ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜 作:しゃけ21
評価と感想くれた人ありがとうございます!
嬉しいゾイ!(媚び売り作者定期)
【1/19追記】
更新再開に伴いセリフを一部修正しました。
その後デクに案内されて客間へと向かい、そこからイレブンが聖竜と話をしていた、例の作戦を彼にも伝えて。
「……え、ホントですか!?」
「う、うん。間違いないよー。毎回その人に渡しているから」
その上でデクから聞いた話によると、なんでも彼ら牢屋番の兵士の中にも悲しきかなヒエラルキーなるものがあるらしく、中でもそこの長的なポジション──所謂上位カースト最頂点──の人物こそ、デクが賄賂を渡している相手であるらしい。加えてその兵士は約束の時間になると下層と上層とを繋ぐ階段の見張り役として現れ、デクから賄賂を受け取り終えると元の見張り番と交代しては、城の方へと戻っていくんだとか。
え? なにそれ最高じゃん……。思わず呟くイレブンである。
「それってつまり、賄賂を貰ったあとは城の方で牢屋の見張りとかしてるってことですよね? 牢屋番のトップなワケですし」
「そ、そうねー。詳しいことは分からないけど、きっとそうだと思うよー」
「〜〜〜!」
ヤダステキ……! 無意識にシルビアみたいな口調になる。ついでに右手も口に添えていた。気分は完全に乙女だった。正直兵士達の上下関係については知ったこっちゃないが、それにしてもなんて自分は運がいいのか。まさかさっき適当に話した聖竜との作戦が、まんま使えるシチュエーションだなんて。
「で、でも本当に大丈夫なのー? いくらレンさんが強いからって、国の兵士を相手に戦うなんて無茶じゃ……」
「ああいえ、大丈夫です! 僕戦うの慣れてるんで!」
シャラーン! とキラキラのエフェクトでも発生しそうなユグノア王子スマイルを全面に浮かべて、イレブンがデクに親指を立てる。この勇者想定通りに事が進んでいるのもあって、終始ニコニコとご機嫌だった。例えるなら不思議な鍛治で装備を打った際、連続で「大成功」が出来た時のアレに近い喜びだ。
ましてやそういう意味では、デクをわざわざ矢面に立たせる必要も無い──ただ兵士が出てきたところをぶん殴ればいいだけ。とてもチョロい──し、希望的観測が現実になるほどやり易いことは無いだろう。
『──まったく、相変わらず現金ですね……まぁ気持ちは分からなくもないですが』
『え、でしょ? 凄いよねこれ? 流石に』
『──ええもう本当に。未来でも見えてたのかってくらいです。いやまぁ、ある意味そうなんですけど』
呆れているのか感心しているのか。どちらとも取れないような声音で、聖竜がイレブンに賛辞を送る。それにえへへと笑っていたら、追加で「やはり狡猾さにおいては右に出る者はいませんね」とか何とか悪口を言われたので、やっぱり褒めてはいなかったらしい。今回かなり頑張っているのに。
「まぁとにかく、僕の事は気にしないでください。必ず上手い事やってカミュに手紙を届けてみせますし、それによってデクさん達が不利になるようなマネも一切しませんから。それだけは絶対に約束します」
「レンさん……けど……」
「大丈夫。カミュを助けたいんでしょう? その気持ちは僕だって同じです。あなたがここまで頑張ってくれた分、僕もデクさんの力になりたいんです」
「…………」
黙り込んで下を向くデクに、イレブンが優しく微笑みかける。というのも、彼が先程から渋っている理由が、イレブンを想っての事であるからと何となく伝わってくるからだ。仮にもまだ会って数十分の関係だと言うのに、それでも自分の事を心配してくれて。今時なかなかに稀なタイプだろう。
「カミュ、きっとデクさんのこと大好きだったでしょうね」
ほっとけなさそうだもんなぁと内心で思いながら、零れるようにクスクスと笑う。それを見てデクはポカンとしたような顔をしていたが、次第に意味を理解したのか、「そ、そうかなー?」と嬉しそうにはにかんでいた。カミュの話が出来ることが彼にはとても嬉しいらしい。「きっとそうですよ」と付け足して、その場で大きく頷いてみせる。
「僕はもう暫くカミュに会っていないので、いざ牢屋で会ったとしても、彼には信じて貰えないかもしれませんが……でもあなたが書いた手紙であれば、向こうは絶対に分かってくれる。伝わった上で信じてくれるって、そんな気がするんです」
「……」
