TSホビアニ転生:悪のTCG組織で実験体やってたけど、いつの間にか滅んだらしい   作:WhatSoon

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#20 正面衝突

視線を相手の場に向ける。

 

そこには笛を持ったゴブリンと、正気を失ったゴブリン……2体のクリーチャーが並んでいた。

>笛吹きゴブリン(1/1)

>血走ったゴブリン(1/1)

 

先攻1ターン目からの展開。

それに、種族サポートを活かした2体のクリーチャー展開。

 

場に残せば、次ターンに2ダメージを削り取られる。

たかが2ダメージ……だが、積み重なれば確実に致命傷となる。

 

……ここは、多少リソースを吐いても迎撃しなければならない。

 

 

「私は手札から呪文(スペル)『黒曜の睡蓮』を発動。手札を1枚捨てて、マナを2つ生成する」

>ニーナ:手札6→4

>ニーナ:マナ1→3

────────────────

⓪黒曜の睡蓮

呪文カード

手札を1枚破棄する。

その後、マナを2つ生成する。

────────────────

 

 

『黒曜の睡蓮』は手札リソースをマナに変換するカード。

本来ならばそのターン中にプレイできないコストのカードも、マナ生成により早出しできる。

 

一見すると強力無比。

得しかないように見えるが、『WoM(ワールドオブマジック)』において手札補充とは相応のコストを必要とする。

 

このカードをプレイし、マナを得たとしても……消費した手札を補充するために、マナを消費してドロー呪文を使えば。

 

結果として、このカードではアドバンテージを得られなかった事となる。

寧ろ2マナを得るために2枚消費しているのだから、損になる事の方が多い。

 

だが、それでも今は……除去を優先する。

 

 

「そして、私は手札から『屍喰いグール』を召喚」

>ニーナ:手札4→3

>ニーナ:マナ3→0

────────────────

③屍喰いグール

クリーチャー・カード

種族:テラー

召喚時:クリーチャー1体にXダメージ(Xはこのクリーチャーの攻撃力に等しい)。この効果でクリーチャーを破壊した場合、カードを1枚引く。

パワー1/タフネス3

────────────────

 

 

痩せこけたゾンビのようなクリーチャーが、私の場に現れた。

 

 

「そして、その召喚時効果、対象は『笛吹きゴブリン』。1ダメージを与える」

 

 

ゾンビの口が裂けて、血の弾丸が発射される。

そして、笛を持ったゴブリンを貫いた。

>笛吹きゴブリン(1/1)→(1/0)

 

直後、ゴブリンが砕け散った。

 

 

「みゃっ!?」

 

「『屍喰いグール』は自身の効果でクリーチャーを破壊した場合、カードを1枚引ける」

>ニーナ:手札3→4

 

 

消費した手札も気休め程度だが帰ってきた。

3枚消費して1枚補充だから、割には合わないが。

 

それでも1/3のクリーチャーが残る。

1/1のクリーチャーなら3体まで戦闘破壊できる。

少なくとも場に残っている『血走ったゴブリン』なら上から踏める。

 

 

「私はこれでターンを終了する」

 

「わ、私のターンです!カードを引いて1枚マナへ置きますぅ」

>エノン:ターン2

>エノン:手札4→4

>エノン:マナゾーン1→2

 

 

手札枚数は同一。

盤面はこちらが1/3、相手は1/1が1体。

状況的には有利だが──

 

 

「私は手札から『群れのゴブリン』を、召喚します!その効果で、1枚引きま、ます!」

>エノン:手札4→4

>エノン:マナ2→1

────────────────

①群れのゴブリン

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

召喚時:自分の場に種族「ゴブリン」クリーチャーが存在する場合、カードを1枚引く。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

条件付きの1ドロー効果(キャントリップ)クリーチャー……!

