ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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ドラクエの日ですね。おめでとうございます。



十二話 勇者と竜と見た目変更装備(物理)

 

 ひとまず(カレ)の話は横に置いておき──なんだか置いちゃいけないような気もするが──、道中素材を回収しながら、北へ北へと足を進めて。

 

「よし、一旦あそこのキャンプ地で止めよう」

『──はい』

 

 そうして二人が訪れたのは、イシの村からデルカダール王国まで三分の一ほど進んだ距離にある、小さなキャンプ地点だった。備え付けられた焚き火台と、横には見慣れた女神像があり、一体誰が配慮したのかログハウスまで完備されている。過去でも散々世話になった場所だ。

 とはいえ今回は戦ってない──延々と馬でぶっ飛ばした──のであんまり長居をする気は無いが、それでも色々とやる事はあるので一応使わせていただくとしよう。

 

「おーい、お前さん! ハハッ、さては冒険初心者だな? このキャンプマスターである俺がいい事を教え──」

「あ、いや違います。結構です」

「えっ」

 

 秒で断ったイレブンである。まるで新聞の勧誘が来た時のおばちゃんくらい光の速さでの拒否だった。そんなスッパリ切るもんだから小屋のおじさんも驚いてしまって、腑抜けた声をポロッとこぼすと壊れたロボットの如く固まる。まさか拒否されるとは思わなかったらしい。

 

「ではすみません、先を急ぐので」

「え、あ、お、おう……」

 

 じゃ! そしてイレブンはそれだけ言うと、キャンプ地に馬(とおじさん)を残してログハウスへと向かっていった。おじさんの家かもしれないというのに図々し過ぎるイレブンである。また先を急ぐと言っていたのにこれではとんだ矛盾だろう。

 

『──光の子よ、この中にツボが二つほどあります』

「ん、了解。ついでに服も着替えとこうかな。どの道向こうに着いたら変装しなくちゃだし」

『──あぁそうですね。そうしておきましょう』

 

 ……と、この通り隠す事もなく聖竜との会話を呟く辺り、どうやら既にイレブンの中でおじさんの存在は消え失せたらしい。それどころか当然のようにバキン! バリン! とツボを割るのだから犯罪者もいい所だろう。

 唯一聖竜からの言いつけもあって、せめて自分で割ったツボやタルだけは箒とちりとりで片付ける──せめてこれくらいはしなさいと言われた。じゃないといよいよ捕まるとかなんとか──という事にはなったが……これではなんだかお片付けというより物的証拠(ハヘン)を箒で掃除(インペイ)しまくる強盗犯や盗賊のソレだ。ましてや「お、小さなメダルだ。ラッキー」と呟くような勇者なんかに救済の余地は無いと見える。

 

「お、おいちょっとちょっと! お前さん何!? 何やってんの公共の場で!」

「ああいえ、結構です」

「いやもうそれは分かったから! その話さっき終わったから! いやほとんど終わらされたレベルだけども!」

「あの、すみません。着替えるので外にいて貰っても?」

「いや『貰っても?』じゃなくて!」

 

 だからここ公共の施設なんだが!? それでも構わず着替え始めたイレブンに、聖竜は「裏にも宝箱あるけどどうしよ……」と思いつつ(こっちもポンコツ)二人のやり取りを静かに見守る。するとおじさんも流石に負けたようで、「後で俺のキャンプの話聞けよ!」と謎に交換条件を出すとそのまま外へと出ていってしまった。絶対論点はそこじゃないだろうに、彼もまたイカれたタイプだったらしい。であればとりあえず一安心だ。最悪向こうが暴れだしたらイレブンをぶつけて相殺しよう。なんたってウチの(勇者)も規格外なので。もうイカれてるとかいうレベルじゃないので。犯罪者(予備軍)だし。

 現に今だって聞く気とかないのに「分かりました」とか言っちゃっているのだ。多分ウソ発見器って彼のためにあるんだろうな。現実逃避型の聖竜である。

 

