勇者パーティを追放された俺はその通りだと思った。 作:テムテムLvMAX
「神は慈悲を与えた、踏みにじったのはお前達魔王軍だ……! 死んでその罪を直に懺悔するがいい、はぁつ!」
「ムギュアッ!?」
これで最後、袈裟斬りにやつの体を裂いて物言わぬ体にしてやった。だがこいつ以上の魔物になれば復活する恐れも出てくる、だからやりすぎる事に躊躇はない。
「ふぅー……メスキス殿、この辺りに魔物の反応は?」
「ございません、完全に殲滅しました」
「ふぅー……アレクの分も働いたら疲れたーっ……あの野郎涼しい顔して結構補助飛ばしてたんだなぁ……ひょっとして俺より強いんじゃねーの」
単純に四人でしていた仕事を3人でしているのでその分は負担が大きくなるが、それでもアレクが居なくなったことで殲滅に時間がかかった。
「よし、この前哨基地の制圧をソムニ王に報告しよう」
「じゃあ目的地はテランデの城塞都市か……アレクも居るかもな」
居るだろう、さっさと見つけて誤解を解いてまた私の力になってもらわねば、今度はちゃんと誤解させないようにキチンと伝えないとな
移動には翼を持った馬、ペガサスを使う。勇者にしか従わない高潔な生き物だ。四人まで乗れるほど大きいのだが毎回アレクだけ乗せたがらない、アレクが初対面で喜々として触り過ぎたせいで嫌われてたのだ。後ろ足で蹴られて生きてるだけ良かったと思いたい……
そのペガサスを使えばテランデの城塞都市までの道中はあっという間だった、少し目を閉じて休憩していれば次に目を開いたらあの巨大な門の前に辿り着いている
「門番! 勇者フレイが参った! ソムニ様に目通り願いたい!」
「おぉフレイ様! 前哨基地を制圧したのですね! では王へ取り次ぎます! お先に城までお進みください」
門番がソムニ王に連絡を入れてくれた間に私達は城塞都市の要である城まで歩く
「キョロキョロし過ぎだフレイ、皆が見ているぞ」
「う、うむ……すまない兄上」
「フレイ様見つけたついでに口説き落としては如何です?」
「ばっ!? メメメメメスキス殿!? なんてことを!?」
ちょっとそれはまだ早いって言うか私にもアレクにも心の準備があるって言うか私が一方的に好きって伝えてもアレクは私の事好きじゃないかも知れないし
「ハッハッハ! 違いねぇ! アレクなら俺も構わんぜフレイ!」
ディオス兄上までっ!? あわわわわ恥ずかしいよぉ! アレク〜助けて〜!
★
おっ? 誰か俺を呼んだ? いやまさかそんなこと無いか、後ろ髪引かれすぎて空耳でもしたかな。
俺は俺でギルドに登録し、晴れて一般的な労働者の仲間入りするのだ。勇者パーティじゃ味わえなかった都会暮らしや一般的な仕事を覚えていこう。……そういや村に引き籠もって魔法の修行しかしてないからあんまり普通の仕事知らないなー……やってけるのか俺は?
「はいアレクさん! ギルド登録完了です! これがギルドの発行するあらゆる身分保障に保険特約とか色々ついてくる魔法のカードになります!」
「す、凄い! これがあれば怪我し放題!」
「ただし更新は月ごとに行います! 審査に落ちたら今度は再取得講習という名のスパルタ特訓が待ってますよ!」
なんだこの両極端なカード!?
あ、いや……命懸けの開拓者や労働者にはありがたい話だ、命がかかってる分極端になっているだけか……そう思いたい。
「で、現在のアレクさんのギルドレベルは1です!」
「1ですか、ギルドレベルってどうやったら上がるんだ?」
ギルドレベルってのが評価方法になるのか、このギルドカードにもしっかり記載されているな
「ギルドレベルはこなした仕事やギルドへの貢献度、または個人の影響度などを加味してつけられます!」
「へー、じゃあ例えば勇者がギルドに登録すると?」
「本当にそうなれば良いんですけどね〜、うーんそうですね勇者様ですとレベルは500でしょうか?」
「スッゲ……というか最大値はいくつなんだ?」
「100ですよ、勇者様は例外の例外ですからね」
まぁそりゃそうか……確かにフレイ様は何させても完璧なお方、数値に表しても規格外なのは当然か、そんなお方の3年も共に入られたのは幸運だったな……あれ涙が……止まらない……
突然ギルドの受付カウンターで泣いてしまったものだから職員たちを困らせてしまった、俺も恥ずかしくなってギルドから足早に立ち去ることにした。
今日はダメだ、全然未練が振り切れない、勇者の名前を聞いただけで泣いちゃう。
少し人の少ない小さな通りに入って人目を忍ぶ、泣いてるところなんて見られたくはないからな。ひとまず泣き止んだら今度は宿探しだ。
「宿探すって言ってもなぁ」
この街は広い、安い宿から高い宿まで千差万別で色とりどりだ、財布と相談しながら地道に探すしか
【ミコスの止まり木】《安いよ!》
「ろ、露骨な看板……っ!」
安いよって謳い文句にどれだけ信用性があるのか分かんねぇ、看板の先にある宿がそうならかなり豪勢な高級宿だが……看板自体は安っぽいんだよな……いやでも宛もないし……流石にこれは無いだろ……
と、言いつつ俺の足は看板が示す宿へ足が伸びていた。好奇心が止められず重力に引き込まれるように入ってしまった。
さて魔王が出るか邪神が出るか……
「いらっしゃい、貴方お客様?」
「ク、クールビューティ……!」
し、しまった〜っ! 油断していた! こんな所にこんな美人が居るなどと~っ!
鋭く突き刺すような目線、氷より冷たく無感情な表情筋、そしてその肌は純白の新雪が如き美しさ……っ! なぜこのような要素をこんな小さな幼女が持ち得るのかっ! そこだ! そこなのだ! この子は幼女なのだーっ!
「お客様なんですか?」
「あ、あぁうん、お客でーす……はい」
「ここはミコスの止まり木、一泊1万キフ」
「うわ高っか、そりゃそーだよな〜高級そうだし」
「……の所、100キフ」
「衝撃のプライスダウン過ぎるだろっ!?」
「だって、お客様貴方だけだから」
拝啓フレイ様
俺ってもしかしてなんか巻き込まれましたか? 厄介事の前触れなのでしょうか……これはフレイ様にクビを言わせてしまった俺への試練なのでしょうか?
この野郎俺だって元勇者パーティの一員だぞどんなトラブルだって解決してやらァ!