手札の消費なしで展開して来たか。

 

 

「更に手札から『ゴブリンの祭司』を召喚し、します!」

>エノン:手札4→3

>エノン:マナ1→0

 

 

場に薄汚れた祭服を着たゴブリンが現れた。

 

 

「『ゴブリンの祭司』の効果ですっ、場のゴブリンの数と同様のダメージを『屍喰いグール』に与えます!」

────────────────

①ゴブリンの祭司

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

召喚時:相手の場のクリーチャー1体にXダメージ(Xは自分の場の種族「ゴブリン」クリーチャーの数に等しい)

パワー1/タフネス1

────────────────

 

「っ……!」

 

 

相手の場にはゴブリンが……3体!

つまり3ダメージ受ける!

 

ゴブリンの祭司が手を掲げると、火の玉が生み出された。

それは私の場に存在するグールに直撃した。

>屍喰いグール(1/3)→(1/0)

 

盤面の展開をしながら、クリーチャーの除去まで……拙い。

 

 

「そして私は『血走ったゴブリン』でちょ、直接攻撃しますっ!」

>血走ったゴブリン(1/1)

 

「くっ……」

>ニーナ:ライフ19→18

 

「それで、私はターンを終了します……」

 

 

ライフまで削られてしまった。

相手の場にはゴブリンが3体。

次ターンには3点……ダメージを受けてしまう。

 

 

「私のターン。カードを引いて、1枚マナへ」

>ニーナ:ターン2

>ニーナ:手札4→4

>ニーナ:マナゾーン1→2

 

 

……解決札はない。

軽量の全体除去(AOE)を引かなければ、負ける。

 

手札に視線を落とす。

────────────────

②怨嗟の刃

呪文カード

場のクリーチャー1体に3ダメージ。

この効果でクリーチャーを破壊した場合、相手プレイヤーに1ダメージ。

────────────────

 

2コスト払えば、相手の場のゴブリンを1体破壊できる。

だが、相手の場にはゴブリンが3体。

全てが1/1……影響は薄い。

根本的な解決にはならない。

 

ならば──

 

 

「私は手札から呪文(スペル)『黒渦の引用』を発動する」

>ニーナ:手札4→3

>ニーナ:マナ2→0

────────────────

②黒渦の引用

呪文カード

カードを4枚引く。

その後、手札を3枚、任意の順番でデッキの上に戻す。

────────────────

 

 

このカードは4枚のデッキトップを捲り、3枚デッキトップへ戻す手札交換カード。

手札は増えない。

だが、4枚引く……という事は、その4枚から状況に応じたカードを加えられるという事だ。

 

 

「私はカードを4枚引く」

>ニーナ:手札3→7

 

 

……来た。

この状況を解決できるカード!

 

 

「そして3枚、デッキに戻す」

>ニーナ:手札7→4

 

 

しかし、このターン、もう使用できるマナはない。

 

 

「私はこれでターンを終了」

 

 

次ターンへ繋げるしかない。

 

 

「わ、私のターンです!カードを引いて、1枚マナへ」

>エノン:ターン3

>エノン:手札3→3

>エノン:マナゾーン2→3

 

 

速攻(アグロ)デッキ……序盤から攻め立てて、ライフを削り切り早期決着を狙うデッキ。

その性質上、序盤にリソースを吐き切る事が多い。

 

実際、エノンの手札は残り3枚。

ここを凌ぎ切れば、十分に勝ち目はある。

 

 

「わ、私は手札から『ゴブリンの統率者』を召喚します!」

>エノン:手札3→2

>エノン:マナ3→0

 

 

3マナのゴブリンカードか。

WoM(ワールドオブマジック)』に於いて、コストが上がれば効果が強力になっていくのが普通だ。

しかし、1コストを大量に入れて速攻するゴブリンデッキに、3コストは重い。

 

それでも、採用されている理由がある筈だ。

相応に強力な効果が。

 

 

「『ゴブリンの統率者』が場に存在する限り、わ、私のゴブリンさん達は全て、攻撃力(パワー)強化(バフ)されます!」

────────────────

③ゴブリンの統率者

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

永続:自分の場の種族「ゴブリン」クリーチャーは全て、+1/+0の修正を受ける。

パワー2/タフネス2

────────────────

 

「……っ!」

 

 

恐れていたカードタイプ!

