★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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スクール下克上!

 今回は私の作品のスクール下克上とのコラボ回です。スクール下克上を未読の方は、これを機に読んでいただければ幸いです。

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「貴君たちに頼みたい仕事がある」

 

 とある金曜日の夜。

 仕事から帰ってくるなり、小百合さんはふと、リビングの俺らに向けてそう言った。

 

「いいですよ」

 

 俺がうなずくと、小百合さんは怪訝な顔をした。

 

「まだ私は何も言っていないのだが?」

「小百合さんが俺らに頼む以上、必要なことなんでしょう? ならやりますよ」

 

 俺が快く返事をすると、小百合さんはビジネスライクに口を開いた。

 

「そうか、では桐葉との子作りを命令する」

「それはまだ早いです! 桐葉は服を着ろ!」

 

 すでにブラジャーとショーツに手をかけている桐葉を抱きしめ強制停止させた。

 そうすると桐葉の爆乳が俺の胸板で押しつぶれて大変気持ち良い。

 桐葉もにやにやと満足気である。

 

 ――ぐっ、赤いブラジャーから見える大ぶりな谷間から目線を外せない。

 

 どぷにゅん、と押しつぶれてもなお、奥行き豊かな爆乳は、桐葉ならではのものだ。

 出会ったばかりの頃はHカップだったのに、最近はIカップに成長した。

 

「というのは冗談だが」

「軽はずみな発言は控えてください。小百合さんは総理なんですから、失言ひとつで炎上しますよ!」

「家の中でくらいいいだろう。それで貴君らに頼みたいというのは他でもない、AIの学習に協力してほしいのだ」

 

 小百合さんの言葉に、美稲が首を傾げた。

 

「でも小百合さん、私達、プログラミングのことなんてわかりませんよ?」

「プログラムではない。ただ完成したロボットと一緒に生活してくれればそれでよい」

 

「なるほど、私たちと過ごすことで人間性を獲得しようということですね」

「流石は内峰美稲。理解が早くて助かる」

「え、どういうことっすか?」

「流石は枝幸詩冴。理解が遅くて助かる」

「ふっ、それほどでもないっすよ」

 

 得意満面な詩冴の頭を、真理愛に抱き上げられた麻弥たんが撫でていた。かわいい。

 

「AIは2025年の段階ですでに、人間と変わらぬ知能を手に入れた。だが、2041年現在でもまだ個性というか、人間性の獲得には至っていない。どうしてもプログラミングされたものや、ビッグデータを参考にそれらしい言動を取っているに過ぎない」

 

 小百合さんの言うとおりだ。

 現在、街で稼働しているロボットは、一見すると中に人が入っているかと疑うような応対をしてくれる。

 

 だけど、想定外の状況に対しては一律「わかりません」と回答したり、全機体が同じ反応を返すため、

 

『あ、やっぱり機械人形なんだな』

 

 とテンションの下がる場面がある。

 

「故に、政府の技術開発局は人間と共に暮らし、その言動から学習させることで本当の人間らしさを学べると考えている」

「それって、ネットの情報を読み込ませるんじゃだめなんですか?」

「不十分だな。そも、ネットに点在する情報は切り取られたものや情報の意図に合わせてフィルターをかけられたものだ。それではどこまで行っても操り人形の延長でしかない」

 

 言われてみればそれもそうだと、俺は納得した。

 

「わかりました。じゃあしばらくゴーレムと一緒に暮らせばいいんですね?」

「うむ。とはいえ、貴君ら全員にとは言わん。学習用のプロトタイプは五体。代表して五人、教育係を買って出てもらいたい。入れ」

 

 小百合さんの言葉を合図に、玄関のほうから太鼓のように丸くて灰色の、赤ちゃんのように小さなロボットが五体、申し訳程度の足でちょこちょこと歩いてきた。

 

 顔はなく、横向きのスリットに点のような目がふたつ、ぽちょんと光っている。

 

