★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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攻略方法

 彼女もその類だろうか。

 考察する間に、彼女は珍しい武器を両手で構えた。

 剣身と柄の両方が一メートルはありそうなロングソード。

 

「大剣、いや、長柄剣か」

「遠近両方に対応できるからね。ボクのお気に入りだよ。それより、仮想イフリートらしくあまり手加減はできないから、ケガしないように気を付けてね」

 

「あ、それなら僕の一心同体スキルを使うから大丈夫だよ」

 

 肩の高さで、ブランがちょこんと手を挙げた。

 

「一心同体スキル? 聞いたことないな」

「うん、僕も他の人が持っているの見たことないかな。えっとね、一言で言うと、他人と体の状態を共有したり肩代わりできるんだ」

ブランは手の平の、桜色の光球を生み出した。

 

「僕は味方を強化するエンチャンターなんだけど、戦闘が激しくなると遠くの味方に強化魔法を当てるのが難しくなるのが弱点なんだよね。えいっ」

 

 ブランが手の平を振ると、桜色の光球はピンポン玉を投げるようにして飛んで行った。

 崖の壁面にぶつかり、雲散霧消した。

 遅くはないけど、他の攻撃魔法に比べればスピード不足感は否めなかった。

 

「だけど」

 

 ブランが俺の手を握ってきた。

 すると、何かが俺とつながるような感覚があった。

 

「おっ」

「成功だね。この状態で僕が自分に魔法をかけると」

 

 ブランの体が、淡い桜色の光を帯びた。

 同時に、俺も淡い光をまとった。

 

「はい、これで僕とラビの体はこの光の防御膜が守ってくれるよ」

「へぇ、自分にかけたバフを味方と共有できるのか」

 

 俺が感嘆の声を漏らすと、ブランはちょっと嬉しそうだった。

 

「うん。それに味方のダメージを僕が肩代わりできるから、もしもヴァレの攻撃が貫通してもラビは大丈夫だよ」

 

 にっこりと小動物めいた笑顔の背後で、ヴァレが殺意の波動に目覚めていた。

 

 バニーヲ傷ツケタラコロス。

 という眼光に射抜かれて、俺は頬を硬くした。

 

「大丈夫じゃねぇよ……」

 

 そこへ、猫のように好奇心で死にそうな女子の蹴りが俺の腰に叩きこまれた。ようするにイースターである。

 

「おっ?」

「痛った!」

 触られた感覚はあるものの、俺はまったくの無痛。

 一方で、ブランは自分の腰を押さえた。

 そしてヴァレの長柄剣が閃いた。

「フゥッ!」

「うわぁああ! ダメだよヴァレ!」

 

 長柄剣を振り上げるヴァレを、ブランは全力で抱きしめながら止めていた。

 その様子を、イースターは鈴を転がすような声で笑って観賞していた。

 

「お~、本当にダメージを肩代わりできるんですねぇ」

「お前いつか死ぬぞ?」

「大丈夫、美少女は死なないのです!」

 

 スリーピースを目元に当てたキメポーズで胸を張る。

 

「その自信はどこから来るんだよ……」

「ほらほらヴァレ! ラビの特訓に付き合うんでしょ! 友達の特訓に付き合うヴァレを見てみたいなぁ!」

「むぅっ、バニーがそう言うなら」

 

 ヴァレはやや不機嫌ながらも、ブランの指示に従った。

 ほっと胸をなでおろしたブランが彼女の背後に回ると、ヴァレは剣を構えた。

 

「じゃあ行くよ」

 

 刹那、長柄剣の剣身が炎の渦をまとい、オレンジ色の輝いた。

 網膜を焼かれそうな熱光に、思わず目を細めてしまう。

 

「噴ッ!」

 

 ヴァレが剣を振り下ろすと、灼熱の斬撃が大気を奔った。

 俺はすかさず、両手の魔法剣を振るった。

 水と氷の合わせ技、絶対零度の氷河が津波となりヴァレの灼熱と激突した。

 途端に爆音が轟き、爆発的に広がった白い濃霧が周囲を呑み込んでいく。

 

「よしっ」

 

 俺はまっすぐヴァレへ走ると、視界にゴゴーのメッセージウィンドウを表示させた。

 

 ――マスター、ヴァレまでの距離はあと5メートルなのです。

 ――ここだな!

 

 俺が剣を振り上げると、濃霧の中から白い手が突き出てきた。

 

「なっ?」

 

 ヴァレの両手は俺の両手首を握り、動きを完全に封じてきた。

 

「うん、やっぱり足音でわかるね」

 

 その言葉を合図に、疾風が吹き荒れ、濃霧はかき消された。

 それから、彼女は手を離し、事務的に淡々と告げた。

 

「爆音は最初だけ。残響じゃ、耳を澄ませば足音でバレるよ」

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