大量展開からの、全体強化!

 

その強化範囲によって──

 

>ゴブリンの統率者 (2/2)→(3/2)

>血走ったゴブリン(1/1)→(2/1)

>群れのゴブリン(1/1)→(2/1)

>ゴブリンの祭司 (1/1)→(2/1)

 

 

合計で3点分の打点強化になった。

つまり3コストで3ダメージを生み出したという事だ。

 

 

「私は場のゴブリンさんで、相手プレイヤーに攻撃!」

>血走ったゴブリン(2/1)

>群れのゴブリン(2/1)

>ゴブリンの祭司 (2/1)

 

「く、ぅっ……!」

>ニーナ:ライフ18→12

 

 

一気に6点も……。

 

 

「こ、これで私のターンを終了します」

 

 

ライフが大きく削られてしまった……だが。

 

 

「私のターン。カードを1枚引いて──

>ニーナ:ターン3

>ニーナ:手札4→5

 

 

手札に加えたのは、前ターン……『黒渦の引用』で仕込んでおいたカードだ。

 

 

「手札に加わった呪文(スペル)『黙示録』の効果を発動する」

 

「て、手札に加わったタイミングで……?」

 

 

困惑するのも当然だ。

 

デッキからカードを引き、マナゾーンにカードを置き、そしてプレイする……それが普通の流れ。

だが、この呪文(スペル)は特殊なキーワード能力を持っている。

 

 

「『黙示録』は手札に加わった瞬間、マナを支払わず、即座にプレイできる」

 

「え、えぇっ!?」

 

「そして、その効果。それは全てのクリーチャーに3ダメージを与える全体除去(AOE)

>ニーナ:手札5→4

────────────────

⑥黙示録

高速呪文カード

祈祷(このカードが手札に加わった時、コストを支払わずにプレイしてよい)

場のクリーチャー全てに3ダメージ。

────────────────

 

 

場に雷が降り注ぐ。

そして、ゴブリン達に直撃し、粉砕する。

>血走ったゴブリン(2/1)→(2/0)

>群れのゴブリン(2/1)→(2/0)

>ゴブリンの祭司 (2/1)→(2/0)

>ゴブリンの統率者 (3/2)→(2/0)

 

 

「そ、そんなぁ……!?」

 

 

場は一掃され、更地となった。

『黙示録』は本来、6コストで3点の全体除去と質は良くない。

だが、この付属効果である『祈祷』が非常に強力だ。

 

デッキトップを操作して仕込むか、引いても捨てれば良い私のデッキとは相性が良い。

 

 

「そして、私は手札を1枚マナゾーンへ置く」

>ニーナ:手札4→3

>ニーナ:マナゾーン2→3

 

 

だが、ライフは12点しか残っていない。

十分削られてしまった。

ここから『速攻』クリーチャーや、火力(バーン)カードで削られれば……。

 

 

「…………ふむ」

 

 

なら、どうすべきか。

私は手札に目を落とす。

 

ドローを撃ち、手札を補充するか。

それとも……。

 

いや、ここは──

 

 

「私はこれでターンを終了する」

 

 

何もしない。

 

 

「えっ……あ、わ、私のターンです!カードを引いて、1枚マナへ置きます!」

>エノン:ターン4

>エノン:手札2→2

>エノン:マナゾーン3→4

 

 

困惑しているようだが、それでもターンは進む。

 

 

「……わ、私は手札から『ゴブリン・クイーン』を召喚します!」

>エノン:手札2→1

>エノン:マナ4→1

 

 

