時を止める実力者になりたくて   作:Mr.不器用

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俺にこの力を使わせるなよ

 新月のある夜、二人の男が部屋で模様替えを行っていた。

 

「この絵はここだな」

 

「そうだね。僕もそこがいいと思ってたよ」

 

「あと、あれとあれ位置変えた方がいいんじゃないか?」

 

「んートキもやっぱりそう思う?でもそうすると変な隙間が空いちゃうんだよね」

 

「だったら、これをこうしてこうするのはどうだ?」

 

 シドの陰の実力者部屋を作り始めてからはや1時間あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り返していた。

 

 さらにそこから1時間がたち

 

「よし、こんなもんかな」

 

「なかなかいい部屋ができたな」

 

「これもトキのおかげだよ」

 

「お前のこっちの考えは理解できるからな。拷問されて喜ぶ感性には理解できないが」

 

「いや、あれは拷問されて喜んでたんじゃなくてモブっぽいことができたから喜んでたんだよ」

 

「同じだろ。それよりベータが来るぞ。ベータの魔力反応が近くなってきている」

 

「了解。それにしても魔力探知って便利だよね。今度僕にも教えてよ」

 

「これも時間停止の副産物だからな。まぁお前なら俺よりは範囲は短いだろうができると思うぞ」

 

 魔力探知、その名の通り相手の魔力をたどり相手がどこにいるかが分かる。範囲はあるが範囲内にいれば動きは手に取るようにわかる。使用には精密な魔力操作がいる。

 

「お、来たみたいだぞ」

 

「よし、じゃあ手はず通りね」

 

 シドは椅子に座り、俺は壁に寄りかかる形でベータを待つ。そしてベータがいよいよ部屋に入ってくる。

 

「時はきた。今宵は陰の世界」

 

「わぁ、月の隠れた今宵はまさに我らにふさわしいですね。準備が整いました」

 

「そうか。時がいよいよ満ちたか」

 

「アルファ様の命により動員可能なものはすべて動員しました。その数114人」

 

「114人」

 

「も、申し訳ございません。今、動員できるのはこれが最大でして」

 

「エキストラでも雇ったのかな?」

 

 あ、やべこいつにシャドーガーデンのメンバー数なんて言ってなかったわ。全部で600人もいるなんて言ったら驚くだろうな。まぁ今は言わないが。読唇術を使いシャドウに伝える。

 

(雰囲気が壊れる。少し黙ってろ)

 

(了解)

 

「我もシャドウも正直ここまで集められるとは思っていなかったのでな。よくぞここまで集めたベータ感謝する」

 

「そ、そんな。当然のことをしたまでです。作戦は王都に点在しているディアボロス教団フェンリル派の同時襲撃そしてクロノス様が見つけてくださったアレクシア王女の救出。全体指揮をガンマが現場指揮をアルファ様が執ります。そして私が補佐を。イプシロンが後方支援、デルタが先陣を切り作戦開始の合図とします。部隊ごとの構成は」

 

「クロノス例のあれを」

 

 俺は懐に隠していた手紙をシャドウに投げシャドウがそのまま開封する。最初はシャドウがそのまま開封する予定だったが、それだとなんか物足りなくね?という話になり今の形にまとまった。

 

「デルタには悪いがプレリュードは僕が奏でよう。クロノス、貴様はどうする」

 

「我運命に従い行動するまでだ」

 

 シャドウと共に窓際に行き最後のセリフを言う。

 

『今宵世界は我らを知る』

 

 俺は早速シャドウと別れいまは時計台の上にいる。なんで時計台かって?かっこいいからという以外の理由があるか? 

 

 ひとまず俺はアレクシアの近くにいるやつが地上に出てきてから動き始めることにする。

 

「始まったか」

 

 近くのビルが派手に破壊された。おそらくデルタの仕業だろう。暴れるのは構わないが、少しは被害というものを考えて欲しい。

 

「来たかアルファよ」

 

「出てきたわよ。あなたが気になってる存在が」

 

「では行くぞ。アルファ。ついてくるがいい」

 

 魔力探知をしながら目的の場所に向かうと戦っている人物が一人いた。あれは・・・・アイリス・ミドガルか?まぁそんなことはどうでもいいが。俺は俺のやることをやるだけだ。アルファとともに地上に降りる。

 

「それが苦しめるだけだとなぜわからない」

 

「何者だ!」

 

「アルファ」

 

 ここではあえて名乗らなくていいだろう。アルファといる謎の黒い男そっちの方がかっこいいと思うし。

 

「いけるかしら?」

 

「今までよりも複雑になっている。また何か加えられたな。まぁどのみち問題ない。次に瞬きするころには終わっている」

 

「ポーズ」

 

 そして時は止まる。

 

「今こそ審判の時」

 

 それにしてもさらに魔力回路が複雑に絡み合っている。治すことならすぐにでも可能だがその場合かなりの後遺症が残ってしまう。完全に近い状態で回復させるには少し時間がかかる。

 

 俺がいま止めている範囲は王都すべてだ。止めていられる時間は最大にして10分。それまでにかたをつける。

 

