ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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綱渡りで揉めて欲しい。

あと昨日はすみませんでした。確かに大樹登った時そんなこと言ってましたわ……って感じです。感謝オブ感謝、謝罪オブ土下座です。
(サークルK)サンクス!!!



十九話 勇者と竜と隠密行動

 

 さて、その頃のイレブンはと言えば。

 

「ふぅ……。これでよし、っと」

 

 その後特に問題なく城を抜け出し、死体……ヴゥン、寝ている兵士(イレブンがぶっ飛ばした例の人)の元まで戻ってきていた。

 入口の交代した下っ端兵士を下層に追いやり、借りていた服をバサバサと脱いで、兵士をゴロゴロと転がしては──まるで起きる気配がなかった。理由は考えたくもない──チャキチャキと雑にそれらを着せ込む。扱いが完全に人形だった。どうやら真に慈悲が無いのは魔王でも兵士でもなく勇者だったらしい。

 そうして物的証拠を隠し、(涙ながらに樽をスルーして)イレブンは兵士をひょいっと担ぐと、入口の壁にもたれ掛かるようにして男をその場に座り込ませる。こうすれば居眠りしているように見える筈だ。まぁなんか横にデカい穴あるけど。

 

「いや〜、兵士の人起きなくて助かったよね。特にバレてもいないみたいだし」

『──まぁ、この場合起きてもらった方がいいような気もしますけど……』

 

 あまりにもこの人動かないですし……。一向に起きない兵士を見ながら、聖竜が若干引き気味で話す。そうこうしていると座らせた兵士がバタリと地面に倒れ込んだので、イレブンと聖竜は「……」と黙ると、とりあえず〝お気持ちホイミ〟だけして逃げるようにその場を離れた。三十六計逃げるに如かず。犯罪者みたいなイレブンである。

 勇者とは一体。

 

『──ちなみにこの後はどうしますか? 例の商人の家に戻るのも手かと思いますが』

『うーん、まぁそうしようか。賄賂も返しておかなくちゃだし』

 

 一応形式上では兵士とデクは会っていない(何度も言うがその前にイレブンがぶっ飛ばした)事になるため、こうして賄賂を使わずに済んだのは僥倖だった。また手紙の件での報告もあるので、聖竜が言うようにここは一度デクの家まで戻るべきだろう。

 

「あーでもすぐには行かない方がいいかも。広場の方とか兵士まみれだったし」

『──なるほど……確かに向こうからすれば、上司が降りて行った直後にあなたが来た図になってしまいますね』

「うん、そういうこと。ましてやほら、その上司倒れてる訳だから。降りてった直後に」

『──あー……』

 

 納得したように聖竜が呻く。イレブンも聖竜に説明しながら、同じく気まずげに視線を外した。ハハ……と零した乾き笑いがもはや全てを物語っている。

 

「えっと、じゃあまぁとりあえず宿に行く感じで」

『──そうですね……』

 

 なんとも肩身の狭い殺人鬼……ヴゥン、二人である。

 

 

 

 *

 

 

 

 どうやらこの街の上層と下層を繋ぐ階段の辺りで、兵士が(ひと)揉めしているらしい。

 

「なんでも大きな穴が空いてるとかで兵士の人達が騒いでてね? 中でも一人の兵士の方が『私は知らない! やってないー!』とかなんとか」

「へ、へぇ」

「一体何があったのかしら?」

「あ、アハハ、ええ、本当に……」

 

 不思議そうに宿の外を眺める女将に、イレブンがひたすら苦笑をもらす。

 いざ宿屋に入って朝まで一つ部屋を取り、さて夕飯でも食べましょうかねと下まで降りてみたらコレだ。そりゃ苦笑いにもなるだろうに。

 

『──でも良かったですね、なんとか殺人『未遂』で済んで』

『いや言ってる場合? これチャンスだって。早いとこデクさん()行かないと』

 