場に血に汚れたドレスを着た、肥満体のゴブリンが姿を現した。

────────────────

③ゴブリン・クイーン

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

召喚時:デッキの上からカードを3枚確認する。その中から種族「ゴブリン」クリーチャーを全て手札に加える。

パワー2/タフネス2

────────────────

 

 

バトルディスクで効果を確認し、目を細める。

3枚捲り、ゴブリンを加える効果。

……エノンのデッキは恐らく、ゴブリン統一だ。

 

つまり、このカードは3コストで2/2かつ3ドローという超強力なドローソースになるということ。

 

 

「その召喚時効果を──

 

「その瞬間、高速(クイック)呪文(スペル)『契約破棄』を発動。その召喚を打ち消す」

>ニーナ:手札3→2

>ニーナ:マナ3→0

────────────────

③契約破棄

高速呪文カード

相手の発動したコスト3以下の呪文カード、またはクリーチャーの召喚1つを打ち消す。

────────────────

 

 

場に現れていたゴブリンが霧散する。

 

 

「え、そんなぁ……」

 

「手札補充はさせない」

 

 

速攻(アグロ)デッキの弱点、手札切れ。

どれだけ優秀なプレイヤーだろうと、手札を補充するにはロスが発生する。

 

高速で相手プレイヤーを削り切ろうとする彼女のデッキは、手札消費が激しい。

そこを突く。

 

彼女自身が理解しているデッキの弱点。

その弱点を克服するためのカード。

 

それを打ち消し、機能不全にする!

それが私の狙いだ。

 

視線を上げる。

 

 

エノンは……怯えたような顔をしながらも、しかし戦意は喪失していなかった。

『どうすべきか』と考えている顔だ。

 

まだ諦めてはいない。

……やはり、凡百のカードバトラーではない。

 

確信する。

彼女はこの絶望的な不利状況も、確実に立て直してくる。

 

瞬間、エノンが私に視線を戻した。

 

 

「手札から『ゴブリンの屑拾い』を召喚します!」

>エノン:手札1→0

>エノン:マナ1→0

 

 

ついに手札が0枚となった。

これで毎ターンのマナ加速と、カードプレイが両立しない。

デッキトップでの勝負しか出来なくなる筈だ──

 

 

「『ゴブリンの屑拾い』の効果、で、私はマナゾーンからカードを1枚……手札に戻します」

>エノン:手札0→1

>エノン:マナゾーン4→3

────────────────

①ゴブリンの屑拾い

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

召喚時:自身のマナゾーンからカードを1枚、手札に戻す。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

マナゾーンからカードを回収した……?

エノンのマナゾーンにはカードが4枚あった。

ただの1枚ドローに比べて、有用なカードが回収できた……と考えて良いだろう。

 

 

「それで、私はターンを終了します……」

 

「私のターン。カードを引いて、1枚マナへ」

>ニーナ:ターン4

>ニーナ:手札2→2

>ニーナ:マナゾーン3→4

 

 

打ち消しは通ったが、結局1/1のクリーチャーは1体場に出て来た。

さらに、マナゾーンから1枚……この状況に適したカードを手札に戻した。

 

 

だが、打ち消しカードは手札にない。

全体除去(AOE)もない。

 

今、そして次ターン。

更に、その次ターンにドローするカードは分かっている。

『黒渦の引用』によってデッキトップへ戻した不要なカードだからだ。

 

だからこそ、エノンのデッキに有効なカードではないことを知っている。

 

エノンが手札に戻したカード。

それが一体何なのか。

 

……考えても、推測でしかない。

 

ならば、今の最適解は──

 

 

「私は手札から『不意打ち』を発動。『ゴブリンの屑拾い』に1ダメージ」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ4→2

────────────────

②不意打ち

高速呪文カード

このターン、ダメージを受けていないクリーチャー1体に1ダメージ。

その後、カードを1枚引く。

────────────────

 

 

