ストーリーも最終編までしか追いついておりません。
キャラの解像度もまちまちです。
それでもいい方は読んでくれると嬉しいです。
首謀者の居場所が分かったと言っても、そこにたどり着くのはなかなかに手厳しい。護衛がいるわけでもなければ、戦えるような力があるわけでもない。シッテムの箱があるから多少は安全なだけである。
首謀者が潜伏しているのはとある廃墟の地下らしいが、交渉するために突撃したとして地下に入ることすらままならず、追い返されるのは明らか。ならば忍び込むのが一番なのだろうが、生憎私にはそんな能力はない。結局頭を下げるくらいしか手段がない。けど、私が頭を下げることで事が解決するならそれでいい。
結果として、交渉はうまくいった。
乗り込んだ最初こそ、警戒され銃を向けられたが、とりあえず首謀者のとこまでは通してくれた。首謀者の生徒はどうしたのかというと、私の顔を見るなり何を思ったのか今回の抗争は止めると言ってくれた。まだ何も話してないのに...。
スケバン達だって先生の噂は聞いているし、先生がどんな人間か知ってる。いつも悪事を働いているがそれで先生に迷惑をかけている自覚もある。だからこそ、今回の先生の訪問は彼女らに大きな衝撃を与えた。今回の抗争を止めに来るのは正義実現委員会か自警団だと思っていたというのもあるが、何よりも大きかったのは「先生」の状態だった。いつもの柔和な表情からは想像もできないほどやつれた表情、おぼつかない足元、光の灯っていない瞳。これだけで、抗争を起こすわけにはいかないと思わせるには十分だった。なんでこんなにあっさり?と疑問に思った先生だったが、予定より早く事が済みそうになったため気にしなかった。
トリニティは解決したけど、ゲヘナの方をそのままにしておく訳にはいかない。といっても時間の猶予は増えた。落ち着いて行こう。
その頃ゲヘナ側の抗争の首謀者の生徒はというと...
相手が抗争を取りやめただと?!と激しく怒っておられたのだが、その理由が「先生がヤバい。」ということだったので特に八つ当たりすることもなく、大人しく過ごすことに決めていた。
だが、先生はそんなことは知らない。残念ながら無駄足である。
一度シャーレに戻ってから行くか、このまま行くか、うーん、どうしようか。ゲヘナ行きの切符持ってるしそのまま行こうか。電車に揺られながら、さきほどのことについて色々と考える。どうしてあの子たちは急に抗争をやめるなんて言ったんだろうか。私の顔を見るなり、化け物でもみたかのような顔をしていたな。今日はこの案件を早く終わらせることができそうだし、他の仕事もできそうだね。
考え事をしながらふと電車の窓を見た時だった。先生は愕然とした。それと同時になんでトリニティの子があんな表情になったのかも腑に落ちた。
「私...笑えてない...。」
どうしてだろうか、いつもは普通にできるのに。いつもは普通に笑えるのに。笑顔の面を張り付けるなどとっくのとうに慣れたはずなのに。手がわなわなと震える。爪を噛みたくなる。腕を切りつけたくなる。何度試しても一向によくならない自分の顔。窓とにらめっこしを続けてもそこに映るのは一人のやつれた大人。もう一人の自分の下手くそな笑顔が私を笑っているかのように見えてきた。
「私は所詮、自分が大事なだけの人間。」
「だから、無理してでも行動することができない」
「大事な生徒のために信念すら貫き通せない。」
「限界を感じている。もうやめてもいいんじゃないかと思っている。」
「私を育てることを止めたアイツラと同じ。」
「『大人』としての責任の果たせない半端者。」
「生徒たちを救ったつもりになって自分が満足しているだけ。」
そして、
「与えられなかった愛を、生徒たちに求めている。」
いい加減認めるべきだ。本当は気づいていたはずだ。誰が、いつ、当番にきたくないと言った?誰が、いつ、私の手伝いをしたくないと言った?いつ、誰が、私のことを嫌いだと言った?誰も言ってない。薄々気づいていた?いや、確信していたはずだ。少なからず、生徒たちみんなは私のことを少なからずよく思ってくれていることを。
でも、そうと考えてはいけなかった。そうでもしなければ私は愛を求める狂人へとなり果てるから。そんなのは嫌だった。躾という名目で私を殴っていた親と変わらない。ギャンブルに負けて苛立っていたから私を殴った、不倫された憂さ晴らしで私を殴った。そもそも、お前がいなければこんな面倒なことにはならなかった、お前がいなければよかったのにと殴られた、飯を抜かれた、追い出された、捨てられた。
とめどなくあふれる涙、嗚咽。
先生がおかしくなったとざわつき始める列車内。
大人の在り方で子供の運命は簡単に変わる。大人が子供に欲を見せてはいけない。憂さ晴らしの為に私を殴った親と、与えられなかった愛の為に生徒に愛を求める私、なにも変わらない。己の欲望の為に子供から搾取する醜い大人。
だから心配してほしくなかった、当番で来てほしくなかった、手伝ってほしくなかった。
