ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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 三週目の世界くらい勇者がチートしても良いと思います!(クソデカボイス)
 また参考資料としてステータスオール999にした方の記事を読ませていただいたのですが、攻撃力999にするまでちからのたね500個もいると知って宇宙ネコになりました。500……500……??? もはや尊敬しかないです。
 そしてお気に入りしてくださる方が少しずつ増えていてニッコリしました。アンケートも嬉しいですね。本当にありがとうございます。

【1/16追記】
更新再開に伴い過去ご指摘いただいていた表現について諸々修正しました。ありがとうございます!


四話 勇者と竜と人間卒業

 三人に自身の考えを伝え、そこからペルラ提案のもと、四人で共に夕食を取って。

 

「明日にはもう行ってしまうんだろう? それなら早くベッドでお眠り」

「うん、ありがとう。母さん」

 

 モゾモゾと布団に潜り込みながら、イレブンは目を閉じて寝たフリをすると内にいる聖竜へと声を掛けた。

 その理由は他でもない。先程の聖竜の力を借りて、道具の確認をするためである。

 もちろん最初は自分の目で見て整理をしようと思っていたのだが……とはいえあんな超次元的な力を見せつけられてしまえば、頼りたくもなるというものだろう。

 

『──ふむ。どうやら現状、大半の道具や素材については無事に引き継げているようですね。またふくろの中身も私の力で拡張したので余裕があります。例えば今は〝特やくそう〟と〝特どくけしそう〟がそれぞれ限界量ずつありますが、今後はそれをゆうに超えても収納する事が可能でしょう。もちろん素材も同様です』

『え……ほ、ほんとに!? それって〝ちからのたね〟とか〝ふしぎなきのみ〟も対象になる!?』

『──はい、恐らくなるかと』

『おぉぉおぉ……!!!』

 

 感動のあまり身体が震える。

 というのも、元々世界が平和になっても疑心を抱いて生きていただけに、邪神に取り憑かれるまでの一年間はこまめに素材を集めていたのだ。

 故にタネやきのみといった道具はそれこそ袋いっぱいまで集めていた──特に脅威が無い頃だったので使わずそのまま貯めていた。盗むのが下手すぎて時間がかかった事は言うまでもない──し、他にもレアドロップ品である〝オリハルコン〟やら〝だいしんかのひせき〟なんかも幾つか回収していた気がする。

 再度邪神と戦う身として、これほど有難いことはないだろう。

 

『聖竜ありがとう、本当にありがとう……ッ!』

 

 脳内でイマジナリー聖竜と握手をしながら、イレブンは感動で顔をギュッ! とするとひたすらに聖竜へ感謝を告げた。

 やはり持つべきものは最強の聖竜(ミカタ)だ。もう二度と聖竜の凄い力にドン引きしたりだなんてしないし、竜かどうかも疑わないし、ポンコツなんて絶対に言わない。むしろ神様として丁重に扱って、その存在を称えていこう。そしてもっと使って貰おう。今後のQOL爆上がりのために。(見事なまでの手のひら返し)

 

『──……何かよからぬ事を考えていますね』

『え! ううん! 考えてないよ! ゼンゼン!』

『──まったく……。まぁとはいえ、あなたの場合素材はともかく、〝やくそう〟などの回復道具はもはや必要無い気もしますが。元より〝ベホマ〟や〝キアリー〟系の呪文は使えるわけですし、その上仲間の呪文も、となれば益々これらの需要は無いかと』

『ええ? いやいや、それは流石に買い被りすぎだよ。なんだってあるに越したことは無いし、第一僕にも魔力の上限があるからね。……まぁなんだか異様に増えた気がするけど』

 

 そう言ってイレブンは精神を研ぎ澄ませると、自身に流れる魔力を確かめる。

 ……そう、例の聖竜の力とやらのおかげで、実はここに来て以降イレブンの〝つよさ〟が気持ち悪いほどに上がっているのだ。

 それこそ「全種のたねやきのみを纏めてイレブンの口に捩じ込んだのか?」というぐらいには全身の力が満ち満ちていて、例えるならば最終決戦時のベロニカの魔力──確か〝ベホマズン〟なら軽く十一回は唱えられると本人が言っていたような──をゆうに超えてさえいるような気がする。