ゴブリンが発火し、砕けた。

>ゴブリンの屑拾い(1/1)→(1/0)

 

 

「く、くぅ……っ」

 

「そして、私はカードを1枚引く」

>ニーナ:手札1→2

 

 

加わったカードを確認して──

 

 

「さらに手札から呪文(スペル)『無謀な契約』を発動。手札を1枚捨てて2枚引く」

>ニーナ:手札2→2

>ニーナ:マナ2→0

────────────────

②無謀な契約

呪文カード

手札を1枚破棄する。

その後、カードを2枚引く。

────────────────

 

 

これで固定されていたデッキトップは解消された。

強引に引き切っただけだが……それでも十分だ。

 

 

「これで私はターンを終了する」

 

 

長期戦になれば私が有利。

このまま反撃の芽を潰させて貰う。

 

 

「私のターンですっ。カードを引いて……マナには置きません」

>エノン:ターン5

>エノン:手札1→2

>エノン:マナゾーン3→3

 

 

マナへの設置をしない……か。

手札を温存したいのだろう。

 

 

「私は手札から『ゴブリンの霊術師』を召喚します!」

>エノン:手札2→1

>エノン:マナゾーン3→0

 

 

場に骨を身に纏ったゴブリンが現れた。

────────────────

③ゴブリンの霊術師

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン・ウィザード

召喚時:自身の墓場から、コストの総数が2以下になるように種族「ゴブリン」クリーチャーを場に戻す。

それらは種族「テラー」を持つ。

パワー1/タフネス1

────────────────

 

 

「そ、その効果により、墓場からコスト2になるようゴブリンさんを再生(リアニメイト)します!」

 

 

1枚が3枚になるカード……!

 

 

「場に呼び戻すのは『血走ったゴブリン』と『ゴブリンの祭司』です!」

 

 

場に2体のゴブリンが蘇る。

しかし、不格好で不完全なゾンビのような姿だ。

 

 

「そのまま『速攻』を持つ『血走ったゴブリン』で相手プレイヤーに、こ、攻撃します!」

>血走ったゴブリン(1/1)

 

「っ……」

>ニーナ:ライフ12→11

 

 

ライフがまた、削られる。

それだけではない。

 

また場にゴブリンが3体……!

次、全体強化を使われたら……ライフを守り切れる確証はない。

 

 

「わ、私はこれでターンを終了します」

 

「私のターン。カードを引いて……1枚マナへ」

>ニーナ:ターン5

>ニーナ:手札2→2

>ニーナ:マナゾーン4→5

 

 

マナ差はある。

だが、現在のライフと盤面の状況を考えれば安心はできない。

 

例え使えるマナに差があったとしても、私が強力なカードを撃つ前にライフを削り切れば意味がない。

そもそも、相手の場のゴブリンを警戒し、場に出す隙が作れない可能性もある。

 

 

「私は手札から『呪剣の騎士』を召喚する」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ5→0

 

 

場に血塗れの剣を持つ、騎士が現れた。

────────────────

⑤呪剣の騎士

クリーチャー・カード

種族:テラー・ナイト

防衛(「防衛」がフィールドに存在する場合、相手は防衛を持たないキャラクターに攻撃できない)

召喚時:カードを2枚引く。

その後、手札を1枚破棄する。

捨てたカードが種族「テラー」クリーチャーならば、このクリーチャーは+0/+2の修正を受ける。

パワー3/タフネス3

────────────────

 

 

「その召喚時効果により、私はカードを2枚引き、1枚捨てる」

>ニーナ:手札1→2

 

 

手札消費はない。

更に──

 

 

「私が捨てたのは『蠢く屍』。墓場から再生(リアニメイト)する」

 

 

場に醜悪な屍が蘇る。

────────────────

②蠢く屍

クリーチャー・カード

種族:テラー

このクリーチャーが手札/デッキから墓場に送られた時、再生する。

パワー2/タフネス1

────────────────

 

 

「更に種族『テラー』クリーチャーを破棄した事により、『呪剣の騎士』は体力(タフネス)に+2の修正を受ける」

>呪剣の騎士 (3/3)→(3/5)

 

 

『呪剣の騎士』はキーワード能力『防衛』を持つ。

プレイヤーに対する攻撃を防げる。

その体力(タフネス)は5……相手の場のゴブリン全てが攻撃して来ても耐えられる。

 

 

「私はこれでターンを終了」

 

 

これで完全に蓋をできたか……?

