そして舞台は移り川になった。
「クロノス、貴様にも魔女の秘術をお見せしよう」
シャドウの位置から水が竜のようにほとばしり俺を追尾してくる。なるほどアウロラの技か。
さらにその水を細くとがらせたものが俺に降り注ぐ。手数は確かに多いが純粋な水は魔力伝導率が弱いためそれほどまでに脅威にはならない。だが、それは一般人の場合。魔力の操作にたけている俺にとってはこの水でも十分だ。
「魔女の秘術、面白い。ならばこちらは魔術をお見せしよう。とはいっても貴様にとっては目新しくないと思うがな。凍てつけ、フリージング・コスト」
俺を中心とし水が凍り付く、シャドウの操る水柱も例外ではない。
「それではここから秘術をお見せしよう」
俺は張っている氷を足で砕き空中に氷を浮かばせる。
「穿て、ダイヤモンドブラスト」
魔力で操作し、氷の塊を鋭い氷の柱に変えシャドウに飛ばす。シャドウは氷の矢をさほど脅威としておらず避けることなく迎え撃とうとしている。
「言っただろ、秘術だとな」
「!?」
スライムソードで砕かれると思われた氷の柱は、ぶつかる前に水に代わる。水はその斬撃を避け背後に回り再び氷の柱となりシャドウを貫いた。
「クッ・・・・まさか途中で状態変化を起こすとはな」
「知っているだろ、俺の魔力は温度に干渉できる。これも同じだ。氷に俺の魔力を乗せ衝突するときに温度を上げ水に変化させ衝突を回避、その後再び氷に変化させてお前を貫いた。ただそれだけよ。さてどうする?この場に俺の武器は山ほどあるぞ」
「この場では我が不利だな。場所を変えよう」
シャドウはこの場は自分が不利と分かり川を後にし再び町中に戻った。
「やはりそう来るよな。ここで間髪入れずに時間停止だ。切リ離シタ宇宙」
「ここで時間停止か!」
「私は考えた。シャドウ貴様はいったい何秒動けるのかと。私は常日頃から停止した世界を作り出し稼働時間を上げている。だが貴様は停止した世界に入るのはこれで5回ほど、それだけで何秒動けるか見せてみよ」
時の止まった世界でシャドウと剣をかわし続ける。しかしシャドウはこの止まった世界で動くにはかなり神経をすり減らしているようだ。
今まで10、剣で打ち込めば10返されてきたが今では9しか返されていない。10回中1回しか攻撃が当たっていないのかと思われるがこの1は大きい。確実にシャドウへダメージを与えている。
「一か八かだ、アイ・アム・スモール アトミック」
「っ!ここでアトミックを使うとはな。チッ・・・・時は動き出す」
俺が押していたはずだがカウンターとしてシャドウの半径3メートルほどの範囲のアトミックを使われ距離を取られてしまった。しかも完全には避け切れることができずに少しダメージを食らってしまい、時の停止の制御がぶれてしまった。
それがターニングポイントとなり押していたはずだが俺が今度は逆に押されている。シャドウの攻撃を防いでいるはずなのに完全には防ぎきれておらず切り傷がどんどん増えていく。
シャドウは決め手に欠けると思ったのかより多くの魔力をスライムソードに乗せてくる。
好機!威力は上がるがほんの0.3秒の遅れが生じた。
「再び時を止める!Time Alter」
時は再び停止する。
「危なかった。シャドウ貴様が先ほどスモール・アトミックを使ったのはもはや時の止まった世界で動くのが限界だったのだろう。そして貴様は現に動けていない。焦ったな。そのままじっくり攻撃していれば勝てたものを。勝負はこれでおしまいだ。シャドウ!」
十分に魔力を込めた斬撃でシャドウを切り、地面に叩きつけた。
「時は動き出す」
おそらく気絶くらいはシャドウを見に向かおうとした瞬間、無数の斬撃が俺の体貫く。
「グハァ・・・・なんだ、何が!」
すぐに回復をしなくては。一箇所、二箇所ではない少なくとも10箇所は貫かれた。
回復を試みたが、殺気を感じ後ろを振り返ると先ほど斬撃を与え地面に叩きつけたはずのシャドウが居た。
無数の斬撃を受けたこととシャドウの登場に思考が追い付かず防御が間に合わない。そのまま防御できずシャドウの斬撃を体に受けてしまった。さらに先ほど俺がやったように蹴りを入れられ地面に叩きつけられる。
「クッ・・・・一体、何が・・・・」
今までみたく決して浅い傷ではなく治療を怠れば致命傷につながりかねないダメージだ。
「貴様ならあの状況で時を止めると信じていた。何が起こったのか教えてやろう、クロノス」
「ぜひとも・・・・聞かせてもらいたいね」
少しでも会話を引き延ばし回復しなくては。
「あの魔力の込めた攻撃は囮でしかない。その隙に魔力を込めた斬撃を貴様が時を再び動かすときにいると思われる位置にあらかじめ飛ばしておいた」
「まさか、俺が背後に回ると知って・・・・」
「そうだ、貴様は背後に回ることが多いからな。その癖を利用させてもらった。正直賭けではあったが見事お前は斬撃を食らった。そして貴様が背後に回ると予測できれば必然と切られる部分は背中になる。時が止まる前に背中に魔力を集中させ瞬時に回復、ダメージを食らって動揺している隙にこちらが背後に再度攻撃したわけだ」
「まさか・・・・そこまで読んでいたとはな」
「このダメージで貴様はためていた温度をすべて放出し時間停止はもうできない」
シャドウの言う通り、俺の保有していた温度はすべて放出され時を止めることはもうできない。
「俺の負けか・・・・」
話を引き延ばしたくらいで治癒できるほどの傷ではなかった。堂々と治癒できたら話は変わるだろうがシャドウがそれを許すはずもないのでこっそりとやっていたがそれでは雀の涙程度にしかならなかった。
「しばらく寝ているがいい」
そして次の瞬間には血しぶきが舞った。
七陰列伝や番外編みたいな話を入れるか?
-
もちろん、入れる
-
いらん