「なのでお願いします。カミュを確実に助ける為にも、あなたの力を貸してください」
いずれ必ずここに……あなたの元に連れてきますので。そう言って深く頭を下げれば、デクは少しだけ間を溜めた上で、「分かった」と強く頷いたのだった。
*
その後デクからの手紙──内容はこちらが決めさせてもらった。下手なことを書くとややこしいので──と念の為賄賂の袋を受け取り、代わりに持っていたゴミ袋は一旦預け(最悪な物々交換)、外していたメガネとスカーフを装備しては、例の密会の場所まで向かって。
『──あと十分で約束の時間です』
『オーケー』
下層と上層を繋ぐ階段の近く。アーチ状になった入口の見張りの兵士の目を掻い潜りながら、イレブンが横の樽やら台やらをひょいひょい登って、その先の奥まった場所へと隠れる。
その背後には未回収の樽が二つぽつんと割って欲しそうに(※あくまでイレブンの主観です)並んでいたが……だからってここでバコン! と行くのは流石にアホが過ぎるだろう。
「…………」
『──もう樽の方見るのやめましょうよ……どうせ後日回収するんですし』
『だってさっきから樽が僕のこと呼んでてさぁ……割って欲しそうに見てくるんだもん、あいつ』
『──どう考えても幻覚でしょうに』
ハァ、と聖竜がため息を吐く。「なんですか樽の霊にでも取り憑かれてるんですか?」と、煽り百パーセントな事まで言っていた。めちゃくちゃ小馬鹿にしてくる聖竜だった。多分聖竜が人間だったら「ツンデレ」に「ドS」と最悪を極めた冷徹人間になっていた事だろう──ってあれそれもしかしてホメロスなんじゃ!? 気付いてしまったイレブンである。
『いや属性:ホメロスは終わってるって……』
『──? ホメロス? 知将がどうかしましたか?』
『ああいやなんでも、こっちの話……』
そうだよなぁ、道理で以前からなんか似てると……。イレブンは左右に頭を振って、とりあえず記憶から消すことにした。知らない方が幸せなことって沢山あると僕は思うし。じゃないと聖竜に何か言われる度に、ホメロスが頭を過ぎっちゃうので。声だけ聖竜のホメロスなので。なにそれあまりにも地獄が過ぎる。(※記憶消去完了)
『──とにかく、その樽は絶対に壊さないで下さいよ。隠蔽するのに使うんですから』
『アー、うん。分かってるって』
そう。聖竜の言う通り、この樽は壊したらダメな樽なのだ。
もちろんそこには音的な意味も含まれているのだが、何より今回の一番の問題は、「いざ兵士を気絶させたとして、その兵士を隠せる適切な場所がどこにも無い」という事にある。最悪デクに家までその兵士を運んで貰うことも考えはしたが……とはいえ流石にこの距離を運ばせるのは、いくらなんでもリスキーだろう。そんな無謀な手を取るくらいなら、いっそ縛ってこの辺に転がしといた方がまだマシだ。
故にこの樽は壊せないのである。とっても大事なカモフラなので。(※なお兵士への配慮は今のところゼロ)
『まぁ最悪はそこにある樽も積んで、あとは布かなんか掛けとけばいいよね。〝ラリホー〟しておけば起きないだろうし』
『──ええ、ひとまずはその方向で……あ、来ましたね。交代の兵士です』
『お、来た?』
見つからないように身を屈めつつ、チラリと顔だけを覗かせる。すると下層に続く階段から一人の兵士がやって来て、そこから見張りの兵士と顔を合わせると、その後入れ替わるようにして入り口に立った。パッと見の違いはやはり兜だろう。街にいる兵士が帽子型の兜を付けているのに対し、今来た兵士がフルフェイス型の兜を身に付けていることから、デクの言う通り階級の違いが見て取れる。
『──どうやらあの兵士で間違いないようですね』
『うん』
そしてそのまま様子見をしていれば、元々入り口にいた兵士が「お願いします!」と敬礼をして。それから上司が頷いたのを確認すると、すぐに下層の方へと消えていった。その後特に音沙汰もない辺り、どうやら準備が整ったらしい。
『え、もう平気? やっていい?』
ギリギリまで入り口の兵士へと距離を詰めながら、もうあと数歩と言ったところで、イレブンが両足に力を入れて聖竜に尋ねる。近くに兵士も住民もいない事は確認済みなので、多少自由に動いたとしてもさして問題は無い筈だ。
すると聖竜も大丈夫だと判断したようで、『──ええ、やっちゃってください』と言うなり、イレブンに〝ピオラ〟の呪文を掛けた。たちまち黄金のオーラがイレブンの全身を包み、素早さに更なる拍車をかける。
例の「サポート」とかいうやつらしい。仮にも相手は