 

 

「私のターン。カードを引いて……今回もマナに置きません」

>エノン:ターン6

>エノン:手札1→2

>エノン:マナゾーン3→3

 

 

いや、まだだ。

まだ、彼女は諦めていない。

私の首を噛みちぎろうとしている。

 

 

「わ、私は手札から『ゴブリン・ライダー』を召喚します!」

>エノン:手札2→1

>エノン:マナゾーン3→1

 

 

猪に乗ったゴブリンが姿を現した。

────────────────

②ゴブリン・ライダー

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン・ビースト

突撃(「突撃」を持つクリーチャーは、場に出たターンからクリーチャーに攻撃できる)

死亡時:自分の場に種族「ゴブリン」を持つ1/1のゴブリン・トークンを生成する。

パワー2/タフネス1

────────────────

 

 

「『ゴブリン・ライダー』は『突撃』を持ちます!そのまま、『呪剣の騎士』に攻撃します!」

 

「むっ……」

 

 

猪に騎乗したゴブリンが、騎士へと突撃し……返り討ちにあった。

>ゴブリン・ライダー(2/1)→(2/0)

>呪剣の騎士 (3/5)→(3/3)

 

 

「そして死亡時、場にゴブリン・トークンを生成します……」

 

 

猪から落馬……落猪したゴブリンが地面に転がった。

 

なるほど、後続は用意されたか。

しかしまだ、『呪剣の騎士』の体力(タフネス)は3もある。

まだ耐えられ──

 

 

「追撃です!私の場のゴブリンさん、全員で『呪剣の騎士』へ攻撃します!」

>血走ったゴブリン(1/1)→ (1/0)

>ゴブリンの祭司 (1/1)→ (1/0)

>ゴブリンの霊術師 (1/1)→ (1/0)

 

「なっ」

>呪剣の騎士 (3/3)→(3/0)

 

 

ゴブリンが群がり、『呪剣の騎士』と相打ちになった。

 

自ら盤面の有利を捨てた……?

いや、大型の『防衛』持ちを場に残す事を危惧したのか。

 

場のゴブリンで当たらずに、私が全体除去(AOE)を引いた場合のリスクを考えればおかしくはない。

 

だが、『呪剣の騎士』は十分役に立った。

相手の場の残りは、1/1のゴブリントークンが1体だけだ。

 

 

「そして、私は手札の『黒鉄のゴブリン スライ』の効果によって……そのコストを破壊されたゴブリンさんの数だけ軽減します!」

 

 

いや、違う。

このゴブリン達の特攻は、後続の切り札を召喚するための布石!

 

 

「破壊されたゴブリンさんは4!よって、コストを4つ軽減して『黒鉄のゴブリン スライ』を召喚します!」

>エノン:手札1→0

>エノン:マナゾーン1→0

 

 

場に黒い鉄の鎧を身に纏ったゴブリンが飛び出した。

その手には大きな鎚を持っている。

 

即座に、バトルディスクで情報を確認する。

────────────────

⑤黒鉄のゴブリン スライ

レジェンド・クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

手札:このカードのコストは-Xされる(Xはこのターン中に破壊された、自分の種族「ゴブリン」クリーチャーの数に等しい)

召喚時:デッキの上からカードを3枚確認する。その中から種族「ゴブリン」クリーチャーを全て自分の場に出す。

パワー4/タフネス4

────────────────

 

 

レジェンド・クリーチャー!