 

「かわいいのです」

 お腹に5と書かれた機体に、麻弥たんが欲望のままに抱き着いた。

 

 そのまま、だいしゅきホールドでもするように両手両足でがっちりホールドしながら、ロボットの平らな頭を撫でまわしていく。

 

「ぐっ、ロボットがうらやましいっす! シサエもマヤちゃんにだいしゅきホールドされながら頭をなでられたいっす!」

「ロボット相手にハンカチ噛むなよ」

 

「キリハちゃんを抱きしめ続けているハニーちゃんに言われたくないっす!」

「え!? いや、それはほら、だって腕を押さえていないと桐葉が服脱ぐから」

「そうだよハニー、こうして抱きしめ続けてくれないとボク全裸になっちゃうよぉ~」

 

 小悪魔のような顔でニヨニヨと愉し気に笑う桐葉。

 エロ可愛くて生きるのが辛い。

 

 こんな、驚くほど腰が細いのにお尻とおっぱいがムチムチのたぽたぽで、絶世の美少女で亜麻色の髪とはちみつ色の瞳が魅力的な子が、俺の彼女、恋人、未来の嫁という非日常的な現実に、今でも日々、主に毎朝驚いている(下半身が)。

 

「よし、ではゴゴーは山見麻弥に任せた。しっかり教育してやら」

「麻弥ママに任せるのです」

 

 無表情のまま、麻弥たんはふんすと鼻息を強くした。

 ママというには幼い。

 

 だけど、まるで妹が生まれて「今日からわたしお姉ちゃんだもん」とはりきる幼稚園児ぐらいの威厳はあった。

 なんてささやかな威厳だろう。

 

「いいですかゴゴー、好きな人にはこうして抱き着くのです」

『りょうかい』

 

 さっそくイケナイことを教えている気がするのは俺だけではないだろう。

 

「じゃあシサエはヨンゴーちゃんをもらうっす! シサエが二次元と18禁で清濁併せ持つ完成された人間性を与えてみせるっす!」

「お前は十八歳未満だろ!」

 

 俺が虚空に空手チョップを放つと、美稲がやわらかく微笑んだ。

 

「ふふ、じゃあ私はサンゴーちゃんもらってもいいかな? 幸い、お仕事中は時間があるし」

 

 美稲の視線の先では、舞恋、真理愛、麻弥たんの警察班が三人がかりでゴゴーを愛でていた。

 

 茉美に任せればロボットたちが暴力的になってしまうだろうし、消去法で美稲の参加は必須だろう。

 

「悪いな美稲。任せていいか?」

「うん。ダイヤモンドパーツ生成中に眺める映画、ちょっと教育的なものにしておくね」

 

 美稲はしゃがんで、サンゴーの頭をひとなでした。

 

『よろしくおねがいします』

 

 感情のないロボットボイスで、サンゴーは会釈をした。

 

「そうなると残ったイチゴーとニゴーだけど……」

「ワタクシに任せなさい!」

 

 目を光らせながら、というか左右の目に物理的な炎を奔らせて、貴美美方が現れた。

 

「このロボットは我が生徒会で立派なナイトであり執事であり秘書に仕立ててみせますわ。人間の役に立つ、それこそがロボットの本懐ですもの! さぁ糸恋、明日からはこの子にロボットのあるべき姿を教えてあげましょう!」

「いや、個性の獲得やったらもっと人間らしく育ててあげたほうがええんやないの?」

 

 黒髪ドリルヘアーをみょんみょん揺らす美方に、糸恋が青ざめた。

 

 ――糸恋、苦労しているんだな……がんばれ。

 

 心の中でささやかなエールを送った。

 

「なら最後のイチゴーはあたしかハニーたちのどっちかってこと?」

「えぇ~、マツミちゃんが育てたら暴力的なコングロボットになっちゃびゅぎゃあああああああ!」

 

