★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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無双モードが止まらない

 みんな、初めてのダンジョンにテンションが上がり気味だった。

 新しい魔獣が出るたび、我先にと争い、次々攻撃しては魔獣を倒していく。

 それと同時に、地下二階でゴーレムたちは無双状態だった。

 

 止まることなく、広がり続けるマップ。

 次々表示されるリザルト画面。

 みるみる増えていくストレージの素材。

 

 そして振り返るクラスメイト。

 

「あっれぇ、そういえばまだ何もしていない奴がいるなぁ」

「やめとけよ、お坊ちゃまはオレらと違ってレベル一なんだから」

「貴族なんて召使やゴーレムがいないと何もできないんでしょ?」

 

 爆笑が巻き起こると、先生は最低限の注意を促した。

 

「はいそこまで。そうやって物見遊山気取りの時に、隠し通路から魔獣が現れたりするんですよ。それと、前を見るように」

 

 通路の奥から、棍棒を持ったゴブリンが駆けてきた。

 一人の女子が剣を振るい、棍棒を払い落としてからゴブリンの首を刎ねた。

 

「ざっとこんなもんよ。まっ、お坊ちゃまには無理でしょうけど?」

 

 嫌味な女子が振り返ってニヤリと笑う。

 

『ごぶりんちゅうたいはっけーん。だいしゃりんたいあたりー』

 

 リザルト画面に、一〇〇体分のゴブリン素材が入ってきた。

 

 ――大車輪体当たりって、ヨンゴーが階段を下りる時に使っていたあれかな?

 

 五人が横一列に並んで、タイヤのように回りながらゴブリン中隊を跳ね飛ばしていく姿を想像して、なんだかおかしかった。

 

「おい、ラビのやつ罵倒されて笑っているぞ」

「そういう性癖なのか?」

 

 性癖ではない。

 嫌味女子よりもゴーレムに夢中なだけだ。

 

 

 それから……。

 

「みなさん、宝箱ですよ。ただし気を付けてください。ダンジョンの宝箱には罠が仕掛けられていることが多いです」

 

「じゃあアタシの罠解除スキルの出番ね。えーっと、あ、宝箱開けたらしびれ毒が出てくるみたい。だけどアタシなら、よ」

 

 女子が宝箱を開けても何も起きなかった。

 

「ナイフか……けど一階層ならこんなもんよね」

 

 メッセージウィンドウが更新された。

 

『どくろマークのへやみつけたー。むらさきいろのガスでいっぱーい。トゲトゲのゆかとみどりいろのぬまをわたったさきにたからばこはっけーん。ゴゴーがあけたらヨンゴーがピラニアにかまれてるー。くすぐったそー』

 

 ストレージに、魔法石の雷石が追加された。

 たったの地下二階で魔法石はレア過ぎる。

 たぶん、トラップ満載の部屋を抜けた先の隠しアイテム的なものだろう。ただし、ゴーレムには効かなかった。

 

 

 さらに……。

 

「みなさん。ここがモンスタールームです。試しに私が入ってみますね」

 

 先生がドアの無い入り口をくぐり、部屋に入った。

 途端に、鉄格子が下りてきて、先生は閉じ込められた。

 部屋の中には、無数のゴブリン、ホーンラビット、スライムが湧き出てきた。

 

 みんなが悲鳴を上げる。

 それでも、先生はいたく冷静だった。

 

「モンスタールームを出る方法は二つ。湧き出る魔獣を全て倒し切るか、外の脱出ボタンを押すかです」

 

 鉄格子から腕を伸ばした先生が指差した先を視線で追う。

 すると先程とは違い、石壁の一部が不自然に出っ張っていた。

 

 俺がその石を手で押し込むと、鉄格子が上に開いた。

 先生は悠々とモンスタールームから出てきた。

 

「いいですか? 部屋に入る時は、必ず一人ずつ、あるいは最低一人、外に仲間をおいて安全を確認してから全員で入る。これが鉄則です」

 