「さて……とりあえず服はまぁ家にあった〝布の服〟を着ればいいとして、あと一応指ぬきのグローブもした方がいいよね。痣がバレたら一発だし」

『──ええ、その方が良いかと』

「うーん、となると問題はやっぱり髪と顔か……まぁ顔は時間もかかるし最悪仕方ないとして、髪は結べば何とかなるかな? 長さ的には問題ないけど」

 

 袋から適当なヘアゴムを出して、手櫛でパパっと髪の毛を纏める。そこから「どう?」と聖竜に聞けば、向こうは暫しふむ、と悩んで「丸分かりですね」と冷静に答えた。現実的な手厳しい意見に「だよね〜……」とイレブンが肩を落とす。とはいえ適当に済ませた所で後々痛い目を見るのは自分だ。一回切りのチャンスである故、上手いこと敵を撹乱するためにもここは力を入れるべきだろう。

 

『──いっそメガネとか掛けてみたらどうです? 袋に二種類入ってますし』

「あ、ホントだ。……どう? 〝インテリめがね〟」

『──ほう、いいんじゃないですか? 髪も相まって知的に見えますし、それならイメージも少しは変わるかと』

「そう? あとこっちもあるよ、〝ぐるぐるメガネ〟」

『──いやある意味イメージは変わりますけど……』

 

 あからさまに聖竜のトーンが下がる。「本当にそれで行く気? マジ?」とそんな感じのニュアンスだった。だってレンズの模様のおかげで「おふざけ感」が半端じゃないのだ。加えてもの凄く見えづらそうだし、これではどちらかと言うと変装ではなく宴会芸の出し物に近い。

 

「どう? ウルノーガ騙せそう?」

『──いやぁ……というより怒るんじゃないですかね、逆に。ふざけるなって』

「え、そんなに? でもこれ〝魅了ガード〟入ってるって前に店主の人言ってたから、どうせならこっち付けたいんだけど。インテリメガネはそういうの無いし」

『──いや魅了ガードって。一体誰が魅了して来るんですか。兵士と国王しかいないのに』

「グレイグとカミュ」

『──そんな仲間愛発揮されても』

 

 流石は仲間ガチ勢のイレブンである。もう男であるとか女であるとかそういう次元の話じゃなかった。いちいち仲間に魅了されてたら旅なんか成立しないだろうに。

 

『──まぁでも、インパクト的にはある意味そっちの方がいいかもしれませんね。それだけ奇抜なメガネをしていればそうそう特定もされないでしょうし』

「あ、やっぱりそう思う? じゃあ同じインパクト繋がりでエマのスカーフも巻いておこっか。結構明るい色してたから印象操作はバッチリかなって」

『──印象操作で済めばいいですけど……』

 

 そしていざどう? と見せられたイレブンの姿に、聖竜は思わず「うわっ……」と零すと、少し間を空けてからもう一度、今度は低めに「うわぁ……」と呟いた。無理もない。結んだ髪にぐるぐるメガネ、エマのスカーフと三拍子揃ったぐちゃぐちゃファッションの完成である。むしろこれでよく「どう?」なんて言葉が出てきたもんだ。あまりにも情報が渋滞し過ぎてむしろ「どうしよう」って感じである。しかも派手だし。

 

「え、なにやばい? 僕って分かる?」

『──いや……そういう意味ではもはや別人ですね。少なくとも普段のあなたとは重なりません。ただこう……どうにも悪目立ちしそうな気がしますけど』

「あー、そういう感じか……まぁでも目立つに越したことはないし、一目で僕って分からないならひとまずはコレで行ってみよっか。妙案が浮かんだら変えるってことで」

『──いやまぁ、あなたが良ければ良いんですけど』

 

 この人ほんとに度胸バグってるな……。ガチャ、と恥ずかしげもなくログハウスから出ていくイレブンを見ながら、聖竜は「もしも自分に実体があったらコレの隣を歩いてたのか……」と一人戦慄するのであった。

 

「おっ! ったく、ようやく出てきた──って誰!?!?」

「あ、大丈夫です。間に合ってるんで」

「いや何の話!?」

 

 そう言って小屋のおじさんを置いてスタスタと歩いて行くイレブンに、聖竜は「もしも自分に実体があったらコレの」(※以下同文につき省略)

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
  • 短剣
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