TSホビアニ転生:悪のTCG組織で実験体やってたけど、いつの間にか滅んだらしい   作:WhatSoon

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#18 ランド・デストラクション

「私のターン。カードを引いて、1枚マナへ」

>ニーナ:ターン6

>ニーナ:手札4→4

>ニーナ:マナゾーン5→6

 

 

自分の場へ目を向ける。

1/2の『スパルトイ』のみ。

 

対して相手の場には『大式神 土蜘蛛』。

5/5の高能力値(ステータス)と、死亡時のデッキサーチ。

更に、毎ターン自身のマナゾーン枚数以下のクリーチャーを踏み倒せる『根源の火』。

 

場の有利は間違いなく、アキラにある。

 

しかし、手札とマナゾーンの枚数はどうか。

私の手札は4枚……それも複数回発動した手札交換カードによって、質を高めた手札だ。

マナゾーンはこのターン設置したため、6。

 

対してアキラの手札は1枚。

マナゾーンの枚数も『根源の火』のターン終了時効果によって4となっている。

 

 

「…………」

 

 

思案。

 

相手の『大式神』サイクルクリーチャーは、死亡時に対応した次の『大式神』をサーチする。

破壊してもリソースを削る事は出来ない。

 

そして、相手の場に『根源の火』がある限り、アキラは毎ターンマナを5つ踏み倒せる。

つまり、10近くマナを使えるという事だ。

 

だが、幾つか……いや、多くの弱点が存在する。

 

その一つ。

まずは──

 

 

「私は手札から『穢血の魔術師』を召喚」

>ニーナ:手札4→3

>ニーナ:マナ6→1

 

 

私の場に、血痕が付着したローブを着た、痩せた女が現れた。

────────────────

⑤穢血の魔術師

クリーチャー・カード

種族:テラー・ウィザード

召喚時:相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する。

パワー3/タフネス3

────────────────

 

 

「『穢血の魔術師』の召喚時効果。相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する」

 

「けっ、マナ破壊かい」

>アキラ:マナゾーン4→3

 

 

そう、アキラのデッキ……正確には『根源の火』の弱点。

それはマナ破壊(ランデス)だ。

『根源の火』は強力な踏み倒し効果を持っているが、その代償として毎ターン終了時にマナゾーンからカードを破棄しなければならない……つまり、マナの最大値が固定され、伸びないのだ。

毎ターン開始時にマナゾーンへカードを置かなければ、現在の最大値すら維持できない。

 

そこに、マナ破壊をぶつければどうなるか。

 

最大値が5から4に固定され、『大式神』サイクルクリーチャー達をプレイ出来なくなるのだ。

 

 

「そして『スパルトイ』でアキラへ直接攻撃」

>スパルトイ(1/2)

 

「……チッ」

>アキラ:ライフ16→15

 

 

少しでもライフを削り、圧を掛けていく。

そして、さらに。

 

 

「私は呪文(スペル)『闇への供物』を発動。『スパルトイ』を破壊し、カードを引き……更にこの呪文(スペル)をマナゾーンへ置く」

>ニーナ:手札3→3

>ニーナ:マナ1→0

>ニーナ:マナゾーン6→7

────────────────

①闇への供物

呪文カード

自分の場のクリーチャーを1体破壊する。

その後、カードを1枚引き、このカードをマナゾーンへ置く。

────────────────

 

 

これで更にマナ差を開けた。

『根源の火』……その二つ目の弱点。

一つ目の弱点と同様だが、別の側面。

 

マナゾーン枚数が伸ばせないこと……それはつまり長期戦に弱いという事だ。

普通、『WoM(ワールドオブマジック)』においてターンが重なればマナの最大値も増えて、強力なカードを使えるようになる。

しかし、アキラにはそれが出来ない。

 

長引けば長引くほどマナ差が広がり、私が有利になる。

 

 

「私はこれでターンを終了する」

 

 

更に……『大式神』の死亡時効果によるサーチを回させないために、『大式神 大蜘蛛』の体力値(タフネス)を上回るクリーチャーを出さなかった。

これで後続は用意できない。

マナがあったとしても、カードをプレイできなければ意味がない。

 

 

「ワイのターンや。カードを引いて、1枚マナへ置く……」

>アキラ:ターン6

>アキラ:手札1→1

>アキラ:マナゾーン3→4

 

 

想定通り、アキラのマナ最大値は4になった。

これではコスト5の『大式神』クリーチャーはプレイできない。

 

……そんな私の思考に対して、アキラが目を細めた。

 

 

「一瞬でワイのデッキの弱点を見抜くその観察眼……流石やと褒めたるわ」

 

「……どうも」

 

 

対戦相手である私を褒めるような言葉──

 

 

「でもな。このデッキレシピは遥か昔に吉祥院家が組んで、そっから歴代の当主が調整を積み重ねてきたデッキや」

 

 

そして、アキラが手札を1枚バトルディスクへ叩きつけた。

 

 

「そん程度の弱点はなぁ、既に克服しとんねん!ワイは手札から呪文(スペル)『神秘の邂逅』を発動するで!」

>アキラ:手札1→0

>アキラ:マナ4→0

 

 

その、温存していたであろう1枚を。

 

 

「『神秘の邂逅」、その効果はカードを2枚引いて1枚マナに置く!」

>アキラ:手札0→1

>アキラ:マナゾーン4→5

────────────────

④ 神秘の邂逅

呪文カード

カードを2枚引く。

その後、手札を1枚マナゾーンに置く。

────────────────

 

 

マナ加速カード!