コスト軽減効果持ちの……いや、そんな事よりも!

 

 

「『黒鉄のゴブリン スライ』の召喚時効果、です!デッキの上からカードを3枚捲り、その中からゴブリンさんを場に出します!」

 

 

強力な踏み倒し効果!

場に、ゴブリンが3体飛び出す。

 

 

「私は『血走ったゴブリン』と『ゴブリンの統率者』、『ゴブリン・キング』を場に出します!」

 

「……っ!」

 

 

全体強化効果持ちの『ゴブリンの統率者』まで出て来た。

その強化効果は召喚時ではない……効果によって呼び出されても適用されてしまう!

 

 

「『ゴブリンの統率者』の効果により、私の場のゴブリンさんは全て攻撃力(パワー)が+1されます!」

────────────────

③ゴブリンの統率者

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

永続:自分の場の種族「ゴブリン」クリーチャーは全て、+1/+0の修正を受ける。

パワー2/タフネス2

────────────────

>ゴブリン・トークン(1/1)→ (2/1)

>黒鉄のゴブリン スライ(4/4)→ (5/4)

>血走ったゴブリン(1/1)→ (2/1)

>ゴブリンの統率者 (2/2)→(3/2)

>ゴブリン・キング (2/2)→ (3/2)

 

 

相手の場が、たった1枚のカードで強力な布陣に変わる!

 

 

「そして、『血走ったゴブリン』は『速攻』クリーチャーです!相手プレイヤーへ攻撃!」

>血走ったゴブリン(2/1)

 

「くっ……」

>ニーナ:ライフ11→9

 

 

ライフが半分以下になってしまった。

 

 

「そしてターンを終了……しますが、『ゴブリン・キング』のターン終了時効果が発動します!1/1のゴブリン・トークンを場に出します!」

────────────────

③ゴブリン・キング

クリーチャー・カード

種族:ゴブリン

召喚時とターン終了時:自分の場に種族「ゴブリン」を持つ1/1のゴブリン・トークンを生成する。

パワー2/タフネス2

────────────────

 

 

更に盤面は強力に……。

私の残りライフ9点を余裕で削りきれる総攻撃力だ。

 

 

「わ、私はこれでターンを終了……」

 

 

ターンが受け渡される。

 

 

「……私のターン」

>ニーナ:ターン6

 

 

指をデッキに乗せる。

今、私の手札に対処できるカードはない。

次のドロー次第で、この勝負は決まる。

 

 

「…………」

 

 

この勝負、本来ならば私が勝つ必要はない。

既にクラス対抗戦としては、私達Aクラスが勝っている。

 

だから、負けたって……誰も私を責めはしない。

失うものはない。

 

 

「……いや」

 

 

違う。

私のカードバトラーとしての誇りが失われる。

 

誰も責めなくとも、私が私を責めるだろう。

勝ちたい。

勝ちたい、勝ちたい!

 

私は!

 

 

「カードを1枚、引く……!」

>ニーナ:手札2→3

 

 

ビリビリと肌が痺れる。

緊張感から、喉も乾く。

 

手札に加わったカードを確認する。

 

 

「……手札を1枚、マナへ置く」

>ニーナ:手札3→2

>ニーナ:マナゾーン5→6

 

 

心が、高鳴る。

 

 

「……ふ、ふふ」

 

 

笑みが溢れる。

ミユには感謝しなければならない。

 

クラス対抗戦の代表に誘ってくれた、彼女には。

 

この白熱した真剣勝負を用意してくれた、彼女には──

 

 

「私は手札から置物(オーナメント)『呪願の鏡』を設置する」

>ニーナ:手札2→1

>ニーナ:マナ6→3

 

 

場に骨で組まれた鏡が現れた。

 

 

「そして、『呪願の鏡』の起動効果を発動!自身を破壊し、マナを3つ支払い……デッキの上からカードを3枚捲る!」

>ニーナ:マナ3→0

 

