ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜 作:しゃけ21
それは、彼らがこのデルカダールに到着するおよそ一時間ほど前のこと。
『──仲間のフリ、ですか?』
「うん。それが一番安全かなって」
ログハウスにて変装した姿を確認しながら、二人は今回の件に関して作戦会議を行っていた。ちなみに提案者はイレブンである。どうやらあんなに好き勝手──勇者行為とか馬遊び(※馬で魔物をぶっ飛ばすこと)──していてもちゃんと頭は使っていたらしい。
そんなイレブンの作戦としては、ひとまず『カミュの仲間になりすまし、その上で自首をしよう』と言う事だった。そうすれば勇者だと明かすまでもなく、簡単に捕まる事が出来ると。ふむ、と思案をする聖竜に、イレブンが順序だてて指を立てる。
「まず今回僕らがデルカダールに向かうにあたって、確認しなくちゃならない事が大きく分けて二つある。一つはカミュが捕まっていて、なおかつ彼が無事であること。そしてもう一つは……」
『──魔王ウルノーガの存在、ですね』
うん、とイレブンが首を動かす。
「そう。過去と同じ道を辿るかはその時々でも違うだろうし、当分戻れない事を考えるとここで確認しておきたい。まぁ、本当ならその場で倒して終わらせるのが一番なんだけど……ちなみに聖竜知ってたりする? 王と魔王の分離方法とかって」
『──いえ……残念ながら分かりません。ですが王に魔王が取り憑いているのか視るくらいであれば出来ると思います。元より闇の魔力には敏感なので』
「あ、ほんと? 良かった。肉眼で見るしかないと思ってたから正直めちゃくちゃ助かるよ。あぁでもそれって向こうも同じく魔力で分かったりするのかな。一応過去の感じだと痣を見るまでは僕が勇者だって分からなかったみたいだけど……」
痣を見ながら尋ねるイレブンに、聖竜が「いや、」と否定を返す。
『──あの魔王にそこまでの力は無いでしょう。それこそ過去ではあなたや勇者のつるぎの力で魔力を増幅させていましたが、それが無ければウルノーガなど大した脅威ではありません。なんたってユグノアが滅んでから十六年も老体に依存してるワケですからね。あまり自由は効かないでしょうし、その分力も弱まって当然かと』
「いや老体って……やめなよ、本人割と気にしてるんだから。過去でも『十六年分を取り戻すんだ』って言って早速張り切って腰やってたし」
そして結局マルティナに怒られ、介抱されていたのはいい思い出だ。グレイグもそれを見て微笑んでいたし、幸いイレブンの時と同じで乗っ取られていた十六年の間はほとんど老いもなかったようなので、となるとやはりなんだかんだでウルノーガのヤツは健康、そして政治共にそれなりに王を勤めていたらしい。絶対に効率が悪いだろうに、なんだかよく分からないヤツである。頭のモヒカンもすごくダサいし。
「まぁとにかく。聖竜の力だってまだ完全に復活した訳じゃないし、やっぱりここで対峙するのは早計すぎると思うんだ。だから今はとりあえずウルノーガについては存在だけを確認するとして、まずカミュを助ける事を第一に考えて動こうかなって」
その方がきっとやりやすいし。聖竜に考えを伝えながら、イレブンが頭の中で作戦を練る。聖竜も特に異論は無かったようで、「賛成です」と同意を示すと、次にイレブンへと疑問を投げた。認識合わせの意味もあるのだろう。
『──では現状その作戦で行くとして、例の自首の辺りは具体的にはどうしますか? 物的証拠が必要であれば、最悪デルカダール神殿まで行ってオーブを取ってくる事も出来ますけど』
聖竜の提案に、イレブンが曖昧な笑みを浮かべる。
「あー、うん。それは僕も考えててさ。あそこって国宝納めてるだけあって兵士の警備も厳しいから、いっそそこで捕まっちゃって
『──ええ、実際行けなくもないような気がしますが……何か問題でも?』
「まぁ問題っていうか……あそこって結構距離あるじゃん? もし仮に捕まったとして、そこから王国まで三日とか掛けられたらそれこそ間に合わなくなるなって。カミュに先に脱獄されたらまずいし」
あくまでも懸念だけど、と困ったように笑いながら、イレブンがその場で肩を竦める。果たして終身刑なのか処刑なのか。実際の所は聞いた事がないので分からないものの、それでもカミュが自力で穴を掘り脱獄を図る事だけは事実だ。決して入れ違いにならない為にも、早く現地に着くことはあっても遅れることだけは避けておきたくて。
聖竜が「なるほど……」と独りごちる。
『──確かにそれは一理ありますね。ましてや国宝を狙った盗賊となれば、その分道中も慎重になるでしょうし』
「そういうこと。だからまぁレッドオーブの件と言うよりかはカミュの仲間でっていう方が理由としては強くなるかな。例えば僕がカミュの子分っていう設定にして、一人だけ逃げる罪悪感に駆られてやむを得ず自首を……とかね。そうすれば仮にカミュに確認を取られたとしても向こうは絶対否定するだろうし、逆にそれが庇ってると思われればむしろ僕らとしては好都合だ。誤解なら後からいくらでも解けるし、何より今まで散々守って貰った分、今度は僕がカミュを脅威から守らないと」
きゅ、と左手を軽く握って、真っ直ぐな目でイレブンが前を見据える。それに聖竜は「そんな言い方をするとまた彼に怒られますよ──」と言おうとして、けれども野暮だと悟ったのか敢えて口にはしなかった。「そうですね」とだけ代わりに返して、更なるディテールを詰めに入る。
『──ちなみにもう一つお聞きしたいのですが……王との謁見の口実は今の話で通用するとして、肝心の〝裏取り〟についてはどうしましょう。実際仲間という
「あー、まぁやっぱりそうだよね。裏取りかぁ〜、一応手がある事にはあるんだけど……」
どうしたもんかなぁ……。うーん、と両腕を組みながら、イレブンが目を閉じて頭を悩ませる。出来ることなら使いたくないと、そんな感じのニュアンスだった。普段なら割と即決するイレブンであるのに、どうやら苦渋の決断らしい。聖竜が気になって声を掛ける。
『──珍しいですね、あなたがそんなに渋るなんて』
「いやぁ、実際ちょっと悩んでてさ。出来れば巻き込みたくはないんだけど、でも居てくれたら心強いのは間違いなくて……」
『──ほう、そんな方がいるんですね。どなたなんです? その人って』
「それが……」
そしてイレブンと聖竜はその後も互いに話し合い、ウルノーガの存在確認&カミュ奪還作戦に向けて方向性を固めるのだった。
一話が短くてウケますね(ウケない)
カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?
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片手剣
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短剣
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ブーメラン