 

先程アキラは歴代当主が調整した……と言っていた。

私と同様にマナ破壊が弱点なのだと、そう認識していた当主が居たという事。

マナ破壊に対する対策カードを搭載したのだ。

 

それがマナ加速。

マナ破壊と真逆の効果を持つカード。

 

 

「これでワイのマナゾーンの枚数は5に戻った」

 

「…………」

 

 

再び、マナゾーンの枚数が5へ。

『根源の火』により無料(タダ)で5コストのクリーチャーを場に出せる。

 

だが、残りの手札は1枚。

2枚引いて、1枚マナへ置いた残り。

そんな都合よく、クリーチャーを用意できるのか──

 

 

「ワイは『根源の火』の効果を発動する!」

 

 

いや……そうか。

彼のデッキには5種類の『大式神』クリーチャーが採用されている。

いずれかの枚数が0になれば、サーチ効果が止まってしまいアドバンテージを稼げなくなる。

ならば各々が1枚ずつではなく2枚以上……つまり各々複数枚の採用されている可能性が高い。

1枚ずつなら5枚。

2枚ずつなら10枚。

……最大値の4枚ずつなら20枚も採用している事になる。

 

それだけデッキに存在するコスト5クリーチャーの比率が上がる。

 

2枚も引けば1枚は『大式神』クリーチャーを引ける可能性は高い。

彼は自身のデッキ、そして自身の運を信じて素引きした。

そして、新たな『大式神』クリーチャーを引き寄せたのだ。

 

 

「ワイが場に出すのは『水』の大式神や!『大式神 水竜』を場に出す!」

>アキラ:手札1→0

 

 

場に青い竜を模した、式神が現れた。

────────────────

⑤大式神 水竜

クリーチャー・カード

種族:スピリット・ドラゴン

ターン終了時:カードを1枚引く。

死亡時:デッキから「大式神 木霊」を手札に加える。

パワー2/タフネス5

────────────────

 

ターン終了時にカードを引く効果……!

『大式神』共通の効果である死亡時サーチ効果も加えて、確実にカードを2枚増やされてしまう。

 

 

「そんでもって、ワイは自分の場におる『大式神 土蜘蛛』で『穢血の魔術師』を攻撃するで!」

 

 

土蜘蛛が大地を踏み砕き、突進する。

>大式神 土蜘蛛 (5/5)→(5/2)

>穢血の魔術師 (3/3)→(3/0)

 

これで私の場はガラ空き。

対してアキラの場には体力が残った『大式神 土蜘蛛』、毎ターンドローできるシステムクリーチャー『大式神 青竜』が存在している。

どちらも場に残せばライフアドバンテージや、ハンドアドバンテージを稼がれてしまう。

 

厄介だ。

 

 

「これでワイのターンを終了……その瞬間に、『大式神 水竜』の効果でカードを1枚引くで」

>アキラ:手札0→1

 

 

カードを引いたアキラは、ニヤリと笑った。

 

 

「そんで『根源の火』のデメリット効果処理。マナを1枚破棄する」

>アキラ:マナゾーン5→4

 

「……私のターン。カードを引いて、1枚マナへ置く」

>ニーナ:ターン7

>ニーナ:手札3→3

>ニーナ:マナゾーン7→8

 

 

相手の場に『大式神 土蜘蛛』と『大式神 水竜』。

対して私の場はガラ空き……除去しなければライフを守れない。

しかし、除去すれば後続である、次の『大式神』をサーチされる。

 

……次ターン以降の妨害をしつつ、相手の場を空けたい。

相手の場を開けつつ、後続の用意はさせたくない。

 

ならば──

 

 

「私は手札から『無貌なる臓物人形』を召喚」

>ニーナ:手札3→2

>ニーナ:マナ8→4

 

 

私の場に赤黒い血肉で出来た人形が現れた。

────────────────

④無貌なる臓物人形

クリーチャー・カード

種族:テラー

召喚時:墓場に存在するコスト5以下のクリーチャーを選択する。

そのクリーチャーが「召喚時」効果を持つなら、その効果を得る。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

「『無貌なる臓物人形』の召喚時効果。それは墓場に存在するコスト5以下のクリーチャーの召喚効果をコピーすること」

 

「墓地利用やと?」

 

「私が対象とするのは『穢血の魔術師』。その効果は……マナ破壊」

 

 

私の場に存在する『無貌なる臓物人形』が形を変え、ローブを着た女性を真似る。

────────────────

⑤穢血の魔術師

クリーチャー・カード

種族:テラー・ウィザード

召喚時:相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する。

パワー3/タフネス3

────────────────

 

