乳首から魔貫光殺砲が出せたらロマンチックビーム 作:ミスターポポティンティン
「あ……g……ごふっ……」
致命傷だ。両乳首から2発放たれた内、当たったのは1発だが、完全に体に風穴が開いた。なんとか上半身の服を脱いで巻き付け、失血死を逃れようとするが、そもそも生命の維持に必要な内臓が逝っている。
潰れたカエルのような、崩れた土下座のような、そんな無様な体勢で倒れ伏す。
桃白白が空から降りてきて着地する。その軽い衝撃にも耐えきれず、片膝を地面につけ、そのまま崩れ落ちそうになりつつも、何とか持ちこたえている。
やがて、気力で背筋を伸ばして立ち上がり、片足を引きずりながらも、こちらへと歩いてくる。
「ふーっ……お、お前はもう助からん。だが意識はあるな? 確かに、お前は戦いの才能があるが、特に発想が優れているというわけでない。凝縮したエネルギー弾を不意打ちで当てようなど、誰もが考えることだ。そして、鶴仙流とはまさにそれを実践する流派だ」
そんな……まさか…………。
「お前がコッソリと練習していた技は、すでに鶴仙流に存在する技だ。その名を、チクビビビビン
……とりあえず、ビ、多いよ……。減らせ。3つ減らせる。ビビンバ言いたいにしても、2つ……減らせ。というか、覗いて、いたのかよ……クソが!
死にそうなのに怒涛の脳内突っ込みが止まらない。
「気遣いのない人間は、その能力があっても大事なことに気づけない。自身の気のコントロールと乳首にばかり気を取られ、私の乳首に溜まる気を感じとれていなかったのが貴様の敗因だ」
声のトーンでわかる。長い説教モードに入った。人の限られた寿命のことを気にしてくれ……。
「私はちゃんとお前の乳首を意識していた。お前は私の乳首のことなど気にもしなかった!」
もう何言ってるんだよ、おっさん……。
「貴様は自身の生理的嫌悪を世の正義だと思っておる。そんなわけがないだろう! 世に存在するものに対し……例えば、男の乳首に対してのリスペクトが足りていないのだ。キモいと思っていたな? 目を背け、存在しないものとして扱っていたな? 世話になっておいて何たる態度だ!」
お前の乳首に世話になった覚えはねぇんだわ……。
「自身の興味と、狭い正義の中にこもり、練習の段階で、気付かねばならぬことに、気付けていなかったのだ。チャオズをとんでもない性癖にしおって……! これはその報いなのだ!」
何言ってるのおっさん!? チャオズ!? チャオズの性癖ってなんだよ!!?
「感じ取れているか? エビチリ。これが……最後の教えだ。今、お前に確実にとどめを刺せるだけのエネルギーが、私の右乳首に着々と集結していっている。それを、キチンと感じ取れねば……む……? ……………貴様!?」
「……ハハハ。や、やっと気が付きました?
喋りながら、なんとか立ち上がっていく。
「初めて会ったのは、5年以上は前ですかね……? 俺もう、16歳になったんスよ……。オッパイ、おっきくなったんですよ……。片方なら……乳首を……デコに付けられるくらいにね……!」
右の胸を両手で抱え込みながら、震えるガニ股で踏ん張り、獰猛な笑みを浮かべる。
その乳首は
お互いの右乳首に、相手を即死させるに
西部劇のガンマンのようだ。どちらが相手に先に当てるか。そしてどちらが先に外すか。
しかし俺達は武道家。相手を打ち倒し、撃ち倒すべく、最後の組手が始まる。
十分なエネルギーを溜め終わった乳首をデコから開放し、両手を空かせる。
「「うぉぉぉおおおおおおおおおおーーーーー!!!」」
お互い全力のラッシュ。そして、やはり接近戦は
鋼鉄すら容易く切り裂けてしまう俺の攻撃。それに一定以上の対処が出来る敵との経験が、俺には足りていない……。思えば、
このままではまた競り負けて、今度は即死の一撃をもらってしまう。特別な技が必要だ。
「天津飯ッ、技を……借りるぜッ!」
腰を低く落とす……!
「排球拳! いっくわよーーーっ! はーーーーーい♥ ブボァ! ブヘッ! アヘェッ!」
失敗した!!? というか色々間違った!!
向こうも、おそらく戸惑ったんだろう。はーい♥の笑顔に、パンチ3連打している暇があったら、すかさず
つまり、今……相手は動揺して、大きなミスを犯したってとだ!
それにより、さらに動揺しているってことなんだ!!
その証拠がこの追撃の大振り……! 難なく相手の懐に、足から滑り込むようにして回避する。
バレボールのトスのような両手での掌底。それで
「ハァァッァアイ!!」
結果として、仰向けで地面に横たわる体勢の俺。うつ伏せで空に浮かぶ
目が合う。まるで俺達の視界と意識以外の全ての時が、一瞬だけ止まったような錯覚。
お互いがその一瞬の先へ行こうとする。時を動かそうとする。それを成すタイミングが完全に同時だということを理解する。だから俺達は……ただ全力を……ぶつけ合うことにした。
「チクビビビビン波!!!」
「魔貫光殺砲!!!」
先程の俺と同様、腹に大穴を開けて、
エビチリ「片方なら……乳首を……デコに付けられるくらいにね……!」
桃白白 「!? (意味ワカンネー)」