 茉美のアイアンクローが詩冴の顔面に食い込んだ。

 

「だめっすぅううう! シサエの頭がシュークリームみたいにぷきゅっといっちゃうっすぅううう! マツミちゃんの90キロの握力がぁああああ!」

 

「ばっ、そこまで強くないわよ!」

「そんなマツミちゃんに忠告があるっす!」

「なによ!?」

「ハニーちゃんのハニーちゃんを握る時はちゃんと加減するっすよ♪」

 

 ぷきゅっ

 

 へんじがない、ただのしかばねのようになってしまったシサエを黙って観察するヨンゴー。

 一体何を学んでいるのか非常に気になるところである。

 

「じゃあ」

 

 半裸の桐葉は俺から離れて、最後に残ったイチゴーをそっと抱き上げた。

 

「この子はボクらで育てようか? 将来の予行演習にね♪」

 

 セクシーなウィンクに、俺は顔が熱くなった。

 

   ◆

 

 翌日の放課後。

 俺は美方と糸恋が働く生徒会室を尋ねた。

 

「よう糸恋、ニゴーはどうしている?」

「ハニーはん、美方はんがはりきってるで」

 

 彼女の視線の先では、美方がニゴーに言葉遣いのレッスンをしていた。

 

「いいですの? 主人の命令に対しては短く、御意、ですわ」

『ぎょい』

 

 胸元に赤いタイをつけたニゴーが返事をする。

 

「そして常に主人の背後に散歩下がって影を踏まず、いついかなる時も主人の安全と心の平穏を重視するのですわ。それこそが一流の騎士、そして執事というものですのよ!」

『ぎょい』

「いいですわ。そしてお辞儀はこうやや腰を曲げてうやうやしく頭を下げるのですわ」

『ぎょ、ぎょい』

 

 ニゴーは首もくびれもない丸い体を前に傾けて、ぺこりとお辞儀をした。

 

「そうそうそうですわ♪ 貴方やりますわね! いいこいいこですわよ♪」

 

 美方は上機嫌に抱き上げ、ニゴーに頬ずりをした。

 

『きょうえつしごく』

 

 ニゴーのボイスは棒読み、ではなくどこか忠義新厚い騎士、あるいは忍びの者のような勤勉さを感じた。

 

「へぇ、けっこうかわいがっているじゃん」

「胸のタイが似合っているね」

 

 桐葉の言う通り、丸い体に赤いタイは可愛く似合っていた。

 小さな執事さん、に見えなくもない。

 

「そして振り返る時はこう優雅にくるっとキャッ!」

 

 美方が床に滑って転倒。

 俺は素早くソファの上にテレポートさせようとするも、先に動いたのはニゴーだった。

 

 ニゴーは平らな頭で美方のお尻を受け止めた。

 美方は、そのままニゴーの頭に座る形となった。

 

「あら、貴方、座り心地がいいわね。このままワタクシを机に運びなさいな」

『ぎょい』

 

 ニゴーは車いすのようにちょこちょこと美方を運んだ。

 あれはいいのかな? とやや疑問になった。

 

   ◆

 

 それから二時間後。

 美稲の仕事場へテレポートすると、彼女は今日も今日とて大量のダイヤモンドパーツを作っていた。

 

「順調そうだな?」

「あ、ハニー君」

 

 研究所の白く広い空間。

 

 そこでは大量の燃えるゴミから、美稲が炭素原子だけを分解、ダイヤモンドパーツへと再構築していた。

 

 ソファに座る美稲を挟んで反対側には半透明な砂粒の山。

 これ全てが極小のダイヤモンド半導体のパーツであり、6G社会を円滑に進める重要部品となる。

 

 いま、日本政府には世界中からこのダイヤモンド半導体を売ってくれと注文が殺到しているらしい。

 

「何を見ているんだ?」

 

 美稲は普段、ここで能力を発動させながら、ARウィンドウで映画などを鑑賞している。

 