 

「チッ、しつこい奴やな!」

>アキラ:マナゾーン4→3

 

 

これで次ターン、マナ加速をしなければ『大式神』は出せない。

マナ加速をしても、マナ加速カードによってコストを食われるため、1体しか場に出せない……筈だ。

 

だが『無謀なる臓物人形』の本体は召喚時

効果。

その能力値(ステータス)は1/1と貧弱だ。

それに、相手の場には2体の『大式神』が存在する。

 

このままで場の主導権は握れない。

……そう、このままでは。

 

 

「…………」

 

 

指を滑らせて、手札のカードをバトルディスクに置く。

 

 

「私は手札から呪文(スペル)『大いなる再臨』を発動。コスト4の『無貌なる臓物人形』はコスト6の進化クリーチャーへと進化する」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ4→2

────────────────

②大いなる再臨

呪文カード

自分の場の「テラー」クリーチャー1体を選択する。

選択したクリーチャーより2つ、または1つコストが高い「テラー」クリーチャーを、エクストラ・ゾーンから重ねて進化する。

────────────────

 

 

「なっ、進化クリーチャーやと!?」

 

 

『大いなる再臨』により、臓物人形が姿を変える。

肉を突き破り、霊魂が剥き出しになる。

 

 

「『無貌なる臓物人形』は『憑依する悪霊 ギブモシュ』へ進化する」

 

 

肉の檻から解き放たれた魂は、青白い怖気へと姿を変え……半透明の『何か』になった。

────────────────

⑥憑依する悪霊 ギブモシュ

エクストラ・クリーチャー・カード

種族:テラー

進化元:種族「テラー」クリーチャー

進化時:相手クリーチャー1体を選択する。

次の自ターン開始時まで、選択したクリーチャーのコントロールを得る。

パワー2/タフネス2

────────────────

 

 

「『憑依する悪霊 ギブモシュ』の効果。相手の場のクリーチャー1体のコントロールを、ターン終了時まで奪う。私が対象に選ぶのは『大式神 土蜘蛛』」

 

「コントロール奪取……くそ、厄介な効果を使いよる!」

 

 

相手の場にいる『大式神 土蜘蛛』に悪霊が殺到する。

そうして凡そ正常とは言えない挙動で、私の場に移った。

 

 

「そのまま、コントロールを奪った『大式神 土蜘蛛』で『大式神 水竜』へ攻撃。その双方を破壊する」

>大式神 土蜘蛛 (5/2)→(5/0)

>大式神 水竜 (2/5)→(2/0)

 

 

『憑依する悪霊 ギブモシュ』でコントロールを奪えるのはターン終了時まで。

しかし、こうして別の相手クリーチャーにぶつける事で自壊させれば、ターン終了時に返さなくても良い。

 

今回は丁度、2体の攻撃力(パワー)体力(タフネス)が合致して上手くいった。

 

そして──

 

 

「チッ、せやけど死亡時効果は使わせて貰うで!ワイは『大式神 水竜』の効果で『大式神 木霊』をサーチする!」

>アキラ:手札1→2

 

 

クリーチャーの『死亡時効果』は最後にコントロールしていたプレイヤーに適用される。

つまり、コントロールを奪って特攻させた『大式神 土蜘蛛』の死亡時効果を、アキラは使えない。

 

 

「…………」

 

 

しかし、『大式神 水竜』の死亡時効果は使われてしまった。

このターン、マナ破壊によりアキラの最大値は4であるとはいえ……こうして後続サーチをされると拙い。

 

デッキ圧縮されるからだ。

今、アキラは手札にマナ加速カードを引きたい筈だ。

『大式神』サイクル・クリーチャーを引きたくないだろう。

 

故にデッキに眠る『大式神』クリーチャーをサーチによって減らし、通常のドローで引く確率を下げたいのだ。

 

 

「私はこれでターンを終了」

 

「へっ、ワイのターン!カードを引いて、マナへ置くで!」

>アキラ:ターン7

>アキラ:手札2→2

>アキラ:マナゾーン3→4

 

 

現在、アキラのマナゾーン枚数は4。

手札に加えた『大式神』をプレイする事はできない。

『根源の火』で踏み倒す事もできない。

 

これでマナ加速がなければ、アキラのデッキは動けない。

 

だが──

 

 

「ワイは手札から呪文(スペル)『新緑の芽吹き』を発動するで!カードを1枚引いて、このカードをマナへ置く!」

>アキラ:手札2→2

>アキラ:マナ4→1

>アキラ:マナゾーン4→5

────────────────

③新緑の芽吹き

呪文カード

カードを1枚引く。

その後、このカードをマナゾーンに置く。

────────────────

 

 

……やはり、そう簡単には勝たせてくれないか。

 

私は落胆……した訳ではなかった。

寧ろ、安堵した。

 

この程度で勝負が終わって欲しくない。

自然と、口角が上がっていくのを……私は自覚した。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

観客席から、ニーナとアキラくんのバトルを見る。

そんな中、僕のすぐ側にいるミユちゃんが口を開いた。

 

