乳首から魔貫光殺砲が出せたらロマンチックビーム   作:ミスターポポティンティン

18 / 23
神はシコった!

 

 高級クラブのVIPルーム。

 

 政治家、マスメディア、企業、そして、ヤクザの重鎮が一同に介している。

 

 仕事の話にしてもプライベートの話にしても、どこにも出せない話が飛び交っている。一応俺が若い女なので、そっち方面は、ある程度は気を使ってはいるのはわかるが……。

 

 そもそも、ヤクザとそうでない者達との区別がつかないような奴らの集まりであり。間違っているが間違っていない大雑把なことを言ってしまえば、みんなヤクザだ。

 

 そして、そのトップは俺だ。

 

 葉巻をふかしつつ、シャンパンを飲み干す。隣に軽く目をやり、杯を傾ける。すぐさま、隣りに座っていた大人気俳優が立ち上がり、甲斐甲斐しく新たに最高級のそれを注いでいく。

 

 このレベルの会合の場合、給使もヤクザレベルが高めの奴でないといけない。なのでクラブで飲んでいる意味があるのかわからないぐらい給使役が少ない。それにもかかわらず、俺は両サイドにイケメン俳優と、大人気男性アイドルグループの一番人気を侍らしている状態だ。

 

 そんな趣味はまったくないのだが、俺の年で男をあまり忌避すると、逆に舐められそうだから受け入れている。そもそも、こいつら俺の女優業の仕事仲間だし……なんかキリッ! てノリで給仕やってるが、俺からするとかなりの茶番だ。なんだこの状況?

 

 しかし、アホらしいとは思いつつも、世の他の女共の上に立っているような錯覚が、俺の気分を、まあまあ高揚させてしまっている事実も否めない。

 

 モンスター共と戦う時は、自身がモンスターとならないように気を張らねばならない。奈落を長く見入れば、その奈落に魅入られてしまうものだ。 

 

 ニーチェが言っていたらしいこと。誰かが訳したそれの英語訳を、更に俺が前世の子供の頃に、しっくりくる日本語訳にしたもの。ニーチェがどこの誰だかは忘れたけど、この日本語訳は今でも覚えている。うん……覚えているだけでは駄目でしたね。

 

 君臨する巨悪を打ち倒そうとしてたら、君臨する巨悪になっていたでござる。

 

 いや、俺って可愛くって、性格悪そうで、スタイルもかなりのもので……まあ、巨悪っていうか……巨乳小悪魔的な? そりゃあ、世に君臨しちゃうよ。自然の摂理だわ。しょうがない。しょうがなかったんだ……。

 

 思えば、ヤクザの聖地は良いところだった。あそこには幹部以上と武闘派しかいなかった。この世界のわかりやすい血気盛んな悪党共との、シンプルな殺り合いだった。

 

 その後の戦いは、なんというかネットリとしていた。

 

 前世ほどではないが、前世に近いヤクザ共に、コソコソと狙われる日々。しかし、ちゃんと向かってこないそいつらと、その協力者を、見つけ出して、殺し周る生活もちょっと……。

 

 根本的な問題として、多くの敵は、ヤクザとカタギが混ざっている状態のチョコウンコだった。

 

 タイツのコネと裏工作が無かったら確実に逮捕……はされずとも、指名手配犯にはなっていた。

 

 それでもなお足りず……だから潰しつつも、取り込むしかなかった。勢力を築くしかなかった。

 

 暴力『も』使う。たまに殺し『も』する。そういうあいつらの戦いに合わせるしかなかった。

 

 経済的競争を中心にした粘度の高い抗争を、取り込んだ者達にやらせつつ、俺自身は、最強、最恐、最狂として君臨していくしかなかったんだ。

 

 結果、東のエリアの半分は俺の手中となった。

 

 このエリアでは、ヤクザが表立って蔓延(はびこ)っている時代は終わった。俺が終わらせた。その代わり、裏から支配する時代が来た……。俺の組織が支配している……。

 

 主要産業を初めてとした種々(しゅじゅ)の業界を丸ごと飲み込み、執政に食い込んでいるなんてものじゃない。大雑把に言えば世界の8分の1を裏から支配している状態だ。

 

 このまま東のエリアを統一し、更に勢力範囲を伸ばしていって、ゆくゆくは西を中心として活動しているレッドリボン軍との抗争、及び世界征服も視野に入れている…………らしい。

 

 ドラゴンボール世界で世界征服とか笑っちまうぜ。三日天下の連続だ。力のインフレの嵐だ。

 

 煙をくゆらせつつ、宇宙人が攻めてくる心配とかとは無縁の奴等を眺める。

 

 どうせ吸うなら、こんなドギツイ葉巻ではなく、普通のタバコが吸いたい。煙を深〜く肺に入れたい。前世の子供の頃に、俺がタバコを吸っていたのは、深呼吸や、ため息代わりだ。まともに息が出来なくなっちゃった日々の呼吸法。

 

 わざわざタバコが必要な息苦しい日々にすることはない。逃げるのも癪だったからノリにまかせてたらこんなことになっちゃたけど、こんな組織、どうでもいいか? そもそも勝手に潰れるか?

 

 戦闘力的にも無理だろうけど、俺がトップの時点で、そのうち経済とかの面でも破滅する気がする。普通に考えて、チクビームとか言ってる頭の奴が頭やってちゃ駄目に決まってるよね。

 

 考えてみれば、俺のせいで世界の8分の1の地域での経済が壊滅しそうなのか……えっ? 意外と不味い気もしてきた……。

 

 そんなことを考えて、経営とかには口を出さず、修行以外は、遊びの芸能活動とか楽しいことばかりやっていたら、なんか順調に俺の組織……貫気(つらぬき)連合は勢力を伸ばしていってしまった。

 

 敵の大体ヤクザって感じの奴らを、経済、政治、政治活動、報道、市民運動、そして暴力で打倒し、積極的に取り込んでいく。

 

 鶴仙流を出てから、そろそろ丸2年。16歳になり、また新たな夏が訪れそうな頃、世界の4分の1……東のエリアの全域を、ほぼ完全に統一、支配した。

 

 残った勢力は2つだけ。その1つ、元々ここらで支配的な地位にいた組を中心にしたヤクザ勢力……そこは最後まで取りこまれることを拒否した。その全てを金に替え、その全てを(はた)いて、残りのもう1つの勢力……鶴仙流から世界最強の殺し屋を雇った。

 

「殺しに来たぞ、エビチリ」

 

 

 

 

 

 




ニーチェ「神の汚いシコシコピュッピュが初代ピッコロ大魔王である」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。