 そう言って再び取った部屋へと戻り、荷物片手にイレブンが宿をたったかと出る。野次馬というのは時に凄まじい力を発揮するもんで、気付くと街の住民は愚か、近くを警備していた兵士達までもがこぞってそちらに向かっていた。ちょっとしたお祭り状態だった。

 試しに近付いて耳を澄ませると、やれ「そいつはニセモノだ!」だの「私じゃない!」だのと叫ぶ兵士の声──そういえば初めて声を聞いた。なんせ聞く前にイレブンが(※以下略)──がこちらの方まで届いて来たので、まぁ言わずもがな例の兵士が眠りからご生還(?)されたのだろう。

 

「ひえ〜、騒いでる騒いでる」

『──ええ、余程気が動転しているようですね。きっと三途の川でも見たのでしょう』

「いや『三途の川』って、んな大袈裟な」

『──〝アレ〟で大袈裟は無理があるかと』

 

 食い気味に返す聖竜である。なんなら大袈裟の「さ」くらいの時点で既にツッコミを入れていた。プロ意識(?)の高い聖竜だった。「そうはいきませんぞ」と言わんばかりの周到さである。

 圧がすごい。

 

『ま、まぁとにかく。今なら警備も多少緩んでるだろうし、これ以上面倒な事になる前に早いとこ広場に行っちゃおうか。近道だったら僕知ってるし』

『──近道? 裏通りとかですか?』

『ううん、屋根。あとロープ』

『──はあ……』

 

 この人本当に勇者なのかな。

 改めてそう思う聖竜であった。

 

 

 

 *

 

 

 

 教会の屋根から見上げた夜空は、街の光が届かない事もあって非常に綺麗で幻想的だ。

 

「よっ、と」

「──……」

 

 そしてそんなロマンチックを一瞬にして消し去る男。それが勇者イレブンである。

 彼は現在ロープの上にいた。綱渡り中のイレブンだった。現在進行形っぽく言うと「綱渡っているなう」である。絶妙にダサい。

 

『──よくもまぁこんな細いところをそんなにスタスタと歩けますね……命綱だって付けてないのに』

「まぁ、ね。元々村でも似たような事はやってたから。子供時代からの特技ってやつ? 皆はかなり引いてたけど」

 

 忘れもしない。あの初めて綱を渡った時の、各々が浮かべたドン引きの視線は。

 中でも特に酷かったのはベロニカだった。「あんたこんなとこレディに歩かせるわけ!?」とそれはもう非常にプンスカと怒り、なら妥協案で「じゃあ僕がベロニカをおぶるよ」と言って姫抱きしたら、それはそれでまた怒り出す始末。最終的には慣れてくれたようで「仕方ないわね」と歩いていたが、それでもあの当初の理不尽さと言ったら。

 ちなみにセーニャはむしろ「まぁ! 私も歩いてみたいですわ」とか何とか言って歩き出すなり落ちかけたので、それ以降イレブンと誰か──その時々でメンバーが変わる。基本的にはカミュかシルビア──でセーニャの両手をそれぞれ取っては三人連なって渡るようにしていた。サーカス団みたいな彼らだった。

 幸いベロニカ、セーニャ共にマルティナとロウが加わる前に一人で歩けるようになった訳だが、どう考えてもこの場合悪いのは綱を渡り出したイレブンである。勇者一行の綱渡りとは果たして。

 

『──そりゃあいきなり勇者がこんな事始めたら仲間も驚いて当然ですよ……よく皆ちゃんと付いて来ましたね。根性があるというかなんというか』

「そう? シルビアは結構楽しんでやってたけどな。カミュも二回目には慣れてたし。『しょうがねぇな』って」

『──いやあなたの仲間やっぱりちょっとおかしいですよ。というか純粋に甘やかしすぎです。主にあなたを』

「ええ? いやいや、そんな事ないって。実際マルティナはちゃんと言ってたよ? 高い所苦手だって」

『──でも渡ったんでしょう? どうせ』

「いやまぁ、うん。止めたんだけど本人が『大丈夫だから気にしないで』って。おぶったりしても怒らなかったし」

 

