ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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あ〜アレです。二話分書いたので実質二話です(適当)



十五話 勇者と竜と強行突破(失敗)

 

 ──とまぁそんなこんなの作戦会議も踏まえつつ、彼らは早々に素材回収を切り上げると、城前にある広場へと向かって。

 

「えー、なになに……『店主不在のため休業中』……だってさ」

『──みたいですね……』

 

 そこからすぐ右にある豪邸のドアにて下げられた「休業中」の看板を見ながら、イレブンと聖竜は肩を落とすと「やっぱりな」という表情を浮かべた。ガッチャガッチャと鳴るゴミ袋──あれから壊しまくって二つに増えた。果たして「早々」とは一体──をドアの脇にガサッとおいて、それからふぅ、と息を吐き出す。なんせワレモノが入っているだけに気を使うのが大変で大変で。(※だが割ったのは自分自身)

 

『やっぱりデクさんまだ帰ってないか……もしかしたらと思ったんだけど』

 

 片手を腰に、そしてもう片方の手を顎にあてつつ、イレブンがううむ、と眉を寄せる。

 ……そう、今回彼らがここに来た目的は、この豪邸に住む主人──〝デク〟と話をする為だった。デクといえば言わずもがなカミュの「元相棒」に位置する人物であり、また過去ではイシの村の復興要員としてよろず屋を開いてくれちゃったりと、なんやかんやでイレブン、カミュ共に関わりの多かった人物である。もっと簡単に表現するならば、まさしくデクはイレブンにとって「友達の友達」と言ったところだろう。

 そんな彼に協力を仰げればイレブンとしてもやりやすいし、何より裏取り問題が解決するので是非とも頼みたいところなのだが……いやはや、やはりそう上手くはいかないらしい。

 

『──どうします? 引き返します?』

『いや、それはないかな。ちょっとやってみたい事もあるし、どうしても今日会わないと』

 

 赤みがかってきた空を見ながら、イレブンが首を振って否定を示す。

 すると案の定聖竜から「やってみたいこと?」と返ってきたので、イレブンは一つ頷くと近くのベンチに腰を下ろした。破片の袋は重かったのでデクの家に置いたままだが……まぁどうせ誰も出てこないだろうし一旦放置でいいだろう。邪魔だし。(※だが割ったのは以下略)

 

『──何か妙案が浮かんだのですね?』

『そ。もしかしたらカミュの脱獄を明後日まで引き延ばせるんじゃないかなって』

『──! 本当ですか?』

『うん』

 

 目だけを城前広場に向けながら、いつデクが来てもいいよう気を配りつつ、イレブンが話を継続させる。

 

『本人に直接言えばいいんだよ。僕が来るまで脱獄しないでって』

『──はい?』

 

 そして当然の事みたくサラッとイレブンが言って退ければ、聖竜は理解が出来なかったようで素直な疑問をその場に落とした。どういう事かと尋ねられて、イレブンが詳細を付け加える。

 ──というのも、先程素材を回収している際、街の外れにいた兵士たちが何やらコソコソしているのを見て思い出したのだ。そういえばカミュが捕まっている間、デクが兵士に賄賂をバラまいて警備を緩和させていたな、と。

 

『ましてや今のデルカダールってウルノーガが統治してるからさ、アイツ多分表面上だけで裏の実態には疎いんだよ。じゃなきゃ兵士が住民から賄賂貰ってるなんて普通に考えて有り得ないし』

 

 それになんたって犯人(カミュ)が牢屋でせっせと穴掘ってるくらいなのだ。いかにその辺がガバガバであるかは想像するまでもないだろう。

 ……まぁ百歩譲ってそう言った彼らの負の感情を元に、魔力を吸い取っているという事であれば話は別だが……とてもそんな器用な事を魔王(ヤツ)がしているとも思えないし。

 また唯一の頼みの綱であるホメロスもあの通り魔王に心酔中のため、そういう意味ではデクの行動はかなりのファインプレーだったと言える。おかげでこちらも動きやすいし、まさにデク様様としか言いようがない。……え、グレイグ? グレイグはこういうの出来ないでしょうに。(※イレブン聖竜共に諦め)