 あくまでも体感の話ではあるが、仮にこれが事実だとすればとんだ魔力お化けと言えよう。

 聖竜が『──ああ、』と言葉を紡ぐ。

 

『──そういえば詳細はお伝えしていませんでしたが、私があなたに与えた力は『全能力の上昇』並びに『とくぎと呪文の威力上昇』、あとは『力の上限解放』といった基礎に関する部分が主です。そうですね……例えば装備を外した状態、すなわち素手でのパンチ(りょく)はこれまでの約十倍にあたります。またその他の能力全般についても同程度まで上げているので、ひとまず旅をしていく上でそう困ることは無いでしょう』

『いや困ることは無いって……既にもう色々と困ってるんですけど。十倍とか言われてもよく分からないし』

『──ちなみに拳を振るうと爆風が起きます』

『バッ』

『──名付けて〝セルフバギムーチョ〟です』

『ウワ(やかま)しッ! というか、え、なに爆風!? 怖ッ! どういうこと!?』

『──スライムなら素振り(スイング)でいけるかと』

『いけるかァッ!!!』

 

 そんな破壊神じゃあるまいしッ!!

『ウワーッ!!』と布団を被りながら、脳内で風と共に消滅するスライムの(地獄)絵図をなんとかして吹き飛ばす。

 にわかには信じがたい話であるが、とはいえ相手がこの聖竜(ポンコツ)とくれば悲しいかな嘘ではないのだろう。

 

『──本当はもう四十倍ほど上げた状態であなたを送り出したかったのですが、生憎と私の力ではこれが限界で……』

『いやいいから!! むしろなんかもう色々と凄すぎて全然ついていけてないまであるからッ!! エじゃあなに!? 僕今(こぶし)振り上げるだけで竜巻起こせちゃうってこと!? 〝バギムーチョ〟とか言ってるし!!』

『──ウルノーガなら一発です』

『いやもういいってッ!!!』

 

 もうとんでもねぇバケモノである。

 ちなみに魔力は〝ベホマズン〟七十八回分らしい。バケモノ通り越してバケモンだった。『──とりあえず増やしてみました』とか言ってる聖竜がもう恐ろしいのなんのって。

 ──だから僕人間卒業はしたくないってあれほど言ったのに!!

 布団を(恐る恐る)引っ掴むイレブンである。

 

『ウッウッ、何だよ〝セルフバギムーチョ〟って……! 僕もう敵と戦う度にどんな顔すればいいか分からないよ……!! 絶対日常生活にも支障あるし!』

『──大丈夫ですよ。きっと』

『そんなフワッとで済ませるの辞めてェッ!!』

 

 発覚してしまった事実に取り乱しつつ、心の内で全力で喚く。

 ペルラに怪しまれるといけないので──というか普通にバケモンらしいので──身体の動きこそ出さずにいたが、多分これがダンジョン内であれば今ごろ〝ギガブレイク〟やら〝ギガデイン〟やらをそこかしこに放っていた事だろう。

 『──ちなみにまだまだ伸びしろアリです』とか言ってくる聖竜がずっと怖くて仕方ないレベルである。恐ろし。

 

『──加えて光の子よ』

『ヴゥ、もう今度はなに……!』

『──こちらの装備品についてなのですが、あなたが過去に作ったものは全て袋から消失しています』

『は』

『──漏れなく消えてしまったようです』

「──はぁッ!? なんでっ!?」

「うわぁっ! 何!? どうしたんだい!?」

「あぁぁあいやいやっ! なんでもない! なんでも!」

 

 ──やっば、普通に叫んじゃった! 

 内心でしまったと思いながら、慌てて起こした身体を戻すと「ごめん! おやすみ!」と布団を被る。

 どうやらあまりにも衝撃すぎて無意識に飛び起きてしまったらしい。

 ペルラが明らかに怪しんでいそうだが、とはいえこちらも緊急事態なのでこの場は見逃して貰うとしよう。(危うく〝バギムーチョ〟しかねないので)

 

『ちょ、ちょっと待ってそれほんと!? 僕の作った装備が無いって!』

『──ええ。恐らくあなたが打ち直したり強化した装備は全て『唯一無二』と判断されたのでしょう。幸いあなたが記したレシピはふくろの中に残っていますが……とはいえ〝不思議な鍛冶台〟はおろか、あなたが自身で作成したものは何一つ残っていない状態です』

『そ、そんな……』

 

 せっかく頑張って作ったのに……!! 

