ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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 キリがいいので即投稿です。
 バッチャンの言っていたことは本当でした。
 最初しっかり書いたから凄く楽しい。


二話 勇者と竜と始まりの地

 トレードマークであるスカーフに、左右に分かれた可愛らしい前髪。

 不思議そうな目で見てくる彼女は、二年前のあの日とは違った、どこか幼い雰囲気を纏っていて。

 

「…………」

「……久しぶり?」

「えっ──あ! え、あっ、いや、えーと!」

 

 ついつい見蕩れてしまった己と零した失言を誤魔化すように、イレブンがバッ! とエマから距離を取る。

 するとそれが普段と同じ素早さ──なんならいつもより早かったまである。例の聖竜の効果なのかもしれない──だったので、イレブンは背後の石に躓くと「ヴぇっ!?」と情けない声を上げて転んだ。

 例の〝上限解放〟とやらの恐ろしさを身をもって知ったイレブンだった。

 

「っ、たた……」

『──大丈夫ですか? 光の子よ』

「ああうん……大丈夫、びっくりしただけ」

 

 まさかこんなにも如実に出るとは……。

 聖竜の力に改めて畏怖を覚えつつ、とりあえず上体を起き上がらせる。するとすかさず自身の脳内に聞き慣れた聖竜の声が響いて、イレブンはホッと胸を撫で下ろすと安心したように息を吐いた。

 なんだか色んなハプニング──起こしたのは全部自分だが──があって事態が割とごちゃついているが、ひとまず聖竜はちゃんと自分と行動を共に出来ているらしい。

 

「そっちこそ平気? 違和感とかある?」

『──いえ、現状特に問題は無いかと』

「そっか、良かった……」

 

 この通り正常にやり取りも行えているので、とりあえず依存先とやらの問題については解決したと見て良いだろう。

 

『──どちらかと言うと幼なじみに見蕩れたあげく、派手に転んだあなたの方が私としては心配ですが』

「…………うるさいよ」

 

 まぁこのように、開始早々ちょっとしたお小言を聖竜サマから喰らったわけだが。

 

「イ、イレブン……あなたさっきから誰と話してるの? それに着ている服も違うし……」

「…………」

 

 ついでに唯一の幼なじみからも訝しげな目を向けられたワケだが。

 前途多難な幕開けである。

 

 

 

 *

 

 

 

 結論から言って、無事時を渡る事には成功したらしい。

 

「こ、これは、その……そう! エマを驚かそうと思って早着替えを……して、みたんだ、けど……」

「ふーん……?」

「あ、はは……」

 

 鋭い眼差しで見てくるエマに、イレブンが目線を逸らし続ける。

 元々聖竜から「いつの頃に戻れるか定かでない」と事前に警告を受けていたものの、それでも前回よりも前の時間に遡れるとはイレブン自身思ってもみなかった。せいぜい「邪神を倒した辺りだろうな」と内心タカをくくっていただけに、いざ気がついたら神の岩の頂上──それも成人の儀式の真っ最中──だなんて一体誰が予想できよう。

 

「じゃあその装備してる凄そうな剣は?」

「えと、たまたま途中の道で拾って……」

「なんだか背も伸びたみたいだけど」

「そ、それはほら、成長期ですし……」

 

 おかげで口を開けば開くほど墓穴を掘る事態と化してしまって、イレブンが言い訳(とても下手くそ)を披露する度にエマからの視線がグサグサと刺さる。

 加えて脳内からも聖竜の「──やれやれ」というため息が聞こえて、イレブンは二重のダメージにより心身に深い傷を負う羽目となった。

 どうやら「つよさ」が強化されても、言語能力とメンタルだけは悲しいかな通常のままであるらしい。

 

『──もう少し言い方というものがあるでしょうに……』

『いやそんなこと言ったって無理があるでしょ! 見た目とか一番誤魔化しようないし!』

「ちょっとイレブン! ちゃんと聞いてる!?」

「え!? ああうんもちろん! 聞いてる聞いてる!」

 

 ──ああもうややこしいな何だこれ!!

 冷や汗を垂らしつつ貼り付けた笑顔をエマに向けながら、詰め寄る彼女に両手を出して落ち着くようにジェスチャーをとる。

 聖竜と話す時は心の内で、けれどエマと話す時はちゃんと考えを言葉にして……と大分頭を使う作業だ。気を抜くとうっかり間違えそうだし、その内知恵熱か何かを出してぶっ倒れてしまうに違いない。

 

『──光の子よ。ひとまずここはなんであれ、彼女を説得するのが先かと』

「いやでも説得ったって一体どうやって……!」

「あっ! イレブンたら、またおかしな独り言言ってる!」

「あ」

 

 と思ったら早速やってしまうのだから天然もいいところだろう。

 もはや訝しむを通り越して「もしかして別人……!?」とさえ疑い始めた──ある意味正解と言えば正解ではあるが──エマに、イレブンは慌てて首を横に振ると懸命に弁明を試みる。

 ──ハッ! と何かを閃いたイレブンに聖竜が嫌な予感を覚えたのは言うまでもない。

 

「……あのね、エマ。落ち着いて聞いて欲しい」

「っ……! な、なに……?」

 

 両肩にそっと手を乗せられて、エマがほんのり顔を赤くする。

 

「これまで隠していたんだけど……実は僕、魔法使いなんだ」

「? 魔法使い……?」

『──……』

 