 

「あー!惜しい!アキラくんがマナ加速さえ引いてなければ勝ってたのに!」

 

 

その言葉には確かに同意する。

だが……偶然、マナ加速カードを複数枚引けた訳ではない。

 

僕はミユちゃんへ視線を向ける。

 

 

「アキラくんのデッキ、マナ加速カードがいっぱい入ってるんだ」

 

「えっ?」

 

「恐らく、3割……もしくは、4割程はマナ加速だよ。だから、ああして、複数枚引けるんだ」

 

「そ、そうなの?」

 

 

そう、アキラくんのデッキ。

その弱点は……マナ破壊(ランデス)による最大値を4以下にされた時。

そして、手札破壊(ハンデス)を喰らって使用できるクリーチャーが存在しない時。

 

その二つを解消するために、マナ加速カードと、手札増強カードを多く含んでいる。

コスト5の『大式神』クリーチャーをメインギミックとして、残りはそれらを補助するためのドローカードとマナ加速で埋めていた。

 

他に勝ち筋を用意しない事で、デッキの安定性、そして妨害への対処を充実させているんだ。

 

そういう意味ではニーナのデッキとは対極だ。

彼女のデッキは様々な状況に対応するために、ピンポイントのメタカードを複数種類投入している。

勝ち筋は一辺倒ではなく、安定性も……アキラくんのデッキに比べれば低いだろう。

 

 

「でも……ニーナちゃん、折角マナ破壊(ランデス)しても、マナ加速を打ち返されちゃったら厳しいよね……」

 

「いや……それはどうだろう。そもそも、ニーナの想定範囲内じゃないかな」

 

「え?どうして?マナ破壊(ランデス)をマナ加速で相殺されているのに……?」

 

 

僕は視線を、アキラくんの場にあるオーナメント『根源の火』へ向ける。

 

 

「元々、アキラくんは毎ターン、マナを10相当使える筈だったんだ」

 

 

そう。

通常の生み出される5マナ。

『根源の火』によって踏み倒せる5マナ。

 

合計で10マナ。

 

これを5ターン目に完成させている都合上、対戦相手は5マナで対応しなければならない。

しかし、アキラくんは10マナ分展開してくる。

 

10マナ対5マナ。

マナの総量とは即ち、物量だ。

5マナで10マナ分のクリーチャーや呪文(スペル)を受け止めるのは厳しい。

 

だからこそ──

 

 

「ニーナがマナ破壊(ランデス)を撃てば、アキラくんはマナ加速を撃たざるをえない。つまり……10マナ分、満足に使えないんだ」

 

 

実質的に10マナ分は使えない。

アキラくんは確実に削られた4マナでマナ加速しなければならず、5マナの『大式神』クリーチャーを1体しか出せない。

 

ニーナのマナ破壊は1マナしか破壊出来ていない。

だが、実質5マナ分の行動を阻害できているんだ。

 

 

「アキラくんはニーナのマナ破壊(ランデス)を対処できているんじゃない……対処させられているんだ」

 

「なるほど……確かに、そうだね」

 

 

そして、ターンを重ねれば重ねるほどニーナはマナを増加させていく。

このままマナゾーンが増え続ければ、アキラくんの踏み倒しも脅威ではなくなる。

 

 

この勝負──

 

 

「あとほんの少しで──

 

「勝敗が決まるだろうな」

 

 

ユウキくんが僕の言葉に続いた。

 

 

バトルが長引き、ニーナが勝つか。

早期に決着させて、アキラくんが勝つのか。

 

 

勝敗は残り、数ターンで決まるだろう。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

鬱陶しい女や。

 

初めて見た時は、どうでも良かった。

ちょいと顔が可愛かったけど、笑わん女は好みやない。

転校してきたっつーても、そんな興味は湧かんかった。

 

せやけど、どうでも良くなくなった。

 

あの女は……悔しいけど、ユウキに勝った事がある……っちゅー噂が流れた。

誰が言うたかは知らんが、ユウキが否定せんって事はつまり真実や。

 

こんな女が?

ワイよりも強い、ワイが認めとるユウキに……?

 

そう思った。

ユウキの強さは知っとる。

ワイは何度か戦ってるが、一回も勝てへんかった。

 

そんな奴に勝てた?

信じられる訳がない。

 

例え、それが事実だとしても信じられへんかった。

認めたくなかった。

 

戦った事もないヤツが、ワイよりも強いなんて信じられるワケないやろ。

 

ワイはカードバトラーや。

代々続く吉祥院家の後継息子や。

 

負け続けるワケにはいかん。

知らんヤツより弱いなんて思われとうない。

思いたくないねん。

 

だから──

 

 

「ワイは『根源の火』の効果を発動!『大式神 木霊』を場に出すで!」

>アキラ:手札2→1

 

 

場に半透明な精霊が現れる。

────────────────

⑤大式神 木霊

クリーチャー・カード

種族:スピリット・フェアリー

疾風(「疾風」を持つクリーチャーは、1ターンに2回攻撃できる)

死亡時:デッキから「大式神 炎鬼」を手札に加える。

パワー3/タフネス4

────────────────

 

 

『大式神 木霊』はキーワード能力『疾風』を持つ!