 

『──なるほど……ですが実際どうするつもりですか? 仮にあなたの言う通り警備が手薄になっていたとして、それでも服役中の彼に会うのは至難の業かと思うのですが……』

『そ! そこでデクさんの出番ってわけ。あの人が賄賂を撒きに行くタイミングで僕らも同行させてもらって、いざ兵士が隙を見せたところで気絶させて装備を奪おう。そうすれば警備の流れに乗じて地下牢獄にもいけるだろうし、顔ならそれこそ兜を被れば誰が誰だか分からないからね。これなら自分達で確認も出来るし、裏取りもなんとか取れると思う』

 

 まぁもちろん、デクさんが協力してくれたらの話だけど。保険を掛けるようなイレブンの言葉に、ふむ、と聖竜がひとつ呟く。やり方は些か強引ではあるが、作戦としては理にかなっていた。要は自分達が兵士になればいいとイレブンは言っているのだ。その上でカミュの元まで向かい、何かしらの手段を以て彼の脱獄のタイミングを延ばそうと。つまりはそういう事である。

 

『──ちなみにその伝え方というのは?』

『え? うーん、まぁなんでもいいけど……いっそデクさんに手紙とか書いて貰ってもいいかもね。どうせ警備がゆるゆるなんじゃ物で残してもバレないだろうし、何よりその辺はカミュの事だから上手い事隠してくれるだろうし』

 

 隠蔽するカミュを想像しながら、ふ、とイレブンが笑みをこぼす。バレないように振る舞うなんてそれこそ彼の得意分野だろう。まぁ本当であれば自分で伝えて説得するのが理想なのだが……生憎〝彼〟とは初対面の身。ただでさえ顔も出せないのだし、下手な真似をして警戒されるぐらいならデクに頼む方がよっぽど定石(マシ)だ。相棒の信じた相手ともなれば信じない訳にもいかないだろうし。

 

『──なるほど、ある意味で彼の人柄の良さを最大限利用するという事ですね』

『まぁそういうこと。とにかく兵士の隙が大きければ大きいほど成功率は高くなると思う』

 

 イレブンの案に聖竜が頷く。

 

『──ええ、私もあなたの意見に賛成です。というか……改めて見識の広さに感心しました。よく兵士の暗躍に気付きましたね。あんなに樽だの壺だのとはしゃいでは家の屋根とか飛び回っていたのに』

『一体聖竜の中で僕はどういう風に見えてるんだろうか……。別に飛び回ったりしてないし。はしゃいだけど』

『──そこは認めるんですね……』

 

 よく分かんないなぁと聖竜がボヤく。この勇者本気を出すとこんなにも頼もしく聡明であるのに、こと天然が絡んでくると一気にダメになるのだから不思議だ。しかも狙ってやってないんだから恐ろしいったらありゃしない。こちとら勇者(あるじ)のオンオフが激しすぎて付いて行くのも大変なのに!

 

『あ、あとこれは単なる補足なんだけどさ、当時あそこの階段らへんにいたクエストの依頼者が、さっき見たら居なかったんだよね。確かデルカダールの二人の英雄……まぁ言っちゃえばホメロスとグレイグなんだけど、その二人に関する文献を探して内容を伝えて欲しいって依頼でさ。当時のメモなら袋にあったからどうせなら教えようと思ったのに』

 

 きっと早く着いてしまった事によるラグが発生したのだろう。はぁ、とため息を吐きながら、イレブンがズルズルと腰を前に滑らせる。「せっかく〝ユグノア銅貨〟貰うチャンスだったのになぁ」と顔の全面に書いてあった。どうやら何を貰ったかまで鮮明に記憶しているらしい。いやがめつッ! 思わずビビる聖竜である。

