★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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2000年後の君へ・・・

 ヴァレは体をうしろにかたむけ、青い空を仰ぎ見た。

 イースターが、落ちないかと心配する中、ヴァレは穏やかな声を漏らした。

 

「だから、ボクらエルフは期待しているのさ。次に現れた転生者は、神のゴーレム使いは、今度こそ間違わないだろうって。でないと、辛いじゃないか」

 

「……なんだか引っかかるもの言いですね。同じ子孫同士でも差を感じます」

「そりゃ、キミにとっての御伽噺も、ボクにとっては実体験者の思い出話だからね。本当に辛いのは女神と呼ばれた九重巴と魔王と呼ばれた七海渚、そしてその二人が殺し合う様を見せつけられたグランマだよ……ボクは、もうグランマを苦しめたくない……」

 

「お祖母ちゃん想いなんですね」

「だろ?」

 

 ヴァレは勝ち誇った顔で、ニヤリと歯を見せた。

 

「つまり、バニーことブランさんはそのためのキーパーソン、ていうことですね?」

「え? いやあれはただ可愛いから傍に置いているだけ」

 

 イースターはがっくりと頭を落とした。

 

「ここにきてそれはないでしょう!? 彼も女神関係者とか転生者とかじゃないんですか!?」

「ううん、あえて言うならボクのモチベキープ要員? 正直、いくらエルフでも、あてもなく転生者を探し回るのってキツくてさ。バニーがいると精神的に楽なんだよねぇ、可愛くて」

 

 頬を赤く染めながら、ヴァレはふふふと妖しくニヤけた。

 

「というわけで、ボクはまた一階に戻るから」

 

 言って、ヴァレは体を後ろに倒すと、背中から転がり落ちた。

 

「うわ!?」

 

 心臓に悪い落ち方に、イースターがぎょっとすると、ヴァレは片足を手すりに引っ掛け腹筋でカムバック。

 手すりに駆け寄ったイースターと対面した。

 

「それと一つ約束。変に警戒されたくないから、互いにボクらの正体はラビには内緒ってことで。ラビが世界を救った時、互いに生きていたら伝えようか?」

 

 あっけらかんと提案してくるヴァレに、イースターは肩の力を抜いて頷いた。

 

「いいですよ。その時、ワタシはしわしわのお婆ちゃんになっているかもしれませんが、同志として祝杯をあげましょう」

「OK。人間はすぐ死ぬから、人間とは未来の約束をするなってグランマには言われているんだけどね」

「心配しなくても、一〇〇年ぐらいは生きてあげますよ。ワタシだって、ラビさんたちの行く末は気になりますし。途中退場する気はありません」

「そりゃいいや」

 

 イースターが自信たっぷりに胸を張ると、ヴァレは歯を見せて微笑んだ。

 

   ◆

 

 二〇〇〇年前。

 二人の少女が世界首都の国会議事堂、その屋上から首都を一望していた。

 

 広々とした道路と歩道は無数の自動運転車やセグウェイが走り、立ち並ぶ建物は天を衝く摩天楼のように高く、だが瀟洒で見る者を威圧することなく、街に溶け込んでいる。

 

 道路と歩道の間には街路樹が並び、公園には季節の花々が咲き乱れている。

 

 あらゆる娯楽、スポーツ、レジャー施設が整えられ、維持と運営は全てゴーレムが担っている。

 

 人類は半永久的に享楽と創作、そしてスポーツや学問など自身を高めることにだけ専念できる。

 こんな景色が、世界の果てまで続いている。

 

「見て巴! これがアタシらの作った世界だよ! 全ての人が幸せに暮らせる理想郷!」

「うん、綺麗な街だよね渚! ここで私たちはみんなと楽しく暮らせるなんて夢みたい♪」

 

 互いに笑みを交わし合い、手をつなぎ、完成された世界を眺め続けた。

 それはまるで、子供が箱庭のドールハウスを眺めるようでもあった。

 だがそれは偽りではなかった。

 人類はこの時、有史以来最大の幸福を享受していたのだ。

 誰もがこの永遠の楽園が続くことを願い、そして信じていた。

 

 だが、その楽園はわずか二〇年で崩壊した。

 

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