★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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よちよちゴゴーちゃん

「なぁ、せめて予想できないか?」

『うーん、すをつくるのがじょうずなまじゅうかなぁ』

「魔獣で物作りってなるとそうなるか。じゃあ一番近いのはハチかな」

 

 ハチは自然物を蜜蝋で固めて巣を作り、エサの虫を加工して幼虫に与える。花の蜜を加工して蜂蜜も作る、自然界の職人だ。

 

 巨大な巣を作る、という点からアリも考えたけど、ちょっとハチの下位互換っぽい。

 

 自分自身がどんな形状にでもなれる、という意味でスライム系も考えたものの、スライムの素材はもうできるだけ配合済みだ。

 

「そういえばハチ型魔獣って見たことないけど、この森にいるのか?」

『いるよー』

「それはわかるんだな?」

『わかるー』

 

 考えてみれば、校舎裏の森なら棲息している魔獣の資料ぐらい、学園にあるだろう。卒業生だって、森の生態系に詳しい人はいる。

 

 十分、この世界にある知識に該当する。

 

「じゃあもしかしてハチ型魔獣の生息場所もわかるのか?」

『わかるー、こっちー』

 

 まるで幼児が親に宝物を見せたがるようなテンションにくすりとさせられる。

 小さな足でよちよちと歩くイチゴー。

 

 その後を、他のメンバーが追いかけていく。

 こうして小さなゴーレムたちのうしろを歩いていると、なんだか保育士さんにでもなった気分だ。

 

 もっとも、実際にお世話をされているのは俺のほうなんだけど。

 体感で一時間は歩いただろうか。

 

 森全体ではまだまだ浅いほうだけど、一応、一年生としては奥のほうに行った部類だろう。

 

 気持ち、森の中に自生する花の量が多くなってきた気がする。

 それと、さっきから花型魔獣のアルラウネに遭遇する。

 もちろん、全部イチゴーたちが倒してくれた。

 

 今まで会っていない魔獣に遭遇することから、まだこの辺は未踏破エリアだとわかる。

 

「結構歩いたな。そろそろハチさんに出てきて欲しいんだけど……」

『このへんのはずー』

「はずって、詳しい場所はわからないのか?」

『わかんなーい』

 

 首の代わりにまぁるい体全体を左右に振るイチゴー。

 

 ――AIチャットといっても、さすがにレーダーじゃないか……。

 

 そこは、今後に期待だ。

 いずれ、AIマップ、みたいなスキルが解放されたらいいなと思う。

 

 俺が未来に希望をかけていると、木の陰から獣道に、アルラウネが顔を出した。

背の高さは幼稚園児くらい。

 

 球根のように丸い体から巨大な花を咲かせ、植物のツルの手と根の足を持つ。

 ぱっと見の印象は、陸生イソギンチャクだ。

 

「またアルラウネか。ニゴーさん、やっておしまい」

 

 どこかの国民的世直しドラマの真似をしながら指示を出すと、ニゴーはノリノリで駆け出してくれた。

 

 けれどコンマ一秒後、大型犬サイズの何かが飛来して、アルラウネを連れ去った。

黒と黄色を基調とした体色。

 鋭利な六本の足。

 コンドルのように巨大でありハチドリのように高速で動く翅。

 丸太も切断しそうな印象を受ける、巨大ペンチのようなオオアゴ。

 ハチ型魔獣の、マーダー・ホーネットだ。

 

 反射的に膝を折り、見上げるようにして捕捉したのは、前世の知識だ。

 ハチは目の構造上、視線が上向きなので姿勢を低くすると見つかりにくくなる。

 

「追うぞ」

『おうー』

 

 イチゴーたちがちょこちょこぴょこぴょこと俺のうしろについてくる。

 木々の間を走り抜け、倒木を飛び越え、坂を駆け上がると、目を見張った。

 

 視線の先には、樹齢千年はありそうな大木がそびえていた。

 直径八メートル以上はあるだろう。

 幹のあちこちに大穴が開いていて、そこからマーダー・ホーネットが出入りしている。

 

「いや、違う」

 

 巨木だと思っていたソレは、木ではなかった。

 目を凝らせば、それが無数の木片を重ね合わせた構造物だとわかる。

 

 今も、新しいマーダー・ホーネットが口から蜜蝋という粘液を吐き出し、そこに別の個体がくわえた木片を張り付けている。

 

 これだけの巨大構造物を作り出す森の建築家。

 これは、否が応でも期待が高まる。

 こいつらの素材なら、再構築スキルを使えるようになるかもしれない。

 

 ――さて、どうするか。

 

 木の陰に身を隠しながら、俺は頭をひねった。

 素材が欲しいだけなら、群れから離れた個体を狙い討つか。

 

 少なくとも、無数の軍勢相手にイチゴーたちだけで戦うのは無謀過ぎる。

 その時、ちょいちょいと誰かに肘をつつかれ、視線を下げた。

 

「どうしたニゴー?」

『ゴゴーがいってしまった』

「へ? あ!?」

 

 顔を上げると、無邪気で好奇心旺盛な背中がみるみる遠ざかっていく。

 欲望のままに突き進むゴゴーに、俺は全速力で命令を出した。

 

 ――ゴゴー、すぐに戻ってくるんだ!

 

 スキルで俺の命令を受けたゴゴーは、ちらりと振り返った。

 

 そして戻るべきか悩み、チラチラとハチの巣と俺を見比べている。

 

 ゴーレムなのに子供のように指示を聞かない。

 

 自律型だからこその行動は、決してゴゴーたちが道具ではなく、きちんと人格と自我のある個人である証明で嬉しい半面、デメリットでもある。

 

 さんざん悩んでから、ようやくゴゴーはこちらに戻ろうとして、コロンとコケた。

 その頭上で、マーダー・ホーネットが尻を振っていた。

 

 ハチのダンス。

 

 巣の味方に敵や獲物の場所を教える死の舞踏だ。

 

 ――ゴゴォオオオオオオオオオオオ!

 

 心の中で絶叫しながら俺はみんなに指示を飛ばした。

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 スクール下克上のヒロインはハチ能力だし、電撃文庫で書いた僕らは英雄になれるのだろうかの蜂道もハチ能力だし、私の作品てよくハチが出てくるなぁ。まぁ好きな昆虫がハチだからしかたないですよねぇ。かわいさとかっこよさを併せ持っていると思います。

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