いや、違うな。心配してほしかったし、手伝ってほしかったんだ。心の片隅では思ってたはずだ。ここまで一人で頑張れば、ここまでやつれれば誰かが私を心配してくれるのではないかと。誰かが私のことを考えてくれるのではないかと。
自分の醜い感情に思わず吐き気を感じてトイレに駆け込む。
こんな思いを持ってはダメだ、生徒たちを出汁にしてはいけない。
「大人の責任」を果たせ。信念を曲げるな。私はシャーレの先生、責任を放棄することは許されない。生徒たちを導け。
醜い感情はすべてゲロと一緒に吐き出せ。2度とそんなことを考えるな。自覚しろ、お前は「先生」だ。
トイレの鏡に映る先生はしっかりとした「先生」だった。「私」ではない、「シャーレの先生」。さあ、業務に戻ろう。
ゲヘナ行きの列車に乗っていた生徒達はさっきまでの先生との違いに驚いていた。その中には万魔殿の棗イロハもいた。
意を決したのか彼女は座席から立ち上がり、先生の下へと向かう。
彼女は見ていた、ここ最近ゲヘナに来ては忙しそうにまたどこかへ行く先生を。
聞いていた、風の噂で、シャーレでの書類作業は山のようにあると。
知っていた、カフェの管理・経営も先生がしていると。
だからこそ、
「毎日毎日大変そうですね、たまにはサボりませんか。」
と声をかけてみるものの、私は大丈夫だからの一点張り。そして先ほどの涙。先生阿限界を迎えていると断定するには材料がそろいすぎていた。
眠そうに欠伸をする先生の肩をツンツンと叩き声をかける。
「さっきは、その、泣いているようでしたが、そろそろ限界なんじゃないですか、先生。」
聞き馴染みのある声。ゲヘナに行く度にサボるという名目で私に休めと言ってくれていた生徒。
「こんにちは、いや、まだおはようかな、棗さん。なにか用事でもあるのかい。ゲヘナとトリニティの不良たちの抗争なら大丈夫だよ。私が何とかするから。」
唖然とするイロハ。
「先生、私の言ったこときいてました?私はさっきそろそろ限界なんじゃですかって聞いたんですよ。」
声の調子がいつもより少し強い。怒っているのだろうか。
「限界?なんのことかな~?ちょっと私にはサッパリだよ、アハハ...。」
下手くそすぎる嘘、バレバレだと分かっていても私に心配をかけないようにするための優しい嘘。嬉しいけれど、そんな嘘を言う先生は嫌いだ。
「いつまでそうするつもりなんですか!!」
?!
普段のイロハからは考えられないほどの大きな声。小刻みに震える体、潤んだ瞳。
「ちょ、ちょっと、棗さん..。ここは電車の中だからさ、いったん落ち着こう、後で話は聞くからさ。」
「さっきの...あの先生を見て、どう落ち着けというんですか!!泣いていたじゃありませんか。ど..どうしてそんなになって..まで..。」
「棗さん、大人には大人としての責任がある。それだけだよ。だから気にしないで。私は大丈夫だから。」
「そうやって、い..いつも嘘をついて、生徒である私がサボっていてもお咎めなしのくせに、自分が休むことは是としない...。あなたは、な..何を考えてるんですか。」
まあ、さっきの姿を見られてしまったからこうなるのも無理はないか。今すぐにでもこの場から逃げだしたい。
そんな先生を味方してか車内アナウンスではもうすぐ駅に着くという旨の放送があった。駅に着くなり、先生はイロハから逃げるように電車から駆け出して行った。
ありがとう、イロハ。でも私は君に甘えるわけにはいかないんだ。
「どうやら、私一人では先生を止めるのは無理みたいですね。となれば、徒党を組むのが得策でしょうか。」
電車に残されたイロハの頭の中には「先生救済委員会」の文字が浮かんでいた。
一度壊れた器は直したとて以前より壊れやすくなる。素材が固ければ固いほど壊れたトキに直すのは難しい。一回目の崩壊の時までは頑強だった先生の器も便所でゲロった程度で安定状態になど戻っていない。これから「先生」の日常は瓦解していくだろう。
英検2級明け兼実力考査前兼寝不足兼風邪気味です。
投稿できるように努力した結果変な文章かもしれませんがお許しを。
バニートキ引いちゃいました。
感想くれると励みになります。このキャラ出してくれぃとかこんな展開欲しいかもみたいな要望あったら教えてください。取り入れられそうだったら取り入れます!!
次回「これが先生の日常?(其の2)」
梅雨入りの季節体調を崩しやすいので気をつけてください〜。
ルート分岐どれからいく?(票が多かったものから書いて次話で再アンケします)
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worst end
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bad end
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true end
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happy end
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happiest end