★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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決死

 俺の魔力を変換した炎を噴き上げながら、白銀の剣身が橙色に輝き、灼熱の剣尖がモリハイエナの脇腹を直撃した。

 

「ッ!?」

 

 刹那、俺が手に感じたのは、何か硬質な物との衝突だった。

 剣の切っ先はモリハイエナの脇腹を貫くことはなく、突進力を阻まれた。

 

「■■■■ッ!?」

 

 遅れて感じる何かが砕けるような感触の半瞬後に、モリハイエナが身体を揺すった。

 

 途端、俺は正体不明の巨大な衝撃に脇腹を殴りつけられて、ハロウィーの近くまでぶっ飛ばされた。

 

 肺が握り潰されるように圧縮されて、中の空気が外に押し出される鈍痛と苦痛に意識が飛びそうになる。

 

「ラビ!?」

 

 ハロウィーの呼びかけに答える余裕も無く、俺は息が止まったまま、半ばやせ我慢の状態で立ち上がった。

 

 ――なるほど。

 

 モリハイエナの背後で縦横無尽にうごめく長い尾。

 どうやら、俺はあれに叩きのめされたらしい。

 

 さながら、馬が尻に留まった虫を追い払うように。

 無意識なのだろうが、脇腹を叩きのめしてきたのは、脇腹を刺された意趣返しに思えた。

 

「ッッ」

 

 奥歯を噛み、アバラ骨が折れたのではと錯覚するような脇腹の痛みに耐えて、理解した。

 

 ――アバラ骨に当たったのか。

 

 俺のヒートソードは、本来ならばモリハイエナの脇腹から肺を貫通し、奴を内臓から焼き殺すはずだった。

 

 けれど運悪く、俺の剣尖はアバラ骨という鎧を直撃。

 モリハイエナを仕留め損ねたというわけだ。

 

 ――でも確かにあの時、アバラが砕ける感触があった。

 

 アバラ一本。

 人間にとっては痛手だが、生命力の高い魔獣には軽傷以上重症未満といったところか。

 

 状況は最悪だ。

 モリハイエナは中堅の魔獣。

 一年生の俺には明らかに格上だ。

 

 サンゴーの様子を見るに、イチゴーたちが束になっても勝てるとは思えない。

 

 マーダー・ホーネットのクイーンのように翅という弱点が無いモリハイエナでは、真正面からフッ飛ばされてしまうだろう。

 

 おまけに唯一の勝機だった奇襲攻撃にも失敗した。

 制限時間は、モリハイエナが俺とアバラの痛みを警戒してくれている間だけ。

 それも、長くはもたないだろう。

 

 ――イチゴー、神託スキルで質問だ。モリハイエナの倒し方は?

『わからない』

 

 ――だよな。

 

 いくらなんでも、質問内容が漠然とし過ぎている。

 なら、あと俺に残されているのは再構築スキルだけだ。

 俺のレベルには関係なく、武器そのものが強い装備を作ればいい。

 

 ――イチゴー、バズーカ砲って作れるか?

『むりー』

 

 ――ライフルや手榴弾は?

『むりー』

 

 ――ポーションは作れるのに火薬は駄目なのかよ。

 

 火薬以外で、モリハイエナを倒しうる武器は何か。

 考えている間にも、モリハイエナは俺を警戒しながら徐々に距離を詰めてくる。

 一秒後には飛び掛かってくる未来に肝を冷やしながら、頭をフル回転させた。

 

 ――火薬なしだとボウガンが最強だ。けど、俺の筋力でセットできる程度で、こいつを倒せるのか?

 

 一体どうすれば。

 青いポリゴンから起死回生の一手が誕生する想像にすがり、ある可能性に気づいた。

 

 ――待てよ。そういえばさっき、空っぽの鞘の中に剣を生成したよな? なら、もしかして……。

 

 どうせこのままでは死ぬだけだと、俺は確証の無いまま、ヒートソードの剣身を分解、再構築スキルの材料として使った。

 

 そうして生成したのは、金属フレームと金属ワイヤーのボウガンだ。

 

 張力は四〇〇キロ。ハンティング用の五倍以上である。

 

 とてもではないが俺の筋力で引けるものではない。

 

 でも俺は続けて、ボウガンのカタパルト部分に矢を生成した。

 

 カタパルト部分が細長いポリゴンに包まれ、ボウガンの弦がうしろに押し出された。

 

 ――思った通りだ。

 

 再構築スキルでヒートソードを生成した時、剣は鞘に収まっていた。

つまり、生成物はセットされた状態で構築できる。

 

 なら、カタパルト部分に矢を直接生成すれば、弦をうしろに押しのけて矢がセットされた状態で構築されるはずだと踏んだ。

 

 ボウガンを両手で構えながら、腰を落として前傾姿勢で引き金を引いた。

 

 同時に反動で手の平と肘、そして肩に衝撃が抜けて、上半身がのけぞった。

想像以上の反動に、目をつぶってしまった。

 

「■■」

「ッ、どうだ!?」

 

 モリハイエナの叫びに顔を下ろすと、焦げ茶色の体毛に覆われた右肩から、ボウガンの矢が生えていた。

 

 素人の射撃だけど、まとがデカイだけあってどうにか当たったようだ。

 

「■■■■ッ!」

 

 けれどモリハイエナが怯んだのは一瞬。

 むしろ、自分に痛みを与えた小癪な生き物への苛立ちと憎しみを募らせるように唸り、駆け出してきた。

 

「ちっ!」

 

 すぐさま二射目を装填。引き金を引いた。

 二射、三射、四射と、引き金を引き続けた。

 

 矢はモリハイエナの背中、左肩、右前足に命中し、その都度、野獣の進撃を食い止めた。

 

 けれど一撃ごとに俺らとの距離は詰まり続け、それがデッドラインに迫っていた。

 緊張と恐怖で心臓が痛いくらいに冷たく感じる。

 死への未来を肌で感じる。

 

「■■■■ッ!」

 

 咆哮の熱量に脳を焼かれた直後。

 モリハイエナが目の前に迫ったところで五射目を撃ち込んだ。

 

 至近距離だけあり、矢は脳天を直撃。

 これで死んでくれと心の中で懇願すると、モリハイエナはついにその膝を折った。

 

 ――やった。

 

 俺が緊張の糸をゆるめた直後。

 まるでそれを待っていたかのようにモリハイエナが飛び起きた。

 

「!?」

 

 最後の力を振り絞るような、鬼気迫る憤怒の表情。

 爪が閃き、白い牙が視界の縁を覆った。

 

 ――終わった。

 

 ボウガンの矢はまだ生成中。

 今から引き金を引いても間に合わないことは明白だった。

 

 前世と今世、二つの走馬灯が脳内で駆け巡る中、不意に牙が消えた。

 

 耳元を駆け抜ける衝撃波、遅れて吹っ飛んだモリハイエナの口内から生える矢羽根と立ち昇る黒煙。

 

 振り返れば、ハロウィーが弓を放ち終えたポーズで息を吐いていた。

 

「魔力圧縮スキル、間に……合った」

 

 そこで彼女も、緊張の糸が切れたようにがくんと膝を落とした。

 モリハイエナの死体が消えて、俺のリザルト画面とストレージ画面が表示された。

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倒した敵が消えてリザルト画面。ゲーム感が強いけどだいじょうぶかなと思う今日このごろ。違和感を感じなかった読者にはありがとう。感じた読者にはごめんなさい。

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