★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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あれ?お貴族様ハイゴーレムじゃないんですか?

 ――ガキだな。

 

 ようするに、こいつは承認欲求の塊なのだ。

 常に自分が話題の中心で、みんなが自分に注目している状態でないと我慢できないのだろう。

 

 そういうかまってちゃんは普通、小学生で卒業するものだけど、こいつは違うらしい。

 

 精神年齢の成長速度は苦労した量に比例するとは言うけれど、なるほど、苦労知らずのこいつは頭の中が幼児期で止まっているに違いない。

 

「ですがラビ、一つだけ貴方を褒めてあげましょう。下民供を教育するもっとも効果的な方法は、定期的に民衆の前で竜を殺せばよい。帝王学の基礎ですわ。貴方という矮小な竜を潰すことで、下民供は己の分を弁えることでしょう!」

 

 試合開始の鐘が鳴ると、エリザベスは声を張り上げた。

 

「歌いなさい! ワタクシのディーヴァ!」

 

 ディーヴァが美声を奏で、右手の五指から光弾を放った。

 受ければ負ける。

 避けても爆破される。

 

 ――なら、最適解はこれだ。

 

 俺はストレージから土壁を展開し、盾とした。

 

 ――徹底的に防ぎ逃げる。

 

 土壁が焼ける間に横へ跳んだ。

 熱波に肌を炙られるも、直撃は避けられた。

 けれど、ディーヴァは既に狙いを定めていた。

 

 ――ストレージオープン。

 

 新しい土壁が俺の前に現れ、爆炎を防いでくれる。

 爆炎は一秒後に土壁を貫くも、逃げるには十分な時間だ。

 

「鉄をも熔かすディーヴァの炎をそんなチンケな土壁で防ぎきれると思わないことね。さぁラビ、いつまでそうやって逃げるおつもりかしら? !?」

 

 イチゴーたち五人が、俺とは反対方向からエリザベスに駆け寄った。

 

「自分を囮に。ですがディーヴァの腕は二本ありましてよ!」

 

 聖女の右手が俺を、そして左手がイチゴーたちを狙った。

 五発の光弾がイチゴーたちを狙い撃つ。

 

 すると、まずイチゴーがストレージから土壁を出して防いだ。

 その隙にサンゴーが真上に飛び上がった。

 

 ディーヴァの細い人差し指が角度を修正。

 新たな光弾が空に放たれた。

 

『バリアなのだー』

 

 光弾はサンゴーのバリアに被弾。

 サンゴーが白煙に包まれる間に、ニゴー、ヨンゴー、ゴゴーが地上から迫る。

 そしてまた土壁が現れた。

 ディーヴァは光弾を撃たなかった。

 

「馬鹿の一つ覚えですわね。そうしてワタクシに無駄弾を撃たせて魔力の消耗を狙っているつもりかしら? 下民は考えがせこくて可愛いこと。どうせ上か横から本命が出てくるのでしょう? さぁ、どこからでもかかって来なさい!」

 

 土壁をすり抜けて、五人のニゴーが弾丸のように飛び出した。

 

「なっ!?」

 

 あの土壁はイチゴーがストレージから出した物じゃない。

 ヨンゴーが幻影機能で作り出したフェイクだ。

 もちろん、五人のニゴーのうち、四人もフェイクである。

 

「ちっ、踊りなさいディーヴァ!」

 

 完全に虚を突かれる形になったエリザベスだが、ゴーレムの性能が良かった。

 十分に距離を詰めていたはずだが、ディーヴァは拳法の達人を思わせるほど鋭い動きで両腕を回し、虚空に数字の8の字を描いた。

 

 流麗な軌道は四人のニゴーを貫き、そして本物と拳を合わせていた。

 拳によるつばぜり合いの果て、体重差でニゴーが弾き飛ばされた。

 

『ふかく』

「ふんっ、この程度ですの? これは、ドレイザンコウを倒したというのもデマではありませんの? 本当はクラウスとかいう下民が全て倒したのではなくて?」

 

 危機を脱したエリザベスは留飲を下げるように冷静な口調を取った。

 

「それに、今の戦いで把握しましたわ。貴方、キメ技が無いのでしょう?」

「ッッ」

 

 イースターにも指摘された弱点に、俺は咄嗟に反応できなかった。

 それを図星と捉えたのだろう。

エリザベスは勝利を確信した笑みを作った。

 

「噂でも聞いていましたが、貴方のゴーレムができるのは殴打と体当たり。他は物を出したり、バリアを張ったり、幻を見せたり、どれもこれもサポート系の力。貴方は優秀なサポーターであっても、メインを張れる立場ではありません。他の雑魚たち相手ならどうにかなったでしょうが、ワタクシのような本物には勝てなくてよ。違うと言うのなら、ワタクシのディーヴァにダメージを通してごらんなさいな!」

 

 声高に叫ぶエリザベスの主張に、客席からはそうだそうだと俺に対するブーイングが飛んできた。

 

 エリザベスと同じ、貴族科の生徒や貴族の観客だろう。

 でも、俺はいたって冷静だった。

 

「おいエリザベス、それが全力なのか?」

「は? おっしゃる意味がわかりませんわね!」

 

 敬語をやめた俺に、エリザベスは声を荒げた。

 

「だから、何か奥の手はないのか? 光弾を何千発も撃ちまくるとか、巨大な爆炎の渦を放つとか、爆炎だけじゃなくて氷河を生み出すとか」

 

「あ~なるほど、怖いんですのね。安心しなさいな。これがワタクシの全力でしてよ。これ以上強くならなくてよかったですわね。もっとも、貴方程度なら全力を出すまでもなかったでしょうけど、圧倒的な力を見せてあげたほうが、下民共にはわかりやすいでしょう?」

 

「ディーヴァって、ハイゴーレムじゃないんだよな」

「だからなんですの? 雑な負け惜しみを。せっかくワタクシが寮を燃やして追い出してあげましたのにまだ懲りていませんの? ワタクシのディーヴァなら将来すぐハイゴーレムに……は?」

 

 エリザベスの表情が驚愕に固まった。

 視線の低さから、気づいてしまったのだろう。

 イチゴーたちの胸に輝くハイゴーレムの証、オーブの存在に。

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