「うん、いまはサンゴーちゃんに平和なほのぼの系の作品を見せているの。穏やかな子に育ってほしくて」

 

 美稲の膝の上で、サンゴーはじっと画面を見つめていた。

 時々、まばたきをするように丸い光がぱちぱちと平らになるのに制作者のこだわりを感じた。

 

   ◆

 

 仕事が終わると、詩冴の部屋からけたたましい怒号が聞こえてきた。

 

「いいっすかヨンゴーちゃん! うぉおおおおお! 燃えろぉおおおおお! シサエの中の何かぁああああああああ! そしてそこからかぁあああああめぇええええはぁあああめぇええええええ」

 

 ヨンゴーの教育は順調?らしい。

 リビングへ戻ると、警察班の三人がきゃっきゃと愉しそうにしている。

 

 いつものように舞恋と真理愛が麻弥たんの髪の毛をいじっているのかと思ったら、麻弥たんも何かをいじっていた。

 

 三人はゴゴーを可愛くラッピング、というか、着飾らせていた。

 リボンはフリルをあしらい、女の子向けのお人形さんのようだ。

 

「ゴゴーはかわいいのです。くるっとまわってみるのです」

『まわります』

 

 ゴゴーがその場でくるくる回ると、三人は上機嫌に体を揺らした。

 俺はその光景を、陰ながら観察していた。

 女の子たちの日常系アニメを視聴するオタクも、こんな気分に違いない。

 

『ありがとう、まやおねえちゃん』

「むふん、どういたしましてなのです」

 

 麻弥たんはすっかりお姉さん気取りだった。

 

   ◆

 

「みんな真面目に教育しているみたいだな」

「そうだね」

 

 部屋に戻った桐葉は、ずっとそれらのうしろについていたイチゴーを抱き上げて、ベッドに寝転がった。

 

「ねぇイチゴー? キミってやっぱり最初に作られたの?」

『そうです』

「じゃあ君が長男で長女だね? いーい? キミはみんなを守ってあげないとだめだよ? だけどただ守るだけじゃダメ。悪いことをしたら、ちゃんと叱ってあげるんだからね?」

『わかりました』

「うん、いいこ」

 

 桐葉は上体を起こすと、イチゴーをベッドの上に座らせてその頭をなでた。

 その姿は子育てに熱心なお母さんみたいで、なんだか胸に温かくなる。

 桐葉は将来、いいお母さんになるだろう。

 

「あとハニーがボクのおっぱい見ていても指摘しないであげてね」

『わかりました』

「おいっ」

 

   ◆

 

 一週間後。

 小百合さんが仕事から帰ってくると手を叩いた。

 

「よし、全員集合だ。ではそろそろ、進捗状況を確認したいのだが……」

「ニゴー、このデータに計算ミスがないかチェックしておきなさい」

『ぎょい……もんだいありませぬ』

「ありがとうですわ」

『ますたーのおやくにたててきょうえつしごく』

 

 ニゴーは申し訳程度の足を縮めながら体を前に傾け、膝を折る騎士のような姿勢を取った。

 

 

「見るっすハニーちゃん! これが一週間の成果っす!」

『ヨンゴーのこのてがまっかにもえる! もえつきるほどヒート! ばくねつ、おーばーどらいぶっすぅ!』

 ヨンゴーが丸い手を詩冴にぽこぽこと当てている。

「ひでぶっすぅ!」

 

 

「ゴゴーは今日も可愛いのです」

『そうです、ゴゴーはかわいいのです。えへん』

 

 

「あ、小百合さん、お待たせしました。ほら、サンゴーちゃん起きて起きて」

 美稲にゆすられて、目を横線にしていたサンゴーのライトが丸い形を取り戻した。

『おきたのだー。さゆりさん、サンゴーはこのいっしゅうかんたのしかったのだー』

 

 