1ターンに2回……そのままでも3×2=6点のダメージを出せる。

 

しかも、それだけやない。

ワイの手札には、コイツがおる!

────────────────

⑤大式神 金獅子

クリーチャー・カード

種族:スピリット・ビースト

自分クリーチャーの攻撃時:攻撃するクリーチャーはターン終了時まで+X/+0の修正を受ける(Xは墓場に存在するコスト5以上の種族「スピリット」クリーチャーの種類に等しい。

死亡時:デッキから「大式神 水竜」を手札に加える。

パワー2/タフネス4

────────────────

 

素引きした金獅子……コイツが『大式神』デッキの切り札(フィニッシャー)や!

 

今、ワイの墓場には『炎鬼』『水竜』『土蜘蛛』……それだけやない。

マナを経由して手札から捨てといた『木霊』と『金獅子』もおる!

 

つまり、5種類!

攻撃力(パワー)に+5の修正が乗る!

 

確かに5点。

せやけど、ターン終了時までの5点や。

永続的なバフやない。

 

その真価は……!

 

『大式神 木霊』の持つ『疾風』、つまり二回攻撃にバフが乗る事や!

攻撃回数が2倍になれば、バフは何倍もの効果を得る!

何故ならバフはターン終了時まで……1回目のバフが2回目の攻撃時に適用されるからや!

 

1回目の攻撃で3+5の8ダメージ!

2回目なら8+5の13ダメージ!

 

つまり、合計で21ダメージ!

これで即死っちゅーワケや!

 

 

「……へっ、これでワイのターンは終了。『根源の火』の効果で、マナゾーンから1枚破棄する。

>アキラ:マナゾーン5→4

 

 

さらに、まだや!

 

 

「そんで今、マナゾーンから破棄したクリーチャー『式神 形代』の効果を発動!コイツは墓場に置かれた時、カードを引く効果がある!」

>アキラ:手札1→2

────────────────

③式神 形代

クリーチャー・カード

種族:スピリット

墓場に置かれた時:カードを1枚引く。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

これで手札も補充できた!

 

除去を怠ればワイの勝ちや!

除去されても後続が用意できる!

 

賭けるなら今や!

 

 

「私のターン。カードを引く」

>ニーナ:ターン8

>ニーナ:手札1→2

>ニーナ:マナゾーン8→8

 

 

ついにリソースも切れたな?

マナゾーンにカードを置く余裕もないとはのう。

 

そら毎ターン、マナ破壊(ランデス)と除去を繰り返したらそうなる。

対してワイは、『大式神』によって無尽蔵の手札リソースがあるけどな。

 

 

「まずは『憑依する悪霊 ギブモシュ』で相手プレイヤーへ攻撃」

>憑依する悪霊 ギブモシュ(2/2)

 

「チッ、鬱陶しい」

>アキラ:ライフ15→13

 

 

残り13か。

せやけど、ライフはあんまり気にしとらん。

ワイのライフが削り切られるまでに、ニーナのライフが0になるからや。

 

 

「さらに手札から『終末の預言者』を召喚」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ8→3

 

 

場に、ローブを着た異形が現れた。

────────────────

⑤終末の預言者

クリーチャー・カード

種族:テラー・ウィザード

召喚時:自分の場のクリーチャーを1体破壊する。

その後、カードを3枚引く。

パワー4/タフネス4

────────────────

 

 

「召喚時効果。私は『憑依する悪霊 ギブモシュ』を破壊してカードを3枚引く」

>ニーナ:手札1→4

 

「へっ、手札補充かい」

 

 

これで残りは3マナ。

ワイの場の『大式神 木霊』を除去するのも楽ではな──

 

 

「更に私は手札から呪文(スペル)『悪意の伝達』を発動。『終末の預言者』を破壊して3枚引く」

>ニーナ:手札4→6

>ニーナ:マナ3→0

────────────────

③ 悪意の伝達

呪文カード

コスト5以下のクリーチャーを1体破壊する。

その後、クリーチャーの持ち主はカードを3枚引く。

────────────────

 

「はぁ!?」

 

 

困惑する。

場を空っぽにしてまで、除去をサボってまで、ドローを!?

 

……そうか、焦ったんやな。

目減りする手札に怖くなったんやな?

 

手札リソースに枯渇を恐れて、ワイの場のクリーチャーを無視してまでカードを引いたんや。

たかが3点が2回……そう思ったんやな?

 

 

「私はこれでターンを終了」

 

 

この勝負──

 

 

「……へっ。そうかい、そうかい。ワイのターンや!」

>アキラ:ターン8

>アキラ:手札2→2

>アキラ:マナゾーン4→5

 

 

手札切れを恐れて、判断を急いたオマエの負けや!

