ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜   作:しゃけ21

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七話目です。
他の某サイトでも色々書いたりしていたのですが、ようやくブランクから解放されて手が慣れてきました。文字数多いと誤字が増える&投稿が遅くなるのでこのくらいの感じでゆるっと書こうと思います。
ボケとツッコミの横行が楽しい。


七話 勇者と竜と井戸端会議

 それから泥のように眠り、窓から差し込む眩しい朝日と、懐かしい家の匂いで目覚めて。

 

『──気が付きましたか、光の子よ』

「ゔん? うん……」

 

 未だ覚醒しきっていない意識の中、聖竜に適当な相槌を打っては上体を起こしてぐん、と伸びをする。そこから一つ「うーん」と唸れば、何となく身体が軽い気がして寝ぼけながらに一息ついた。

 思えば最後の記憶──邪神に身体を乗っ取られる前──はキャンプ地での野営だったので、こうしてベッドで寝たのは久しぶりだ。また慣れ親しんだ寝具ともなればさぞ身体も休まったことだろう。

 

「う、わぁ……なんかすっごいよく寝た……」

『──どこか痛むところはありますか? 何かほかに気になるところは……』

「うん……? いや、ないけど……」

 

 と、そこまで返事をしたところで、ようやくイレブンは思い出したらしい。絵に書いたように「あッ!」と声を上げて覚醒すると、慌てて自身の左手を眺める。

 

『そ、そうだ僕昨日あのまま寝ちゃって……! 聖竜大丈夫!? 不調とかない!?』

『──まさに今私がそれを聞いているのですが……』

 

 全然聞いてないイレブンだった。聖竜の問いかけも悲しいかな無意味だったらしい。

 だがまぁこの通り彼も通常運転であるので、幸い後遺症などは無かったという事なのだろう。

 

「おやイレブン起きたのかい。おはよう」

「え! あ、お、おはよう。母さん」

「あんた昨日は随分と疲れてたみたいだったけど、一体外で何してたんだい? 帰りもかなり遅かったし」

「うぇっ!? あ、あはは……まぁちょっとその、剣の素振りを……」

「素振り〜? まったく、大変な身なのは分かるけど無理するんじゃないよ? あんた昨日帰ってくるなり玄関で倒れて大変だったんだから。起きるよう言っても全然聞かないし、起きたと思ったらまたすぐ寝るし」

「その節は大変すみませんでした……」

 

 痛いところを突かれて「ゔ、」と思いつつ、頭を下げて謝罪を返す。正直力を取り込んで以降ほとんど記憶が残っていないが、ペルラがそこまで言うという事はよほど酷い惨状だったらしい。「そんなに酷い感じだった?」と聖竜に聞いてみれば案の定『──ええ、とても』と返されたので、弁明の余地も無いと見える。

 

『うわ〜マジか〜……僕全然覚えてないんだけど。眠過ぎて』

『──そうでしょうね……あんなにも足取りが覚束無い人間を見たのは初めてでした。二歩歩く度に地面へ突っ伏し、這いずり回っては道を間違え、何を聞いても『うーん』と繰り返す始末……この家まで戻ってこれたのが奇跡と言っても過言では無いでしょう』

『ご丁寧な解説どうもありがとう…………』

 

 悲しくて両手で顔を覆う。今聞いた聖竜の話だけでも既にお腹いっぱいって感じだ。これ以上細かく言われてしまえば割と立ち直れそうにない。なんなら心は疲弊してるし。

 

「はぁ、まったく……まぁ、数年経ってもそういうところは相変わらずってことなのかねぇ。さ、朝ごはん出来てるから早いとこ顔洗ってきな。もたもたしてると昼になるよ」

「うん、ありがとう……」

 

 料理場の方に歩いて行くペルラを見ながら、イレブンは布団からモゾモゾと出ると顔を洗うべく川へと向かう。

 相変わらず澄んだ空気といい雲ひとつない快晴といい、まさしく絶好の旅日和だった。こんな日に馬で走った日にはさぞかし気分も良いに違いない。ペルラの助言通り遅くならない内に発つとしよう。

 

『──あ、光の子よ。〝ひのきのぼう〟は要りますか? 歩く際の支えに』

『……要りませんケド』

 

 イジりを覚えた聖竜である。

 

 

 

 *

 

 

 

 結論から言って、大樹の力を取り込んだ事で聖竜の力も増幅したらしい。

 

「へぇ、じゃあやっぱり効果はあったんだ」

『──はい』

 

