★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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聖主者発表!

 先生も、惜しみなく俺を評価してくれた。

 

「いやぁ、でも俺平民だしなぁ。Aリーグ優勝者って線もあるんじゃないですか?」

 

 噂をすれば陰というか、ブランたちの声がした。

 

「あ、いたいた。ラビ、優勝おめでとう、ヴァレと一緒に見ていたよ」

「ブラン、ヴァレンタイン」

「表彰台ぶりだねラビ、ボクのことはヴァレでいいよ」

 

 クールな目つきながら、口ぶりは軽い。

 表彰台の彼女はつまらなさそうだったけど、家のお礼があるからか、俺には少し気さくに見えた。

 

「そっか、でもヴァレだって優勝したんだから、選ばれるかもしれないぞ?」

「よそ者のボクが選ばれるわけないだろ? 先生が平民科生徒は全員参加とか言うからバニーのためにも出てあげたけど、雑魚しかいなくて退屈だったよ」

「Aリーグが雑魚って……」

 

 ――こいつ、本当に何者だ?

 

 そこへ、ハロウィーが不思議そうに尋ねた。

 

「でもヴァレ、わたし、一年生にAランク冒険者の生徒がいるなんて聞いたことないんだけど?」

 

「聞かれなかったしね。ボクがAランク冒険者になったのはずっと昔の話だし」

「中等部時代はクエスト受けないし、高等部になってからも僕と一緒にFランククエスト受けていたからね」

ブランが申し訳なさそうに苦笑いをした。

 

「ヴァレがAランク冒険者ってわかった時は本当に大騒ぎだったよ。先生なんて白目剥いちゃうし、嘘つき呼ばわりした生徒はみんな決闘ふっかけてくるし」

ブランは当時のことを思い出しているのか、声に罪悪感が滲み出ていた。

 

「どうでもいいよ、クラスの連中なんて。それよりバニー、お願い聞いてあげたんだから、今夜はいっぱい仲良くしようね♪」

 

 ヴァレが小悪魔めいた笑みでブランの肩を抱き寄せると、彼は赤く縮こまった。

 

 ――それにしても、俺らと同じ一年生でAリーグか……。

 

 つまり、外国の史上最年少級の天才Aランク女子が編入してきた、ということなのだろう。人の経歴を尋ねるのは失礼な気がするのは聞けていないが、外国の英雄や勇者の類だろうか。

 

 まさにファンタジーだけれど、この世界にはそうした存在が実在する。

 特別な血統で、生まれながらに強い力を持つ者。

 あるいは、伝説の武器に選ばれ、勇者と呼ばれる者。

 

 ヴァレも、そうした類なのかもしれない。

 足元から、イチゴーたちのメッセージウィンドウが表示された。

 

『きっとマスターがえらばれるよー』

『あるじどのいがいにみちはない』

『マスターがんばったのだー』

『マスター、おまえがナンバーワンだっす』

『ゴゴーもそうおもうのです』

 

 イチゴーたちからの期待は素直に嬉しい。

 それはこの子たちの無邪気さ故だろう。

 もちろん、ノエルやハロウィー、それにイースターも期待してくれた。

 

「そうだラビ。今年の聖主者は貴君意外に考えられないだろう」

「救世杯優勝でお店も大人気だったもんね♪」

「それもゴーレムフル活用でしたからね。救世主って愛称をつけるお客さんも多かったですよ」

 

「う~ん、救世主は微妙だな」

「なぜです?」

「いや、俺それが原因で革命軍に狙われたし」

 

 俺は渋い顔をするも、イースターはゲスイ顔をした。

 

「まぁまぁ、逆にこれを利用すればおいしい思いができるかもですよ」

「お前は本当にブレないな」

 

 俺が肩を落とすと、会場がどよめいた。

 顔を上げると、誰もが注目する舞台の上に、豪奢な服装の人たち上がっていく。

 

 陛下の右腕である宰相様と、その側近たちだ。

宰相様が、部下から投票の集計結果を受け取っている。

 

 周囲に緊張感が走り、どよめきは静まり、会場を静寂が包んだ時、宰相様は宣言した。

 

「発表する! 今年の救世祭! 聖主者は! ……救世杯Dリーグ優勝! ラビ!」

 

 会場が歓声に飲み込まれた。

 そして俺は、周囲の生徒たちから次々背中を叩かれていく。

 ノエルたちも祝福してくれた。

 

「やったなラビ!」

「おめでとう!」

「やっぱりワタシの目に狂いはありませんでした! さぁ壇上へ」

「ほらね、ボクの言ったとおりだろ?」

「よかったね、ラビ♪」

 

 ノエル、ハロウィー、イースター、ヴァレ、ブランの五人に送られて、俺は壇上へと向かった。

 

 人ごみをかき分けながら歩く中、足が少しフラつく。

 

 正直、今でもちょっと信じられない。

 俺だって、期待しないわけではなかった。

 優勝したし、店も大盛況だし、もしかして、と。

 期待の淡さは、自分への保険だった。

 選ばれなかった時のショックをやわらげるための。

 

 だけど、本当に選ばれてしまった。

 いつの間にか人々が左右に割れて、俺は左右の人垣から肩や背を叩かれ、笑顔に溢れた道を進みながら、壇上に辿り着いた。

 

 そして階段を上がり、壇上へ。

 高くなった視界でふと首を回すと、数万人の視線が俺に集まっていた。

 それはコロシアムでも同じはずなのに、何故か緊張する。

 

「おめでとうラビ。君に、王室より勲章を授与する」

 

 そう言って、宰相さんが威厳のある表情で俺に歩み寄り、金と銀で構成された勲章を俺の胸につけてくれた。

 

 会場は拍手に包まれ、俺は手の平に汗をかきながら理解した。

 

 ――これが、認められるってことか。

 

 華やかなバトルもゴーレムダンスも他の選手もいない。

 俺の功績を称える場で、みんなが俺に注目し、俺個人に拍手と笑顔を向けてくる。

 みんなが俺の成功を祝ってくれる。

 

 前世も今世でもなかった経験。

 

 いや、コマンダーメイルやドレイザンコウを倒した時も賞賛はされた。

 

 でも、あれはハロウィーたちと協力したからという印象が強かった。

 だけど今回は、俺が救世杯で優勝して、俺がお店を盛り上げた。

 もちろん、イチゴーたちの力あってのものだ。

 

 なのに、嬉しいと感じている。

 

 ――周囲から認められて、自分を認められるようになったのかな。

 

 俺は昔から、卑屈、とはまではいかないけど、『いやいや俺にそれは無理だろう』と自己評価の低い人間だった。

 

 だけど、自分で自分を肯定できる、他人からの賞賛を受け止められることに感動してしまう。

 

 ――おっと忘れていた。

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