★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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司令官は君だ!

 巣の味方に敵や獲物の場所を教える死の舞踏だ。

 

 ――ゴゴォオオオオオオオオオオオ!

 

 心の中で絶叫しながら俺はみんなに指示を飛ばした。

 

「こうなったら作戦変更だ! 全員、ゴゴーを救出するんだ!」

 

 イチゴーたちがわらわらと駆け出す中、ただ一人、ヨンゴーだけが立ち止まって振り返った。

 

『ところでマスター。ゴゴーをきゅうしゅつするのはいいが、あいつらをたおしてしまってもかまわないっすか?』

 

「え? お前そんな英霊並みにカッコイイ台詞どこで覚えたんだ?」

 

 俺の返事も聞かず、ヨンゴーは駆け出した。

 情けない話だけど、俺は木の陰に隠れながら、みんなの無事を祈った。

 

 巣の中から出てくる無数のマーダー・ホーネット。

 対するこちらはゴゴーを含めて五人。

 けれど、戦力差は数だけでは決まらない。

 

「おぉー」

 

 イチゴーの拳が、マーダー・ホーネットの甲殻を砕いた。

 ニゴーのラリアットが、マーダー・ホーネットのオオアゴを払い飛ばした。

 サンゴーのボディプレスが、マーダー・ホーネットを地面に叩き落とした。

 ヨンゴーにマーダー・ホーネットの針が直撃するも、逆に針のほうが曲がった。

 

 数とはうらはらに、かなり善戦している。

むしろ、楽勝ムードすら漂っていた。

 

 俺の装備品扱いであるゴーレムにはレベルが無いからわかりにくいけど、みんなのスペックは俺よりも高い。

 

 特に、レア素材を集中しているイチゴーは、王立学園高等部一年生のスペックを明らかに超えている。

 

 ――ハチも結構強いはずだけど、この分なら勝てそうだな。

 

 淡い期待に俺が胸を躍らせた時、ゴゴーが華麗に空を飛んだ。

 背中には、マーダー・ホーネットが張り付いている。

 

「いやさらわれている!?」

『そうなのだぁ』

 

 サンゴーがのんびりと同意しながら、見上げている。

 

 ――こいつもマイペースだな。

 

 と思ったけど足元にはマーダー・ホーネットの死体が転がっている。

 

 ——やることはやっているんだな。

 

『わーい、とんでるー』

 

 呑気に喜ぶゴゴーを助けるため、ヨンゴーが動いた。

 

『ニゴー、じぶんをふみだいにするっす』

『りょうかい』

 

 ヨンゴーがジャンプ。

 さらにニゴーが大ジャンプして、ヨンゴーの頭を踏み台にして二段ジャンプ。

 マーダー・ホーネットの背中に飛び乗ると、左右の複眼を叩き潰した。

 

「■■」

 

 声に代わってギチギチという甲殻が軋む音と羽音を鳴らして墜落。

 ゴゴーも地面にぽてんと落ちた。

 

『ゴゴーだいじょうぶー?』

『たのしかったー』

 

 イチゴーとゴゴーが、ぽよんとお腹を打ち合わせた。緊張感が無いにも程がある。

 

 その間も、ニゴーはまさに一騎当千、獅子奮迅の働きでマーダー・ホーネットたちを駆逐していた。

 

 ただし、数体倒すごとに俺のことをチラ見してくる。

 まるで、運動会で親の目を気にする子供のようだ。かわいい。

 

『ふふふ、流石はニゴー。圧倒的じゃないか、我が軍はっす』

 

 ヨンゴーは全身をかじられていた。

 ヨンゴーに群がるマーダー・ホーネットを、サンゴーがどつきまわす。

 

 ――いやヨンゴー、お前も同じスペックだろ。

 

 などと俺がツッコむ間にも、リザルト画面が止まらない。

 マーダー・ホーネットは絶命した個体から順に俺のストレージに入るので、現場は実に綺麗なものだった。

 

 それでも、ストレージの素材量を確認すれば、討伐数は一目瞭然だ。

 イチゴーたちだけで、もう一〇〇体以上のマーダー・ホーネットを駆逐している。

 おかげで、俺のレベルも一つ上がった。

 

「なんか楽勝ペースだな」

 

 それがフラグだったのか、俺が緊張の糸を緩めた瞬間、巣がざわめいた。

 みしみしと音を鳴らしながら、中で何かが這いずるような、不気味な音が漏れ出てくる。

 

 それでまさかと、俺は最悪の事態を想定した。

 

 マーダー・ホーネットはハチ型魔獣だ。

 その生態は、ハチに限りなく酷似している。

 イチゴーたちが倒しているのは働きバチ。

 

 ならいるはずだ。

 こいつら全員を統率している、こいつらの何倍も大きなクイーンが。

 

「■■■■!」

 

 巣穴を引き裂くように木片が飛び散った。

 中から現れたのは、大型犬どころかクマのように巨大なハチ型の魔獣だった。

 

 六本の足の先には五指を思わせるような鋭利なカギヅメが輝き、四枚の翅を左右に広げる姿は悪魔を彷彿とさせた。

 

 クイーンが巣立ち、弾丸のように飛んできた。

 巨大なアゴが地面を穿ち、轟音と共に土砂を撥ね上げる。

 間一髪、難を逃れたイチゴーたちが、ころころと地面を転がった。

 

「ッ」

 

 反射的に木の陰から飛び出そうとして、踏みとどまる。

 

 ――俺に何ができる?

 

 俺の役割は前線で戦うことじゃない。

 俺はその場の状況を分析して、イチゴーたちに出すべき指示を模索した。

 

 クイーンは地面から顔を引き抜き、兵隊たちを駆逐した憎き外敵を睨みつけた。

 

 一切の感情を排した、昆虫の複眼故の威圧感に、俺は心臓が固く締め付けられるような感覚を味わった。

 

『ひかない』

 

 ニゴーが果敢に立ち向かい、拳を振るった。

 

 けれど、クイーンは避けるどころか、むしろ頭を突き出してきた。

ニゴーの拳がクイーンの額にクリティカルヒット。

 

 なのに、クイーンは微動だにせずニゴーの体が浮かされた。

 

『ばかな』

 

 クイーンが前足を振り下ろした。

 カギヅメがニゴーを弾き飛ばす。

 

 ニゴーは着地もできずに地面を二度跳ねてから止まるも、その体に五本の削り跡が刻まれていた。

 

「ニゴー!」

『ふかく』

『みんな、ますたーをまもるよ』

 

 声を出してしまったせいだろう。

 俺の存在に気づいたクイーンの視線がこちらを捉えた。

 それをさせまいと、イチゴーたちは横一列になって立ちふさがる。

 なんてけなげな子たちだろう。

 イチゴーたちの献身が俺の頭を冷やし、冷静になれた。

 

 ――一対一じゃ勝てない。多人数の利を活かせ。それにハチの弱点は……よし!

 

 俺は慌てず的確に素早く作戦を完成させて声を張り上げた。

 

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司令官は君だ。昔スーパーロボット大戦スクランブルコマンダーのCMで流れたセリフですね。いいですね。私はスクランブルコマンダー好きですよ。第8MS小隊とエヴァが両方出る貴重な作品です。

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