 

『──よくもまぁそんな細かい所まで把握してますね……というか二百万ゴールドもあるんですからユグノア銅貨くらいいいでしょうに』

『いいや! ダメだね! あれを売ったら素材買えるし!』

『──結局そこに戻るんですか……あなたって本当ヤケにお金と素材には厳しいですよね。何ならさっきも私より早く宝箱とか見つけてましたし』

『そりゃあアレだよ、僕のお宝センサーなるものが素材を見つけるとビビっとなって──』

『──いやさっきまでの語彙力どこ行ったんですか? そもそも勇者にお宝センサーありませんし』

 

 だから天然は控えろとあれほど……。聖竜はなんだかこのまま行くとイレブンのペースに呑まれる気がして、いかんいかんと頭を振っては意識を作戦へと切り替えた。実際は自分も同類であるのに、認めたくない聖竜である。(可哀想に)

 

『……ま、なんにせよ猫のメアリーの救助なんかも今日は特に見かけなかったし、そういう意味では過去よりも断然余裕を持って動けそうだね。……まぁ欲を言えばベロニカ辺りにも早めに会えたら嬉しいんだけど……』

『──ああ、確か彼女魔物の影響で容姿が変わってしまったんでしたっけ。そんな事例聞いた事がありませんが……一体どういう仕組みなんでしょう?』

『ホントにね……けどまぁそこは焦ってもしょうがないし、その辺はカミュを助けた後で追々ゆっくり考えよう』

 

 今はこっちのが問題だし。ずり落ちた腰を戻しながら、イレブンがジト目で階段を睨め付ける。かれこれ三十分ほど待っているというのに一向に現れないデクだった。辺りが暗くなってきたのもあって徐々に人気(ひとけ)も無くなってきたし、このままひたすら待つというのはあまりにも時間の無駄と言えよう。

 

「…………行くか。家に」

『──エッ』

 

 聖竜が反射で声を上げる。もちろん内容にびっくりしたのもあるが、普通に声に出した事にも驚いた。いよいよ痺れを切らしたらしい。「よいしょ」と腰を上げ歩くイレブンに、聖竜が「いやいやいやいや」と慌てて引き止める。何をする気か理解したのだろう。

 

『──え、ほ、本気ですか? わざわざ看板まで下げてるのに?』

「え、ウン。だって来ないし」

 

 虚無を引っ提げてイレブンが答える。「むしろここにいてもしょうがなくない?」と言わんばかりの表情だった。完全に待ちくたびれた人間のセリフだ。いやまぁ言っていることは正しいのだが、だからってそんな、ノリで人様の家に凸るって。

 

「大丈夫だよ。ただノックするだけだし」

『──いやそれはそうですけど、でもだからって人の家に無断で──』

「? 入ってるじゃん。いつも」

『──……確かに』

 

 納得しちゃった聖竜である。むしろ「何を自分は焦ってたんだ?」と疑問すら抱く始末だった。言うまでもない。ツッコミ不在の恐怖である。どうやら散々懸念していた事態がここに来て発生してしまったらしい。「何ならちゃんとノックするだけいつもより良心的だよな」なんてヤバい発想さえ抱いているし、このまま行くと色んな意味で彼らが捕まる日も遠くないだろう。だからルキを連れて来いと言ったのに!