 結構頑固なんだよね、マルティナも。そう言ってイレブンがくすくすと笑う。

 実際シルビアは最初その細い綱を見た時、「まぁまぁまぁまぁ!」と何故か物凄く嬉しそう──多分旅芸人の血が騒いだと思われる。カミュとベロニカのドン引きと言ったらなかった──だったし、またマルティナは高所恐怖症こそあったものの、「皆の足は引っ張りたくないから」とイレブンの身体にしがみつく(所謂姫抱きの)形で顔を真っ赤にも真っ青にもしながらなんとか綱を渡っていたので、こちらの二人についてはさして問題になる事もそう無かった。

 ……まぁただ、そんなマルティナを見たカミュが「いやぁ〜、マルティナはどこぞのお子様に比べて話が早くて助かるぜ」と余計な事を口にしたせいでベロニカに杖でぶっ叩かれたり、「いいわよおぶってもらおうじゃないの!」とベロニカが謎に怒り出した事でイレブンが二往復する羽目になったり、またセーニャがそれを羨ましがったのでイレブンが三往復する羽目──流石にこの辺でカミュから「なんかすまん」って言われた。いや「なんか」じゃないだろうに「なんか」じゃ──になったり、はたまたそれを見て「ずるいわ〜! みんなばっかり!」とか何とか言っては便乗するシルビアもいた訳だが。

 そしてそんなシルビアを見て閃いたイレブンが、「じゃあシルビアはカミュにおぶってもらいなよ」とこれまた余計な事を言ったせいでカミュが尊い犠牲──「イレブンてめぇ後で覚えとけよ」って言われた。「なんかごめん」って返しといた──になった訳だが。

 しかしまぁ言ってもその程度のおふざけレベルだったので、こちらはまだ良心的と言えよう。

 

「むしろ問題はグレイグとロウじいちゃんでさ。もうロープみた瞬間怯えちゃうんだよ。『お前ら何してんの? 本気?』って感じで」

 

 そう、問題はほとんどこの二人にあった。彼らは老体(グレイグに言ったら絶対に怒られる)だったからか変態だったからかは分からないが、これまたとにかく渡りたがらなくて。「ワシ/俺は渡らんぞ!」と大人気もなく騒ぎ散らかしては、自分達より一回りも二回りも若い連中に冷ややかな眼差しを向けられる始末。「姫が可哀想だとは思わんのか!」と高所恐怖症のマルティナを盾にした二人のおっさんに、「恥を知りなさい」と彼女がブチギレたのも無理はないだろう。

 おかげでベロニカは「あたしはやってきたんだからね!?」と頬を膨らませ、対するセーニャは「やってみると案外楽しいですよ」と真逆に笑顔を浮かべていた。シルビアは「んもう〜! 情けないわね二人とも!」と腰に手を当て怒っていたし、カミュはそんな二人を見て「確かに俺たちが順応してるのがおかしいのか……?」と今更な疑問を抱いていた。大正解である。

 全くなんと賑やかな一行なのだろう。だがしかしどう考えてもこの場合悪いのは(※以下略)

 

『──え、それで結局どうしたんです? 多数決でも取ったんですか? いやまぁ取るまでもないでしょうけど』

「いや? 埒が明かないからさ、『はーいみんな行くよ〜! 並んで並んで〜』って無理やり」

『──いくらなんでも荒療治すぎでは……?』

 

 そんな鬼じゃあるまいし……。

 聖竜はかつての仲間たち(+これから加わるカミュ)に同情すると、自身の実体がない事に感謝しては輝く夜空を見上げるのだった。

 




後から指摘してもらった部分(本当に感謝しかない)を知ってたテイで書き直すのって、なんかこう罪悪感で爆発したくなりました。お母さん本当にありがとう。またよろしくね……(頼る気満々)

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
  • 短剣
  • ブーメラン
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