乳首から魔貫光殺砲が出せたらロマンチックビーム 作:ミスターポポティンティン
右手の指を軽く鉤爪状にして、目の前の巨大な岩に、斜め上から突き刺す。手首と肘を上向きにひねっって、岩全体を持ち上げ、そのまま上空に放り投げる
ジャンプして、更に高く岩を蹴り飛ばすかのように右足を振り上げるが、ギィィィッン! という音とともに、岩はその場で真っ二つに切り裂かれた。
体をひねり、もう片方の足で回し蹴りを放てば、再び鋭い音とともに、岩が十字に切り裂かれ、4つの塊となる。
体を落下させつつも、先程の蹴りの回転をそのまま、今度は左手を鉤爪状にして、しかし突き刺すのではなく、斜め下からアッパー気味に4つ全てを引っ掻くように指でなぞる。
ひらりと華麗に舞うように着地したその直後、鋭い断面の、更に5等分にされた岩が俺を避けるようにガガガッと地面に落ちてくる。
「ふむ……」
少し離れたところにある別の岩にスっ……と手のひらを向け、気功波を放つ。
…………そんなものは出ない。
無言で、かめはめ波のポーズでやってみる。
…………出ない。
周囲を軽く見渡し、誰もいないことを確認する。
頬を染めながらも、今度はちゃんと力をタメて、しっかりと声もだして行う。
「か〜〜〜め〜〜〜は〜〜〜め〜〜〜〜波ぁあっーーーーーーーーーー!!!」
全く
出ない
やまびことなり響き渡る自身の絶叫から耳を塞ぎ、真っ赤になった顔を隠すようにしゃがみ込む。
……
……
……
…………クソが!
悲報。俺氏、普通に指からでも魔貫光殺砲なんて撃てない。
うん。気づいてしまいましたね。致命的なことに。
一切気感じられなことに気がつくという、なんか、まあ、いいや。上手いことを言えそうで言えない……。
話を戻して、あれだ。指から気が出る気がするという気がしない、という、これも……なんか、まあ、色んな意味で混乱する……事態に出くわした。
いやだから、普通に…………エネルギー弾なんか出ねぇーつーね?
岩を切り裂けるのとか気が放出されてるからじゃないのか? ただのパワー? 武術なんて前世でも習ったことなんてないし、テクニックなわけないよな?
そういや空も飛べない…………飛べないよな?
伸ばした両指を、斜め上空に突き刺すようにして試してみる。
「とぉっ!」
……
……
……
…………クソがよぉ。
ちょっと前につんのめっちゃって、たたらを踏んだ姿は、まさしくスッパマンだった。
微妙なやまびこを聞かないように、再び頭を抱えてしゃがみ込み、思わずそのまま寝転んでゴロゴロしてしまう。もうどうにでもな〜れ! と、何度目かもわからないほど、体中、砂と泥でグッチャグチャだ。
ドラゴンボール世界で気を扱えないって、それ駄目だろ。
よくてヤジロベーの立ち位置じゃないか……。いや意外といいポジションだけどさぁ。年をとったり、太っちゃったりしたなら考慮に入れてもいいかもしれないけど……。
「何もないし、誰もいない景色の良いところで、猫とマメ食って生きる暮らし……」
いや、否定はしないが……なんというか究極だ。究極のスローライフだ。ただの優雅な暮らしをスローライフと呼んでいるそこらのWEB小説とは違うガチめのやつだ。
あいつ空も飛べないくせに、あそこ住んでるのすごいな。たまに降りてくるしな。
あれを目指すには俺はまだ若すぎる。若者というのは、もっとエキサイティングなことをやりたいんだ。
若者なら誰でも憧れるエキサイティングなこと……典型的なことを言えば、そりゃあ、やっぱり乳首からビームを出すとかだろ。
諦めんぞ……。今の俺には、若さのエネルギーに前世の知恵がある。いうなれば若者代表かつ、前世の地球人代表だ。
俺達の誇りをこの胸に……これは? これか……!? これが気!
わかる……! わかったぞ!! みんなの思い。世界のエネルギー。そうか。そういうことだったんだ……。悟空の元気玉と一緒だ。世の中は1人の力ではない。こんな簡単なことだったんだ。こんなそばに在ったんだ……!
イケる。イケるぞ。これが俺達の誇り、魂。
個が弱いからこその……団結した地球人の強さだっ!!!
「魔貫光殺砲ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼」
ポーウ
ポウ
ポゥ
ゥ
…………クソがよぉ。
た、頼む……乳首から魔貫光殺砲を……乳首から魔貫光殺砲を出してくれ……頼む…………サイヤ人の乳首で……。
ガク
ベ、ベジータ……。