★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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優勝宣言

 ノエルが無事だったことと同じぐらい強く、サンゴーという偉大な守護騎士様に尊敬の念を抱かずにはいられなかった。

 そしてそれ以上に、明らかな過剰攻撃を行ったエリザベスへの怒りが湧いてきた。

 

『おっとこれは、まさかのラビ選手の乱入だぁ! 重大なルール違反だぞこれはぁ!』

「ラビ! ッッ」

 

 ノエルは複雑な表情で言葉を失った。

 俺の失格を案じつつも、それが自分のためである事実に言葉が見つからないのだろう。

 

「いいんだノエル。俺は失格になっても構わない。さぁ、早くこの場から離れよう」

 

 エリザベスへの怒りは抑えられないが言葉だけでも飲み込んだ。

 この場で対立構造を作れば、ノエルの立場も悪くなる。

 ここは、単純にエリザベスが試合で勝った。

 そうするのが一番いい。

 

「なぁんだ無事ですの。せっかく貴方のお部屋みたく燃やしてさしあげようと思いましたのに」

 

 ノエルと一緒にサンゴーを抱き上げた俺は、スキルでサンゴーの損傷を直しながら固まった。

 

「どういう意味だ?」

 

 エリザベスは嗜虐的な笑みを深め、喉の奥で笑った。

 

「審判! 彼を失格にする必要はありませんわ! このエリザベス・レッドバーンの決勝戦が不戦勝なんて不名誉、許しませんことよ!」

『これはなんと寛大な処置でしょう。では皆様、Dリーグ決勝をお楽しみに!』

 

 審判の判断に会場が盛り上がっているのを確認してから、エリザベスは視線を俺らへ下ろした。

 

「どういう意味も何も、魔王と同じ魔獣型ゴーレム使いのくせに出過ぎた真似をするから、神罰を下したまでですわ」

 

「もしかして、一回戦で俺が集中砲火にあったのもお前の差し金か」

「ええ。噂の救世主モドキが初戦敗退すれば世間も目を覚ますと思いまして。ついでに、背信者に尻を振るメスイヌの目を覚ましてさしあげようと思いまして。残念ですわ、ワタクシの浄化の炎で淫乱騎士を清めようと思いましたのに」

 

 どす黒い正義感に染まった声音に、俺は一瞬、理性を失いかけた。

 こめかみの熱量をそのままに叫ぼうとして、ノエルに腕を強く握られた。

 

「ラビ……」

 

 彼女の青い瞳が語っている。

 それはいけない、と。

 

 脳髄が焼き切れそうな程に熱い怒りも、だけどノエルのはかなげな表情が冷ましてくれた。

 

 彼女を傷つけたくない。

 

 その想いが、俺の怒りを火傷するほどに冷たい絶対零度の闘志へと変換してくれた。

 

『マスター、じぶんはだいじょうぶなのだー』

 

 修繕の終わったサンゴーが、腕の中で俺の心配をしてくれる。

 その健気な姿に、俺はある決意をした。

 

「ノエル、優勝するよ、俺」

 

 あいつを許してはいけない。

 それが俺の決定だった。

 

   ◆

 

 三〇分後。

 俺は店を休憩時間として、その代わり、客をコロシアムへ誘導した。

 

 ハロウィーとノエルが選手入場口から見守る中、俺はフィールド中央でエリザベスと対峙した。

 

 歓声も、実況の解説も耳には入らなかった。

 一方で、エリザベスは客席に手を振り笑顔を振りまき余裕の表情だ。

 

「悪いですわねラビ。ここで優しい人なら、降参すれば許してやると慈悲をかけるのでしょうが、ワタクシにそのつもりはありませんわ。降参なんて許さない。貴方は民衆の前でワタクシに負けて魔獣型ゴーレムが劣等種だということを学ばせる教材になるのよ」

 

 そのセリフどこで考えたんだ? と言いたくなるような口上に、俺は平坦な声を返した。

 

「そうですか」

「なんですのその態度は? バカにしているのかしら?」

 

 眉間にしわを寄せるエリザベスに、俺は無表情で答えた。

 

「馬鹿にできるわけがないでしょう? 王立学園貴族科一年生首席にしてレッドバーン公爵家のご令嬢、そして聖女型ゴーレムスキルを授かり教会からも覚えめでたく救世主候補にまで上がり、一年生の五月でありながら冒険者ランクをFからつい先日Dにまで上げた期待の大型新人、エリザベス・レッドバーン様をどうやったら馬鹿にできるんですか? むしろ馬鹿にできる人なんて王族ぐらいじゃないですか?」

 

 複雑な表情を浮かべながらも、エリザベスは苛立った声を上げた。

 

「ええそうね。貴方の言う通りですわ。ですが、そんなワタクシの名誉を踏みにじった分際で、よくもそんなことが言えましたわね」

「俺とエリザベス殿は貴族科時代も接点がなかったと思いますが?」

 

 家柄は伯爵家の中でも格の高いシュタイン家だが、劣等性寄りだった俺は、上級貴族たちとは距離を置いていた。

 

「そうではありません。スキルを授かった後の話ですわ。本来ならこのワタクシこそが期待の新一年生として高等部の話題をさらい、注目のマトになるはずでしたのに。それが誰も彼もがラビ、ラビ、ラビ、ラビ……この前の革命軍事件なんて、貴方こそが伝説の救世主だと思い込んでテロを行ったと言うではありませんの……本来ならこのワタクシこそが救世主として革命軍に狙われ、撃退し、学園を救った英雄となるべきなのにッ……」

 

「テロリストの戯言なんて無視しましょうよ」

 

 歯を食いしばりながら頭に血管を浮かべるエリザベスに、俺は無関心に告げた。

 

「ふざけないで! いいですの? 世の中には分不相応という言葉があります。平民は平民らしく、下級貴族は下級貴族らしくしないと秩序が乱れるのです。でないと、身分というものが存在する意味がありませんわッ」

 

 ――ガキだな。

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