★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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ニゴーがこっそり遊んでいます

 俺の意思を受けて、イチゴーがハロウィーに甘え始めた。

 ハロウィーは頬をゆるゆるさせながらイチゴーをなでくり回した。

 

「でもラビ、平民科の新聞部がいい記事出してくれないと、つり合いが取れないよ」

ハロウィーはやや不機嫌な表情を作った。

 

 ただし、顔が可愛すぎてまるで迫力がない。

 

「あー、貴族科の新聞部が書いたあの記事か?」

「そうだよ、みんな酷いよね」

 

 今朝、貴族科の新聞部が学園内に張り出したのは、俺の火事を批判した記事だった。

 

 英雄の犯した放火事件。

 悪意しか感じない見出しと共に、記事は俺が調子に乗りマジックアイテムの管理を怠っていた、彼は自分の実力を勘違いしているなどと酷評していた。

 

 平民科の生徒はそうでもないけれど、貴族科の生徒からは連絡棟ですれ違うたびに嫌味を言われた。

 

「連中からすれば俺を叩く絶好の機会だったんだろうな」

 

 当事者の俺が呆れ口調の一方で、ハロウィーは怒り心頭に発していた。

 

「なんで叩く必要があるの? だってラビは革命軍から貴族科のみんなを助けたんだよ!? 感謝こそすれ恨むなんておかしいよ!」

 

 可愛い眉を吊り上げて、ハロウィーは毅然と主張してくれた。

 彼女の怒りにありがたみを感じながら、俺は溜息を吐いた。

 

「俺なんかに助けられたことでメンツを潰されたって感じたんだろ? 貴族は『命を惜しむな名を惜しめ』って言葉の通り、メンツを保てないと息ができない生き物だからな」

「命よりも世間体が大切なんておかしいよ」

 

 平民出身のハロウィーの言うことはもっともだけど、俺は申し訳ない気持ちで腰を低くした。

 

「ありがとうハロウィー。だけどノエルの前では言うなよ」

「? うん」

 

 ハロウィーはよくわかっていない様子だった。

 正直、どっちも間違ってはいない。

 時代と場所が違えば常識が天地も違うように、身分が違えば常識も変わる。

 

 平民が命あっての物種と考える一方で、貴族は生き恥を晒すくらいなら死んだ方がいいと考える。

 

 乱世の時代においては、主君の為に戦って死ぬことこそが最高の誉れ、なんて言う軍人貴族も少なくなかったらしい。

 

 いたずらに他人の価値観を否定するつもりはない。

 だけど、こうした価値観の違いが溝を作るんだと思う。

 

「ラビは怒っていないの?」

「もちろん嫌だぞ。だけど複雑だからな。今回は貴族生徒たちだって被害者だし。一方的に襲われて、きっと親や先輩からは平民なんかに負けて助けられて情けないって責められているだろうし、なんで自分がこんな目に遭わないといけないんだって歯ぎしりしていると思う」

 

 俺が淡々と説明すると、ハロウィーは眉根を寄せた。

 

「でもそれって革命軍のせいで、ラビのせいじゃないよね?」

珍しく語気を強めるハロウィー。

正論をそのまま口にしてくれる彼女の善良性が嬉しかった。

 

「ハロウィーとチームを組んで良かったよ」

「え? 急にどうしたの?」

 

 ハロウィーの顔がふわっと赤くなった。かわいい。

 あと何故かゴゴーとイチゴーが小躍りしている。こっちもかわいい。

 

「もう、ラビは人が良すぎるよ。そうだ、新しい部屋、変な部屋当てられていない?」

「変な部屋ってどんな部屋だよ?」

 

 苦笑しながら俺が尋ねると、ハロウィーは口ごもり、目を泳がせながら声を絞り出した。

 

「えっと、ほら、家具の裏に悪霊封印の紋章が刻まれているとか、前の住人が殺人事件に遭っている部屋とか!」

「推理小説の読み過ぎだろ」

 

 顔の前でちっちゃな拳をかざして力説するハロウィーに、忍び笑いが止まらなかった。

 

「それに俺は退寮処分になったからな、部屋は外に建てたんだ」

「えぇっ!? 退寮って!? そんなこと新聞には、あ、でもラビはスキルで家作れるからいいのか」

 

 一人で驚いて一人で納得する。

 忙しい子だけどそこが面白い。

 ハロウィーの一日を動画にしたら再生数が伸びそうな気がする。

 

「でもそっか、新居建てたんだ」

 

「おう、校舎裏に二階建ての立派なのな。イチゴーたちの福利厚生を考えてブランコと滑り台も作ったぞ」

 

 ゴゴーを中心に、みんなで楽しく遊んでいる。そしてニゴーが夜こっそりと使っていることを俺は見逃さなかった。

 

「ねぇ、放課後、ラビの新居に行ってもいい?」

「いいぞ。俺らだけでコマンダーメイル討伐記念にちょっと面白いお菓子をごちそうするよ」

「うん、じゃあノエルと一緒に行くね」

 

 そう言ってハロウィーは笑った。

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