もはや「やる気」なんだか「殺る気」なんだか。果たして真意は不明であるが、体裁的に前者だと信じたい。
『──ちなみに分かっているとは思いますが、あくまでも『軽く』ですからね。仮に全力でやってしまえばそれこそ本当に牢屋行きなので』
『大丈夫、ちゃんと分かってるって』
これでもそういうの得意なんだから。
フッ、と片側の口角を上げて、イレブンがバッ! と地面を蹴る。
「──っ、はぁッ!」
そして一瞬にして兵士の背後まで忍び寄り、〝ギガブレイク〟を放つ要領で身体を捻りながらに跳んで。そのまま両の手で作った拳を、相手の後頭部へと振り下ろせば。
途端に──ブォンッ!! という
「…………」
『──……』
そのまま地面を抉るようにして、兵士が顔ごとめり込んでいった。この土だか石だかが敷き詰められた、なんとも硬そうで痛そうな地面に。
──バガァンッ!!!!! と。
「……うわしまった。やりすぎた」
『──だから言ったのにッ!!!!!!』
──
「ついうっかり」みたいな顔をしていたが、とはいえ「うっかり」どころの騒ぎではない。なんたって「隕石でも落ちたのかな?」ぐらいの殺伐とした現場なのだ。慌てて〝ベホマ〟は唱えたものの、果たしてどれだけ効果があるのか。
人が来ないのが現状唯一の救いと言えよう。
『──なんですかあなた加減も知らないんですかっ!? さっき『そういうの得意だ』とか言ってましたよね!?』
「いやだってほら……戦闘なんて久しぶりだし……」
くわっ!!! と聖竜に吠えられて、イレブンが気まずそうにめり込んだ兵士を見遣る。
カースト最上位だと伺っていたし、下手に手を抜いて正体がバレてしまうよりかは……とほんの少し、ほんの少しだけ力を込めたイレブンだったが、ちょっとやる気がありすぎた(?)らしい。
というかこの兵士めちゃくちゃ弱くない? あまりに簡単にめり込むもんだから「マシュマロかな?」とか思っちゃったし。
言い訳の止まらないイレブンである。
『──マシュマロって、いやまぁ力を与えたのは私ですしあまり強くも言えないですけど……! でもそれにしたってどうするんですかコレ!? こんなにも兵士を痛めつけて!』
「いや、痛めつけるって……とりあえず起きないようにしとくよ、〝ラリホー〟」
『──それある意味一生起きなくなりそうですけど!?』
永眠!? と驚愕する聖竜を他所に、例の樽の裏に兵士を運んではイレブンがせっせと装備を
幸い生きてはいるようだったが、流石に隠す場所が場所なだけあって〝始末感〟が半端ではなかった。人間強すぎる衝撃に襲われると悲鳴すら上がらなくなるらしい。
実際この兵士殴られた時に「ぐえっ」とも「うわっ」とも言わなかったので、下手をすれば殴られたこと自体彼は気付いていないかもしれない。それはそれでまた好都合だが、とはいえ地面をヒトで抉るって。
「ウワ……兜の凹み無理やり直したらなんか逆にデコボコしちゃった……ところどころ当たって絶妙に痛い……」
『──もう一体なにやってるんですか……というか、改めてちゃんとした兜で良かったですね……あなた的にもこの兵士的にも。危うく殺める所でしたよ、本当に』
「いやもうホント仰る通りで……って、なんかこのロープ結びづらいな…………ぬあぁぁもういいや。とっととこの人その辺に隠して下層の兵士が戻るのを待とう。起きて暴れ出される前に」
『──いや『暴れる』って……暴れられるかどうかすら怪しいですけどね……実際人の頭から出るような音ではなか──って服とか着せてやらないんですか!? 裸で布に来るんじゃったらますます事件性が強いんじゃ……』
「へーきへーき。バレなきゃ全部犯罪じゃないし」
『──あなた本当に勇者ですよね?? なんかもう色々疑うんですけど』
「〝ザオリク〟、〝ラリホー〟、〝ラリホー〟、〝ホイミ〟」
『──手当り次第に呪文掛けてる……』
そうして一通り呪文を掛けた
次回ようやくカミュが出るってよ。
やったぜ(息も絶え絶え)
カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?
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片手剣
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短剣
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ブーメラン