 

鏡が砕けて、3つの虚像が生まれる。

 

 

「その効果。支払ったマナの数だけカードを捲り……その中から、最大マナ以下のコストを持つ呪文(スペル)カードを1枚発動する効果!」

────────────────

③呪願の鏡

オーナメント・カード

起動効果:マナをX支払い、このカードを破壊する。

その後、デッキの上からX枚確認し、その中から自身のマナゾーンの枚数以下の呪文カードを発動する。

(Xはプレイヤーが任意に指定できる)

────────────────

 

「えっ……!?」

 

 

そう、完全な運。

私にはもう、これしか手段が残されていなかった。

ここで有意義なカードを加えなければ負けるだろう。

 

カードゲームとは、運のゲームと言われている。

だが、実際には戦略、読み合い、構築……ありとあらゆる実力が絡み合う。

 

しかし、それでも。

 

極限まで実力をぶつけ合った後。

全てを出し尽くした後。

 

そこでようやく、初めて……運が絡む。

 

 

「まずは……1枚目」

 

 

カードを捲る。

───────────────

⑥陵墓のタイタン

クリーチャー・カード

種族:テラー

再生()(このクリーチャーが墓場に存在する時、マナを4支払う事で墓場から召喚できる)

パワー4/タフネス4

────────────────

 

くっ、クリーチャーか。

『呪願の鏡』の踏み倒し対象は呪文(スペル)のみだ。

 

 

「そして、2枚目」

 

 

更にカードを捲る。

────────────────

④不浄なる再生

高速呪文カード

このターン中破壊されたクリーチャー1体を、そのプレイヤーの場に戻す。

────────────────

 

このターン破壊されたクリーチャーは居ない。

このカードは無意味……。

 

 

視線を上げる。

エノンは緊張した表情を浮かべている。

 

3枚中、2枚がハズレだったというのに……それでも。

私が逆転する可能性があると、彼女は信じているのだ。

 

……私は心を奮い立たせる。

再び、指をデッキに乗せる。

 

 

「3枚目」

 

 

カードを……捲る。

引いた、カードは。

 

 

その、カードは。

 

 

「私は『滅びの光』を発動!手札を全て捨て、場の全てのクリーチャーを破壊する!」

>ニーナ:手札1→0

────────────────

⑤滅びの光

呪文カード

手札を全て破棄する。

場の全てのクリーチャーを破壊する。

────────────────

 

「ええぇっ!?」

 

 

私は賭けに勝った。

 

頭上に黒い太陽が現れる。

そこから、光が解き放たれた。

 

場のゴブリン達に直撃する。

容赦なく、私の場すら巻き込んで。

 

一瞬で骨となり、灰となる。

太陽が渦巻き、破壊した痕跡すら飲み込んでいく。

 

 

そして──

 

 

全てを破壊した。

それらが再生できない程に。

 

 

「……あ、あわわ」

 

 

これで場は空っぽ。

お互いに手札は0枚。

 

 

「これで互いに何もなくなった」

 

 

ここからは。

 

互いにデッキトップをぶつけ合う。

己のデッキを信じて、自身の引き運を活用して……戦うだけだ。

 

だが、相手は速攻(アグロ)

しかも、小型クリーチャーを搭載したウィニー。

 

対して、私のデッキはコントロール。

大型クリーチャーや、強力な呪文を多数搭載したハイランダー。

 

私が有利、なのは言うまでもない。

 

だが、それを口にはしない。

そんな無粋なことはしない。

 

観客達も緊張感を感じ取っているのか、押し黙っている。

 

 

「……ふふ」

 

「っ……!」

 

 

喧騒は遠く。

まるで、この場には私と彼女しか居ないかのように。

 

緊迫した空気が満ちる。

 

 

「私はこれでターンを終了」

 

 

さぁ、勝負だ。

 

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