ひろがるスカイ!プリキュア with デリシャスパーティ♡プリキュア   作:空色胡椒

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共闘開始

「ふっ!」

 

キョーボーグの振るう腕をバク転するように回避し、追撃を掌底で弾くフィナーレ。何とか戦えてはいる、ただそれでも…

 

(決め手がない…クリーミーフルーレを使うための隙さえ与えてくれないとは…)

 

「キョッ、ボーグ!!!」

「くっ…」

 

次の一撃は回避できないと判断し防御の構えを取るフィナーレ。それでもキョーボーグの攻撃の勢いは殺しきれず後方へ吹き飛ばされてしまう。

 

「っ!」

 

背後をちらりと見ると岩のオブジェ。間違いなくこのまま衝突する。そう思い身構えたフィナーレは、トスンという優しい衝撃に目を丸くするしか無かった。

 

「な、なにが?」

「フィナーレ、大丈夫?」

「え?」

 

誰かが自分を抱きとめてくれたのはわかった。だがその声には覚えがなかった。背後を見ると自分より高い背丈に紫の長い髪。気品溢れる服装の中にスカイ達と共通の意匠が見られる。

 

「あ、ああ。君もプリキュアなのか?」

「うん。マジェスティ。キュアマジェスティだよ」

「そうか…いや、だが一体…」

 

「マジェスティ!フィナーレ!」

 

戸惑うフィナーレの隣にウィングが降りてくる。マジェスティについて聞こうと振り返るフィナーレだったが、ウィングの両手がフリーなことに気を取られる。

 

「ウィング、エルちゃんは?」

「ここだよ?」

「え?」

「えっと…マジェスティはプリンセスが変身したプリキュアなんですよ」

「……え?」

 

改めてマジェスティの方を見るフィナーレ。なるほど確かに目や髪の雰囲気、プリンセスっぽさとエルちゃんを思わせる要素が見られる。そうかそうか、あの赤ん坊だったエルちゃんが…

 

「って!急成長にも程があるだろう!私よりも大きいではないか!」

「ええ、まぁ…そうなんですよね。一応変身を解くと元のプリンセスに戻るんですけど…」

「何だこの妙な気持ちは…久しぶりにあった年下の親戚が、しばらく見ないうちに大きくなってて見上げるようになったかのような…嬉しいような寂しいような…なんだこれは???」

「あはは…」

「?」

 

流石にツッコミを入れずにはいられなかったフィナーレの様子に首を傾げるマジェスティ。そして何となくその気持ちが理解出来るウィングは苦笑するかなかった。

 

と、少し気が抜けてしまうような雰囲気だったが、のんびりしている訳にもいかない。

 

「キョーッボーグッ!!」

 

「っ!来るぞ」

「フィナーレ、守ってくれてありがとう。今度は私の番。私も、守りたいから」

「マジェスティ…ああ。共に戦ってくれるか?」

「うん!」

 

ふわりと嬉しそうに微笑むマジェスティに、フィナーレも笑顔を返した。仲良さげなその様子に小さく頷きながら、ウィングは視線をキョーボーグへと向けた。

 

「行きましょう!」

「ああ!」「うん!」

 

勢いをつけて上昇するウィングと、大地を蹴って共に駆け出したフィナーレとマジェスティ。ウィングの上空からの蹴りと、2人のパンチが同時にキョーボーグへと繰り出された。

 

──────────

 

「キョーボーグ!」

「うわっちち…あっついなぁもう」

 

ホットサンドメーカーの機能で熱を発生させ、扇風機の腕を用いてそれを広範囲に飛ばしてくるキョーボーグ相手に、バタフライは攻めあぐねていた。

 

プリズムのように遠距離技がある訳ではないため攻撃するには近づかなければならない。でも熱風が邪魔をする上に、地面の砂まで巻き上げるため視界まで塞いでくるという厄介極まりない相手。

 

「何とかミックスパレットが使えれば…ってやば!」

 

今度は熱を炎の形として放出させたキョーボーグの攻撃が正確にバタフライ目掛けて放たれる。咄嗟にバリアを重ねがけで展開させることで直撃は防げたものの熱波が押し寄せる。さらにその炎は連続して発射し続けられるらしく炎の勢いが止まらない。

 

「こん…の!」

 

しっかりと大地を踏みしめバリアを押す腕に力を込める。勝ち目はなくても、それでも今できることをすればいい。きっと2人がこの場を切り抜ける方法を見つけてくれる。

 

そう信じて笑顔を絶やさずバリアに力を込める。

 

 

 

「ピリッtoヘビーサンドプレス!!」

 