 両手で顔を覆いながら、絶望の色をイレブンが見せる。

 確かに聖竜も言ってくれたように素材とレシピがあるのは救いだが、それにしたって装備が消えたのは現状間違いなく痛手だろう。

 ましてやイレブンの性格──超がつくほどの負けず嫌い&頑固──もあって、殆どの装備に手をかけていたのだ。打ち直したくとも唯一無二という意味であれば当然、カミュに貰った〝不思議な鍜冶台〟が無くなっているのも道理であるし、何より当時の作品達が漏れなく消えたのが本当に辛い。こちとら何度も時間をかけてようやく「大成功」にしていたというのに。──なんなら「成功」なのが悔しくて〝打ち直しの宝珠〟注ぎ込みまくったのにッ!!

 まさしく酷い所業と言えよう。

 

『──それとこれはあなたに確認して頂きたいのですが……』

『いやだッ! もうやめてッ! これ以上現実を受け入れたくないっ!』

『──もしかするとあなた、〝ルーラ〟が使えないのではありませんか? 先程からあなたの使える呪文を見る限り、何故かルーラだけが除外され消えているように見えるので何故かなと』

『は……? えっ、う、うそ! そんなはずは……!』

 

 これまた背筋がスーッと冷えるのを感じながら、すぐさま脳内でルーラの呪文を思い出す。

 ……だが悲しいかな聖竜の言う通り、まるで脳からポロッとこぼれ落ちたみたいにルーラの呪文だけが出てこなかった。知っているのに知らないような。覚えているはずなのに思い出せないような。そんな不快感が胸中を巡って、そのもどかしさに顔を歪める。どうやらド忘れしているらしい。

 

『だ、ダメだ……なんだこれ、思い出せない……!』

『──やはりそうですか……もしかするともう一度彼女に教わる必要があるのかもしれません。彼女から『継承された』という意味では元は彼女の所有物ですから。加えて本人が使えないとあれば私の力も発揮されないので……』

『じゃ、じゃあホムラの里でベロニカに会うまでは……』

『──使えないと思った方が良いでしょう』

『マジか……』

 

 思わずカミュの口癖が出る。

 確かに神の岩で〝リレミト〟を唱えた時に謎の違和感は感じていたのだが……まさかそんな事態になっていたとは。

 移動魔法が使えないなんてタイムロスもいい所だろうに。

 

『……ま、まぁでも使えないものは仕方ないしね、うん。当分の間は馬とかで行くよ』

『──おや、意外にもあっさりしているのですね。てっきり先程みたく暴れ回るのかと思っていましたが』

『いや別に暴れ回ってないし。ただ飛び起きただけだし。……まぁどの道ルーラが使えたとしても本当に飛べるか分からなかったからさ。確かベロニカに教えて貰った時もこの村までは飛べなかったし、となれば今回もその可能性あるなって。仮に村には戻れたとしても、まだこっちじゃ一度も行ったことのないソルティコとかには飛べないみたいな。一応地図には地点登録してあるけど』

 

 聖竜に自説を唱えながら、はぁ、とその場にため息をつく。

 実際過去に大樹が落ちた時も何故か上手いこと使えなかったし──まぁあれはウルノーガの力による影響もあったのかもしれないが──、確かに便利な呪文ではあるがその分制限も多いのだ。この〝ルーラ〟という移動呪文は。

 なので決して「鍜冶台消失のショックにより反応が雑になっている」とか「あの装備作るの大変だったのにな……」とか、そういう事を考えているわけではない。決して。

 

『──なるほど。要するに先程の発言はあくまでも真剣に考えた上でのものであって、少なくとも『まぁ鍜冶台無くなったよりはマシか……』などと思うが故の発言ではない、と』

『……分かってるなら聞かないでよ』

 

 まさしく図星のイレブンであった。

 だって鍜冶台と装備が無くなったの悲し過ぎて。

 ボフッ! と枕に顔を埋める。

 