 

 

「ワイは『根源の火』の効果を発動!手札から『大式神 金獅子』を場に出すで!」

>アキラ:手札2→1

────────────────

⑤大式神 金獅子

クリーチャー・カード

種族:スピリット・ビースト

自分クリーチャーの攻撃時:攻撃するクリーチャーはターン終了時まで+X/+0の修正を受ける(Xは墓場に存在するコスト5以上の種族「スピリット」クリーチャーの種類に等しい。

死亡時:デッキから「大式神 水竜」を手札に加える。

パワー2/タフネス4

────────────────

 

「…………」

 

 

自分のミスに気付いたようやな。

せやけど、もう何も言えへんやろ!

 

 

「『大式神 木霊』でプレイヤーへ攻撃!」

>大式神 木霊 (3/4)

 

 

場の巨大な式神が動き始める。

 

 

「更に更に!その瞬間、『大式神 金獅子』の効果を発動!墓場(トラッシュ)に眠るコスト5以上のスピリットは5種類!5点アップや!」

>大式神 木霊 (3/4)→(8/4)

 

 

『金獅子』が光が放たれ、『木霊』が五色に輝く。

 

 

「これで終わりや!」

 

 

そして、ニーナへと飛び掛かり──

 

 

「その瞬間、私は高速(クイック)呪文(スペル)『絶叫』を発動」

>ニーナ:手札6→4

>ニーナ:マナ0→0

────────────────

②絶叫

高速呪文カード

代替1(マナを支払う代わりに、手札を1枚破棄する事が出来る)

プレイヤーを攻撃対象としたクリーチャー1体は、ターン終了時まで-6/+0の修正を受ける。

────────────────

 

 

高速(クイック)呪文(スペル)

更に、マナを必要としない代替(ピッチ)呪文(スペル)やと!?

 

せやけど、まだ!

ワイの方が上や!

 

 

「甘いねん!ワイは手札から高速(クイック)呪文(スペル)『魔力乱し』を発動や!『絶叫』を打ち消したる!」

>アキラ:手札1→0

>アキラ:マナゾーン5→3

────────────────

②魔力乱し

高速呪文カード

相手の発動したコスト3以下の呪文カード1つを打ち消す。

────────────────

 

 

感謝するで、カードバトルの神様に!

ワイが最後に引いたカードが、ニーナの最後の一手を上回らせてくれた!

 

これでワイの勝──

 

 

「その瞬間、代替効果で墓場(トラッシュ)に捨てた『死霊街の番兵』の効果を発動」

 

 

なっ、まだ何かあるんか!?

 

 

「『死霊街の番兵』は手札から捨てられた時、別の手札を1枚捨てる事で自身を蘇生(リアニメイト)できる」

>ニーナ:手札4→3

 

 

相手の場に、中身の入ってない鎧が姿を現した。

────────────────

② 死霊街の番兵

クリーチャー・カード

種族:テラー・ナイト

防衛(「防衛」がフィールドに存在する場合、相手は防衛を持たないキャラクターに攻撃できない)

このクリーチャーが手札/デッキから墓場に送られた時、手札を1枚捨てる事ができる。

その後、このクリーチャーを再生する。

パワー2/タフネス2

────────────────

 

 

その手には、大きな盾──

 

 

「チッ!『防衛』効果かいな……しゃーない、『大式神 木霊』で攻撃や!」

>大式神 木霊 (8/4)→(8/2)

>死霊街の番兵 (2/2)→(2/0)

 

 

『防衛』クリーチャーが居る場合、他のクリーチャーやプレイヤーに攻撃出来へん。

業腹やがここは破壊せなアカン。

 

木霊により鎧がバラバラに砕け散った。

これで再び、腹空きや。

 

 

「『大式神 木霊』は『疾風』クリーチャー!相手プレイヤーに再び、攻撃や!」

 

 

霊魂が式神を動かし、攻撃を繰り出した。

 

 

「ついでに『金獅子』でバフも乗るで!くらわんかい!」

>大式神 木霊(13/2)

 

「……っ!」

>ニーナ:ライフ20→7

 

 

耐えたようやが……残りは7点。

次で終わりや。

 

 

「これでワイはターンを終了や。『根源の火』の効果でマナゾーンから1枚破棄するで」

>アキラ:マナゾーン5→4

 

 

そのままターン終了を宣言し……ニーナへと目を向ける。

そら絶望したような顔を──

 

 

「……あ?」

 

 

笑っとる。

楽しくてしゃーないって、そんな顔や。

 

こんな、負けそうな瞬間やのに……何で。

いや、知っとる。

 

ワイは知っとる。

この、嘲るわけでもない。

自棄しとるわけでもない。

 

ただ楽しんどるんや、コイツは……!

知っとる。

 

ワイはこんな風に笑うヤツに、負けたことがある!

 

 

「私のターン。カードを引いて、1枚マナへ」

>ニーナ:ターン9

>ニーナ:手札3→3

>ニーナ:マナゾーン8→9

 

 

手札をマナへ……?

