借りてかつての自分に近づく。
「護衛は任せたわよ。ナイト様」
「了解」
アウロラが近づいていくとやはり死体が動き出し彼女を止めようとする。
「ま、ここは前回と同じか」
「どうするトキ?手伝う?」
「少し周りの雑魚を片付けてくれ、この記憶を終わらせるには彼女を切らないといけない」
「分かった」
俺は幼い日のアウロラに近づいて剣を構える。
「2度もごめんね。今度こそ終わらせるから」
俺が剣を振り下ろすとまた景色は変わった。
次に現れたのは巨大な扉とその前にある剣がある部屋だ。
「ここが最後の部屋っぽいけどそうなの?」
「ああ、この扉の奥に核があってそれを破壊すればこの聖域は消滅する。前回俺はここで断念することになったがな」
俺は前回来た時扉にある鎖を切る手段を持ち合わせておらず諦めることになった。ここは聖域の中心部で魔力がほとんど練れない。今ではある程度は練れるが当時の俺はまだ未熟であったため魔力をうまく扱えなかった。
「さっきから気になっていたけどそこにある剣は何なの?抜いてみてもいいかな?」
「いいぞ。お前ならすぐに意味が分かるはずだ」
シドは早速剣を抜こうとするがすんなり抜くことはできず次第に力任せになっていた。
「なるほど、選ばれしものにしか抜けない剣というわけか。テンプレだな」
「なっ!本当にすごいわねあなたたち。トキ君もだけどなんで暗号化されたものをテンプレとして理解してるのかしら」
驚いているとこ悪いがこれはゲームとかではよくあるんだよな。
「本来ならこの剣できるらしいんだがこの剣が抜けない以上ごり押ししかないだろ」
「そうだね。トキいけそう?」
「いけなくはないが実行したらお前も吹き飛ぶぞ」
「それは困るね」
「だからお前がやってくれ。いけるか?」
「もう少し待ってよ、もうすぐいけるから」
「了解」
シドが魔力を完全にためるまで暇なのでアウロラさんと話したりしてしばらく時間をつぶしていた。
話しながらゆっくりしているとこの空間に新たに人が来るみたいだ。
「この展開から行くと主人公かな?」
「その場合どうするんだよ。こんな格好じゃただのモブだぞ。それにモブがこんなところいるわけないから結果的に俺らはただの不審者だ」
「うーん。せっかくだし主人公の顔も見ときたいんだよね。今後の展開のために。顔見たら離脱する方針で。お願いね」
「俺だよりかよ。まあいいけど」
シドが言ってるのは主人公の顔を見た瞬間時間を止めて離脱するということだろ。全く時間停止をそんなことに使いよって。まぁ別にいいけど。
そしてついに主人公が姿を現す。
「えっと、ハゲだね」
「変な恰好してるおっさんだな。これが主人公とかないだろ」
現れたのは赤と黒のぴちぴちスーツを着た変なおっさんと女の子。おっさんのぴちぴちスーツなんて需要ないんだからその女の子と衣装変えろよ。
「これはあれだね。敵が先回りしたってやつ」
「なるほど。なら倒しても問題ないか」
「貴様らさっきから何をごちゃごちゃと」
「あーきにしないでくれ。こっちの話だから」
それよりあのおっさんがつれている女の子アルファに似てるな。そういえばこの聖域に英雄オリヴィエの象があってそれもアルファそっくりだったよな。つまるところこの女の子は英雄オリヴィエのクローンといったところか。
「残念だったな、貴様らにその扉は開けん。そこの小僧らも災難だったな、魔女にたぶらかされたせいで貴様らはここで死ぬことになるのだからな。このオリヴィエに切り刻まれてな」
お、やっぱりそうだったみたい。
「さて、ここは俺がやるか。今日は退屈な一日だったからな。発散しないと」
女神の試練が面白いと思ってたのになんの変わり映えもない光景が一日中続いていて正直ガッカリしたし、暇で仕方なかった。それなのにシドはアウロラと戦って満足してんだ。こっちも暴れないと満足できんわ。
