勇者パーティを追放された俺はその通りだと思った。   作:テムテムLvMAX

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お前浮気か?


出会いって別れの始まり?

「はぁ……飛び出したのは良いがこの先どうすれば……」

 

 

 勢いよく飛び出したのは良いがフレイ様の元を離れてもどうしようもない事に気がついてしまった。

 衣、住、食は勇者パーティだからと立ち寄った村や助けた人々から譲られたものがあったが、俺個人の持ち物は旅ができる程の持ち合わせがない。

 

 

「しまったな、幾らか譲ってもらえばよかった……俺のバカ」

 

 

 ここで肩を落としていても始まらない、フレイ様に笑われないようにシャキッとしよう

 

 

「ここから一番近いのは、テランデの城塞都市か……魔王軍の前哨基地に対するカウンターって謳い文句だったけど今じゃ国一番の商業地区だもんなぁ」

 

 

 人生何があるか分かったもんじゃ無いってのは街も人も一緒だな、さてと、国一番の商業地区なら働き口の一つや二つ余ってるだろうしそこから始めるか……

 

 空を飛びながらそんな事を考えているといつの間にか俺は囲まれていた、囲んでいるのは鳥の群れ、しかもただの鳥じゃない。魔物だ。黒い目、歪んたくちばし、ボサボサの羽、そして吐息は生気を奪うのだ

 

 

「ヨードー……! 群れで飛んでるのか……っ」

 

「オアーッ!」「アーオー!」「オッオアー!」

 

 

 一匹が鳴けば4匹5匹とそれに続く、この群れは幸いその程度だが下手したら数千匹の群れであることもある。運が良かったと思おう。

 呑気に飛んでいる場合じゃなくなったな……攻撃魔法は得意じゃないが、使えないわけじゃない

 

 

「ウィンドスパーダ!」

 

「オォーッン?!」

 

 

 手刀を振り下ろす動きに合わせて風の刃が飛んでいき一匹は落とした、それに怯んだ他の仲間も薙ぎ払うようにウィンドスパーダを放って蹴散らす、掠ってまだ生きている者もいるが倒せなくていい、俺は逃げ切れればそれでいい。

 魔力を集中させて飛行に専念すれば俺はどんな魔物より速く飛べる、逃げ足だけは誰よりもってね。

 

 

「あばよ」

 

 

 背中を向けて一気にヨードーの群れを突き放し無傷でテランデの城塞都市へ辿り着くことが出来た。

 降り立ったのは人が十人は縦になっても届かないような大きな門の前、魔王軍との戦争を考えて作られた都市だけにこの辺の設備はみな頑丈で堅牢だ。鉄と石の味気ない色合いだが、武骨さ好きだったりする

 

 門の側には門番の詰め所があり、そこが同時に入るための受付窓口だ。窓口に立つと奥から体の大きな男が出てきて対応してくれた。

 

 

「よく来たな、この先は通行書が必要だ。もしくは永住権は持っているか?」

 

「いえ、何も持っていません。ですがここで働き口を探したいのです」

 

「労働希望か、なら一時入城許可書と紹介状を発行しよう、ギルドまで行ってからそれを渡せ。ギルドが労働者用の滞在許可書を発行してくれる」

 

「いくらです?」

 

「100キフだ」

 

 

 よし、これでギルドへ加入出来るぞ。

 実はギルドって初めて何だよね、勇者パーティにいきなり入ったから自分の実力がどこまで通じるか試してみよう、ギルドには独自の評価基準に応じて仕事が斡旋されるから頑張ることに越したことはないんだ。

 

 門番に金を渡し、書類を貰ってから門を潜り街に入る。そこはまるで別世界のような光景だ、門を境目に自然と文明がこれ程クッキリと分かたれている所も無いだろう、目に入るモノ全てが人の手で作られた物ばかり。まさに文明の塊だ

 

 

「ここに来るのは二度目だが……、やっぱり圧倒されるな」

 

 

 故郷の村と比べると天と地、天国と魔界程の差があると言い表すしか無い。

 

 

「えーと、ギルドギルド……あれを辿って行くか」

 

 

 街の目立つ所に建てられた案内看板に従って歩く、メインストリートの大商店街、無数に立ち並ぶ露天商の通り、公園には巨大な噴水、金槌で鉄を叩く音が響く職人通り、ちょっと近寄りがたい娼館通り……そのいくつもの通りを抜けると街の中心にドカンと建つギルド本部に迷わず辿り着いた。

 

 

「うわぉ、デカイ」

 

 

 そんじょそこらの貴族では真似できない大きさかつ今まで討ち取ったであろう凶悪なモンスターの首がズラリと壁に掛けられている、流石に剥製だけどな。

 

 

「おや、その書類は! 貴方はギルド加入希望者ですね!」

 

「うわっびっくりした!?」

 

 

 背後から耳元に向けて大音量で誰かが叫ぶ、お陰でしばらく耳鳴りとお友達になってしまった。誰だこんな非常識な声量で話しかけるやつ……は……

 

 

「……素敵だ」

 

 

 俺よりまず体が大きい、目線が上を向くぐらいには。

 それでいてなんだこの可愛さは、ペットのような愛嬌のある顔。

 更に笑顔が眩しい、声がキュート、大きな体とのギャップがかえって魅力を引き立てている。

 

 

 ぶっちゃけかなり一目惚れ、この街に来て良かったぁ

 

 

「えっ?」

 

「あっ、いや俺はアレク。君は?」

 

「あ、これは申し遅れました! シーはシーといいます!」

 

「シー、それが名前か?」

 

「はい! シーです!」

 

 

 おいおい元気っ子かよますます惚れちまうぜ、よせよせ俺のポイントをいくら稼いでも出せるのは願いを叶える伝説の魔法のツボぐらいなもんだ……

 

 

「俺はギルドに入るから、これからよろしくな」

 

「はい! シーは職員なのでいつでも会えますね!」

 

 

 フレイ様……ぶっちゃけ追放ありがとう……俺ここで骨埋めようかな……

 

 

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