「イチゴー、自己紹介して」

『わかったー。ぼくイチゴー。みんなをまもるよー。きりはちゃん、ほめてほめてー、ぼくちゃんとじこしょうかいできたよー』

 

 イチゴーはむむんと丸いお腹を張った。たぶん、胸を張っているつもりだろう。

 小百合さんは長い沈黙の後に、眉をこゆるぎもさせずに言った。

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………なかなか個性的に育ったな」

 

「素直に失敗と言ってください!」

「む、いやだが奥井ハニー育雄、個性の獲得という意味ではこれ以上ない成果ではあると思うのだ!」

「見るっすハニーちゃん! この見事なカービ●ダンスを!」

 

 テレレレッテレッテレ♪

 テレレレッテレッテレ♪

 テレレレッテレッテレーテ♪ テーレテーレテーテ♪

 

 16ビットサウンドに合わせてヨンゴーはくるくるころころと軽快に踊っていた。

 

 背後にピンク色の丸い宇宙人が見える気がする。

 

『これがヨンゴーの、ウイニングライブっす』

 

 ――なんのレースで勝ったんだよ!?

 

『みんなもやるっす』

 

 ヨンゴーの呼びかけで五人は集まり、丸いお腹をぽよんと押し当て合った。

 

『どうきー、じょうほうきょうゆう』

 

 小さくて丸くて手足の短い五人がもちもちと集まりお腹を押し付け合いながらぐるぐると輪になる。

 

 その光景はけっこう可愛い。

 そして五人同時にカービ●ダンス。

 

「……小百合さん、あれ、本当に成功でいいんですか?」

「う~ん、まぁ判断は研究所に委ねよう。しかし、公的機関には向かなくても」

 

 小百合さんの視線は、踊る五人を楽しむ麻弥たんに向けられていた。

 

「パートナーロボットとしては馴染んでいるのではないか?」

「まっ、そうですね」

 

 組織で働かせるにはちょっとアレでも、フレンズとしては最高かもしれない。

 ころころと踊る五人を楽しむみんなと、RECする美稲を眺めながら、胸を撫で下ろした。

 

 

   ◆

 

 

 翌朝、俺がリビングへ行くと、詩冴が声を張り上げてきた。

 

「大変っすハニーちゃん! テレビでロボットが批判されているっす!」

「は? なんで!?」

 

 みんなが座るコの字型ソファの先、壁一面に展開したARディスプレイには、美稲が昨日アップロードしたロボットダンスやイチゴーたちの言動が映っていた。

 

 ニュースによれば、これを見た人たちが、ここまで人間的だと接客業を含め、ロボットに全ての仕事を奪われるのではないかという声を挙げているらしい。

 

 小百合さんは労働者を路頭に迷わせる気ではないかという批判的な話から、さらに話題は建設中に学園都市にまで飛び火した。

 

 小学校に当たる初等部の生徒には不登校の生徒が少なくない。

 

 幼い子供にとって、超能力者であることを理由にいじめられるのは俺ら以上にショックが強いからだ。

 

 そうして引きこもりになっている子供を親元から引き離して学園都市に住まわせることに対する批判も集まっているらしい。

 

 嘘だ。

 

 学園都市への入学は自由であって強制ではない。

 それに、生徒が小学生の場合、親御さんも学園都市に住める環境も整えている。

 

 けれど、詳しく調べもせずに切り取られた情報をうのみにする大衆はこのニュースを信じるだろう。

 

 小百合さんは眉間に軽いしわを寄せた。

 

「いつもながら、頭が痛くなる連中だな」

「まったくですね。でも、大ごとになる前に鎮火させないと、ん?」

 

 リビングの端では、麻弥たんがくるくるころころと踊るロボットたちに夢中で、ゴゴーを抱きしめ丸い体をなでまわしてご満悦だ。

 ランドセルの似合いそうな麻弥たんの姿に、俺はひらめくものがった。

 

「よし、ロボットを使って不登校問題を解決しよう」

『え?』

 