 1分経過

 まだ魔力回路の解析が終わらない。思ったよりも複雑すぎる。これをしっかり把握しないと完全に治療できない。

 

 3分経過

 解析完了。魔力で治療しながら元に戻していく。これで戻っても後遺症はない。

 

 5分経過  

 問題なく終わった。あとは時を再び動かすだけだ。

 

「リスタート」

 

 時を動かし始めると同時に巨大な体は徐々に小さくなっていき少女の姿に戻る。

 

「終わったのね」

 

「問題なく。目的も達成できた。行くぞアルファ」

 

「貴様らは・・・・ま、待て!」

 

「貴様はまだ何も知らなすぎる。今の貴様に舞台に上がる資格はない。舞台に上がりたいのならこの世の深淵を見渡せ。せいぜい狩るべき相手を見誤るなよ」

 

 そう言い残し俺とアルファはその場を去った。

 

「ガンマ、この子を安全なところに連れて行ってやれ」

 

「クロノス様⁉」

 

 俺が来たと分かるとすぐに割らりにいた人たちが跪く。

 

「面を上げろ。もうじき終わるとは思うが気を抜くな」

 

 あとはシャドウが終わらせるだけである。あいつが俺以外に負けることなんてないだろうしもう終わるだろう。

 

「・・・・・・!!!まずい」

 

「どうされましたか?」

 

 悪いがガンマに答えている暇はない。あいつまさかやるつもりなのか。こんな街中で。

 

 アトミックを!

 

 あいつの魔力の使用量が上がったからまさかと思ったがやるつもりだぞ。あいつハイになってやがるな。近くにはアレクシアの魔力反応もある。あいつがアレクシアの存在を忘れてたらその時点で終わり。

 

 残り動けるのは5分。魔力量から大体の範囲は理解できた。それまでに何としても周辺にいる人を避難させなくては。

 

「スタープラチナ・ザ・ワールド」

 

 スタープラチナ・ザ・ワールドは高速で動くことで時間を超えて動く。この瞬間にこそ相応しい。

 

 魔力で身体能力を限界まで引き上げ周囲にいる人を探す。避難誘導のおかげか思っていたよりも人はいなかったので2分で済んだ。

 

 あとはアレクシアだけなので身体強化のレベルを下げて魔力を温存しながら行く。

 

「まじかよ。アレクシアがこんな近くにいるのにやるつもりだったのかよ」

 

 本当はここで蹴り一発食らわせてやりたかったが、今はやめておく。アレクシアを治療してから抱えて安全な範囲まで行く。

 

「そして時は動き出す」

 

「え?ここは?傷が治ってる」

 

 ま、当然の反応だな。いきなりあの暗い地下から地上に出てきたんだ。困惑して当たり前だ。

 

「安心しろ王都だ」

 

「⁉あなたは何者なの?その恰好からしてシャドウの仲間なの?」

 

 同じ黒い服着てるしそうなるよな。

 

「我が名はクロノス。時を刻み時を支配するもの。シャドウは我覇道を進む友であり相棒だ。見ていろ。あれが頂点だ」

 

 おそらく、アトミックがそろそろ来る。予想通り次の瞬間には紫色の光が王都を包む。

 

「あれが人間に許された力なの?」

 

「言っただろうあれが頂点だと」

 

「・・・・あなたもこんなことができるの?」

 

「シャドウが破壊だとしたら我は再生だ」

 

 これは正直使うとかなりしんどい。これを使うとしばらく本当に動けなくなるからな。でも仕方ない

 

「生と死の刹那に未知の結末を見る(ウィーウェ・メモル・モルティス=アクタ・エスト・ファーブラ)

 

 次の瞬間シャドウのアトミックで破壊された場所は全て元どうりになっていた。

 

「うそでしょ。一瞬にして戻るなんて。何をした・・・・の」

 

 アレクシアが振り返った時にはすでにクロノスはこの場を去っていた。

 

♢♢♢♢

 

「はぁはぁはぁ・・・・力を使いすぎた。あいつ、破壊しすぎだ。ある程度なら放置でいいがあれはやりすぎだ。再生するこっちの身にもなってくれ」

 

 今のは時を戻して再生させた。5年前からひそかに練習していたのだ。時を戻すのはかなりの力を使う。時間停止みたいに気軽に使えるものではない。それに今回は戻した範囲が大きいから今すぐにでも倒れそうだ。唯一の救いは破壊されてから数秒しかたっていなかったため再生できた。これで時間もたっていたら俺でも無理だ。まだまだ練習がいるな。

 

「クロノス様!」

 

「ベータか。いいとこに来た。すまない、再生に力を使いすぎた。肩を貸してくれ」

 

「わかりました!」

 

 部下に肩を貸してもらうという形で今回の事件は幕を閉じた。なんとも締まらないな。これもすべてシャドウのせいだ。あいつがアトミックを使わなければこんなことにはならなかったのだ。まぁ楽しかったし良しとするか。

七陰列伝や番外編みたいな話を入れるか?

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