 聖竜がダメだこりゃ、とため息を吐く。

 もちろんそれは当のイレブンにもしっかりハッキリと聞こえていたが、とはいえ構っているだけの余裕は今の勇者には少しもなかった。

 なんせ口から出ていくこのデマカセに、いかに信憑性を持たせるかを彼は真剣に考えていたので。

 

「そ、そう。だからこれまで見せていた頼りない僕は、その……全て僕が魔法で作った幻影で、これが本当の僕の姿なんだよ。だからほら、この通り服装も装備も違うし、なんなら身長も少し違うわけで…………えっと、分かる?」

「え、えっと……」

 

 だがあまりにも切羽詰まり過ぎていたらしい。

 それまで顔をポッと赤く染め、イレブンを真っ直ぐ見ていたはずのエマが、まるで見ちゃいけないものを見てしまったかのようにスっと目線を外したのである。

 それはかれこれ十数年の付き合いの上で、初めてエマがイレブンに見せた所謂ドン引きの表情だった。過去でも見たことの無いその仕草に、イレブンが「もう僕崖から落ちた方がいいかもしれない」と思ったことは言うまでもない。

 

「ご、ごめんなさい。よく分からなくて……」

「い、いや、いいんだ全然。……なんかもう僕も自分が何言ってるのかよく分からなくなってきたし」

『──どうやら呪文を思い出す前に、もっと根本的な所を覚える必要があったようですね』

『ねぇ冷静に分析するのやめてくれる? 正論すぎて傷付くから』

「──っ! も、もしかしてイレブン、さっきの凄い雷のせいでどこかおかしくなっちゃったんじゃ……!!」

「あー……うん、じゃあもうそれでいいよ、それで……」

 

 両手で顔を覆うイレブンであった。

 

 

 

 *

 

 

 

 その後「村に戻ったらちゃんと説明する」と一旦どうにかその場を濁し、加えて「村の皆が心配するから」とそれっぽいことをエマに伝えて。

 

「イレブン、準備はいい?」

「うん、いいよ」

 

 未だ真っ暗な雲が空一面を支配する中を、二人で手を合わせ目を閉じる。

 するとすぐに「我らイシの民──」とエマの透き通るような声が聞こえて、イレブンはそれに耳を傾けるとその懐かしさに身を委ねた。

 嵐が去った後の湿気を紛らわすように風がふわりと優しくそよいで、イレブンの髪をサラリと揺らす。そうしていると途端に自分が故郷……イシの村に帰ってきた実感が湧いて、「二年ぶり」というその事実がまたイレブンをさらに懐かしくさせた。

 

 そして同時にこうも思うのだ。

 ──自然で穏やかなこの暖かい場所に、改めて「復興」という文字は似合わないのだと。

 

『──静かでのどかな良い所ですね。ここは』

『うん……本当にいい所だよ。この神の岩も、そして僕の故郷も』

『──ええ、そのようです。ですが……良かったのですか? あのような事を言ってしまって』

『……あのような事って?』

 

 わざと分かっていないフリをして尋ねる。

 だが聖竜には案の定お見通しだったようで、すぐに『──とぼけても無駄です』と反対に釘を刺されてしまった。

 やはり同じ身体を介しているだけあって、適当な誤魔化しは通用しないらしい。

 

『そうだね……最初は黙って切り抜けられたらそれが一番かなって思ってたし、ついさっきエマと話した時も単なるその場しのぎだったんだけど……』

『──けれど……?』

『実際にこの景色を見たら、そうも言ってられないかなって』

『──!』

 

 言いながら、エマの祈りが終わるのに合わせてそれまで閉じていた目を開く。

 ──すると先程までの景色とは違い、そこには澄んだ美しい青空と、どこまでも続くまっさらな海が視界いっぱいに広がっていた。それはまるで二人が成人になったことを祝うのと同時に、イレブンと聖竜の新たなる旅立ちを祝福しているかのようだった。

 

『──これは……』

「世界って、こんなに広かったんだ……」

 

 不意にエマと聖竜の心情が重なって、イレブンが微笑みながらに頷く。

 

「うん。本当に……凄く綺麗だ」

 

 ……何もかも。

 そう絞り出すように言った一言には様々な想いが込められていて、またその意味をちゃんと理解出来たのもおそらく、聖竜ただ一人だけであった。

 きっとイレブンはこの景色を見て話す覚悟を決めたのだろう。彼はともかく聖竜はこれまで何度も見てきた普通の光景であるはずなのに、イレブンが「綺麗だ」と表現するだけでこんなにも見方が変わるのだから不思議だ。

 何気なく見ていたただの日常が、こんなにも儚く尊いものに思えるだなんて。

 そんな彼の口振りからして、どうやら迷いは無いらしい。

 

『聖竜』

『──……はい』

 

 呼ばれた声に短く返して、次に来るだろう言葉を待つ。

 

『僕は世界を守るためなら、この先使える手段は全部、惜しまず使っていこうと思う。──それが例え、到底受け入れて貰えないような結果を迎えてしまうとしても』

『──……』

『だから……僕が早まって道を踏み外しそうになった時は、遠慮なく僕に言って欲しい。そして一緒に考えてくれ。君と出した答えならきっと、僕は迷わずに進んで行けるから』

『──……!』

 

 そして「どうかな」と優しく聞いたイレブンに、聖竜はええ、とすぐに頷くと「──任せてください」と答えたのだった。

 

 




基本イレブン愛されなスタンスです。
全員漏れなく結婚する系のチートゴリ押し勇者が見たい……。

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
  • 短剣
  • ブーメラン
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