マナは十分に伸びとる筈や。

マナよりも手札のリソースの方が重要……んな事はニーナも分かっとるハズ──

 

 

「私は手札から『無貌の供物』を召喚」

>ニーナ:手札3→2

>ニーナ:マナ9→5

 

 

場に黒いコールタールのような生き物が現れた。

────────────────

④無貌の供物

クリーチャー・カード

種族:テラー

このクリーチャーは攻撃できない。

死亡時:自分はマナを4生成する。

パワー0/タフネス4

────────────────

 

 

マナを生成するクリーチャーやと?

えらく悠長なカードや。

次ターンがあるとでも思っとんのか……?

 

 

「そして手札から呪文(スペル)『肉骨の炸裂』の発動。対象は『無謀の供物』」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ5→3

 

 

場の『無貌の供物』が膨らみ出し……爆発した。

 

 

「自分のクリーチャーを破壊し、そのコスト分のダメージを全てのクリーチャーに与える」

────────────────

②肉骨の炸裂

呪文カード

自分の場のクリーチャーを1体破壊する。

その後、場の全てのクリーチャーにXダメージ(Xはこの効果で破壊したクリーチャーのコストに等しい)

────────────────

 

 

「チッ……!全体除去(AOE)かい!」

>大式神 木霊(4/2)→(4/0)

>大式神 金獅子(2/4)→(2/0)

 

 

ワイの場におるクリーチャーが全滅してもうた。

せやけど……!

 

 

「『木霊』と『金獅子』の死亡時効果を発動や!デッキから『炎鬼』と『水竜』をデッキから手札に加える!」

>アキラ:手札0→2

 

「私も『無貌の供物』の死亡時効果を発動。マナを4つ生成する」

>ニーナ:マナ3→7

 

 

『無貌の供物』は死亡時に4マナ返ってくる4コストのクリーチャー。

実質的にさっきの全体除去(AOE)は2コストで撃てたってコトかい。

 

せやけど──

 

ニーナの手札は残り1枚。マナがあろうと、手数が足りへん。

愉快な気持ちや。

 

 

「…………へっ」

 

 

思わず、笑ってしまうほど──

 

 

「私は手札から『財宝に呪われし盗賊』を召喚」

>ニーナ:手札1→0

>ニーナ:マナ7→6

 

 

場に毒々しい金色の財宝を身に着けた……いや、取り憑かれた盗賊が現れた。

 

最後の1枚……クリーチャーやったか。

せやけど1コストの貧弱なクリーチャーのようやな。

 

恐るるに足らん──

 

 

「『財宝に呪われし盗賊』の召喚時効果。自身のマナゾーンのカードを2枚、手札に戻す」

>ニーナ:手札0→2

>ニーナ:マナゾーン9→7

────────────────

①財宝に呪われし盗賊

クリーチャー・カード

種族:テラー・ローグ

召喚時:自分のマナゾーンのカードを2枚、手札に戻す。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

「あ?」

 

 

ニーナのマナゾーンからカードが2枚、手札に戻った。

9枚もあるマナゾーンの中から、2枚も……選んで、手札に戻す(バウンス)……?

 

マナの最大値を大きく削る自傷行為──

 

 

「………っ!?」

 

 

いや、違う!

9枚の中から、好きなカードを持ってくるやと!?

マナゾーンのカードを戻すのは、マナ最大値が減るからデメリット効果でしかないハズ……せやけど、今、この状況なら……!

 

 

「そして、私は手札に加えた呪文(スペル)『甦りし悪夢』を発動する」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ6→0

────────────────

⑥ 甦りし悪夢

呪文カード

自分の手札、マナゾーン、場からカードを1枚ずつ破棄する。

その後、自分の墓場に存在するクリーチャー1体を「召喚」扱いで場に出す。

────────────────

 

 

まずい!

なんや分からんが、まずいコトだけは分かる!

 

 

「私は手札を1枚捨て、マナゾーンを1枚破棄し、場の『財宝に呪われし盗賊』を生贄に捧げる」

>ニーナ:手札1→0

>ニーナ:マナゾーン7→6

 

 

ニーナの場に3つの禍々しい光が立ち上がる。

 

その3つの光が空を裂き、現世と冥界を繋ぐ裂け目を生み出す。

そして、そこから真っ黒な血のような液体が……濁流のように流れ出す。

 

 

「なっ……!」

 

 

目を背けたくなるような光景。

禍々しい圧迫感。

 

黒い液体が大地を冒涜し、この世界に顕現する。

 

6つの黒い腕。

女性型を模った無機質な肉体。

三つの右目、二つの左目。

巨人の手のような翼。

 

 

墓場(トラッシュ)から『解き放たれし破滅 エルザイン』を『召喚』扱いで蘇生(リアニメイト)する」

────────────────

⑪解き放たれし破滅 エルザイン

レジェンド・クリーチャー・カード

種族:テラー

自分の場/墓場に同名カード(トークンを除く)が存在する場合、このクリーチャーは効果を失う。

召喚時/互いのターン開始時:墓場に存在するクリーチャーを1体選択し、デッキに戻す。

そのクリーチャーが「召喚時」効果を持つなら、その効果を得る。

パワー5/タフネス13

────────────────

 

 

11、マナの、切り札(レジェンド)クリーチャー……!?