突如キョーボーグの上下に青い食パン状のエネルギーが現れその体をプレスする。炎を放っていた発射口部分が強制的に閉じられたことによりキョーボーグの体の中で炎が暴れる。

 

「キョーボッ!!ボボボボッ!」

 

自ら発射するのはともかく流石に炎を直接中にぶちまけられるのは熱いらしくキョーボーグが転がるように悶えている。

 

炎が止まったことによりバリアを解除できたバタフライ。思ったよりも力んでいた影響で片膝を着いてしまう。

 

その前に2人の少女が降り立ち、そのうち1人がバタフライに手を差し出し、もう1人はキョーボーグに対して発動させた技を維持している。

 

「バタフライ!大丈夫だった?」

「まぁね…らんちゃんとここねちゃん、でいいんだよね?わぉ!なんか可愛い子もいるじゃん!」

 

らんとここねの変身した姿は腰にぬいぐるみのようにも見える子が着いている。きっとこの子達が話に聞いていたパートナーだと考えていると、それぞれが自己紹介してくれた。

 

「らんちゃんが変身するのはキュアヤムヤム、ボクはメンメンというメン!」

「パムパムって呼んで欲しいパム。ここねが変身したのはキュアスパイシーパム!」

「お待たせ、バタフライ」

「ここからはヤムヤムたちの反撃だよ!」

 

振り返りながら微笑むスパイシー。にっ、と笑うヤムヤムに対してバタフライも同じように笑顔を見せながらその手を取った。

 

「OK!それじゃあテンションアゲアゲのましましで、決めちゃおう!」

 

すかさずミックスパレットを取り出すバタフライ。1人だと使うタイミングがなかったそれも、仲間がいればこそ輝ける!

 

「プリキュアの力、アゲてこう!」

「うん!」

「任せて!」

 

手始めに赤と白での元気の力!パワーを増した3人のパンチを受け、熱さに悶えていたキョーボーグは大きく跳ね飛ばされた。

 

──────────

 

「やあぁぁぁっ!」

 

複数の光弾を連続して発射するプリズム。しかしキョーボーグはそれを見ると両手のスプーンで光弾を掬いとるように集めていく。

 

「えぇっ!?」

「キョーッ、ボーグッ!」

 

スプーンの中で一つにまとめたそれを自身を回転させることで勢いを乗せて、キョーボーグはプレシャス目掛けて放った。

 

「わわっ!この攻撃…あの時のウバウゾーみたい」

 

既視感のある攻撃。かつてナルシストルーが使役していた敵がブラペの攻撃に対して似たようなことをしていたのを思い出す。

 

「ごめんね、プレシャス!大丈夫?」

「うん。あたしは平気!」

「まさかあんなやり方で攻撃を跳ね返されるなんて…」

 

ただでさえ遠距離攻撃能力を持っているだけではなく、こちらの遠距離攻撃をそのまま返してくる。確かにそれは厄介極まりない。ただそれでも…

 

「ねぇプリズム。さっきのもう1回やれる?」

「うぇぇっ!?でもでも、また跳ね返されちゃうだけなんじゃ?」

「多分大丈夫。あのキョーボーグ、攻撃をはね返そうとする時、動きが止まるみたい。プリズムが連続で撃ち続けてくれれば、上手くいくよ」

 

笑みを浮かべながらそういうプレシャスは確かに何か思いついていたらしい。若干の戸惑いはありながらも、その自信ありげな笑みに対し、プリズムも頷くのだった。

 

「行くよ、プレシャス!」

「うん!」

 

プリズムが再度光弾を連射するのを合図に、プレシャスはキョーボーグ目掛けて走り出した。先程と同じようにそれに対してスプーンですくいとる行動に出るキョーボーグ。

 

が、次から次へと光弾が飛んでくる。撃ち返す隙も与えられないキョーボーグは足を止めて受け止めることに専念した。

 

その隙にグッと拳を握り、エネルギーを纏わせたプレシャスがキョーボーグ目掛けて飛び込んでいく。

 

「やあぁぁぁっ!」

 

ガコンッとなかなかに鈍い音と共にキョーボーグの胴体がくの字に曲がり、受け止めていた光弾も地面に落ちて誤爆する。その隙を逃さないようにプレシャスは追撃の手を止めない。

 

「キュアプレシャス!ハートジューシーミキサー!」

 

「シェアリン!エナジー!ミックス!」

「コメ!」

 

「プリキュア・デリシャスプレシャス・ヒート!」

 

