★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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兄弟喧嘩の結末!

「俺に勝つためならどんな犠牲もか。だからって、周囲へ配慮しない攻撃はどうなんだ?」

 

 意地悪だとわかっていても、俺は言わずにはいられなかった。

 

「貴族は民からの税で生活をしている。民あっての国であり領地だ。民のいない土地はただの廃墟や野山だ。上から目線に民の目を覚まさせるなんて、驕りもいいところだな。俺が目を覚まさせてやるよ。馬鹿兄貴!」

 

 俺の意志を受けて、ニゴーとゴゴーが剣を振るった。

 水流と冷気が津波となりグリージョを飲み込む。

 斬撃も、液体には無力だ。

 

 グリージョは全身を波にさらわれ、直後に水流が凍結。

 一瞬で壇上を北極圏へと様変わりさせてしまった。

 グリージョのパワーなら、数秒で氷を砕くだろう。

 

 でも、俺にはその数秒が欲しかった。

 氷の上を駆け抜けた俺は、グリージョの横を通り過ぎて、兄さんに向けて剣を振り上げた。

 

「ラビっ!」

 

 兄さんも剣を抜いて、俺と激しい剣の打ち合いを始めた。

 俺は生粋の剣士じゃない。

 

 でも、それは兄さんも同じだ。

 互いに、ゴーレムと連携して戦うことを想定した補助剣術。

 それでも、戦うことを生業とする貴族と貴族。

 

 令和日本の剣道大会決勝戦にも迫る迫撃合戦を、それも真剣で行うそれは紛れもなく命の奪い合いだった。

 

 単純な剣の技量なら、才能に恵まれ年も一つ上の兄さんが上。

 だけど俺には、ゴゴーが採取した炎石から作ったヒートソードがある。

 

 俺の魔力に合わせて炎を渦巻き、炎熱ダメージを狙える俺にも、勝機は十分にあった。

 

 そして、長い斬撃戦の果てに、勝負は一瞬でついた。

 

 俺の切り上げを避けるために兄さんがバックステップで距離を取ったのに合わせて、俺は最大魔力を剣に込めて振り上げた。

 

 炎の斬撃が眼下から眼前に迫る光景に、兄さんは果敢に剣で立ち向かうも、それは無謀だった。

 

 巨大な炎の斬撃は、その余波だけでも消耗した兄さんの膝を折るには十分な威力があった。

 

 左わき腹と右肩を深く焼き切られた兄さんは力なく膝を屈して、そして仰向けに倒れた。

 

 俺の背後で、氷漬けのグリージョは首を倒した。

 それを確認してから、俺も膝を追って兄さんに顔を寄せた。

 

「兄さん……」

 

 まるで病人のように衰弱した顔のまま、うつろな瞳で俺を見上げる顔に、いつもの優雅さはなかった。

 

 少しの沈黙の後、弱々しい唇が動いた。

 

「強くなったな、ラビ……この決闘はお前の勝ちだ……」

「……兄さん、最後、なんでグリージョを使わなかったんだ?」

 

 俺の予定では、グリージョが氷から抜け出す数秒の間に奇襲で兄さんを倒すはずだった。

 

 だけど剣術合戦は長引き、その間にグリージョと挟み撃ちにされたら、負けていたのは俺だったかもしれない。

 

 すると、兄さんは優しい、慈愛のあると言ってもよい顔つきで笑った。

 

「弟の全力に水を差す兄がいるか……今まで馬鹿にして悪かったな、そして、出来の悪い兄ですまない……」

 

 会場が俺の勝利に喜び沸き上がる中、俺は今までにない多幸感を胸に兄さんの手を握りしめ、そして涙を流した。

 

   ◆

 

 翌日。

 救世祭後の学園は、今まで以上に俺の話題で持ち切りで、かなり恥ずかしいことになっていた。

 

「平民期待の超新星! ラビの活躍をまとめた新聞だよぉ! 伝説の救世主はラビだった! 王都タイムズ新聞もいいけど、新聞部は学園内部の人しか知らない情報も盛りだくさんだよ!」

 

 連絡棟では今日も平民科新聞部の新聞が大人気で、窓から外の掲示板広場を見れば、そこにも大勢の生徒が群がっていた。

 

「俺は、どこまで持ち上げられるんだ?」

「ラビ、不謹慎だが君は退寮になってよかったかもしれないな……」

「みんなと同じ寮だったら質問攻めが凄そうだもんね……」

 

 俺の隣で、ノエルとハロウィーも渋い顔をした。

 

「やれやれ、人間は噂が好きだね。ボクにはわからないよ」

「ヴァレはもうちょっと他人に興味を持ったほうがいいんじゃないかなぁ……」

「え~、バニー以外なんてみんな犬猫と同じで見分けがつかないよ」

 

 俺の背後では、ヴァレがバニー、じゃなくてブランに抱き着いて、真っ赤な耳を甘噛みしていた。

 

 ブランは目を丸く血走らせたまま前かがみになって、ガチガチに硬直している。

 家が隣ということもあり、最近はこの二人とも一緒にいる。

 

「だいいち、ゴーレムなんか人型だろうが魔獣型だろうがどうでもいいじゃないか」

 

 ――え?

 

 異世界人とは思えない発言に、俺は妙な引っ掛かりを覚えた。

 

 そこへ、妖怪ぬらりひょんのようににゅるりんと、俺とノエルの間に一人の陰が滑り込んできた。ありていに言えばイースターである。

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