 ばしゃばしゃと川の水を顔に当てながら、イレブンが聖竜へと語りかける。家の裏手の川は人気(ひとけ)もない上に滝の音が騒々しいので、話をするのにはうってつけだ。なんなら正直脳内で話すとついつい口に出そうになる──というか既に何回かやらかしてる──ため、そういう意味でも丁度良いだろう。

 

「ちなみに具体的にはどうなった感じ? なんかこう力が満ち溢れて! ……みたいな?」

『──そうですね……まぁそこまで大きな変化はありませんが、簡単に言えば『多少呪文が使えるようになった』ぐらいでしょうか。まだ言っても一つ目の根ですし』

「アー待ってなんか聞いちゃいけない事聞いたかもぼく」

 

 また始まったよと思いながら、何も聞いてないですよ〜と言わんばかりに持ってきたタオルで顔を拭う。聖竜はサラッと話していたが、とはいえ内容のカロリーで言えばステーキぐらい凄まじかった。絶対に例のとんでもない話だ。どうやら自分はまたしてもこの竜をイカれた存在に仕立て上げてしまったらしい。

 

「ちなみに呪文というのは何を……」

 

 それでも興味が湧いてしまったので恐る恐る尋ねてみれば。なんてことの無い声音の聖竜が、淡々と力の説明──根が真面目なので逆に言いづらい。こういうとこほんとポンコツ過ぎる(Byイレブン)──を始める。多分本人としては口笛が吹けるようになりました〜! 程度の事なのだろう。本当に勘弁して欲しい。

 

『──実際『何か』と言われると困りますが……言うなれば支援系の呪文ですかね。いくつか思い出せそうだったのでこれを機に再度覚えてみました。これであなたの魔力を使わず、私個人の魔力消費で支援系呪文が使えそうです』

「……えーと。それってつまり、今後魔物と戦う時は聖竜も呪文で参戦する……と」

『──はい。その通りです』

「はァ?」

 

 思わずキレたイレブンである。なにお前、いよいよ道具管理に飽き足らず戦闘にまで参加しちゃうわけ? どんだけだよ。……と、そう言わんばかりの表情だった。

 無理もない。だって呪文で支援するって。魔力も自分で補うって。実体ないのに。

 

「ねぇそれ大樹の恩恵受けすぎじゃない? 大丈夫? というか一回目でそんな事になってたら君もう最後とかどうなっちゃうのさ。僕流石にそんなキャパないと思うんだけど。人だし」

『──ああ、それについてなのですが……どうやらこの村にある大樹の根は他のものより内包していた力が強かったようです。私の知る限りだと本来大樹の根というのは独立していて、あそこまで成長はしないものなのですが……元より拠り所としていた大木が大きかったというのもあるのでしょう。ですので少なくともこのような事は今回だけですし、その分今後は各地の根を回って力を取り込む必要があるかと』

「あ、そうなんだ? 良かった〜、てっきり僕このまま行ったらいよいよ聖竜の力を抑えきれなくて内側から爆発でもするんじゃないかと」

『──いやなんですかその恐ろしい想像は……バブルスライムじゃあるまいし』

「えバブルスライムって爆発するの?」

 

 なにそれ初耳なんだけど。じゃぶじゃぶと桶に水──ペルラに汲んで来るよう言われた。沸騰させてお茶を淹れるらしい──を入れながら、興味津々でイレブンが尋ねる。だが聖竜も適当に言っただけのようで『──さぁ。するんじゃないですか? 知りませんけど』とめちゃくちゃ雑に流していた。知性の欠片も感じない会話だ。こんな話するために川に向かったワケじゃないのに。

 

「……え、でもさ。仮に支援系以外の呪文を聖竜が覚えたとして、それって実際使いよう無くない? だって僕の身体の中から〝ベギラゴン〟とか出すってことでしょ? いや身体の中から出すって時点でなんかもうよく分かんないけども。でもそんなん言ったらもう僕ほぼ火炙りだよね? 魔力以前に身体から火吹いてるよね? え、死なない? 熱いし」

『──なるほど……どうでしょう』

「いや『どうでしょう』じゃなくて。真面目に。本当に」

『──……一旦〝ザキ〟はやめておきますか』

「ねぇちょっと待って一回覚えた魔法全部教えてくれる!?」

 

 下手したら全滅するからねそれ!? そう聖竜に全力で訴えながら、イレブンは「こいつを野放しにしちゃいけねぇ」と心に固く誓うのであった。

カミュ(序盤)に使って欲しい武器は?

  • 片手剣
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