「なら任せるよ」
俺は腰に下げていた剣を抜きながら前に出る。
「駄目よ!彼女は」
「問題ないよ。すぐにとは言えないけどある程度早く終わらせるよ」
「恨むなら私でなくその魔女を恨むがいい」
「恨む?なんでさ、せっかく楽しそうな相手を用意してくれてるからむしろ感謝だよ」
「貴様気でも狂っているのか?それとも自分と相手の力の差を理解できない愚か者なのか。まぁどちらでもよい。ここで死ぬことに変わりはないのだからな。行けオリヴィエ」
おっさんがそう言った瞬間、ものすごいスピードでオリヴィエが接近してくる。普通なら魔力なしでは反応できないそうだ。ここは吹き飛ばされておくか。
そこからしばらくパズルゲームでコンボを重ねるかのようにしばらく吹き飛ばされたものだ。なるほどな、これがかつて英雄と呼ばれた存在か。
「OK、大体わかった」
「なぜだ、なぜまだ貴様は生きている」
「簡単だ、彼女は複製体。複製体は決まって模範的な行動しかしないから相手を殺すとしたら基本的に心臓と頭を狙ってくる。だからそこを守っておけば問題ない」
「だが、貴様とオリヴィエの差は明白だ。その余裕がいつまで持つかな」
「やめて!」
そうアウロラさんが叫んだ。
「待ってアウロラさん。トキはこんな心がない相手に負けるわけないよ」
ナイスだシド。今、シドがアウロラを説得してるからそのうちに終わらせるか。
「そいつを殺せ、オリヴィエ!」
また、オリヴィエが向かってくるが様子見は終わりだ。オリヴィエの攻撃を受け止めて、そこに蹴りを入れる。この蹴りはダメージを与えるものではなく体制を崩させるためにやった。そして狙い通り体制を崩した彼女に剣で一撃を加え吹き飛ばす。
正直、ここで殺すことはできたがせっかくなのでもう少し楽しませてくれ。
「バカな、なぜ魔力の使えぬやつがオリヴィエを吹き飛ばせる」
「せっかくだ教えてやろう。俺は温度を操れるからな。それで俺の肉体の温度を39℃まで上げることで身体能力を人間の極限まで上げる。だがそれだけではまだ足りない。そこに呼吸を合わせ筋肉の動きも調整すれば魔力を使わずともこれほどの威力になる」
体温を39℃にするのは難しく実践する人間など皆無だろうが、呼吸法は武術を極める上で大事なものであり武術の心得がある人なら呼吸法がもたらす効果を理解しているだろう。
「さて、終わらせるか」
もう少し遊ぼうかとさっきは思っていたがさっきからひやひやしながら見ているアウロラを見て長引かせるのは悪いと思ったからだ。
もう一度息を吸い、吐くタイミングと同時に踏み出し、オリヴィエに接近する。彼女は言って遅れて反応するが時すでに遅し。俺の剣は彼女の体に深い傷をつけ、彼女は血を吹き出しながら倒れていった。
「バカな、オリヴィエが魔力の使えぬ人間に倒されただと」
「それで、次はおっさんが相手をしてくれるのか?」
「まさか、教えてやろう。この聖域には我々にすら図りしえない魔力が眠っているのだ。だからこういうことも可能なのだ」
この空間の壁一面全てにオリヴィエの複製体が映し出され、次々と襲い掛かってくる。
さすがにこのままでは少しどころかかなり不利だ。というか死ぬ。
「これが聖域の力だ」
そろそろ、シドもいいだろうな。
「遊びは終わりだ!」
そう言って魔力を解放し、その影響を受けこの空間が綺麗な青色に染まる。
長くなるからここまでで。よければコメントや高評価お願いします!
七陰列伝や番外編みたいな話を入れるか?
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もちろん、入れる
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いらん