ドラゴンクエストXI 〜世界の創造主と勇者が過ぎ去りし時を求める話〜 作:しゃけ21
ペルラに百万ゴールドを押し付け、「い、いや、こんな出どころの分からないお金受け取れないよお母さん……」「いや正真正銘僕のお金だけど!?」と疑う彼女を説得しつつ、けれど理解は得られなかったのか「持ち主にちゃんと返してきな」という意味不明な結論を出されて。
『──結局返ってきましたね。百万ゴールド』
「うん……」
『──いますかね、持ち主』というもはや恒例となった聖竜の煽り──またの名を嫌味とも言う──を頂きながら、イレブンがいかにも複雑な顔をして自宅を出る。ペルラは先に村の入口で待っているそうで、「道具屋で準備してから行きな」と言うと逃げるようにして出て行ってしまった。よほど息子が大金手にして迫ってきたのが怖かったらしい。
「でも、さっ! あんなに疑わなくても、いいのにっ!」
『──いやぁどうでしょう。百万ですし』
バリン! ベキン! と村中にある樽とか壺とかカボチャなんかを(無断で)あちこち破壊しながら、イレブンが若干愚痴るようにして素材やゴールドを回収しまくる。過去でも散々やっただけあって流れるような手さばきだった。流石は生粋の前科(?)持ち。遠慮も躊躇も倫理観さえもまるっとどこかに置いてきたらしい。
最初は聖竜もこの行為を見て『──え、それ大丈夫なんですか?』と聞いたが、それでも本人が「ウン」と言うのでなんかもう好きなようにさせてやっていた。色々と諦めた聖竜だった。とはいえなんだか妙な「間」を感じたし、いやもう絶対確信犯だろコレ。
「お、〝どくけしそう〟だ。ラッキー」
『──いや『ラッキー』って……というかよくこんな教会の中でも
『ん? あー大丈夫大丈夫。ほら、神父の人見てよ。怒ってこないし』
『──そりゃいきなり教会で樽割り出したら向こうも怯えて動けないでしょうよ……今も『うわっ、ヤバいやつ来た』みたいな顔してますし』
「あっ、すみませんついでにお祈りさせてもらっていいですか? 記録つけるんで」
『──図太過ぎる……』
一体何を食べて育ったらそんな強靭なメンタルが出来上がるのか。教会で盗みを働いたやつにお祈りもクソもないだろうに、それでも奪った〝どくけしそう〟片手に近づいていくんだからお終いだ。強靭というか「狂人」というか。おかげで声を掛けられた神父も「えぇ!?」と声を上げているし、やはりイレブンに好き勝手させると碌な事にはならないのだろう。
いっそこのまま祓われればいいのに。割とえげつない聖竜である。
『えっと、あと取り忘れたのどこだったっけ……教会の樽は全部壊したし、〝かぜきりのはね〟の依頼も済ませて……』
『──……』
『あとは、えーと……』
『──……道具屋の横の樽がまだかと』
『あっ、そうだったそうだった! 道具屋の横ね! 確かに!』
『──あとその、村の川沿いの扉も忘れてます。〝まほうのカギ〟なら持っているので今の段階でも開けられるかと』
『えっ!? うそほんとに!? それは絶対行っておかないと!』
『──……』
ありがとう聖竜! それじゃレッツゴー! ……と聖竜に畏怖(いつものやつ)する事も忘れて、イレブンがたったかと村を駆け回る。聖竜はそんなイカレ勇者を見て「まさか私が加担するなんてッ……!」と何やら一人葛藤していたが、とはいえこのまま黙っているとイレブンがナチュラルに取り忘れるのでなんかもう歯痒くて仕方なかった。その内村ごと破壊しそうだし、これは今一度彼の道徳心について問い質す必要があるかもしれない。少なくとも〝とくぎ〟や〝呪文〟なんか復習させている場合じゃなかった。この世にはもっと大切なモン──秩序とか礼儀とか常識とかマナーとか──が他にも沢山あるというのに!
『それにしてもほんとすごいね聖竜! お宝と開かない扉に加えて、まさかツボやタルの位置まで分かるなんて!』
『──ああ、まぁ、はい……なんかこう、ノリで』
『いやノリにしては相変わらずぶっ飛んでるけど……でも鍵なんか特に助かるよ! まほうのカギなんて最初は特に手に入らなかったし!』
『──まぁ、そういう意味では〝さいごのかぎ〟も袋の中にありますからね。幸い『合鍵』という名目でこちらに引き継げたようですし、これで現状回収出来ない宝箱は無いと言っても過言ではないでしょう』
『おおおっ……!!!』
イレブンがキラキラと目を輝かせる。対する聖竜はそこまで話してようやく「だから私は余計なことを……!」と我に返った様子だったが、今更何を言ったところでもうこの「お宝回収暴走機関車(隙あらばなんでも壊しまくる)」を止められるヤツはいないだろう。しかも後々これに加えて鍛治とぱふぱふが仲間入りするとか、もうホント誰か早いとこコイツを捕まえて裁いて欲しい。勇者に〝変態〟が付与される前に。
『──こういう時って創造主側も罪に問われたりするんですかね……』
『ん? 何の話?』
『──イイエ、ナンデモ』
遠くを見つめる聖竜である。大樹(変態)って意味不明だなと余計な事まで考える始末だった。せめて聖竜(変態の連れ)の不名誉なレッテル──最悪すぎて想像だけで気が狂いそうになる──を貼られる前に自分が
『よーし、こうなったら僕もお宝コンプリートしなくちゃ! 良質な装備を生産するために!』
『──あの、光の子よ、やはり無闇矢鱈に樽や壺などを破壊するのは正直どうかと……』
『そうしたら今よりもっと強くなって世界や皆も守れるもんね! 素材はあるに越したことないし!』
『──意外に動機がまともすぎる……』
もっと不純だと思ってたのに……。聖竜はなんだか自分がとんでもなく悪い事をしたような気分になって、気付くと「なんかすみませんでした」とイレブンに向かって謝罪していた。イレブンはてんでなんの事か分からず「なにが?」とハテナを浮かべていた。同じ身体を共有しているとは思えないぐらいのすれ違いである。(だが〝ぱふぱふ〟に関しては完全に自身の私欲であるため、あながち不純というのも間違っちゃいない。ぱふぱふだし)
『それじゃあさっさと回収しちゃって早いとこデルカダールに向かおう! 悪いけどナビよろしくね、聖竜!』
『──はい……』
そうしてトレジャーハンターの如く奔走しまくるイレブンを見ながら、聖竜は「まぁこれも邪神を倒すためですし……」と必死に──それはもう必死に自分に言い聞かせると、残りの宝の場所を教えては回収に付き合ってやるのだった。
『あ、あとエマん家の屋根も登らないと!』
『──正気ですか?』
流石に引いた聖竜である。
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