 

身に感じる圧迫感、そして恐怖。

これがニーナの切り札(レジェンド)か!

 

 

「『甦りし悪夢』により、『解き放たれし破滅 エルザイン』の召喚時効果が発動する」

 

「しょ、召喚時効果……?」

 

「『エルザイン』は墓場(トラッシュ)に眠る『無貌なる臓物人形』をデッキに戻し、その召喚時効果を複製する」

────────────────

④無貌なる臓物人形

クリーチャー・カード

種族:テラー

召喚時:墓場に存在するコスト5以下のクリーチャーを選択する。

そのクリーチャーが「召喚時」効果を持つなら、その効果を得る。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

墓場に眠る召喚時効果を、複製する……やと!?

 

 

「『無貌なる臓物人形』の効果により、更に墓場(トラッシュ)に存在するコスト5以下の召喚時効果を複製。対象は『穢血の魔術師』」

────────────────

⑤穢血の魔術師

クリーチャー・カード

種族:テラー・ウィザード

召喚時:相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する。

パワー3/タフネス3

────────────────

 

 

複製効果で、更に複製……?

な、何が起きとるんや!?

 

 

「『穢血の魔術師』から複製した効果により、相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する」

 

「なっ……くそっ!」

>アキラ:マナゾーン4→3

 

 

マナゾーンをまた削られてもうた。

せやけどっ、まだデッキトップでマナ加速カードが引ければ良いだけや!

 

 

「私はこれでターンを終了する」

 

「……ワイのターン!カードを引いて、1枚マナへ置くで!」

>アキラ:ターン9

>アキラ:手札2→2

>アキラ:マナゾーン3→4

 

 

引いたのはマナ加速カード!

一旦、手札に加わえといた『大式神 水竜』をマナに置き、このマナ加速呪文(スペル)を発動し──

 

 

違和感。

 

 

複製効果で複製効果を対象にせんでも、直接『穢血の魔術師』を複製すれば良かったハズや。

なんで、そんなややこしい手を──

 

 

「ターン開始時、『解き放たれし破滅 エルザイン』の効果が発動する」

 

 

いや、まさかっ──

 

 

「『穢血の魔術師』をデッキに戻し、その効果を複製する。再び、相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する」

────────────────

⑤穢血の魔術師

クリーチャー・カード

種族:テラー・ウィザード

召喚時:相手のマナゾーンのカードを1枚破棄する。

パワー3/タフネス3

────────────────

 

 

「あっ!が……!!」

>アキラ:マナゾーン4→3

 

 

最悪の予測は的中した。

 

『解き放たれし破滅 エルザイン』は複製対象をデッキに戻してまう。

何度も同じクリーチャーの召喚時効果を使い回す事は出来へん。

 

せやけど『無貌なる臓物人形』は違う!

対象はコスト5以下やし、召喚時にしか複製出来へんが……デッキに戻さんでええ。

 

だから、敢えて一回目は『無謀なる臓物人形』の効果を介入させたんか!

 

二回連続で『穢血の魔術師』の『マナ破壊(ランデス)』を通すために……!

 

 

「……く、っそ!」

 

 

ワイのマナは3つ。

こっからマナ加速を2回撃たへんと5マナの『大式神』クリーチャーはプレイ出来へん。

 

だから、マナ加速を2回、撃たなアカン。

 

せやけど──

 

 

「……………っ!」

 

 

目の前におる、黒い巨大な異形……コイツがそんな悠長な時間、許してくれへん!

 

手が、震える。

 

対面のカードバトラー、ニーナに視線を戻す。

 

コイツ……!

こ、コイツの、コイツのどこが……!

 

 

 

コイツのどこがユウキに似とるねん!

誰や、似とる言うたヤツは!

 

 

 

過去の自分を引っ叩きたいぐらいや。

 

相手の手を全て叩き、何も出来ないようにする……対面してる相手からすれば、腹の立つぐらいガッチガチの否定(パーミッション)や。

受けた側はたまったもんやない!

 

 

「く、っそぉ……!」

 

 

悔しい。

歯軋りをしてしまいそうなほど、悔しい。

 

負けたくない。

せやけど、この状況から勝つ方法が分からん。

 

デッキに入っとる何を引いても解決策にならん。

詰みや。

 

分かっとる。

 

 

「っ、く……!!」

 

 

やのに、こんな……こんな……。

 

 

「さぁ、アキラ。ターンを進行して」

 

 

なんで、こんなに……!

 

 

「……ワイは、ターンを終了するで」

 

 

負けたくないのに!

 

 

「私のターン」

 

 

なんでこんな、気色悪い笑みから……!

 

 

「それじゃあ……まずは『エルザイン』の効果を発動しようかな」

 

 

目が、離されへんねん!

 

 

「く、っそぉ……!」

 

 

強大な異形が、両腕を広げる。

逃れられない敗北が目の前に迫っていた。

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