 雑魚とはいえ魔獣の軍勢が衝撃だったのか、みんな硬い表情で頷いた。

 

『ますたー、このへやまじゅうでいっぱーい。たおしほーだーい。もういっかいはいるねー』

 

 リザルト画面が長い。凄く長い。

 ストレージ画面も凄い勢いで更新されていく。

 

 

 しまいには……。

 

「みなさん、おまちかねの強敵ですよ」

 

 ちょっと開(ひら)けた部屋に出ると、次の通路への入り口に、門番が立っていた。

 

 みすぼらしいながらも軽装鎧に身を包み、右手には槍を握っている。顔はドブネズミそっくりだった。

 

「王立学園ダンジョン一階層最強の魔獣ワーラット。レベル五です。みなさん、連携して倒してください」

 

 平均レベル三の生徒たちは横に広がり、ワーラットと戦闘を始めた。

 

 魔法や弓で戦う生徒が次々射撃でワーラットを痛めつけ、最後に剣や槍を持った生徒が次々突き刺していく。

 

 格上とはいえ一体の魔獣に数十人がかりでリンチしておきながら、みんな謎の達成感と手ごたえを感じている様子だった。

 

「なぁんだ。レベル五っていっても大したことないな」

「まぁアタシたちは訓練しているし」

「レベル差なんて簡単に埋められるよね」

 

 レベルが同じでも、長身ゴリマッチョと小柄で細身な人とでは筋力が違う。

 レベルが同じなら、剣術などの戦闘技術を磨いている人のほうが強い。

 

 レベルはあくまでも目安でしかない。

 とはいえ、これだけ数の暴力で圧倒しておきながら調子に乗り過ぎだろう。

 

『第二階層フロアボス ワーラット・メイジをクリア』

 

 いつもとは違うリザルト画面の後に、イチゴーからメッセージが届いた。

 

『ねずみのまほうつかいさんたおしたー。ほめてほめてー』

 

 五人がかりとはいえ、フロアボスを倒して喜ぶイチゴー。

 同じ数の暴力でも、功績には雲泥の差があった。

 

 ――よしよし。よくやったぞ。寮に帰ったら綺麗にしてあげるからな。

 

『わーい』

 

 イチゴーの顔アイコンは無表情なのに、何故だか喜んでいるように見えてかわいかった。

 

 

 流石にボス部屋は通り過ぎたものの、地下一階層を一回りした俺らは地上へ帰還。

 

 先生はみんなに感想文の提出を言い伝えてから、学園への帰投を開始した。

 

 クラスメイトはみんな自信に満ちた表情で、今日一日の行動を武勇伝のように語り合っている。

 

 そして会話の随所随所に、俺へのあてつけも忘れない。

 

「いやぁ、今日のオレらは大活躍だったなぁ」

「まぁだてに中等部で三年間、訓練していないからな」

「だけど一人だけなぁんにもしていない奴がいたよなぁ」

「おいおい言ってやるなよ。お坊ちゃまはフォークとナイフより重たい物を持ったことがないんだから」

 

 ――まぁ、俺が何もしていないのは事実なんだけどさ……。

 

 彼らは精一杯、俺を悔しがらせようと言葉を尽くしているのだろうけど、何も響かなかった。

 

 何せ、今日一日で俺のレベルは十二に上がり、ストレージ内の素材在庫は二倍になった。

 

 宝箱やフロアボスから得たレア素材もたんまりだ。

 なんだろう。みんなに対して悪いことをしている気がする。

 抜け駆けというか、ズルというか。

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 やっぱりゲームって何かを手に入れるのが楽しいと思うんですよね。

 大したことのないザコアイテムでもいいから手に入るとお得感があります。

 町で99個たまったザコアイテムを売り払うのが気持ちいいんです。

 大量のアイテムがどんどん手に入る。それを定期的に整理して売り払う。

 この繰り返しが好きな人ってけっこういそうじゃないです?

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