『あぁぁあ僕の傑作が……! 手塩にかけた装備(こども)達が……!!』

『──語弊を招くような発言はやめてください、光の子よ。……まぁ尤も、私に力が備わってさえいれば近しいことは出来たのですが』

『鍜冶台出したりとか装備戻したりとか!?』

『──ああいえ、〝ルーラ〟の話です』

『あぁそう』

 

 ちょっとガッカリしたイレブンである。

  さっき聖竜にバレたのもあって隠すのはもうやめたらしい。

 頭の片隅に鍜冶の件を置きつつ、仰向けになって聖竜に尋ねる。

 

『……その、やっぱり力は弱まってるの? 僕的には聖竜がずっと凄すぎて全然そんな風に感じないんだけど……』

『──ええ、実際のところかなり弱まっているとみて良いでしょう。現にふくろの中身を見る程度でしか役に立てていないのが証拠です。幸い勇者であるあなたの中にいる事でかなり融通は効いていますが、これでは邪神を抑え込むどころか、あなたのサポートですらなかなか……』

『いやだからいいって。もう要らないってこれ以上サポート。なんならやりすぎてるまであるし』

 

 それこそ大盤振る舞いだろう。

 むしろこれ以上自分に何かをされてしまえば、いよいよ人で無くなってしまう。現状ただでさえ「セルフ〝バギムーチョ〟」に「〝ベホマズン〟七十八回分の魔力」に「素材と道具の引き継ぎ完了(ただし作った装備は除く)」とぶっ壊れ具合が半端ではないのに。

 

『……というかさ、それを言うなら僕だって聖竜の役に立ちたいんだけど。ここまで助けて貰ってばかりで全然何も返せてないし』

『──ああいえ、私の事は気にしないでください。元より身体を借りている身ですので』

『そう! それだよそれ! そもそも聖竜が僕の身体に入ったのって僕を利用して貰うためじゃん! なのに僕ばっかり恩恵貰ってておかしいよ! 納得いきません! 抗議します!!』

 

 言いながら、布団の上で大の字になる。

 一見寝ているだけのようだが、これぞイレブンなりの「抗議のポーズ」であった。元々かのエレノアやテオ、ペルラ譲りの性格もあって人情に熱い男なのだ。イレブンは。

 ましてやカミュやベロニカ、マルティナやシルビアといった姉御&兄貴肌なメンツと旅をしていればそれが強化されるのも無理はないだろう。

 

『──まったく、子供ですかあなたは……第一言うほど助けた記憶もありませんし』

『ううん、とっても君に助けられてる。だって聖竜いなかったら今頃泣いてるもん。寂しくて』

『──本当に子供みたいなことを言わないでください。元々一人で行く気だったでしょうに』

『いやそれとこれとは話が別じゃん。僕聖竜が一緒に来てくれて本当に良かったと思ってるよ。なんだったらもう傍にいてくれればサポートとかぶっちゃけ要らないまである』

『──またそんな適当なことを……』

『いいや! 適当じゃないね! 実際独りとふたりで行くのじゃ気の持ちようとか全然違うし。……それに聖竜すごく優しいからさ。聖竜が僕を助けようと思って色々手を貸してくれるからこそ、僕も同じようにしたくなるんだ。君が僕にしてくれる分を、同じだけ君に返せたらって。それが仲間って事なんじゃないかな、きっと』

『──……仲間、ですか』

『そ! 仲間!』

 

 まぁ僕は初めから君を仲間だと思ってたけどね。

 そう言ってにしし、といつぞやのマヤみたく歯を見せながら、イレブンが悪戯っぽい笑みを浮かべる。一方の聖竜はどうにも聞き慣れない単語だったようで、それ以降暫く黙り込むと、そこからふ、と小さく笑った。「あれ今笑った?」とイレブンが問えば、すぐさま『──いいえ』と否定が返ってくる。どうやら気のせいだったらしい。

「?」と頭を捻るイレブンに、聖竜が改めて口を開く。

 

『──では……あなたを仲間と見込んで一つ、頼みを聞いて貰ってもよろしいでしょうか』

『え……──うん! もちろん!』

 

 そしてイレブンは布団を剥ぎ取ると、ペルラへの奇行の言い訳もそこそこに夜の村へと駆け出すのだった。




 聖竜が 仲間に加わった!(お馴染みのBGM)

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
  • 短剣
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