 その場にいた全員の声が重なった。

 

   ◆

 

 都内某所、とある不登校児の部屋が優しくノックされた。

 中の幼女は反応を示さない。

 けれど、外から愛らしい声が聞こえてきた。

 

「ミキちゃん、ボクとあそぶのです」

「?」

 

 初めて聞く声になんだろうと思って部屋ドアを開けると、廊下には赤ちゃんのように小さくて、太鼓のように丸くて灰色で、短い手足の可愛いロボットが立っていた。

 

 この子はなんだろうと思っていると、突然、ロボットが躍り出した。

 

 まるまるころころ、もちもちぽよぽよと回り、体をはずませ、軽快に踊るロボットの姿に、心の弱った幼女は興味を示した。

 

   ◆

 

「学園都市、ゴーレム教室か」

「はい」

 

 俺と小百合さんたちの前には、旧分割された監視カメラ映像が広がっていた。

 

 超能力者であることを原因にいじめられ、不登校になった子供たち一人につき一人ずつサポートロボットが付いて、その子と一緒に学校生活を送る。

 

 教室に先生の姿はなく、一クラス10人程度の少人数制。

勉強を教えるのは教育プログラムをインストールしたロボットだ。

 

 小さくて丸い体で教卓の上に立って、短い手足をよちよちと動かしながら、アニメ声で算数を教える姿に、子供たちも笑顔だった。

 

 そして休み時間になると、ロボットみんなで軽快なダンスを踊る。

 子供たちもその真似をして、実に楽しそうだ。

 

「ふむ、人が苦手なら、人と会わなければよい。ロボットと学び、ロボットと遊び、そこから何年もかけて段階的に人に慣れさせていく。良い案だ」

「いえ、みんなのおかげですよ。いや、詩冴のおかげですかね?」

 

 俺が首を回すと、詩冴はヨンゴーと愉しくじゃれ合っていた。

 

「波動拳っす!」

『たつまきせんぷうきゃくっす』

 

 無いに等しい脚を突き出しジャンプ。ヨンゴーは足よりも先に丸いお腹が詩冴にぶつかり墜落。

 

 床をころころと転がった。

 その姿に、麻弥たんが機嫌を良くする。

 

 詩冴たちがこれほどロボットたちをコミカルに育てなければ、この計画は失敗していただろう。

 

 そういう意味でも、本当にありがとうだ。

 ここ数日、ニュースではロボットと不登校児のバッシングはすっかりなくなった。

 流石に、この状況では非難したほうが返り討ちにあうだろう。

 こうして、俺らは今回も危機を脱した。

 

 

「えーん、ロボットちゃん、太郎君がいじわるするのー!」

『だいじょうぶだよ。だんしなんておっぱいおしあてればかんたんにころがせるんだから』

 

 

 俺は顔を地蔵にした。

「おい桐葉、あれお前の悪影響じゃないか?」

「いや、むしろハニーの影響でしょ?」

 言い訳できなかった。

 

 

   ◆

 

 ハニーたちが出かけ、イチゴー、ニゴー、サンゴー、ヨンゴー、ゴゴーの五人がリビングでおとなしく充電していると、ふらりとキジムナーちゃんが現れた。

 

「♪」

 

 キジムナーちゃんはニコニコ笑顔でちょこちょこ歩み寄ると、五人に向かって手をかざした。

 

「♪ ♪ ♪」

 

 五人の体から光の粒子が湧き上がり、キジムナーちゃんの手の平に集まっていく。

 ハンドボールぐらいの大きさになった光のかたまりを、キジムナーちゃんはとある女性に手渡した。

 

 その女性はいかにも転生女神然とした姿で、光の塊を受け取ると、キジムナーちゃんの頭を愛し気になでた。

 それから、女神のような女性は優しい笑顔を残して虚空にかき消えた。

 

●本作はパラレルです。外伝です。書籍のハズレゴーレムとは関係ありません。

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