 

「ね? ノックくらい問題ないでしょ? これだけ大きな豪邸だったら誰かしらは中に居るだろうし」

『──あー……まぁ確かにそうですね。呼びましょうか。緊急ですし』

 

 それにあくまでも不可抗力ですので。すっかりイレブンに同調しながら、聖竜がてくてくと歩く彼を見守る。ここまで勇者と二人なのもあってすっかり毒された聖竜だった。

 けどまぁどうせ今後の旅でもイレブンは他人の家に凸る(+勝手に壺や樽を壊す)のだろうし、であれば今更初犯も再犯もそうそう変わるもんじゃないので。

 

『──とはいえ時間も遅いですからね。兵士もそこらにいる訳ですし、くれぐれも慎重に頼みますよ』

「分かってるって」

 

 ニッと無駄にいい笑顔を浮かべながら、イレブンが扉の前にて拳を作る。そして指の骨をぶつけるようにしてコンコン、と二度ほど軽く叩けば。けれども向こうには届かなかったようで、シン、と辺りを静寂が包んだ。どうやら力が弱かったらしい。

 『──出てきませんね……』「ね」と話しつつ、それならもう少し大きくしようと今度は強めにコンコンと叩く。──だがそれでも聞こえて無いのかなんなのか、やはり向こうからの反応は無くて。

 

「すいませ〜ん、ちょっとお話聞きたいんですけど〜!」

 

 気付くとコンコンコンコンコンコンコンコン──と延々にノックを繰り返しまくる哀れなイレブンがそこにはいた。何ならあまりにも反応が無さすぎてリズムまで刻み出すほどだった。心做しか叩く音もコンコンからガンゴン! に変わっていってるような気がするし、多分このまま放置をしてたらノックじゃ済まなくなるだろう。ただでさえこの人力強いし。

 

『──えと、あの』

 

 ──ゴンゴンゴンゴン!

 

『──光の子よ、その』

 

 ──ガンゴンゴンゴンゴンゴン!

 

『──……』

 

 ──ゴンゴンゴンコン……──ッ!!

 

『──いや流石に〝グー〟はマズイですって!』

 

 いよいよ焦った聖竜である。早まるんじゃないッ!! と大声──と言っても聞こえるのはイレブンだけだが──を上げて、今にも扉に殴り掛からんとするイレブンを(すんで)の所で留まらせた。幸いなんとか未遂だったが、下手すりゃ今ので終わっていただろう。

 

『──ちょっ、あなたホント何考えてるんですか!? さっきあれほど慎重にと言ったのに!』

『大丈夫。一発でキメてみせる』

『──いやそういう問題じゃないですって! ある意味色々決まっちゃいますし!』

 

 少なくとも牢屋入りは確実だ。いや「近道だね」とか言ってる場合じゃなくて!

 

「くっ、止めないでくれ、聖竜……! 僕はこんな所で立ち止まるワケには行かないんだッ……!」

『──いやこれは流石に止めますって! むしろこんな所でそんな事したら逆に牢屋で立ち往生ですけど! 一生進めなくなっちゃうんですけど!』

「平気さ……! きっと僕らなら何度でも立ち上がれる……!」

『──ちょっと一回黙ってて貰えます!?』

 

 ちょいちょい名言ぽくて腹立つし! 未だ扉に向かって拳をプルプルとさせるイレブンを見ながら、聖竜が必死になってそれを抑える。今にも〝会心必中〟かなんかを繰り出しそうなイレブンだった。集中力も凄まじいし、恐らくゾーンか何かに入ったのだろう。ろくに戦闘もしてないのになぜ。

 

『──と、とにかく一度落ち着い……あ、電気』

「は?」

 

 どうやら誰か居たらしい。不意に横の窓を見やればパッ! と明るい光がついて、イレブンはフ、と穏やかに笑うと尚のこと拳を強く握った。もう怖いもんなんざ何一つなかった。なんだ、やっぱり誰かしらいるんじゃん(笑)。殺る気満々のイレブンである。

 だが流石にタイミングが悪かったらしい。

 

「──ちょっ、ちょっとそこの人! 私の家に何する気なのよー!」

「へ」

「すみません、対応が遅れてしまっ、て……」

「あ……」

『──……ああ、』

 

 終わったな、こりゃ。固まる二人(奥さんのミランダ+デク)の視線を浴びながら、聖竜は一人天を仰ぐと「牢屋ってどんな所なんだろう」と現実逃避を始めるのだった。

 




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