★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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こんなゲス顔のヒロインがいるかぁあああ!?

「ぅぁああああ! あたしの眼鏡ぇ~!」

「……………………………………………………………………………………え?」

 

 俺は助けるを求めるようにノエルとハロウィーに視線を送るも、二人はシンクロ率四〇〇パーセントの動きで首を左右に振った。二倍速で。

 

 しばらくして、人ごみの中からまた、彼女は現れた。

 

 周囲の視線を集める彼女は俺の前に立つと、両手を左右に広げ、勢いよく一回転した。

 

「ぅわが名はイースター・D・エイプリル! 今世紀最高の大魔法使いにして救世主の導き手! 喜んでくださいラビ! このワタシが貴方のチームに電撃参戦してさしあげます!」

「いや、間に合っています」

 

 俺は立ち上がってその場を離れた。

 サンドイッチの皿とカップはハロウィーが回収して回収テーブルに下げてくれた。

 

「待って待って! お願い見捨てないでくださいぃいいいい!」

 

 イースターは腹ばいに崩れ落ちて俺の足にすがりつきながらコンマ一秒で泣きべそをかいた。

 

「悪いけどあんなインチキ新聞に乗せられて仲間入りを希望する奴なんて信用できるか」

 

 どうせ、俺と一緒にいたらおいしい思いができるとか、そういう不純な動機に決まっている。

 

「インチキ新聞なんて心外な。一生懸命書いたんですよぉ~」

「へ? 書いた?」

「はい! ワタシ、平民科の新聞部なんです。今のラビの名声があるのもワタシがラビの活躍をまとめて記事にしてあげたからなんですよ!」

 

 イースターは寝転がったまま、自信たっぷりに背を逸らし胸を張った。

 

「お前が犯人か!?」

 

 自分で太らせた名声を自ら回収する。なんという自作自演だろうか。

 

「イチゴー!」

『わかったー』

 

「あ、痛い! やめて! 叩かないで! お願いですからあたしをチームに入れてください! 絶対役に立つから! なんならちょっとエロいこともさせてあげるから! Gカップだから! Gカップだからぁ~!」

 

「そういうのはいらないんだよ!」

「なんでですか!? 思春期男子ならみんな大好き巨乳のGカップでッ――」

 

 イースターの視線が、ノエルに止まった。

 

「貴様くぁああああああ! この金髪碧眼爆乳女ぁ! 貴様が我が野望を阻んでいるのかぁああああああああああ!」

「なっ、ばくっ!?」

 

 ノエルはうろたえながら赤面しながら、自身の胸元を隠すにように両腕でバストを抱え上げた。

 一方で、イースターは血の涙を流さんばかりに絶叫しつくした。

 

「亜麻髪よりも金髪なのか!? 栗眼よりも碧眼なのか!? そうだよワタシはいつだって金髪碧眼爆乳美少女の下位互換だよ! これで満足か!? はぁん!?」

「ノエルはそういうんじゃねぇよ!」

 

 正直、令和男子にエロスは通じないと言っていい。

 絶対に面倒なことにしかならないと、俺は全力でイースターを振りほどこうとする。

 

「いい加減に離せこのスッポン女!」

 

 けれど、イースターは四〇歳の誕生日前日に彼氏にフラれた三九歳女子もかくやという握力で俺の足首にすがりついてきた。

 

「話を聞いてくれないならあたしはこの場で脱ぎます! そしてあたしは我を失った男子たちに蹂躙されるんです! 貴方はその責任を一生背負いながら生きていく覚悟があるんですか!?」

「脅し方が斬新すぎんだろ!」

 

 思わず虚空に空手チョップでツッコんでしまった。

 

「さらにそのまま職員室で行って叫びますよ! ラビに犯されたぁあああああああああ! と!」

「お前は悪魔か!」

「え? いつから人が悪魔ではないと勘違いしていたんですか?」

「無駄に哲学的だな……ああもうわかったよ。じゃあ聞いてやるからさっさと喋れ」

「ぃよっしゃキタコレ!」

 

 跳ね起きながら、イースターは両手でガッツポーズをキメ、勝利の笑みを浮かべた。

 

 今までのすべてが演技なら大したものだ。

 両手を腰に当て、フラダンサー並みの腰の可動域を発揮しながら、イースターは腰を左右に振った。

 

「はい、で、は……これからイースターちゃんのセールスポイントをプレゼンさせていただきます」

 

 こっちの世界にも奇人はいるんだなぁ、と思いながら、俺は生暖かい拍手を送った。

 真似して、イチゴーたちも丸い手でぽよぽよと手を叩いた。

 

「むゎず! ワタシは今世紀最高の大魔法使いですが、実家は王都に店を構える商家なのです。なので、ラビさんのアドバイザーとして、よきビジネスパートナーになれるかと」

 

「ビジネスパートナー?」

「はいですとも!」

 

 にゅるりん、と下から湧き出るように距離を詰めてきて、イースターは目を黒く光らせた。

 

「聞きましたよ。洪水で壊滅した町を一日で復興させたとか。あれはお金になります。貴族籍を剥奪されてもうまくやれば億万長者も夢ではありません。戦争の無いこのご時世、下手な貴族よりも豪商のほうがはるかにリッチなのです」

 

 それは、俺もちょっと考えたことだ。

 3Dプリンタを使えば、現代商品無双で億万長者、一生平和に暮らせるのではないかと。

 

 俺の沈黙に勝機を見出したのか、イースターの顔が邪悪に歪んだ。正直、ダストンといい勝負だと思う。

 

「私なら商人ギルドや組合への橋渡し、相場価格、根回し、宣伝、すべてにおいて的確なアドバイスができます。逆に、ラビさんが独学で我々の業界に飛び込めば不平等な契約を結ばされ死ぬまで搾取されることになるでしょう。商人は魔物、やり手の商人ならば邪神もかくやの手練手管でラビさんなんて骨も残りませんよ」

 

 ごくり、とツバを飲み込んだ。

 そこまでは考えていなかった。

 

 いや、商売敵から目をつけられて潰されるぐらいは考えた。

 けれど、詐欺に遭って搾取される可能性だって十分にある。

 

「お前の言うことも一理あるな」

「でしょ!?」

 

 これ以上ないゲス顔で、イースターは鼻息がかかるほどに顔を寄せてきた。

 

「だからラビ、ここはひとつワタシをパートナーに!」

「じゃあ商業への参入は取りやめよう」

「へ?」

 

 眼鏡ががくんとずり落ちた。

 

「スキルで商売無双とか考えていたけど、俺には荷が重そうだ。これからも俺は冒険者一本でやっていくよ、じゃ」

「タァイム!」

 

 背を向けた俺の前に回り込んで、イースターは戦闘態勢を取った。

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