ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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ずっと疑問なんですけどこの世界って魔物食べるんですかね。まぁ実際がどうであれこの話の主人公は食べ(ようと試み)るんですけど。多分。(そして仲間からドン引きされる定期)



十一話 勇者と竜と故郷の旅立ち

 

 そこからダン、ペルラ共に別れの言葉と抱擁を済ませ、いざデルカダールに向かおうと自身の故郷に背を向ければ。

 

「──待って!」

「ワンワン!」

「エマ、ルキ……」

 

 先行くイレブンを引き止めるようにして、エマとルキが走ってこちらまでやってくる。エマはイレブンにスカーフを渡した事もあって、最後に会った時のままだった。トレードマークのオレンジが無いのはなんだか違和感を感じるものの、それでも託してくれた意味を思えばむしろこれで良かったのだろう。

 

「はは、大丈夫?」

「う、うん……」

「ごめんね、わざわざ来て貰って」

 

 ありがとう。エマの額に手を伸ばしながら、分け目の乱れた前髪を直す。せっかく最後の会話であるのに顔が隠れては勿体ない。聖竜はそんなイレブンを見て「相変わらず得意ですよね、そういうの」と呆れたようにボヤいていたが、とはいえ精神年齢だけで言えばイレブンも立派な十九歳。エマより三つも年上なワケだし、慣れているのも無理はないだろう。

 

「ルキも来てくれてありがとね」

「クゥーン……」

 

 若干顔の赤いエマの髪を直したところで、次に足元へ擦り寄ってきたルキの顔をわしわしと撫でる。彼もまたイレブンが旅立つ事を本能的に理解しているようで、どこか悲しげに鳴き声を上げてはイレブンに額を押し付けてきた。堪らず身体ごと抱き締めてやると、めいっぱい体重を預けてくる。最後までなんと利口なルキなのだろう。

 馬も大人しく座っているし、もういっそこの二匹だけで旅をした方が早いのではないか? 馬と犬というのもなんだか映えるし、ましてや変態(勇者)でもポンコツ(聖竜)でもないし。

 

『──やはり別れは辛いものですね……』

『うん、本当に……』

 

 だが行く気満々の二人である。この先の旅路に不安──主にツッコミ不在の恐怖など──が無いのか無駄に勇ましい二人であった。きっと彼らは自分がどれだけヤベェ奴なのかを知らないのだろう。そのくせお互いのヤバさは知っているからとんだドングリの背比べだった。僕(私)は少なくとも聖竜(勇者)よりはマシ。ホントに困ったどんぐり共である。その内どこかで踏まれたらいいのに。

 

「あ、あのね! イレブン!」

「うん?」

「その……これ受け取って! 昨日あの後急いで作ったの! お守り!」

 

 エマにバッ! と手を伸ばされて、イレブンが丁寧にそれを受け取る。青い布地に結ばれた紐がなんだか妙に懐かしくて、イレブンは思わず口角をあげるとエマの背中に右手を回した。「ありがとう、大切にする」と短く伝えて、握った〝エマのおまもり〟ごと彼女の背中を数回叩く。するとぶわっとエマが泣き出すもんだからまぁペルラも釣られて泣き出すこと泣き出すこと。ダンも何やら微笑んでいるし、ルキもしっぽを左右に振っては「ワン!」と元気に声を上げていた。最後に目に焼き付ける光景としてはまさしく文句なしのそれだった。

 当分帰っては来れなくなるが、是非とも守り続けて欲しいと思う。

 

「っ、イレブンのばか! 最後まで泣かないって決めてたのに……!」

「え? そうなの? 勿体ないね、可愛いのに」

「もう〜〜ッ!!! 絶対約束忘れないでよねっ! 破ったらホント酷いんだから!」

「大丈夫だって! 僕ウソつかないし」

『──もう既にその発言がウソかと』

 

 かなり目敏い聖竜である。イレブンは「いいや! つかないね!」と自信満々に宣っていたが、とはいえ昨日の件──大樹の力吸収イベント──にて嘘という嘘を吐きまくったので全然説得力とかなかった。信頼ゼロの勇者って一体。

 

「よし……。じゃあエマとルキの顔も見れたし、そろそろ行こうかな。母さんの言う通りあんまり遅いと夜になるからね」

「ああ。気を付けるんだよ、イレブン」

「うん」

 

 ペルラの顔を見て頷いてから、イレブンがサッと馬に跨る。そうして首元をひと撫ですれば、三人はその慣れた様子に改めてイレブンの実情を思い知った。彼は初めてこの村を出る十六歳の少年ではなく、世界の命運を一身に背負い、戦い続ける勇者なのだと。そしてまた旅に出ていくのだと。

