★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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チーム分けについて説明しよう

  同じ平民の不細工な男子たちと美少女の訴え。

 人がどちらに傾くかは明らかだろう。

 けれど誰かが言った。

 

「でもハロウィーって、ラビの仲間じゃん?」

 

 その一言で、傾きかけた天秤が戻ってしまう。

 言われてみればその通りではある。

 

 誰か他に証人はいないのか。いるわけもない。

 本来ならば物的証拠になるはずの録音データも、この場では意味を成さない。

 反論できない俺に対するみんなの視線の温度は、毎秒下がり続ける。

 

 その焦燥感から俺は頭が回らず、ますます窮地に追い詰められた。

 そこへ、

 

「ラビの言うことは本当だよ」

 

 甘い美声の持ち主に視線が集まる。

 平民科の一軍スター生徒、長身茶髪の剣士、クラウスだ。

 

「僕がちょっとチームから離れていた時に見たんだ。助けに入ろうと思ったら、そのゴーレム君たちが大活躍だったよ」

「嘘だ。お前あの時いなかっただろ!」

 

「今更出ていっても恩を売るみたいで気が引けたんだよ。そっちこそ、僕があの場にいなかったって証明はできるのかい?」

「それは……」

 

 男子たちが言葉に詰まると、みんなの敵意が一気に集まった。

 

「やっぱお前らが悪いんじゃないか!」

「嘘つき!」

「平民の面汚し!」

 

 クラスメイト全員から責められて、さしもの男子たちも返す言葉が無かった。

 五人はすっかりあわあわと動揺し、絶望に歪んだ表情で目をぐるぐるさせていた。

 先生たちの手が、男子たちの肩を叩いた。

 

「どうやら、君たちにはじっくりと話を聞かないといけないようですね」

「学園長にはワタクシから言っておきます」

「では生徒指導室には私が運びます」

「ほら立て!」

 

 五人は泣きわめきながら、先生たちに引きずられるようにして連行されていく。

 すると、他の生徒たちはそそくさと俺から逃げるように立ち去った。

 さっき、俺のことを悪者扱いしたのでばつが悪いのだろう。

 

「ありがとうクラウス。本当に助かったよ。何かお礼をさせてくれ」

「じゃあ、お礼に僕の嘘を黙っていてくれないか?」

「嘘って、え?」

「あの状況ならどっちが正しいかは明白だ。僕は残酷な沈黙よりも、正義の嘘が好きなんだ」

 

 クラウスはウィンクを残して立ち去った。

 あれは男でも惚れる。

 

「いい奴だな。それと、ハロウィーもかばってくれてありがとうな」

 

 俺が感謝すると、ハロウィーは照れ笑いを浮かべて首を横に振った。

 

「気にしないで。あのままだと、わたしだって加害者扱いされるところだったし、ね」

 

 相変わらずあくまで謙虚を貫く彼女の在り方に心地よさを感じて、満たされる。

 

「それと、イチゴーたちもありがとうな」

 

 五人の頭をなでてやると、みんな両手をぴょこぴょこと動かして喜びを表してくれた。

 

 ニゴーだけ動きがちょっと控えめなことに個性を感じた。

 でもこっそりメッセージウィンドウが更新された。

 

『ほめてくれた。ますたーすき』

 

 ニゴーも存外甘えん坊だ。可愛い。

 イチゴーやハロウィー、それにクラウスみたいな人がいれば、平民科でもやっていけそうだ。

 スキルが原因で貴族を追放された俺だけど、未来に希望を感じた。

 

   ◆

 

「では続いて、チーム分けについて説明をしましょう」

 

 翌日の教室にて、朝のホームルームをしていると、先生が咳ばらいをした。

 

「王立学園では、高等部一年生の間に生徒同士でチームを組んでもらいます。平民科の皆さんは卒業後、多くの人が魔獣狩りで生計を立てる冒険者になると思います。たった一人で魔獣を倒せるのはごく一部。ほとんどの人はチームを組み、仲間と協力して魔獣を倒します」

 

 俺ら一人一人の顔を見回しながら、先生は続けた。

 

「そのため、チームを組むことは将来の為にもとても大切なことです。冒険者には王立学園時代のチームのまま活動している人も少なくありません」

 

 そう言って、念を押すように語気を強める。

 

「なのでここでのチーム編成にはよく頭を使って慎重に行ってください。貴族と違い人脈の無い君たちにとっては、今が最大のチャンスなのですから」

 

 言葉は厭味だけど、一部の生徒は隣近所と目配せをする。

 きっと、友達と将来一緒に冒険者をする自分を想像したのだろう。

 あるいは、こいつとずっと一緒で大丈夫か、という不安か。

 

「これまでは色々な生徒と仮チームを組み、自分の特性や相性を確認してもらいました。ですが高等部からは正式なチームを組み、学園に申請してもらいます。以降、学園のあらゆる活動、行事はこのチーム単位で行います」

 

 それは俺も知っている。

 だから、俺は優秀な仲間とチームを組んで大きな功績を挙げなくてはいけない。

 

 そうでないと、貴族への復帰なんて夢のまた夢だ。

 第一候補は、何と言ってもハロウィーだろう。

 

 彼女の狙撃能力は魅力的だ。

 何よりも、イチゴーたちを可愛がってくれるのが高ポイントだ。

 

 いくら優秀でも、イチゴーたちをないがしろにするような空気の悪いチームは困る。

 

「チームにクラスの垣根はありません。同じ平民科の他クラスの生徒とチームを組んでも問題ありません。むしろ、進級時のクラス替えはこのチームごとに行いますので。二年生は同じチームの生徒と必ずクラスメイトになります。これは三年生まで変わりません」

 

 ――ん?

 

 先生の説明に、妙なひっかかりを覚えた。

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