ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜 作:しゃけ21
「ほんっとうにすいませんでした!!!!」
ほんの出来心だったんです!! デクの家の玄関口にて、イレブンが全力の土下座を披露する。
本当は目撃された瞬間に地面に頭を──スカーフとメガネは外した上で──擦り付けて謝ったのだが……流石に警備兵の目を気にしたのか、デクが「ちょっ、ちょっとこっちに!」とイレブンの腕を引くなり、そのまま家へと連行されてしまって。
「だ、誰なのよー、アナタ! 一体何が目的なの!? まさかワタシ達に恨みでもあるんじゃ……!」
「いやいやいやいや! ホントもう全然そういうんじゃ無いんです! ただデクさんに用があって!」
ミランダを庇いつつ近くの槍かなんかを構えるデクに、イレブンが慌てて待ったをかける。ファーストインプレッションが最悪な事もあって、なんとも警戒されまくっていた。
唯一の救いはデクもミランダもすぐに兵士を呼ばなかった事だろう。まぁどちらも互いに前科持ちらしいので、当然と言えば当然なのだが……仮にあそこで召喚されてたら今頃牢屋行きだったに違いない。
「ワ、ワタシに用?」
「はい! その、単刀直入で申し訳ないんですが、実はあなたに確認したいことがあって来たんです」
「? 確認したいことって……」
槍を持つ手を緩めたデクに、イレブンが一つ咳払いをして尋ねる。
「その、デルカダール城に彼は……盗賊カミュは捕まっていますか? もし捕まっているのなら助けたくて」
「!」
そうして一息に言い切ってみせれば、デクとミランダは目を見開いて、分かりやすく驚愕の表情を浮かべた。「どうしてそれを……」と呟く姿に、イレブンが改めて確信を覚える。どうやら間違いないらしい。
『──やはり過去の通りでしたね』
『うん』
聖竜の言葉に同意を示す。これでひとまず第一の裏取りは完了した。少なくともカミュが牢屋にいると分かれば、必然的にこちらの動きも定まってくるというもの。奪還のためのプロセスであれば幸いこちらも用意しているし、あとはデクの協力さえ仰げれば問題は漏れなく解決するだろう。
「それと、もう一つ確認したいことがあります。デクさんが兵士に撒いている賄賂の件です」
「え!? な、なんでそれを!?」
今度こそはっきりとデクが声に出す。先程の質問に答えなかった事もあってか、彼らは動揺しっぱなしだった。だがまぁ無理もない。たまたま捕まえて連れてきた相手がたまたまカミュの知り合いで、なお且つ賄賂の件がバレているなんてそんなの驚かない方が嘘だ。しかしそんな嘘だからこそ、信じざるを得ない場面というのもあるワケで。イレブンが続けて言葉を吐く。
「ちなみに前もって言っておきますが、僕はお二人の敵じゃありません。むしろ味方です。いやまぁ、あんな事した手前で言うのもなんですが……僕は元々、お二人の力が借りたくてデクさんが来るのを待っていたんです。全てはカミュを助けるために」
「…………」
デクとミランダが顔を見合わせる。本当に彼を信じるべきかと、お互いに確認するようなそれだった。けれども情報が少ない故に考えあぐねているらしい。数秒様子を伺っていると、代表してデクがイレブンに問い掛ける。
「ア、アナタ、一体何者なの? どうしてカミュのアニキのことや、賄賂のことまで知ってるの? ワタシここにいる奥さんにしか、その事は話してない筈なのに……」
「それは……」
果たして一体どこまで明け透けに話してもいいものなのやら。イレブンは少しだけ間を置くと、目線をチラチラと左右に行き来させながら、やがて腹を決めたように彼らの事を真っ直ぐに見据えた。表情だけは真剣さを貫きつつ、けれど脳内ではパズルのピースを繋ぎ合わせるようにして、理路整然と言葉を発する。ここから先は説得力が勝負の決め手になってくるだろう。
「その……話すと少し長くなりますが、まず最初に、僕の名前は〝レン〟と言います。カミュとは遠い昔に会ったことがあって、その時に色々と助けて貰いました。彼は僕の命の恩人なんです」
「命の、恩人……」
「はい。なので『デルカダールで盗賊が〝
「……」
姿勢を正して話すイレブンに、デク達が再度目線を合わせる。だが先程までの訝しむようなそれとは違い、「一旦話を聞こうか」「うん」といった、最終確認のようなそれだった。多分レッドオーブを引き合いに出せたのが効いたんだろう。向けられた槍の先端もいつの間にかこちらではなく床を刺していて、敵意が薄れている事が見て取れる。何とか上手いこと誤魔化せたらしい。
『──流石ですね……まさかここまで詰めていたなんて』
『…………』
『──? どうしましたか? 光の子よ』
『いやその……罪悪感が半端じゃなくて』
だがこの通り、槍で刺される以上の傷を心に負ってしまった訳だが。もとよりデクには会う予定だったので大まかな設定は考えていたものの、やはりいざ目の前で話すとなると幾らか焦りは生まれるものだ。なんなら「レン」という咄嗟に出た偽名──イレブンからイとブを抜いてレン──も発想が安直過ぎて微妙だし、どうせならもっとマシな名前を予め用意しておくべきだった。聖竜の「リュウ」とか爺ちゃんの「テオ」とか。いやまぁ「ブン」よりかはマシだけども。無駄に拘るイレブンである。喧し。(※聖竜目線)
「そっか、レンさんカミュのアニキの友達だったんだね……ごめんよー、ワタシ達知らないで警戒しちゃって」
「え? あ、ああいや全然、もうぜんっぜん気にしないで貰って大丈夫なんで。というか全部僕が悪いし」
『──そりゃそうですよね。扉壊そうとしたんですから。拳で。グーで』
『……聖竜はちょっと静かにしてて』
「良かったら客間に案内するよー。知りたい事もあるだろうし、今お茶を淹れるから向こうで待って──」
「あ! ああいえ、その! その前にさっきの賄賂の件について聞いておきたい事があって!」
「聞いておきたいこと?」
「はい」
首を傾げてこちらを見るデクに、イレブンがコクッと首を動かす。もちろん話もしたいところだが、何よりもまずは例の件だ。内容によっては緊急なので、先に聞いておいて損は無いだろう。
「えっと、今日この後実際にその兵士達と会う予定はありますか? もし仮にデクさんが今日兵士とコンタクトを取るのであれば、急ぎ用意をする物が幾つかあって」
それはカミュへの手紙だったり、カミュへのお土産だったり、カミュへの労りの言葉だったりとまぁ大半がカミュへの何かしらなのだが、当然ながらデク達にはまだ作戦を伝えていないので、そういった事は何も言えない。あくまでも「何かをしようとしている」という意志を遠回しに伝えるだけだ。けれどもここまで話をした甲斐もあって、そんなイレブンの考えが彼らにとっての不利になるとは幸いにも思われなかったらしい。
「え、兵士達と? それなら一応、今から二時間後くらいに賄賂を渡す約束はしてるけど……」
「!」
そして告げられたその内容に、イレブンは勝ちを確信すると不敵な笑みを浮かべるのだった。
次回はイレブンがひとごろ……ヴゥン、アクション俳優になります。
デュエルスタンバイ!
カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?
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