構えられたハートジューシーミキサーからピンクの奔流が溢れ、キョーボーグに直撃する。キュアプレシャスが単独で放てる中でも強力な技。先のパンチに加えてのダメージに、キョーボーグがバウンドするようにしながら飛ばされ、さっきまでのすくう動きの疲れが一気に来たのか目が回っている。

 

「キョボッ!?」

「やったぁ!」

「プレシャスかっこいいコメ!」

「えへへ」

 

プリズムのからの賞賛の言葉に1度照れるようにはにかむプレシャス。だが折角のチャンスを悠長に会話していては意味が無い。

 

「プリズム!一気に行こう!」

「うん!」

 

先の攻撃で転んだ状態の今のうちに、接近戦に持ち込むチャンス。

 

プレシャスとプリズムが同時にキョーボーグに向かって駆け出した。

 

──────────

 

「くっ」

 

決め手がない、これこそが最もシンプルかつ最大の問題点。

 

キョーボーグを浄化できるのはプリキュアだけ。でもそのプリキュアはここには自分独りしかいない。単独の浄化技で撃破するには力が足りない。それ故に今の自分たちが展開しているのはほぼ持久戦状態といっていい。

 

キョーボーグからの攻撃をかわしたかと思えば追撃が迫る。エンジンを取り込んだキョーボーグらしく、加速力とパワーはこれまで対峙した中でもかなり高出力であるため、一撃一撃が重く、また速い。先程の攻撃をかわして宙に浮いたスカイは衝撃に備える。

 

「ふっ」

 

キョーボーグの腕が当たる前に目の前に割り込んでくるブラペ。背中のマントを使った守りは固く、今回もキョーボーグの攻撃を弾くことに成功している。

 

弾いた腕を蹴るように跳躍し、ブラペはスカイを抱きとめて距離をとる。置き土産とばかりに光弾を連射しながら、ブラペは近くのオブジェの上に着地した。

 

「すみません、ブラペさん」

「大丈夫だ。だがやはり手強いな…加えて言うなら、悪趣味でもあるが」

 

光弾を受けたことにより生じた土煙を払うキョーボーグに視線を向ける。2つのものを組み合わせられたキョーボーグ。目の前の相手はエンジンと、

 

「ペッパーミルとか、当てつけか嫌がらせのつもりか、あいつ?」

 

どことなくチェスのクイーンを思わせる細長い胴体。よりにもよって自分の変身後の姿や大好物の調味料に関係するアイテムが選ばれるとは…

 

「キョーッ、ボーグ!!」

 

ブラペとスカイを捕捉したキョーボーグが飛び上がり自分の底、胡椒を振りかける場所を向ける。エンジンの馬力による高速回転を加えたキョーボーグは、連続で大量の光弾を2人目掛けて発射した。

 

すかさず別のオブジェへ飛び移ることで回避する2人。先程までのオブジェは光弾の雨によって穴だらけになり、崩れ落ちた。巻き起こる土煙に視界を遮られ、キョーボーグが当たりをキョロキョロしているのがこちらからは視認できる。

 

「なんつー威力だよ」

「まともに受ける訳にはいきませんね…」

 

こくり、とスカイの喉がなる。自分の中でもかつてないほどの危機的状況、そして浄化できるのが自分だけという責任感。ブラペが共に居てくれると分かっていてもなお、その事に緊張を感じずにはいられない。

 

ちらりと横にいるブラペを見上げると、その視線はキョーボーグに向けられたまま、揺らいでいない。不安の気配がその表情にはなかった。

 

『ソラの戦いたいように戦え。俺がお前の背中を守ってやるから』

 

そう言ってくれた彼の言葉を心の中で思い出す。

 

そう言ってくれた時の笑顔を思い出す。

 

その言葉の通りに彼はきっと動いてくれるだろう、そう信じられる。

 

だったら……

 

「ブラペさん」

「ん?」

「無茶を承知で提案したい作戦があります」

「いいぜ」

「へ?」

 

あっさり返される肯定の言葉に思わず面食らう。無茶をすると宣言したようなものなのに、それを止めるでもなく戸惑うでもなくいいと。

 

見上げると苦笑しているブラペ。

 

「ゆいと一緒に戦ってきたんだ。多少の無茶なら慣れてるさ」

 

だから言ってみろ、そう頷いたブラペに笑顔を返し、スカイは作戦を伝えた。

 

 

「ったく…ほんとに無茶やる気だな」

「ダメでしょうか?」

「いいや。言ったろ、スカイの戦いたいように戦えばいいって。ただ、一つだけ」

「はい?」

「万が一のためって訳でもねえけどさ。今のお前に必要な技を教える。すぐ覚えろ」

「は、はい!」

「いいか─────」

 

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