 ダンとエマがイレブンに近寄る。

 

「イレブン、わし達の事なら気にせんでよいからな。お前が教えてくれた通り、わしらはわしらで協力してお前の帰る場所を守ろう」

「ダンさん……うん、頼んだよ」

「ああ。辛くなったらいつでも帰ってくるといい。ここはお前の故郷なんじゃからな」

「はは、うん。分かった」

「イレブンっ、どこにいてもこの村のこと忘れないでね! 絶対元気で帰ってきてね! 私たちみんな、あなたの帰りを待ってるから!」

「ワンワン!」

「エマ、ルキ……うん、約束する。いつか必ず帰ってくるよ。みんなに会いにね」

 

 ──それじゃ、行ってきます! そう言って馬に合図を飛ばし、「行ってらっしゃい」と返す皆の声を背に手綱を譲ってはスピードを早める。そこから十数秒も走れば、すぐに景色が故郷の村から旅立ちの丘へと移り変わった。

 幸い時刻はまだ昼前なので、それなりに余裕はあるだろう。

 

『──上手いこと行くといいですね、彼ら』

「大丈夫だよ、きっと」

 

 互いにそんな事を言い合いながら、イレブンは故郷に別れを告げるとデルカダールへ向かうのだった。

 

「あ、どうせなら呪文のお復習(さら)いしておこうかな。〝メラゾーマ〟とかまだやってないし」

『──流石に魔物が可哀想かと……』

 

 〝おおがらす〟とか焼き鳥になっちゃいますし……。 同情を覚える聖竜である。

 

 

 

 *

 

 

 

 そうしてデルカダールへと向かい初めて数分。馬で〝スライム〟だの〝モコッキー〟だのをズカンバカンとぶっ飛ばしながら、「アハハ」とイレブンが楽しそうに笑う。

 

「懐かしいなぁこの感じ! 流石は馬くん、容赦ないねぇ」

『──……』

 

 一方聖竜は初見だったようで、ボコンドカンと吹っ飛んでは消えるあまりにも哀れで可哀想な魔物(かれら)に同情心が芽生えっぱなしだった。空中で散るモコッキー達と目が合った時の気まずさと言ったら。これではどっちが魔物なんだか分かったもんじゃないだろうに。

 

「ん? どうしたの? 聖竜」

『──いや、どうしたもこうしたも無いですよ。一体あなたの馬どうなってるんです? 走って魔物をぶっ飛ばすなんて』

「ね、スゴいよね。ほんとに」

『──褒めればいいってもんじゃないかと』

 

 馬をナデナデするイレブンを見ながら、「世紀末だよ……」と言わんばかりに聖竜がため息を吐く。それでもイレブンは慣れているようで、呑気に現れたスライムを見てはレッツゴー! と馬を走らせていた。いかにも前職「悪魔の子」って感じだ。どうやらウルノーガの言っていた事は何も間違っちゃいなかったらしい。こんなん笑ってやってるんだからもうこれホンモノの悪魔だろ、コイツ。

 

「あ、そうそう馬くん紹介するね。これ僕の右腕の聖竜」

『──またそんなザツな紹介の仕方を……』

「ヒヒーン!」

「お、馬くんが『よろしくね』って」

『──適当が過ぎる』

 

 いつから動物と会話が出来るようになったんだか。そんな特殊スキル勇者に備わっていないだろうに、「馬くん聖竜の事気に入ったみたい」とか何とか言ってるんだから恐ろしい。彼まだヒヒーンしか言ってませんケド。

 

『──それはそうと気になってたのですが』

「うん? なに?」

『──彼に名前は付けないのですか? 仮にも旅をした仲であるのに、ずっと『馬くん』としか呼んでいないので気になって』

「あー、まぁそう言われてみれば確かに? グレイグも名前付けてたもんね。〝リタリフォン〟とかなんとか」

『──ええ、確かそのような名だったかと』

「うーん、でもいざ名前って言われてもな……馬くんが既に名前まであるし」

『──まぁそういう事なら良いのですが……ただ不便だったりしないのかな、と』

「あぁ、そういう意味では問題ないね! 彼どこにいても来てくれるし! 孤島とか高台とか海の向こうとか!」

『──いやそれはそれでまた話が変わって来るような気がしますが……というかなんですか『海の向こう』って。孤島とかもはや泳いでますけど。高台に至っては登ってますし』

「縄で繋いでも走ってくるよ?」

『──一旦作戦会議をしましょう』

 

 もうそれどう考えても馬じゃないので。

 キャパオーバーした聖竜である。

 




カッカッカッカッカッカッカッカッ(穴を掘るカミュの音)

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
  • 短剣
  • ブーメラン
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