ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜 作:しゃけ21
あと評価くれた人ありがとうございます。評価と感想としおりとお気に入りくれる人には全力で媚びます。それが我が武士道です。(チョロい)
「いいか少年! 本来キャンプというものはだな──」
「へーそうなんですね。スゴイスゴイ」
『──聞いてやりなさいよ……』
女神像にて待たせていた馬を撫でながら、得意げに語るおじさんの話を右から左へスーッと流す。あまりに「スゴイ」と連呼しすぎてそういう語尾の人みたいになっていた。
出発する事をおじさんに伝えたら「おう! また聞きに来いよ」と笑っていたが、聞いていたイレブンの表情的に多分もう来ることは無いだろう。
「じゃあそろそろ行こうか」
「ブルルル」
颯爽と馬の背中に跨り、おじさんへの挨拶も早々に、改めて旅を再開させる。そこからタッタカ走っていればあっという間に王国が見えて、イレブンは手前で馬を降りるとお礼を言って彼を野に放した。「変な人に捕まらないようにね〜!」と現状一番の変な人であるイレブンが手を振りながら、どこかへ走っていく馬を見送る。とても飼い主のする行動ではないだろう。
『──また随分と大胆な放し飼いするんですね……牧羊犬じゃあるまいし』
「まぁ別に魔物に襲われるワケでもないからね。餌も草とかでいいみたいだし、それにほら。これから僕らがする事を考えると、流石に預けるのは不味いじゃん? バレたら何されるか分かったもんじゃないし、それなら別れた方がいいかなって」
『──思ったより考えててびっくりなんですけど』
はえー、と聖竜が関心を示す。誰かと入れ替わったのかと思うくらいにはまともな思考回路をしていた。珍しく頭のいい勇者だった。
これぞ「ギャップ」というヤツなんだろう。一体どうしてその冴えた頭脳を変装に活かしてやれなかったのか。甚だ疑問に思う聖竜である。
*
その後彼らが目的地であるデルカダールへと辿り着いたのは、馬を放してからおよそ十分後。まだ太陽が顔を見せている、昼過ぎ頃のことであった。
正直夕方は過ぎるだろうなと内心軽く見積もっていたのだが……どうやらキャンプと戦闘を省いたのが時短に繋がったらしい。
「いやー、思ったより早く来れてよかったね。初めてここに来た時は二、三日くらい掛かってたけど」
『──え、そうだったんですか? そう考えると今回は二時間だったのでかなり早い到着と言えますね。何なら変装していた分を除けば一時間半も掛かっていないかと』
「え、うそホントに? 成長したなぁ……。当時は魔物と戦うのが手一杯でその都度小屋に引き返してさ。馬くんもあそこまでテクニック無かったし、もうとにかくここに来るまでが長くて長くて……」
思わずはぁ、とため息を吐く。なんせ初めて村から出た十六歳。右も左も分からなかったし、そりゃ時間が掛かるのも無理はないだろう。
『──へぇ、その頃はまだあなたもちゃんと人間してたんですね』
「いや『まだ』って。今もちゃんとした人間なんですけど、僕」
『──いやそれは流石に無理があるかと……ただでさえ馬で魔物轢いちゃってますし不法侵入なんのそのですし』
「えぇ? あはは、酷いなぁ聖竜。人をそんな犯罪者みたいに」
『──いや『みたい』で済まないから言ってるんですけど』
やはり手厳しい聖竜である。イレブンもまた自覚はあるようで、「さ、さぁ! まずは城前の広場に行こう! れっつらごー!」と早口に言ってはタッタと足を動かし始めた。くれぐれも目立たないようにと聖竜に言われて、分かってるって! と首を縦に振る。まぁ多分分かっちゃいないだろう。
『──はぁ、全く……だいたいあなたは勇者なんですから。もっと目立たないよう日頃から心掛けた行動を──』
「あ! 樽!」
『──だから今まさに言ってるでしょうに!』
全然学ばない勇者である。今も笑顔で走り出すなり脇道の樽をぶっ壊したので、聖竜は「だから言ったじゃないですか!!!」と怒るとイレブンに箒とちりとりを出させては直ぐにその場を
「うーん、やっぱり掃除する事を考えると割り方も工夫しなくちゃだよね。破片が多いと片付け大変だし」
サッサと箒で破片を掃きながら、イレブンがその場でぽつりと呟く。どうやら片付けが面倒らしい。自分で割ったくせに。
『──いやむしろどうしてそこで『割らない』という発想にならないんでしょう。なんですストレスでも溜まってるんです? ツボなんて蓋開けて取ればいいのに』
なので聖竜が正論を言ってやったら、イレブンは「ハッ」と笑った後で、なんも分かってないねぇみたいな顔をした。ちょっとイラついた聖竜である。
「ばかだなぁ。こういうのはロマンなんだよ。ガチャン! てツボを割った音も含めて全部が一つのお宝なわけ。分かる?」
『──いや分かりませんけど。というか一発殴ってもいいですか? なんか無性に腹が立つので』
「ごめんて」
なんだかとってもマジのトーンだった。仮にも身体を共有してるのでこの場は大人しく謝っておこう。本当にザキとか唱えかねないし。そうなったら僕マジで死ぬので。懸命な判断の勇者である。
「でもさー、やっぱりコレは譲れないんだよ。上からこっそり盗むだなんてそんなの泥棒と変わらないし」
『──大丈夫ですよ。今も立派な泥棒なんで』
「いやまぁそれはそうなんだけども。それでもやっぱり体裁ってあるじゃん? コソコソやると逆に怪しまれちゃうから良くないかなって」
『──それで堂々とツボ破壊して掃除までしてるんだからもう意味不明ですよ。体裁以前の問題ですって、犯罪だし』
「これでまた街がひとつ綺麗になるね」
『──いやそんな良い話風に纏められても』
慈善活動(自作自演)中の勇者を見ながら、聖竜がやれやれと肩を竦める。すると近くにいた老婆が「おやおや掃除かい? 若いのに偉いねぇ」とか何とか言うのでなんかもう色々と狂っていた。真にこの場で掃除されるべきは破片じゃなくてこの勇者だろうに。
いや「ありがとうございます!」じゃなくて。
『──なに普通にお礼言ってるんですか。あなたですよあなた。この事態を招いたのはアナタです』
『いやほら、知らない方が幸せなことも沢山あるし』
『──そういう意味で使うもんじゃないかと』
本当に一度捕まった方がいいのではないだろうか。息を吐くようにウソついてるし盗みも器物破損もしてるし。
その上何が恐ろしいって、この街はかなり広いのもあってまだまだ
『──……破片入れる袋これで足りますかね。捨てる場所あればいいですけど』
「大丈夫だって! 次はちゃんと大きめに割るし!」
『──全然解決してなくて笑う』
ギャルみたいな語尾の聖竜だった。このままだとイレブンに毒されすぎてその内「ウケる」とか言い出すに違いない。せっかく初期は丁寧だったのに、キャラ崩壊待ったナシの聖竜である。可哀想に。
「よし! じゃあ今度こそ城前広場に向かいつつあらゆる素材を集めていこう!」
『──いや趣旨変わってます趣旨変わってます』
ついに素材に重き置いちゃったよ、この勇者。割った破片の袋を片手にダッと駆け出したイレブンを見て、聖竜は「早く捕まればいいのに」と色んな意味で思うのだった。
カッカッカッミュカッカッカッカッカッカッミュカッカッカッカッカッカッ(今日も穴を掘るカミュ)
カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?
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片手剣
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短剣
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ブーメラン